問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~   作:bliz

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な、なんとか間に合いました。
なにげにこの小説投稿開始以来初の一日二話更新です。

それでは、どうぞ!


問題児たちの七夕

「なあお前ら、明日ってなんかゲームってあんのか?おい陽炎、早く次の渡せよ。暇なんだよ」

 

「そりゃ何かしらはあるんじゃねえの?冷やすだけしかやってないやつが文句言うんじゃねえ」

 

「そういう意味じゃなく、でっかいゲームはねえのかってことだろ?お前ら、冷やしてるのも熱して曲げるだけも俺からしたら大差ねえぞ」

 

 今俺は十六夜、陽炎と男三人で工程を分けて竹を曲げている。なぜかというと、明日は七月七日、七夕なので夜にパーティーでもやろうということになった。あとは何を食べるかの話になって玲華が「流しそうめんたべたい!すごく長いコースで!」とか言い出したのでコースを作るための準備として曲げた竹を用意している。

 

「その辺は買い出し組が調べてくるんじゃね?」

 

 男三人で作業をしている間に女性陣は街に明日のパーティーに使う食材を買いに行っている。買ってくるものは絶対に食材よりもお菓子のほうが多いと断言できる。賭けてもいい。

 

「それは賭けが成立しねえだろ。揃ってお菓子が多い方に賭けるに決まってんだろ」

 

「同感だな。答え合わせもすぐにできそうだぜ」

 

 十六夜が指差した先には玲華を先頭に仲良く帰ってくる耀たち四人の姿があった。

 俺たちのところまでやって来た玲華はその手に何か紙を持っている。

 

「玲華、その紙は?」

 

「あ、これ?明日やるゲームの告知よ。はい」

 

 玲華に渡された紙を見てみると、ゲーム内容、クリア報酬は当日発表、参加は必ず男女ペアであることと書かれていた。

 

「持って帰ってきたってことは出る気なのか?」

 

「もちろん!よろしくね、十六夜!」

 

「ん?俺でいいのか?」

 

「だって陽炎はどうせ飛鳥ちゃんと出るって言い出すだろうし、吹雪は耀ちゃんのだし」

 

「当たり前だろ」

 

「ちょ、ちょっと!玲華!」

 

 サラッとぶちこまれた爆弾発言によって耀の顔が真っ赤になり、飛鳥もその後に続いた陽炎の言葉に顔が紅くなる。俺は俺で平静を装うように努力するので精一杯になる。

 

「消去法で俺って訳か?」

 

「そんなことないわよ。ゲーム内容がわかってて、勝ちにいくゲームならそこの二人から選ぶかもしれないけど、楽しむなら普段組んでない相手のほうが面白いでしょ?」

 

「そいつは違いねえな!それじゃあよろしく頼むぜ!」

 

 十六夜と玲華のペアが決まり、残りをどう組むか考え始めて俺はあることに気がつく。

 

「なあ、これ男一人足りてないよな?」

 

 残りのペアになっていないのは俺と陽炎で男が二人、耀と楓と飛鳥で女子が三人。全員がペアを組もうとすると男が一人足りていない。

 

「私は別にいいよ~」

 

「それなら決まりだな。俺が飛鳥ちゃんと、吹雪は耀ちゃんと組めばいいな」

 

 楓が辞退したことでペアが決まり、その組み合わせのせいで玲華のさっきの言葉を思い出してしまう。

 

「ふ、吹雪……よろしくね」

 

「……お、おう」

 

 このとき俺と耀は気がついていなかった。玲華たちが何か企んでいたことを。

 

「で、明日の食材はなんだ?」

 

 陽炎の言葉を聞いて玲華と楓がギフトカードから買ってきたものが入った袋を取り出す。楓が取り出したのはそうめんと薬味用のネギやショウガ、別の料理に使うであろう肉などがだった。それに対して、玲華が取り出したものは

 

「「「知ってた」」」

 

 楓が取り出した量の倍以上の量のお菓子だった。それを見た俺たちの反応が玲華は気に入らなかったかのか、その場で地団駄を踏んで軽く怒る。

 

「ちょっと!どういうことよ!少しは自覚あるけど、三人揃っていつも通りだなこいつはみたいな反応はやめなさいよ!」

 

「お前が帰ってくる直前に買ってくるものの割合で賭けをしようとしたけど、賭けにならなかったぜ」

 

「三人ともお菓子が多い方に賭けたんだよね~?」

 

「当たり前だろ?」

 

「私でも、そっちに賭ける」

 

「やるなら私もそっちね」

 

「耀ちゃんに飛鳥ちゃんまで!?」

 

