問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~ 作:bliz
四か月ぶり?ぐらいですね。こうなった原因はほとんどゲームです(何をしていたかは後書きに)。続きを書くまでに間が空いたせいで前回書こうと思っていたことを忘れていたりと色々大変でした。
さすがに次はもっと早く投稿できるようにします。
それでは、本編をどうぞ!
翌日、俺達は大樹の根本にある広場に集まっていた。その場には大鷲や翼人種などを含む普段の東側の生活では見ることができない種族が多く集まっていた。
「ったく、なんで春日部のやつはこんなにタイミングが悪いんだ。幻獣と出会うチャンスだってのに。なあ、吹雪?」
「……何で俺に振る。そこはちゃんと助けて帰ってきたら問題ないだろ」
「そこまで言うからにはお前が助けろよ?心配して焦るぐらいだからな」
からかわれることがわかりきっていた流れに対して溜め息をつきながら十六夜に対して何か言い返そうとするが、その十六夜はというとどこかを見ている。その視線を辿ってみるとその先には俺が見たことのない幻獣がいた。
「楓、あれってなんていう種なんだ?」
「えーっと~、鷲の頭に馬の胴体で~、羽毛に包まれてるからヒッポグリフだね~」
「YES!それに加えて二翼の長でございます!」
「へぇ、あれがリーダーか。御チビ顔を売りに行くぞ」
「わ、わかりました!」
唐突な流れに対応できないまま、ジン君は十六夜に連れられて二翼の長の所へと向かう。その様子を見ていた玲華から俺の方を見てくる。意図としては俺達も挨拶にいくのか?というところだろう。
「行くにしても俺はパス。今は極力動きたくない」
「あんたは仕込みに手をかけすぎなのよ」
確かに、今回に関しては玲華の言う通り手をかけすぎた自覚はある。そして、その為にギフトを使いすぎたせいで今は動く気力があまり出ない。
「で、お前らだけで行くのか?」
「あたしもパス。行かなきゃいけないわけじゃないし、そもそも、感覚的だけどあれとは関わりたくない」
「それじゃあ私も~」
「俺一人で行くわけねーだろ」
「んじゃあいいか。あ、玲華甘いものくれ」
「はいはい。どら焼きでいいでしょ?」
流れで俺達は挨拶にはいかないことになり、十六夜達が帰ってくるのを待つことになる。
少しして十六夜とジン君が帰ってきたが、珍しく十六夜の顔には強い苛立ちの色が表れていた。
「珍しく機嫌悪そうだな。何かあったか?」
「あいつらの態度が気にくわねえ。初対面の相手に『空も飛べない猿』だの『爪も牙も無いみすぼらしい小僧』だの散々言ってくれやがった。アレは先天的に他者を見下してるやつだぜ」
「よかった、行かなくて。後、あんたたち、気持ちはわかるけどこんな状況なんだから自重しなさいよ?」
「……わかってるよ」
「はいはい」
玲華に言われて俺と陽炎は渋々ヒッポグリフに
「丁度よかった。皆集まっているな」
俺たちの後ろから声が聞こえ、皆が振り向くとそこにはサラとグリーがいた。
「黒ウサギ、こいつがあの時のグリフォンか?」
「YES!十六夜さんたちが白夜叉様にゲームを挑んだときのグリフォンで、グリー様なのですよ!」
「それで、サラ。さっきの言い方だと私たちに何か用があるような感じだったけれど、何かしら?」
「いや、渡すものがあるからそれをな」
飛鳥の質問に答えながらサラが取り出したのは龍角を持つ鷲獅子連盟の旗印が刻まれた草編みのブレスレットだった。サラはそれを十六夜に手渡し、身につけるように促す。
「で、それって何か効果があんのか?」
「それは通訳用のギフトでな。昔、ドラコ=グライフの通訳用にと著名な詩人が編み上げて作ったものらしい」
「らしいぜ、十六夜」
「それじゃあ試しに。俺はノーネームの逆廻十六夜だ」
『私はサウザンドアイズの鷲獅子・グリー。先日の戦いでは世話になった。今日はよろしく頼む』
「ああ。今日は背を借りるからよろしく頼むぜ」
