問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~ 作:bliz
2か月以上更新期間を空けてしまいほんとにすいませんでした!!
なんかいつも謝ってる気がするので謝罪はこの辺にしときますね。
期間が空きながら書くと思ってる文が書けないことってあります、よね?
そのせいか今回は会話が多めになってるかもしれないです。
それでは、本編をどうぞ!
巨龍の襲来から一夜明け、収穫祭本陣営にある大会議場に俺達は集まっていた。今この場にはいくつかのコミュニティの代表者が集まっている。ノーネームからはジン君、十六夜、飛鳥が、ウィル・オ・ウィスプからはフェイス・レスが、俺、陽炎、玲華、楓がそれぞれのコミュニティのリーダーとして、龍角を持つ鷲獅子ドラコ・グライフは一本角からサラが、そして六本傷からの出席者のキャロロ=ガンダックだ。なぜか六本傷の代表者に見覚えがある俺は十六夜がそう思っているのかを確かめる。
「なあ十六夜、あれってそうだよな?」
「ああ、俺もそう思うぜ?」
「......だよな。なあそこのあんた、割と頻繁に俺達に会ってるよな?」
十六夜も同じことを考えていたことがわかり、声を掛けた相手が誰なのかに対して確信を持ちながら俺は尋ねる。そして、それに返ってきた答えも予想通りの声で、予想通りの調子のものだった。
「そうですよー常連さん。いつもご贔屓にありがとうございます♪」
「彼女は六本傷の頭首がロロ=ガンダック殿の二十四番目の娘でな、ガロロ殿に命じられて東に支店を開いているらしい」
「ふふ、ちょっとした諜報活動ですよ。常連さんの噂も父ボスにちゃんと流れてますよ!」
この一言を聞いた瞬間に俺は十六夜と飛鳥にアイコンタクトをする。二人も俺と同じことを考えていたようで、一瞬だけニヤッと笑うとすぐにキャロロの方を向く。
「なるほど、それなら一店員であるアンタがここにいるのも納得できる。まあ、それはそれとして。ついでに収穫祭が終わってからの
「そうね。とりあえずチラシ配りでいいかしら?」
「あのー話の流れがわからないんですが......」
「気にすることはないからな。アンタの店が一躍有名になるだけだ」
俺達の話の流れがわからないキャロロが説明を求める視線を送ってくるが、そんなものは気にせず俺達は話を続ける。
「文面は、六本傷の旗下に間諜の影!気をつけられたし!!こんな感じでいいか?」
「抑えるところを抑えればそんなところね。もう少し脚色してもよさそうではあるけれどね」
「そのままでいいんじゃねえか?こういうのはシンプルな方が効果も大きそうだしな」
そんな十六夜のキャロロをちらっと見ながらの一言に対して頭が追い付いていなかったキャロロが叫ぶ。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!そんなことされたらうちの店が潰れちゃいますよ!!」
「そんなこと言われてもな、間諜してますって店員が宣言するような色んな意味で危ない店を放置するわけないだろ?」
「そこを何とかって言うなら相応の態度ってものがあるよな?」
「そうね。吹雪君、こういうのってどれくらい妥当なのかしら?」
「そうだな......全品半額ぐらいか?」
「......へ?にゃ、にゃ、にゃにを言ってるんですか!そんなのうちの店が大変なことになりますよ!」
キャロロが言葉も猫っぽくなりながら訴えかけてくるが、そんなことはお構いなしに俺達は話を進めていく。
「そんなこと言われてもね、こちらとしても放置できない問題だもの」
「そうだな……どうしてもって言うなら、四割引だ。これ以上は譲る気はない」
「わ、わかりました!!どうかそれでご勘弁を!」
これ以上は譲れないという言葉と、少しでも値引きする金額が下がることに反応したであろうキャロロは俺の提案に飛びつく。この後に三割と言ってそこに落ち着かせようとしていた俺としてはラッキーだが。
「なあ玲華、俺あんな感じの詐欺の手口知ってるぞ」
「あれでしょ?高いもの見せてその後に少しだけ値段の低いものを見せて安いって思わせるやつ」
「今回は恐喝だけどね~」
お前ら、人のことを詐欺師みたいに言うのはやめろ、俺は詐欺師じゃないぞ。後楓、それは詐欺どうこうの話ですらない。