 前からのこととはいえ、改めて俺たち全員の中では玲華=お菓子のイメージができあがってるのがよくわかる。

 

「楓~、楓はあたしの味方だよね?」

 

「お姉ちゃん~、お菓子食べて落ち着いてね~」

 

 楓は泣きついてきた玲華をお菓子を差し出すことでおとなしくさせる。玲華は幸せそうにお菓子を食べながらやっぱり楓はあたしの味方だよ、とか言っているがそもそも賭けの話で俺たちが賭けるであろう内容を当てたのは楓だ。

 

「ねえ吹雪。ほんとに玲華が姉なんだよね?逆じゃないよね?」

 

 耀はきちんと楓と玲華以外の全員が思っているであろうことを代弁してくれた。

 

 

 

 

 

 翌日、俺たちはゲームへのエントリーを済ませ、ゲームの開始を待っていた。周りを見てみると俺たち以外にだいたい30組ほどのペアがいる。

 

「思ってたよりもいるな」

 

「別にどれだけいても関係ねえよ。俺たち(・・・)が勝ってお前らに罰ゲームをやらせる。それだけだ」

 

 陽炎が言う罰ゲームとはついさっき決まったことで、俺たち三組の中で一番成績が良かったペアが一番悪かったペアに一つ命令できるというものだ。もしも順位がつけづらいものだった場合の審判は楓に任せてある。

 

『皆様、お待たせしました!ただいまから、ゲームを開始いたします!』

 

 進行役のゲーム開始宣言を聞き、辺りから歓声があがる。

 

『今回は七夕になぞらえた合計三つのミニゲームをご用意いたしました。その三つのゲームの結果で優勝者が決まります。それでは、最初の二つのゲームは男女別となっていますので、皆様誘導に従ってください』

 

 案内にしたがって俺たちが連れていかれた先にあったのはとてつもなく広い草原と所々に点在する柵で囲まれているエリア、そして大量の牛だった。

 

『皆様には受付の時にナンバープレートを渡してあると思います。あの草原にはひとり一つずつ柵で囲まれたエリアが用意してあります。牛もそれぞれナンバープレートが付けてありますので、それぞれの所有するエリアにナンバープレートに対応した牛を入れてください』

 

 七夕で、牛を使ったミニゲーム。どうやら俺たちが参加するのは彦星になぞらえたもののようだ。

 

「そのタイムでも競おうってわけか!」

 

『それは違います』

 

 参加者の一人が興奮した様子でゲーム内容を予測するが、進行役はそれが間違っていると淡々と正す。

 

『自分のエリアに入れるまでが準備のようなもの(・・・・・・・・・・・・・・)です。自分のエリアに入れ終わった後は他のプレイヤーの牛を自分のエリアに入れてもらい、その数を競っていただきます』

 

「なあ、その自分のエリアに入れるってのはわざわざ連れていかなきゃダメなのか?」

 

『いえ、どんな手を使ってもかまいません(・・・・・・・・・・・・・・・)。他のプレイヤーへの故意の攻撃は禁止ですが、例えば牛が逃げた先に他のプレイヤーがいる場合などはもんだいありません。それと、エリアの定義は柵に囲まれた範囲内、その上空も含みます。まあ、あの牛を投げ飛ばすような人はいないと思いますが』

 

 進行役は十六夜の質問に冗談混じりに答えるが、俺はその回答を聞いて焦りを感じていた。その理由?そんなのは牛を投げ飛ばす十六夜と陽炎(人外野郎ども)に心当たりがあるからだ。

 

『他に質問はないでしょうか?それでは、スタートです!』

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 その頃、耀たちも自分達が参加するミニゲームの詳細を聞いていた。

 

『皆様は七夕のルーツの一つに乞巧奠(きっこうでん)というものがあるのはご存じですか?この行事は機織りの上手だった織姫にあやかり、習い事などの上達を願うものです。そこで、皆様にはあやかられた織姫として、子供たちの願いを叶えてもらいます!』

 

 参加者全員から「何言ってるんだこいつは?頭がおかしいのか?」という眼差しを受けながらも進行役はそのままゲームの紹介を続ける。

 

『ちゃんと説明いたしますので、どうかその視線をやめてくださいおねがいします』

 

 訂正、どうやらその眼差しに耐えられなかったようだ。

 

『皆様、まずはあちらをご覧ください!』

 

 進行役が手で示した先には料理人や、パティシエ、花屋など様々な職業の大人たちがいた。

 

『皆様には子供たちをそれぞれの願いにあった大人の所へつれていっていただきたいと思います。例えば、料理が巧くなりたいという子供がいれば、料理人のところへ連れていくという具合です。何か質問はございますでしょうか?』

