問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~   作:bliz

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宣戦布告だそうですよ?

「座ってもよろしいでしょうか?」

 

ピチピチのスーツを着た人がやって来た。

おい、少しは空気を読めよ。

 

「おやおや、女性がいるので声をかけてみたら“名無しの権兵衛”のジン=ラッセルも一緒じゃないですか」

 

「何の用です?“フォレス・ガロ”の“ガルド=ガスパー”」

 

どうやら二人の様子からして、知り合いだがあまりいい関係ではないらしい。

てか、その見た目でナンパしようとするなよ。

 

「黙れ、この名無し風情が。コミュニティの誇りのである名と旗を奪われてそれでも未練がましく異世界から新しい同士を呼びやがって」

 

「あの、とりあえず自己紹介してもらえませんか?話に入りずらいし」

このままだと置いていかれそうなので一応(・・)

丁寧に提案する。

 

「これは失礼しました。私はこの辺りを治める「烏合の衆の」コミュニティ“フォレス・ガロ”のリーダー“ガルド=ガスパー”と申します・・って、待てやコラァァァー。誰が烏合の衆のリーダーだ、ボケ」

 

ガルドがキレてるけど面白かったし、ジン君GJ。

 

「それで、ガルドさん。あなたに質問があるのだけれども」

 

「何でしょう?」

 

「さっきあなたが言っていた名と旗、それと、ジン君のコミュニティの状況について教えてくれないかしら?」

 

「出来れば手短に。長いのは飽きてくる」

 

これは俺の希望だ。

 

「わかりました。では、名と旗はそのコミュニティを象徴するもの、誇りという認識で結構です。そしてジン=ラッセルのコミュニティにはそれが無いのですよ。“魔王”という天災に目をつけられたせいでね」

 

「「「魔王?」」」

 

「はい、箱庭で言う魔王とは主催者権限を乱用する者達のことを指します」

 

「……主催者権限って?」

 

「主催者権限というのは自らのゲームに相手を強制的に参加させる権限です。しかも魔王のゲームというのは難易度が恐ろしく高い」

 

「それは厄介だな」

 

「そして、ジン=ラッセルのコミュニティはそのゲームに敗れ、名と旗そして人材までも奪われました。今のノーネームは黒ウサギを除けば子どもばかりですよ。私は黒ウサギが不憫でならない」

 

そう言うガルドの言い方には含みがあった。

 

「そう。それであなたは何が言いたいのかしら?」

 

「単刀直入に言いm「お待たせしましたー」

 

そこに店員さんが料理を運んできた。

ナイスタイミング(笑)。

 

「では、仕切り直して。単刀直入に言います、黒ウサギ共々私のコミュニティに来ませんか?」

 

「な、何を言い出すんですか!」

 

もぐもぐ。

 

「黙れや、ジン=ラッセル。お前が我が儘を言わずにコミュニティの名と旗を改めていればこうはならなかっただろうが」

 

その言葉にジン君は言い返せない。

 

「さて、どうなさいますか?」

 

もぐもぐ。

 

「結構よ。私はジン君のコミュニティで間に合っているわよ」

 

「…失礼ですがレディ、理由を聞かせて頂いても?」

 

「私、久遠飛鳥は──裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ。それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったのかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直してほしいものね、このエセ虎紳士」

 

わお、お嬢様みたいだなとは思ってたけど本物なのか。

 

「私は決まりよ。春日部さんは?」

 

「どっちでもいい。私は友達を作りに来ただけだから」

 

「じゃあ俺が友達一号に立候補してもいいかな?」

 

「あら。先を越されちゃったわね、私は二号に立候補するわ。」

 

そこ、さっきまで食べてたやつが何で先にみたいな目で見ない。

 

 

「……二人とも私の知っている人とは感じが違うし大丈夫。…………多分」

 

「それはよかったわ。それで、吹雪君はどうするのかしら?食べている間に考えたのでしょうね」

 

飛鳥が皮肉を交えて尋ねてきたが既に答えは決まっていた。

 

「俺が入るのはノーネームだ」

 

「理由を聞かせてもらってもいいでしょうか?」

 

「理由か?それは二つだ。一つ目は、箱庭に呼んでもらった恩だな。二つ目は、せっかく異世界に来たんだ、それならデカイ目標があったほうがいいだろ」

 

