三下とテラの日常   作:45口径

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三下と長いお別れ

全てが終わった朝、エクシアたちは疲れからかロドス艦内で潰れるように眠っていた

 

あれからヒューストンはエンペラーのコネでロドスに搬送され緊急手術を施されている

 

アーツを抑制し駆けつけたモスティマが自身のアーツを彼にかけて治まった状態で時間を止めておいたのが功を奏した

 

皆を先に休ませ、テキサスだけはずっと手術室前で待っていたが疲れからか首が船を漕ぎ始める

 

「ここじゃなくて、仮眠室を借りたら?」

 

「…モスティマ」

 

肩に手を置かれ声をかけられ意識が少し覚醒した

わざわざ訪ねてくるなんて珍しいと思いながらも意識は手術室の赤いランプだった

かれこれ数時間手術をしているがまだ終わらないらしい

 

「出来ることはしたし、私はそろそろ出るよ」

 

「…そうか、またエクシアに顔を合わせてやれ。それとヒューズのこと、助かった…ありがとう」

 

「いいよ、彼はいい人だからね。だからこそお願いを叶えてあげようと思って」

 

「お願い…?」

 

モスティマとヒューストンの接点はわからないし気分屋の彼女が引き受けるとは何やら訳がありそうだが、それより重要なのは頼まれごとのことだった

ポケットから一本の煙草を取り出し差し出してくる

 

「えーと、たしか…『これで我慢してください。起きたら巻き直します』だったかな」

 

「…彼からか?」

 

「うん、そうだよ」

 

煙草を受けとり見つめる

元々は綺麗に巻かれていたのだろうが雑な収納でよれよれで折れたシケモクだった

 

「…ありがとう。それにしても彼の願いを聞いてやるなんて、優しいんだな」

 

「私は気分屋だからね。最初は見送ろうと思ったけど、やっぱりやめた」

 

「お前らしいな」

 

「大事に吸ってあげてね。じゃあ私は行くから」

 

「ばいばい」と手を軽く振って彼女は立ち去った

そして手術は完了し扉が開かれた

 

結果だけ言うと、手術は成功し容態は安定しているとのことだった

手術を担当したケルシーによれば前例のない状態で当医療機関としては鉱石病も疾患しているので患者として入院させる

アーツが解除できないのは彼自身の問題であり治療法は時間をかけて研究を進める方針で特別病棟での処置を施すとのことだった

 

長い時間を待ちわび眠る彼の様子を見るとあの苦しそうな形相は消えて安らかに眠っているようだった

 

しかし油断はできない、鉱石病が酷くなればなるほどアーツは強力になりさらに病状を悪化させる

一刻も早くアーツを解き、目覚めさせることが必要だった

 

彼と触れ合えるのは、まだ当分先だった

 

説明を終えたケルシーが立ち去った後しばらく彼と共にいた

仲間たちの元へ行く前に早足で甲板へと上がり柵にもたれ掛かった

 

早く、煙草を吸いたい

モスティマから受け取った曲がったシケモクと彼から預かったライターを取り出す

 

金属製のオイルライターの蓋が心地よい金属音を鳴らし、オイルが少ないのか着きが悪く数回フリントホイールを回して火がついた

タバコに火をつけて、吹かすと紫煙を上げ始める

 

広大な大地を移動する甲板上がった紫煙は風に攫われるように消えてゆく

シケモクの味は名の通り美味いものではないし折れているため吸いづらく気を使わねばならない

 

だがそれが、今吸える最高の煙草に違いはなかった

 

空を見上げると彼が最後に読んでくれたことが頭の中で木霊する

忘れたりしない、彼の忠義を、行いを、記憶を、一生忘れたりしない

 

過去は振り返らない、思い出は心の中へ、今を生きて、未来で彼を迎えてやろう

 

「…それまでは、コイツとはおさらばだな」

 

フィルターの根本まで吸いきり指で弾くと空に舞い艦隊の体表に当たり大地へと消えていった

 

長い長いお別れというものを、またしばらく享受しておこう

もし、彼が目覚めた時は━━━

 

「私のために、最高の1本を巻いてくれ」

 

彼女の呟きは、彼方へと消えていった

 

 

 

私の最後の家族よ、私は愛しきお前の目覚めを待つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三下とテラの日常、完




最終回なのに短くてごめんなさい…
たくさんのUAやお気に入りなどありがとうございます
気にしないように書き続けていたらびっくりするぐらい増えててびっくりました…

短くて読みづらくてモヤつく駄作でしたが最後までかけてよかったと思っています

番外編も気が向いたら出すので、気長にお待ちください…
最後まで、ありがとうございました!!!!!!!
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