三下とテラの日常   作:45口径

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母性属性をもったテキサス…見たくない? ということで初投稿です



【あったかもしれない日常】ペンギン急便とショタ三下

「…すぅ、すぅ」

 

「わぁ〜〜〜っ、かわいい〜〜〜っ…!」

 

「ちょっとソラ、あんまり騒いだら起きちゃうよ!」

 

「はぇ〜〜、ヒューズはんこんなにちんちくりんやったんやなぁ…!」

 

「…かわいいな」

 

時を遡ること数時間前

ワルファリンとその研究開発班が作り出した薬品、服用した人物の記憶を戻す薬品を作り出していた。

ヒューストンの記憶障害に関する治療の一環として安全性も確認した上で服用した結果気絶してしまい、テキサスたちが駆けつけた時には推定5歳児ほどの身体になり現在に至る。

 

小さな寝息を立てるヒューストンの頭に手を置き撫でると重たげな瞼が開いた。

ぱちりぱちりと瞬きをし「ぴっ」と小さな悲鳴をあげて慌てて後ずさった。

どうやら記憶も当時のものになっているらしく知らない人物たちに囲まれ恐怖からか毛布にくるまって震えている。

 

「あちゃ〜、ヒューズってもしかして人見知りだったのかな?」

 

確かに覚えてないどころか彼女たちも生まれてすらいないほど彼との歳の差はあるため当然知りもしないだろう

 

「出ておいで〜、お姉ちゃんたちは怖くないよ〜?」

 

ソラが毛布越しに触ると一瞬悲鳴をあげ跳ね上がったかと思うとか細い声で「…ぅぅぅ」と聞こえた

どうやら泣き出してしまったらしい。

 

「…っ、ぐすっ、ぐすっ…!」

 

「あっ、ソラが泣かしちゃった!」

 

「えぇ!? そ、そんな!」

 

「私に任せてくれ」

 

テキサスが傍に座り背中であろう位置にそっと手を置くとまた一瞬びっくりして跳ね上がるがそのままさすり続けた。

しばらく続けていると毛布からちらりと泣きじゃくった顔を覗かせてくれた。

 

「おいで」

 

ペンギン急便のメンバーも聞いたことがないほど優しい声色が彼女から発せられた。

もじもじとしながら毛布から身体を出してきたヒューストンは本当に小さい、怖がりな子供だった。

 

差し出した手を掴み優しく引くとそのままテキサスの膝に着地し彼女は優しい笑みを浮かべて頭から尻尾にかけて優しく撫でると再び小さく寝息を立てて眠った。

 

「テキサスはん、そんな優しい声出せるんやな…」

 

「それもそうだけど、なんだか妙に慣れてるね?」

 

「子供の頃、ヒューズにしてもらったのを覚えていてな。やってみただけだ」

 

「へ〜…テキサスさんの意外な母性が見れちゃいました…」

 

「意外とはなんだ」

 

少し不満げに言うも優しく撫でる手を止めない

 

「にしても、声あげて泣かんのはなんか心配やな」

 

「たしかに。子供ならもっとギャンギャン泣くかと思ったけど、すごいおとなしめに泣いてたよね」

 

「ヒューズの家庭環境ってもしかして相当複雑だった…?」

 

「かもしれないな…」

 

4人は優しく眠る彼を見守っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日目を覚ますと、彼は大きくなっていた

と言ってもまだ子供の範疇だ。

テキサスが残り彼を何か起こらぬよう見守っていたが気付かぬうちに大きくなっていた。

すうすうと小さい寝息は変わっておらず、テキサスの知らない彼を知ることが少し嬉しかった。

 

しばらく寝顔を眺めていると目を開き「わぁ!」と驚いて飛び退いた。

 

「落ち着いてくれ」

 

「あ、あなたは誰ですか!? ぼ、ぼくどうしてっ、お、おかあさんはっ!」

 

「ほら、落ち着いて」

 

テキサスが慌てて隅で縮こまっている彼を抱き寄せると胸の中で落ち着きを取り戻した。

 