「話を進めていただけますか?」
場が収まってきたのを見てフェイス・レスが手を挙げて黒ウサギに会議を進めるように促す。
それからは何事もなく会議が進み、空に浮かぶ城への救援部隊を編成することなどが決まった。途中で黒ウサギの呼び名が増えたりしたが、そんなことは気にする程でもない。
会議が終わり、キャロロに案内されながら俺達は最高主賓室へとやってきた。その部屋は大樹の中にあり、部屋の窓からは大樹の根と大河の河口、そしてユラユラと川辺を漂う微精霊の姿を見ることが出来る。全員が一通り部屋の中や景色を見て気が済んだので置いてあるソファーや椅子に座ると、陽炎が口を開く。
「で、編成はどうすんだ?」
「俺としては楓、飛鳥、黒ウサギ、ジン君とペストが地上ってとこまでは確定。たぶん玲華も下だな。男をどう分けるか悩んでる。何か意見があったら言ってくれ」
「吹雪君、私が地上の理由を教えてもらってもいいかしら?」
「その前に黒ウサギ、一つ確認。レティシアは誰かに拐われてたんだよな?」
「はい、黒ウサギがこの目で見ましたので間違いありません」
「てことで、俺達の敵になる勢力がいることになる。そいつらに迎撃されることも考えると空中戦の可能性が出てくる。そうなってディーンが使えない・・・・・・・・・状況で飛鳥のギフトと身体能力でまともに戦えるか?」
「……っ、そう…よね……少し一人にさせてもらうわ」
飛鳥は思い詰めた表情で立ち上がると、そのまま足早に部屋を出ていってしまう。
「珍しくキツめね。あそこまで言わなくてもよかったんじゃない?」
「……かもな。らしくねえな、ほんと何やってんだ俺は」
こんな状況で仲間の中で雰囲気を悪くするようなことをしてしまったことだけでなく、普段の自分では言わないようなものの言い方に自己嫌悪に陥る。
「俺はあれでも問題ないと思うぜ。お嬢様もそろそろ認識しとかなきゃいけない問題だろ」
「吹雪、俺ちょっと行ってくるわ。編成は任せる」
「悪ぃな。今俺が行っても逆効果だろうし、任せる」
「吹雪、丁度いいしあんたもちょっと頭冷やしてきなさいよ。編成はあの二人が帰ってきてからでも時間には余裕があるでしょ?」
「......そうだな」
玲華の提案に従い、俺は座っていたソファーから立ち上がり、陽炎に続いて部屋を出る。しばらく道を進んで外が見える大きな窓があるところまでやってくると、狼を呼び出してその背に乗って空へ昇りながら大樹から離れる。いいぐらいの高さまでやってくると、そこに広めの足場を作って身を投げ出すように寝転ぶ。
「はぁ......こんな時に何やってんだか俺は。こういう時こそ冷静になるべきだろ」
そのままの体勢でしばらくボーっと空を見ていると隣にから声が聞こえてくる。
「で、頭は冷えた?」
「何で普通にここにいるんだお前は」
「吹雪なら外に行くだろうって思ってたからね。後はフーちゃんにちょっと頑張ってもらったらすぐに見つかったもん」
俺に声を掛けてきたときは足場の上に座っていた玲華は俺の疑問に答えながらそのまま寝転ぶ。ただし、こんなときでもきちんとお菓子を出しているあたり平常運転だ。
「で、何の用だ?まさか、ただ追いかけてきたわけじゃないんだろ?」
「まあね。いつも通りあんたのフォローをね。吹雪、自分が焦ってたってことわかってる?」
「......俺が?」
「無意識だろうとは見てて思うけどね。あたし達じゃないと気づかない程度の変化だし。原因の予想もつくし一言だけね。耀ちゃんならきっと大丈夫。あたしの言いたいことは言ったし、後はあんた次第」
玲華の言葉を聞いて巨龍が空へと戻っていった時からさっきまでの自分の行動を振り返り、玲華の言いたいであろうことを理解する。
「要は巨龍が相手な上に敵の本拠地に耀がいるから心配して焦ってた、と。こういうことか?」
「さあね。あんたがそう思うんならそうなんじゃない?」
(そこからもうちょっと考えてくれると耀ちゃんにとってもいいんだけどなあ)
「まあいいか、悪かったな手間かけて。認識しちまえば大丈夫だ、落ち着いていける」
「フォローはあたしの役目だし気にしないの。いつものことでしょ?」
「そうだったな。んじゃあ、俺も落ち着いたし戻るか」
「あ、お菓子食べ終わるまで待って」
「……お前な」
こういうところで我が道を行くところは変わらないなと思いながら俺は玲華の持っているお菓子を食べ始める。