陽炎に促され、グリーとのコミュニケーションを取る。様子を見ている限りではうまくいっているのだろう。
「さて、御チビ。俺と吹雪がいない間はお前が指揮をとれ」
「…………え?」
「そういうわけだ。玲華、そこのバカと楓への指示は任せる。ジン君はギフトを把握できてないからな」
「はいはい。でも、それは一応でしょ?」
「まあな。お前らなら流れで動けるだろ?」
「大丈夫だよ~」
「俺は指示されなきゃ動けないほどアホじゃねえよ」
「御チビ、これまで何だかんだで俺達の戦いを見てきたんだ全員のギフトはわかってるだろ?ましてや今回はペストっていう有利な手札まである。これでビビってできません、なんてことはないよな?」
話を振られてすぐの時は困惑した表情のジン君だったが、今の十六夜の問いかけに対しブンブンと頭を振って意思を固めると十六夜の方をまっすぐ向く。
「大丈夫です。地上は僕たちに任せてください」
「俺からは注意を一つ。巨人が攻めてきても誰一人味方を迎撃に行かせないように。そうしないと仕込みが仕事をしないからな。そっからは……わかるよな?」
「おう。俺の出番だろ?」
話しながら陽炎にアイコンタクトを取ると、陽炎はそれをすぐに理解し反応を返してくれる。皆の様子を伺うと、俺と陽炎の会話だけで何をするかを察してくれたようだ。というよりも、軽くあきれられているが。
「さて、実は飛鳥にも渡すものがある」
「私に?」
「ああ。飛鳥自身はほとんど非武装だと聞いてな。私の昔作った作品を持ってきた」
そう言いサラが取り出したのは紅と蒼、二つの色の宝玉が付いた金属製の籠手だった。
「紅い籠手が紅玉の御手、蒼い籠手が琥珀の御手だ。それぞれの宝玉には龍角の欠片と水樹の種子が埋め込んである。紅は炎を、蒼は水を出すように簡易のギフトとして仕上げてある……無いよりはいいだろう?」
「ええ。でも、こんなものを私が貰ってしまってもいいのかしら……」
「いや、これは飛鳥たちにアンダーウッドを守ってもらうための支援だからな、気にすることはない」
「……わかったわ。アンダーウッドのことは任せて」
「そういえば集」
二人の話が一段落したところで玲華が何かを口にしようとするが、それを遮るように広場に鐘の音が鳴り響く。
「し、しまった!もうこんな時間か!?」
「やっぱりか、のんきに話してて大丈夫かなとは思ってたけどな」
「何で言ってくれなかったんだ!」
「せっかくいい話してるんだからそのままにしておこうかと」
「吹雪さん、確信犯ですよね?」
俺の明らかに思ってもいなかったとわかる言葉に黒ウサギが突っ込みを入れてくるが、そんなものは気にしない。
「あらあら、議長様が遅刻?」
「うわー、問題児だなー」
「俺ならいけたぞ」
「まあ、鐘が鳴りやむ前に着けてればセーフよね」
「話してる余裕あるの~?」
楓の言葉を聞いたサラは俺たちの言葉に反応することなく議長席へと向かっていた。
サラが議長席へ慌てて向かっていった時から少し時間が経ち、俺と十六夜を含む古城の攻略組は城へと向かっていた。
「ハハ、こりゃいいな!まさに空を踏みしめて走るとしか言えない疾走感はたまんねえな!」
「おい十六夜、そこ代われ」
「お前はそいつがいるからいいだろが。というかそんなのできるなんて聞いてねぞ」
十六夜は俺が乗っている狼のことを指しながら反論してくる。確かに、この狼がどんな方法で空を走っているかを知らなければグリフォンと同じようなことをしているように見える。
「そういやまだお前には見せてなかったっけな。こいつは足場を作ってそこを走ってるから空を踏みしめてるわけじゃないんだよ。ということでだ、代われ」
「そいつは無理な相談だな」
「わかったよ。諦めてこの景色でも眺めるか」
軽い冗談の会話も終わり、俺と十六夜は揃って空から眺める箱庭を堪能していた。だから俺達は気づけなかった、目の前に突然現れた
「......なんだ、あれは」