「あ、あの…お、おかあさんは…?」

 

「今は仕事中で、私が任されたんだ。安心して欲しい」

 

「は、はい…」

 

「私はチェリーニア、キミは?」

 

「あっ、えっ、えっと、シンシア・ローグライトです…」

 

一瞬、彼女の思考が止まった。

目の前の子供は面影からヒューストンのはずだが彼女の知らない名前を名乗られ一瞬困惑した。しかし不安な顔をするときっと彼も不安にさせてしまうと判断して取り繕った。

 

「シンシア。いい名前だ、せっかくだからもう少し寝ててもいいんだぞ」

 

「い、いえ、あのっ、だ、だいじょうぶです…」

 

おそらく怖がりなところは幼少期全般なのだろう。

起き上がってベッドの角に座ってそわそわとしている。

 

「あっ、あの、チェリーニアさんっ」

 

「どうした?」

 

「あのっ、お、お母さんは、いつ、帰ってきますかっ?」

 

「すまない、それは判らないが君の面倒を見るように言われているんだ。それまで一緒だ」

 

「は、はい…」

 

少し沈黙が流れる

この病室はとても静かで、艦の駆動音と振動だけが鳴っている。

 

「あ、あの、家じゃないのは、もしかして、お母さんは、いま、あぶない、ですか?」

 

テキサスは聡い人物だった

彼女も同じく親の立場が災いし屋敷からほぼ出られない毎日を過ごしていたのを覚えている。

きっと彼も同じ境遇だったのだろうと理解した。

 

「そうだな…でも大丈夫だ、君を護るように約束したんだ。お母さんは帰ってくるさ」

 

「はっ、はい、あ、ありがとう、ございます…」

 

しゅんと落ち込み始めた彼を慰めるように撫でると少しくすぐったそうに身を捩り始めた。

すると彼の腹に虫が鳴り出す。

 

「朝食を食べに行こう。ここの食事は美味いんだ」

 

「は、はいっ」

 

手を繋ぐとき少し気恥ずかしそうにしている姿がなんだか愛くるしくて、悪くないと感じていた。

しかし彼女はどうしても気になることがあった。

 

「シンシア。キミはお母さんのことをどれだけ知っている?」

 

「えっ、あ、えっと…マフィアの人で、かんぶ?っていうのをしてるんです…」

 

「そうか。…怖い人か?」

 

「そ、そんなっ! こと、ないです…お母さんはやさしくて、がんばり屋で、いつも帰ってきてご飯を作ってくれて、寝るとき、本をよんでくれるんです。ぼくがいいって言ってるのに、読んでくれて…でも、朝にはいないんです…」

 

「なるほど。いいお母さんだな」

 

「…本当、はもっといっしょに…あっ、ご、ごめんなさい…」

 

「いいさ、わかるよ」

 

手を握る力が少しだけ強くなった気がした

 

「あれ、テキサス? どうしたんだい、子守りなんかして」

 

自販機の休憩スペースから声をかけてきたのはラップランドだった。

物珍しいものを見た彼女はらしくなく驚いていた。

「ん〜…?」と近づいてヒューストンの顔を覗き込むと少し怖がり始めた。

なんとなく見覚えのある顔の面影に気付いた。

 

「もしかして、ヒューストンなのかい!?アッハハ!ロドスのお薬はすごいねえ!」

 

楽しげに笑いながら膝を曲げてヒューストンに挨拶をした。

 

「初めまして、ボクはラップランドって言うんだ、よろしくね。キミのお名前は?」

 

「あっ、えっ、あっ…シ、シンシア…」

 

「…ん?」

 

「ラップランド」

 

テキサスに視線を向けると首を小さく横に振った

 

「…なるほどね。シンシア、可愛い名前だねぇ…食べちゃいたいくらいだ」

 

ループス特有の犬歯を少しちらつかせるとテキサスの後ろに隠れてしまう。

恐怖に震える彼がなんだか新鮮で嗜虐心を煽られたがテキサスの「おい」と一言低い声をかけると「ごめんごめん、またね」と立ち去っていった。

 