「お、やっぱ旨いな」
「当り前よ。お菓子へのこだわりは誰にも負けないもん!」
~~~~~
「飛鳥ちゃん見っけ」
「…………一人にさせてって言わなかったかしら」
部屋を出て歩いていた陽炎はちょっとしたテラスになっている所で手すりに身を預けている飛鳥の姿を見つけ声を掛ける。その飛鳥は不機嫌そうに陽炎の方を向く。
「好きな娘が泣きそうになってたのに放っとくほど薄情な人間じゃないさ、俺は」
「……………そう」
しばらくの間そのまま無言の時間が続いた。その間陽炎は何も言わず飛鳥と同じように大樹の外の風景を眺めていた。そんな静寂を破ったのは飛鳥だった。
「……ねえ、陽炎君は何でそんなに強いの?」
「ちょっと質問で返すけど、飛鳥ちゃん、君から見たら俺のどんなところが強い?」
「......一人であれだけの数の巨人を倒せるじゃない............私に比べれば十分に強いわ」
「確かに、そういう所は俺は君より強い。でも、それだけだ。俺は飛鳥ちゃんみたいに何かを従わせることもできないし、その相手の力を引き出したりもできない。そういう所は君の方が強いと思うけど?」
「そうだとしても!こんな時には意味がないじゃない!!友達すら助けに行けないなんて!!」
飛鳥の心からの叫びを聞き、陽炎は今まで軽く笑みを浮かべていたのをやめ真剣な面持ちで飛鳥の方を向いて言葉を紡ぐ。
「飛鳥ちゃん、一つ言っとく。全部自分の思った通りになるなんてことはない」
「......そんなことはわかってるわ............それでも、今は気持ちの部分はそうはいかないの」
「俺もその気持ちはわかるよ。俺も昔はそう思うことは何度もあったし」
「.....それじゃあ陽炎君はどうやって気持ちに区切りをつけてたの?」
陽炎は右手で頭をポリポリと掻きながら少し照れ臭そうに飛鳥からの質問に答える。
「それは、吹雪達あいつらがいたから……かな。俺はさ、吹雪みたいに頭が回るわけでもないし、楓みたいに支援ができるわけでもない、それに玲華みたいに上手くフォローができるわけじゃない。それでも何でもやろうとして、俺にはできなくて、あいつらだからできたことをずっと見てきたらいつの間にか区切りはついてたかな。まあ、俺の場合は俺の思った通りにならなくてもあいつらがいてくれればどうにかなるって考えたら気にならなくなってたからあんまり参考にはならないけど」
「吹雪君達のことほんとに信頼してるのね」
「ずっと一緒だったしな。俺の話はこれぐらいだけど、飛鳥ちゃん、君はこれからどうする?」
「......本音を言うのなら春日部さんを助けに行きたいわ。でも、吹雪君に言われたとおり今の私はディーンが使えなければ足手まといになってしまう。......だから、陽炎君の言ってたことを信じてみることにするわ。私にはできなくても皆がいればどうにかなるんでしょ?」
「そういうことになるかな。それじゃあこの話は終わりにして、次は飛鳥ちゃんが強くなる方法を考えようか?」
陽炎の口から思いもよらない言葉が出てきたことに驚いた飛鳥はえっ?と気の抜けた返事をしてしまう。そしてそれを聞いた陽炎は苦笑いしながら言葉を続ける。
「飛鳥ちゃんは今のままでいいの?まあ、こんな聞き方してるのに俺からできるアドバイスは一つだけだけど」
「それじゃあ、そのアドバイスを教えてもらってもいいかしら?」
「その前に、飛鳥ちゃんは自分の短所と長所がわかる?そこがわかってないと意味ないし」
「そうね......短所は私自身の弱さ、よね......今回みたいに使役する対象が使えなかったり、私の威光が通じなかったら何もできないもの。長所は威光が通じれば自分の思うようにできること、かしら」
「それじゃあ俺からのアドバイス。短所を補うのは大切だけど、それに拘る必要はない、他にもできることはある、ってところかな。これはあくまで俺の経験則だけど」
「それって具体的にはどういうことなのかしら?」
「今からちょっとだけ昔話をするから、俺ができるのはそこまで。後は自分で見つけるべきだと俺は思うし」
そう言うと陽炎は少し懐かしそうに自らの思い出を語りだす。