「あらそう。さて、私たちの答えはでたわ。後は疑問を解消するだけね。『私たちの質問に大人しく答え続けなさい。』」

 

すると、ガルドが大人しくなった。

 

「お客さん、当店での揉め事はこまります!」

 

「丁度よかったわ。店員さんも第三者として聞いてちょうだい。おもしろいことが聞けるはずよ」

 

揉めているのがわかったのか、店員さんが焦って出てきたがそれを飛鳥が制した。

 

「貴方はこの地域のコミュニティに“両者合意”で勝負を挑み、そして勝利したと言ってたわね。だけど、私が聞いたギフトゲームの内容はちょっと異なるの。コミュニティのゲームというのはホストとそれに挑戦する様々なチップを賭けて行うもののはず。……ねえ、ジン君。コミュニティそのものをチップにゲームにするのはよくあることなの?」

 

「や、やむを得ない状況なら稀に。しかし、これはコミュニティの存続を賭けたかなりのレアケースです」

 

「そりゃそうだよな。そうじゃなきゃ魔王の“主催者権限”が恐れられない。お前はどうやってるのか教えてもらおうか」

 

「き、強制させる方法は様々だ。一番簡単なのは、相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫すること。これに動じない相手は後回しにして、徐々に他のコミュニティを取り込んだ後、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫していった」

 

「まあ、そんなところでしょうね。貴方のような小者らしい堅実な手ね。けど、そんな違法な手段で吸収して、あなたの下で従順に動いてくれるのかしら?」

 

「各コミュニティから、数人ずつ子供を人質に取ってある」

 

やっぱりか。そうじゃなきゃ従う訳がないもんな。

 

「……そう。ますます外道ね。それで、子供達は何処に幽閉されているの?」

 

「もう殺した」

 

その言葉に空気が凍りついた。

 

「初めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭にきて思わず殺した。それ以降は自重しようと思ったが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部まとめてその日のうちに始末することにした。けど、身内のコミュニティの人間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が食「黙れ・・!」

 

ガルドの口が勢いよく閉じた。

この下衆野郎が。

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に描いたような外道とは早々出会えなくてよ。流石は人外魔境の箱庭の世界といったところかしら? ………ねえ、ジン君」

 

飛鳥の視線にジン君が慌てて否定した。

 

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

 

「そう? それはそれで残念。────ところで、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるかしら?」

 

「厳しいです。吸収したコミュニティから人質を取ったり、身内の仲間を殺すのは勿論違法ではありますが……裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

 

そうすればフォレス・ガロは解散し、裁きと言えなくはない。だが、それではガルドは裁かれず満足できない。

 

「そう。なら仕方ないわね」

 

パチンと飛鳥が指を鳴らすとガルドの体を縛っていたものがなくなり、自由になった。

 

「こ………この小娘がァァァァァァァ!!」

 

叫んでいるガルドの体が変化していく。

タキシードが弾け、体毛が変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がる。

 

「テメェ、どういうつもりか知らねえが……俺の上に誰がいるかわかってんだろうなぁ!? 箱庭666外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ! その意味が「『黙りなさい』まだ私の話は終わってないわ」

 

ガルドが黙るが抑えきれず、飛鳥に襲いかかろうとする。

 

「大人しくしてろ。今ここで死にたいなら話は別だがな」

 

俺は剣を作り出しガルドの首に当てて牽制する。

 

「くっ……」

 

「さて、ガルドさん。私達は貴方の上に誰が居ようと気にしません。最終目標が“打倒魔王”なのだから関係ないわ。そうよねジン君?」

 

ジン君は驚いた顔をしたが、覚悟を決めたようで、

 

「……はい。僕達の最終目標は魔王を倒し、誇りと仲間を取り戻すこと。そんな脅しには屈しません」

 

「そういうこと。もう貴方に逃げ道はないわ」

 

「くそっ………」

 

そう言うと飛鳥は不適に笑い、

 

 

 

 

 

「それじゃあ、あなた達フォレス・ガロと私たちノーネームでギフトゲームをしましょう。あなた達の存続と私達の誇りと魂をかけてね」

 

そう宣戦布告した。

 




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