そんなサラの呟きを耳にしながら俺は黒い物体に意識を集中させ、一撃加えるかを考え始めたその時、異変が起こる。今までは円盤のような形で動きがなかったのが急に表面がうごめき始めると形を変え、段々と人の形になっていく。
「ぜ、全員.......逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
黒い物体が人型になった瞬間に出された退却命令だったが、その瞬間には既に人の形をした何かは動き始めていて、その直後に
多くの槍が放たれる。片方からは百はあろうかという数が、もう片方からは本数は少ないが威力を重視したものが放たれる。
「吹雪っ!」
「わかってる!」
威力を重視した方の槍の迎撃は十六夜に任せ、俺は壁と無数の武器を作って味方に槍を一本も通さないようにしようとする。しかし、全ての槍を撃ち落とすことはできずに俺自身が何本かくらってしまう。槍の雨が一旦おさまり味方の状況を確認すると、後陣はすでに後退を始めていて特に傷を負った様子はないが、俺と十六夜がダメージを受けてしまっている。
「何だあれ......姿に心当たりがなくもないが」
「おい議長様、あれが何かわかるか?」
「わからん............しかし、さっきの槍からは初代様の龍角と似通った気配がした」
「その初代様ってのは誰だ?」
「サラマンドラの祖とされる最強種の龍・星海龍王のことだ」
「そういやお嬢様がレティシアは龍の影を操っていたとか言ってたっけな」
「なら、あれがレティシアに関係してるのは決まりだろうな」
そのことはわかったが、黒いレティシアもどきのまとう雰囲気やさっき放たれた槍は普段のレティシアのものとは差がある。その差によって俺の攻撃はほとんど通らないであろことは容易に予想がつく。
「十六夜、あれ倒せるか?」
「このままじゃ無理だな。リーチと手数、何より空中戦ってのが厄介だな」
「となると手は一つか......サラ、悪いが地上まで下がってくれ。庇いながらあれと戦うのは無理だ」
「い、いきなり何を」
いきなり後退しろと言われて動揺するサラだが、その声をかき消さんばかりの大きな音が地上から聞こえてくる。
「どうやら巨人族の連中が攻めてきたようだぜ。あの指示のおかげでバラバラに動くなんてことはなさそうだが、指揮は必要だろうな」
「............わかった。ただし無茶はするなよ」
そう言って地上へと引き返していくサラを確認しながら俺はいくつかの武器を作り、それを十六夜に渡す。
「俺ができる限り注意を引きながら槍をさばく。隙を見つけて仕留めてくれ」
「それしかねえか。片方でも落とせればまだましだろうしな」
「城の状況もわからないし、とっととぶっ飛ばすぞ」
~~~~~
城の探索部隊が出発して少し時間が経った頃、アンダーウッドを守るために残っていたノーネーム一同の耳に突然の爆発音が届く。それを聞き、一瞬にして周囲にいる幻獣達が慌ただしく動き回り始める。しかし、それを見ている陽炎達は誰一人として慌てる素振りを見せない。
「まあ、普通だよなこの反応は」
「そうよね。まさか
「陽炎君、そろそろ出番じゃないのかしら?」
そう、この事態は巨人達の襲撃によって起こったものであるが爆発の原因は巨人達がアンダーウッドを襲うために爆発物を用いていたからではない。
「まさか堤防に爆発物が仕込まれているとは普通は思わないのデスよ」
「後いくつかは罠があるよね~」
楓の言う罠とは吹雪の言っていた仕込みである。襲撃してくるとわかっている相手の居場所も割れている以上、そこからの進路に罠を仕込まないなんてありえないという考えのもと大規模に仕込みを行った結果が出発前の疲れだ。吹雪の仕込みは少し前の堤防の爆発物だけでなく地雷などいくつも足止めのためのトラップが残っている。
「さてと、そろそろ動くか。吹雪の仕込みにはまってる間に削らないとな」
「そうですね。指示があるまで前に出るなという命令があるせいで幻獣達がいらだってきているのでそろそろお願いするのですよ」