 

 進行役は全員を見回して質問の有無を確認し、何もないことを確認するとゲーム開始の宣言をする。

 

『それでは、ゲームスタートです!あ、相手が子供なので頑張ってくださいね』

 

 何やら不穏な一言を添えて。

 

 

 

~~~~~

 

 ゲームを終え、最初に集まっていた場所に戻ってきた俺たちは耀たちのゲームが終わるのを待っていた。

 

「お前ら、ちょっとぐらいは自重しろよな」

 

「「お前に言われたくねえな!」」

 

 十六夜と陽炎は俺の予想通りに牛を投げ、ときには殴り飛ばすことで早々にノルマを終え、他の参加者の牛を狙い始めた。狼を使って牛をまとめて追い込んでいた俺はそのままだと負けることを悟り、二人が投げた牛がエリアに入らないように手榴弾の爆風を使って妨害を始めた。これの何に問題があるんだ?

 

「投げ飛ばしてた俺らが言うのもなんだが、爆発物はさすがにないわ」

 

「どうせお前らの勝ちだろ。そんなことは気にすんなよ」

 

 二人への妨害自体はうまくいったが、それにかなりの時間を割かなければいけなかったので俺自身のポイントが稼げなかったのだ。俺の予想では最初につけられた差が埋まっていないはずだ。

 

『ただいま、もう一つのゲームが終了しました。それに伴って皆様にお知らせです』

 

 ゲームの進行役が耀たちのゲームの終了を告げるが、どうにもその声に覇気がない。それと同時に帰ってきた耀たちの様子を見ると、なぜか玲華だけが満足そうで他はへこんだ様子が見える。

 

『次のゲームは二つのゲームでのポイントが高いペアほど有利にスタート。後はペアで色々な課題をクリアしてゴールを目指してもらう予定だったのですが、とあるペアのポイントがあまりにも高すぎて勝負にならないのです』

 

 その言葉と玲華の様子から俺はだいたいの結末を予想できてしまった。

 

「おいチビロリ(玲華)、お前何やったんだ?」

 

「別に?あたしは普通にゲームやっただけだもん」

 

「吹雪、玲華の言ってることはほんとだよ」

 

「は?」

 

 耀の言葉に俺は驚きを隠せない。てっきり俺の性格に似た作戦でも使って圧勝したのかと思ったが、どうやらそうじゃないらしい。

 

「飛鳥ちゃん、どんなゲームだったんだ?」

 

「それは、----」

 

 飛鳥の口からゲーム内容が語られるが、俺たちにはなぜそのゲーム内容で玲華が圧勝できるのかがわからない。

 

「えっとね。子供たちのお願いは子供たちとなかよくなって聞き出さないといけなかったんだ」

 

「「「なるほど、子供同士波長があったのか!」」」

 

「うっさいわね!あんたたち!」

 

「うん。一人だけすごい速度で仲良くなって最終的にはほとんどの子を連れて歩いてたよ」

 

『それでは、結果発表に移ります!』

 

 ゲーム内容について話しているうちに全体はいつのまにか結果発表になっていた。司会がやけくそに見えるのは気のせいだろう。

 

『優勝は、そちらのペアです!!』

 

 司会が手で示した先にいたのは案の定玲華と十六夜だった。

 

 

 

 

 あれから二人が優勝商品を受け取り、ノーネームに戻ってきた俺と耀を待っていたのは罰ゲームだった。玲華が一人勝ちで耀と飛鳥のポイントにほとんど差がなかったことにくわえて、俺たちのゲームは俺よりも陽炎のほうがポイントが高かったので俺と耀のペアが一番成績が良くなかったのだ。

 

「あいつら、ほんとになんて罰ゲームを……」

 

「……仕方ないよ。お…………お兄ちゃん」

 

 耀が顔を赤くしながら俺のことをお兄ちゃんと呼んでくる。これが俺たちに与えられた罰ゲーム、『今日のパーティー中と明日一日、耀が俺の妹になる』だ。ご丁寧に明日俺を耀が起こすことまで指定してきやがった。

 

「耀、無理しなくていいからな」

 

「……うん」

 

 

 

 

 結局、その日と次の日に俺たちは散々弄られ続けた。




 実はパーティー中の様子とかも書きたかったんですが、どう考えても今日中に投稿できそうになかったので諦めました。まあ、ひたすらお兄ちゃんと耀さんに呼んでもらうだけですが!

久しぶりにお兄ちゃんネタを入れられて満足です!

それでは、読んでいただきありがとうございました。
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