推しの子 その瞳に映るのは   作:ノックスさん

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第二話

 身寄りのない子供達が保護されて生活を送る施設に訪れたのは偶然だった。

そこの施設長とお母さんが知り合いだって事もあって少し寄り道をすることになった。僕と同年代の子も施設に居る姿を見ると人はみな平等ではないと思ってしまう。

 

 「そこで出会ったのが彼女」

 

 その中でも周りのみんなと一緒に笑ったりしているけど、一人だけ違和感しかない子が居た。

普通に見ていれば、別に何もおかしなことはないと思う。だけど、僕からしてみれば嘘を張り付けているようにしか見えなかった。

 僕も昔から物事の本質を見ることが出来た。

きっと今のお母さんじゃなければ、気持ち悪いと言われて施設に入れられていたかもしれない。

 

"星野アイ"

 

彼女の瞳を見た時、白い星が見えた。

瞳に星が宿った子を見たのは2人目だった。

 

 彼女の本質はおそらく愛されたい、愛したいじゃないかな?

母さんから少し話を聞いたけど、幼少期に母親に捨てられて酷い言葉を浴びせられていたらしい。本当に愛されるという感覚がわからないんだと思う。

 

お母さんに優しい言葉を掛けられ、抱きしめられていた時の姿が彼女の求めていた物。

あの涙は嘘ではないと思う。

 

もし、あの涙や表情、それらが嘘で出たのなら彼女の本質はわからないとしか言えない。

 

「…君、奏君?」

 

「お母さん……?」

 

「何を考えていたの? 私の声が聞こえないくらいに集中していたみたいだけど」

 

 視線を上げると母さんと目が合う。

僕と同じ同心円状の瞳を持つ者同士で見つめあう状態。きっと僕の瞳もお母さんからの遺伝なのだと思った。

 お母さんも僕と同じように相手の本質を見抜くことが出来る。

だから誰よりも僕の事を理解しているんだと思った。時々、そういった行動をしていることが多いから。

 

「星野さんのことを少し」

 

「可愛い子よね。でも奏君が気になっているのは内面……でしょ?」

 

 やっぱり、お母さんにはバレていたみたい。

たぶん、嘘で自分を保っているんだと思う。同世代であそこまで嘘で自分を作っているのは環境が環境だっとはいえ珍しいと思った。

 星野さん自身も自分に嘘で出来ていると言い聞かせているのかもしれない。

環境が違えば、今とは違った彼女の姿を目にしていたのかな?

 

「ふふ、わかりやすいね奏君は」

 

「そうかな?」

 

「母親だからなのかもしれないわね。私も彼女は愛に飢えていると思うの。幼少期っていうのは無意識にそういうのを求める子達も多いから」

 

 お母さんの言葉は奥が深い。

彼女は愛に飢えているというのは僕も同意する。

 

「嘘を付き続けるには才能が必要なの。たとえ嘘でも周りがそれを真実だと思えば、それは紛れもない真実になる」

 

「だから嘘を付き続けるには才能が必要?」

 

「そう。嘘はバレたら意味がないの。だから嘘を付く人は嘘には敏感になるわ。自分が嘘つきだからこそ、相手の嘘に気付く」

 

「でも僕は嘘をあまり言わないけど、彼女が嘘を付いていることに気付けたよ?」

 

「奏君、君は相手を見る時、どこを一番最初に見る?」

 

 微笑みながらそんな質問をされて考えた。

僕が相手を見る時に一番最初に見る場所は……目かな。後ろめたいことがある人はジッと目を見ていると反らしたりするときが多かったから。

 

「目かな」

 

「そう。奏君は相手に気付かれないように無意識に観察しているの。だからこそ、相手の目の動き、瞬きの回数、言葉に対して違和感を覚える。無意識化でこの人は嘘を付いているかの判別作業をしているの」

 

「え、そうだったの。それはあんまり意識したことなかったかもしれない」

 

「だから無意識なのよ」

 

 あぁ、だから相手の本質がわかるんだ。

僕は常に相手を無意識に観察していたらしい。その過程で違和感を覚えてその人のあるべき姿と違う事に疑問を覚えていたのか。  

 

「彼女はもしかすると芸能界にいく事になるかもね」

 

「可愛いから?」

 

「それもあるけど、星野さんには人を惹きつけるカリスマ性もあるかもしれないわ。まだまだ原石のままだけど、磨けばきっと一番星にも手が届くかも。奏君も幾つか、スカウトを受けてるでしょ。あなたから見て彼女はどうだった?」

 

「お母さんの言う通り原石だと思う。本当に芸能界に足を踏み入れるなら色々勉強しなきゃいけないと思うけど」

 

 確かに彼女には人を惹きつける魅力はあると思った。

お母さんの言う通り、芸能界へと足を踏み入れるにしても星野さんの容姿なら受け入れられるはずだ。僕もスカウトをしに来た人達を何人か見たけど、全然劣っていないと思った。

 むしろ、今の段階であの状態なら成長したらもっと綺麗、もしくは可愛くなるんじゃないかな。

カリスマ性で言ったらお母さんも絶対にあると思うけど、自分からは詳しく話そうとはしてくれない。

 

 

スカウトに来た人達はお母さんの姿を見るとぺこぺこと頭を下げていたことを覚えてる。

あれは尊敬、畏怖、憧れ、色んな感情が混ざったような目をしていたから。

 

「いずれにせよ、私は時間の問題だと思うの。もし、そうなったら応援してあげたら?」

 

「そうするよ」

 

「(彼女が一番星に手が届くかもしれないように、奏君……あなたも同じなのよ?)」

 

 芸能界って闇が深いって聞いたことあるけど大丈夫かな。

たぶんというか、間違いなく僕もそっち方面に行くことになると思うから出会えたならお互いに頑張ろうって声をかけよう。

 もし、本当にお母さんの言う通りに彼女にスカウトの話が来たらだけど。

でも本当にそうなるんだと思う。だって自信をもって言い切った言葉を聞かされた時はほとんどその言葉通りになっていたからね。

 

きっと予感があるんだろうなと思った。

 

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