探索部隊の出発前にあった集まりで、サラからの命令で黒ウサギの指示があるまでは巨人達を迎え撃つために動くなという通達があった。幻獣達は巨人が襲ってきているとわかりながら動くことができず明らかに苛立ちをつのらせている。
「じゃあ、行ってくるか」
そう言い残すと陽炎が姿を消す。
「それでは皆さん、黒ウサギの指示に合わせて動き始められるようにお願いします」
「んじゃあ、いきますか。
陽炎の一撃によって吹雪の仕込んでいた地雷が爆発し、巨人たちの受ける被害がより大きくなる。雷に打たれて動かなくなった巨人たちの武器が爆発によって吹き飛んで他の巨人を襲い、襲われた巨人の手を離れた武器が他の巨人を襲うという悪循環に陥る。これによって先頭にいた巨人たちは壊滅状態となる。
「皆さんお待たせしました!!」
黒ウサギのその一言を聞いた幻獣達は雄叫びをあげながら巨人たちに向かっていく。
「さて、と。まずはあいつらでいいか」
陽炎は一番近くにいる巨人のところに移動し、移動してきたスピードを殺さないようにしながら回し蹴りでふき飛ばし、回し蹴りのついでに位置を把握できた巨人全てに雷撃を放ち黒焦げに戦闘不能にする。
「しっかしめんどくさいな。もっと派手にやれれば楽なのによ......邪魔だ!」
そんな陽炎のぼやきとともに周りに寄っていく巨人たちが次々と倒されていく。一体の巨人の鳩尾や顎、こめかみといった急所を拳や脚で強打し、その巨人が倒れる前に足場にして別の巨人の急所を狙って移動する。これによって陽炎を囲んだ巨人がいなくなることが何度か繰り返されたあとには倒れた巨人の山がいくつかできあがっていた。
「こんなもんか。んじゃあ、次は......よっと!」
「ちょっと!いきなり飛び乗ってくるのはやめなさいよ」
「わりぃわりぃ。で、俺はどこで暴れればいい?」
陽炎は巨人を足場に跳び上がり、背に玲華を乗せながら巨人たちを焼いていたフェニックスの背に乗る。いきなり飛び乗った陽炎を非難する玲華だが、当の本人は軽く流した上に指示を聞いてくるのでそれ以上言うのをやめて頭を切り替える。
「それじゃあ、片っ端から巨人の足を潰してきて」
「足をか?」
「そうよ。相手が巨人を無理やり戦わせてきてるからこっちも手を打たないとね」
「足を潰して動ける駒を削ってくってことか」
「そういうこと。適度に潰したら本陣強襲してきてよね。元凶を絶っちゃえば解決するし」
「そんじゃあ行ってくる」
「フーちゃん、あっち行ってくれる?」
陽炎がいなくなると玲華はフェニックスに指示を出し、飛鳥が戦っているところへ向かう。その場所につくとそこにはディーンの肩に乗りながら巨人たちと戦う飛鳥の姿があった。
「フーちゃん、やっちゃって!」
玲華の指示に反応してフェニックスが巨人たちを焼き尽くす。
「飛鳥ちゃん、大丈夫?」
「ええ、今のところは大丈夫よ。自律的にも動いてくれているから私にそこまで負担はないもの」
現在、飛鳥はディーンへの指示に加えて吹雪から借りた狼たちにも指示を出しながら戦っていた。基本的にはディーンを主体とし、狼たちを使って攻撃をそらしたり隙を作ってサポートする形をとっている。
「短所を補うことにこだわる必要はない......陽炎君の言ってたとおりね。ほんの少し私ができることをのばすだけでも変わったもの」
「飛鳥ちゃん何か言った?」
「いいえ、何も」
「そうよね。まさか
「聞こえてるじゃないの!」
それでは、この4か月何をしていたかをざっくりと。
ポケモンを買ってやりこむ。
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こんな感じとなっています。合間に短編を一つ書いたりしましたが思ったように書けなくなっていたのでこれからはもっと定期的に書いていきたいですね。今年の目標としてとりあえず5巻までは終わらせたいです。
今回も読んでいただきありがとうございました。