「もう大丈夫だ」

 

「はっ、あの、ごめんなさい…」

 

「気にするな、ああいうやつだ。行こう」

 

再び手を取り食堂へ向かって進む

テキサス自身新鮮な気持ちと同時に懐かしい気分だった。

立場は逆で、いつでも傍にいてくれたあの頃が懐かしかった。

今は自分が世話をする立場というすこしむず痒くも楽しんでいた。

 

食堂に入るとやはり注目の的になり「あのテキサスさんが…?」「子持ちだったのか…?」などと小声ながらも聞こえてきていた。

 

トレーを取り配膳をしていたグムが「テキサスさんどうしたのその子!?」と聞いてきたが「ちょっと、いろいろな」と返して少しいそいそとテーブルに向かう。

 

「テキサスさ〜ん!」

 

声をかけてきたのはソラだ。

エクシアとクロワッサンも一緒の席に座って食事をしていた。

同じ席に座るとテキサスの影に隠れるように隣に座った。

 

「おはよ。みんな来てたのか」

 

「うん、ご飯食べたら様子見に行こうと思ってたけど…ちょっと成長してる?」

 

「え? ホンマや、クスリの効果切れてきてるんかな?」

 

「それにしても、やっぱかわいいね…!」

 

3人の視線を受け更に隠れるようにしたがテキサスはあえて少し退いた

 

「私の仲間たちだ。挨拶をしておけ」

 

「あっ、えと、シンシア・ローグライトです…」

 

「えっ、ヒュー…」

 

エクシアの思わず出そうになった言葉はテキサスのしーっというサインを受けて止められた。

 

「…可愛い名前じゃん! 私はエクシアって呼んで!」

 

「ウチはクロワッサン、よろしゅうな〜」

 

「私はソラ、よろしくね!」

 

彼女は相棒の意図を汲み取り自己紹介をしそれに続いてクロワッサンとソラも済ませた

 

楽しくわいわいと食事をしているとヒューストン手が止まっている。

どうやら苦手な野菜を残しているようだった。

普段のヒューストンなら「食えるだけでも幸せなんすよ」となんでも食べるが子供の頃というのはやはり偏食というものがあるらしい。

 

テキサスがフォークで刺して口元に持っていくと避けるように後ろに下がった

 

「偏食はダメだ。ほら、あーん」

 

「テキサスがママになってる…」

 

「なんや、ウチ幻覚見てるんか…!?」

 

「普段は偏った食事をしようとするとヒューズに止められて渋るあのテキサスさんが…!」

 

「うるさいぞ。ほら、お母さんから頼まれてるんだ、好き嫌いはダメだぞ」

 

母親というワードにめっぽう弱いのか「うぅ…」と嫌がりながら口を開けさせて入れると苦しそうに噛んで飲み込んだ。

 

「よし。えらいぞ」

 

頭を撫でながら水を差し出すと小さな喉が少し勢いよく飲み込んで行く

 

「…そういえば、ご飯食べさせてよかったんですか…?」

 

「ん? どういうことや?」

 

「いや、だって…ワルファリン先生とかに見てもらってから食べた方が…」

 

「あ…」

 

一瞬やってしまったという空気が流れるがエクシアが誤魔化すように声を上げる

 

「ま、まぁいいじゃん! 変わんない変わんない!」

 

「せやせや! ウチらもええもん見れたしオッケーや!」

 

「そ、そうなのかな…あっ、ごめんね、心配させちゃって!野菜食べれてえらい!」

 

「…あぁ、立派だ」

 

心配そうな顔をするヒューストンの頭を撫でてやると少しくすぐったそうにするが嬉しそうに尻尾を揺らしながら目を細めていた

 

「やばっ、めっちゃカワイイ…私にも撫でさせて!」

 

「ウチもウチも!」

 

「私も!」

 

今日のロドスの食堂は、少し騒がしかった。

あとでやっぱり今後は連絡を入れてから朝食を取ってくれと注意を受けた。




実はまだ続くんじゃ
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