「ギフトを手に入れてすぐの頃だったかな。俺と吹雪は力試しにケンカみたいことばっかりしててさ……最初は五分五分だったけどいつの間にか吹雪に勝ち越されるようになって、たぶん吹雪が遠距離攻撃を使いだしたのがあの頃だったはず。それが悔しくて何とか勝ちたくて最初は同じように遠距離攻撃を使ってたけどあんまり戦績が良くならなくて、それでも何とか勝とうとして今のスタイルに近い感じの戦い方になっていったんだったかな」
「......それが陽炎君の伝えたい事?」
「そういうこと。ここからどうするかは君次第」
~~~~~
「飛鳥、さっきはあんな言い方して悪かった!」
玲華がお菓子を食べ終わるのを待ち、部屋に戻ってきた俺は飛鳥の姿を見つけるとすぐに頭を下げて謝った。
「気にしてない、と言えば嘘になるけどもう大丈夫よ。ただし、許してあげる条件が一つあるわ」
「条件?」
「ええ。必ず春日部さんを助けてくること」
「それはもちろ…………ん?」
飛鳥の出してきた条件を受けようとしてその内容にどこかなんとなく釈然としないところがあり、俺は返事を途中でやめてしまう。
「どうしたのかしら?」
「いや、何となくどこかに引っ掛かった」
「あ、吹雪。編成はもう決まったからな。お前の案をそのままに俺が下で、お前と十六夜が上だ。問題あるか?」
「あー、俺が上に行くって決まってる言い方だったから引っ掛かったのか。それでいいんじゃないか? で、何でそうなった?」
「お前が指摘した通り、空中戦のことを考えると吹雪、お前は上で確定。俺と陽炎は陽炎が地上に残るって言って自動的に決まったぜ」
俺は話はそこで終わったと思った。が、十六夜がなぜかニヤニヤしながら俺の方を見てきたことでまだ続いてると同時にろくな話が続かないと察してしまう。
「後理由はもう一個あるぜ。無意識に焦ってしまうぐらい心配してるんだから本人が行かないとな?」
「おい待て、何でお前がそのこと知ってる」
「先に言っとくけどな。俺じゃないからな」
「あたしも追いかける前に言ったりとかはしてないからね」
俺が追及しようとした二人が先に自分は言ってないと宣言してしまったので俺の目線はそのことがわかる最後の一人である楓のほうに向く。
「ごめんね~」
「吹雪、原因はそこの駄ウサギだからな」
「十六夜、簡潔に言え」
「心配しすぎてウザかった」
その一言で大体の状況が予想でき、それと同時に弄られるネタを作った駄ウサギへの八つ当たりの内容が決定する。
「黒ウサギ、そんなに心配してくれて気が張ってただろうから八つ当たりお返ししてやるよ」
「ふ、吹雪さん?黒ウサギはそんなお礼はいらないのですよ!?」
俺の言葉からろくなことにならないと察した黒ウサギは俺の提案を拒否しながら俺からジリジリと離れていく……それが俺の狙いとも知らずに。
「そんな固いこと言うなって。こういう時はやっぱり娯楽だよな?そうだよな?そういうことで、超ロングスライダーに1名様ご案内!」
黒ウサギが開けっぱなしになっている窓を背にしたことを確認すると、その目の前にハンマーを作りそれを使って黒ウサギを窓の外へ吹っ飛ばす。
「さて、誰かこれに続きたいやつはいるか?」
「吹雪、コースはどんな感じなの?」
「縦回転に横回転、急上昇に自由落下と色々詰め込んであるぞ?あ、一つ言っとくと無限ループにしてあるありえないぐらい長いからな」
この言葉を聞いて俺を弄ろうとしていた十六夜達の顔から笑みが消える。ちなみに、このスライダーでの急上昇は爆風だ。
「というか、編成決まってるならもう解散でいいのか」
「それじゃああたしお菓子作ってくる!楓、行くよ!」
「は~い」
玲華と楓が部屋からいなくなったのを皮切りに、各々が動き始め、俺も部屋から出て一番近くにあったテラスへとやってきた。
「無意識で気にするってことはそういうことなんだろうな......ていうか、うるせえよ駄ウサギ!とっとと自力で抜けろよ!いつまでループしてんだお前は!」
考え事をしようかと思っていたが、黒ウサギの叫び声がそれを見事に邪魔してくれた。さっきから余計なことしかしてないぞ
次回からはこの巻の終わりに向けてさらに話を進めていく予定です。もうすぐこの小説を書き始めた頃から考えてたシーンが近いので執筆ペースは......上がるといいなあ。
現在ももう一つの作品に関するアンケートをしているので、ぜひご協力ください。
今回も読んでいただきありがとうございました。