三下とテラの日常   作:45口径

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ソラ先輩との話なんで初投稿です


三下と頼れる先輩 その1

大地の果てを出発するのに少々時間がかかったが配送の業務を開始できる

初の配送の業務を先輩のソラと一緒に行うことになった

しかし当のソラは中々出てこない、そのさらに先輩のクロワッサンは先ほど「じゃ、ソラはんのことよろしくな〜」と去っていった

とりあえず出来そうなのは伝票と荷物の確認だろう

それほどの量でもなく半日もあれば配送し切るだろう

確認が終わる頃にようやくソラが走って来た

 

「ごめんね! メイクに手間取っちゃって!」

 

「あー、それはしょうがないっすよ。 ソラ先輩は特にじゃないっすか」

 

ソラはペンギン急便のトランスポーターでもあり本業はMSRに所属しているアイドルである

それ故に、ビジュアルは大事だ

 

「とりあえず、モノと伝票はオッケーです」

 

「ありがうとう、助かるよ。 本当は教えなきゃいけないのに…」

 

「大丈夫っすよ、俺一応配送業やったことあるんで」

 

「そうなんだ、じゃあとりあえず今日は私が運転するから!」

 

「お願いします」

 

ソラが運転席に飛び乗るように入り込みエンジンを始動させる

少し古いせいか整備が不足してるせいか少し異音がする、おそらくファンベルトが原因だろう

 

助手席に乗り込みドアを閉めると車は少し覚束ない動きで発進した

どうやら運転はあまり経験がないらしい

 

「前も配送業してたってことは…もしかしてテキサスさんとマフィアの時に?」

 

「それもあるんですが、他にも色々とやってたっすよ」

 

「もしかして、危ないモノとか…?」

 

「あったっすけど、面白く無かったっすよ。 やっぱ人運んでる時が1番刺激ありますよ」

 

「へー! もしかして、私みたいなアイドルだったり!?」

 

「惜しいっすけど、ソラ先輩みたいに可愛らしい人はいなかったなぁ…」

 

「もー! 褒めても何にもないから!」

 

ソラは中々にとっつきやすい上に関わりを持とうとしてくれる先輩だった

しかし話の内容的に感じたのはマフィアの時だった話、なんとなくテキサスのことを知りたいのだろう

遠回しにたくさん聞いては近づけて本命の話を聞くつもりだろう

 

配属して直後は軽い自己紹介で終わらせた程度で昨夜のあの出来事が原因で話すタイミングは無かったのだ

そしてついに読み通りの話題が振られた

 

「テキサスさんと一緒の組織にいたんだよね…どんな関係だったの?

 

「自分は、ただの使いっ走りですよ。 幹部なんか程遠い、下っ端の上だったぐらいっすよ」

 

「あ、そうなんだ…それにしてはテキサスさんと親しそうだったけど、ホントは…?」

 

「やだなぁ相手はドンですよドン・テキサス。 そんな人と親しいだって? 俺の末代までびっくりっすよ」

 

ソラは少し納得できない様子で次の質問を考えていた

そろそろ目的地には着きそうだ

 

「実は今朝、命の恩人だって聞いてて…それは━━━」

 

「ソラ先輩、前」

 

ソラは少しだけよそ見をしていた、周りには車も歩行者もいなかったし速度もたいして出してない、信号の位置を把握して余裕は十分にあるが故そう判断して一瞬だけ目を離しただけだった

 

もうすぐ前に車が停まっているではないか

 

叫び声を出す余裕もなく、足はすでにブレーキを勢いよく踏みつけた

遅い速度でも、この距離は無理だ

速度と荷台の重量による慣性力は制動距離を伸ばす

 

もうだめだ、目を瞑り衝撃に備えるが衝撃は一向に来ない

 

「ソラ先輩、どうしたんすか。 ブレーキ踏むにはちょいと速いっすよ」

 

「…え?」

 

瞼を開けると目の前にいた車などいなかった

それどころかまだ数十メートルの余裕がある

唖然と周りを見るが車などいない、不可解な現象を受け理解に及ばなかったが同乗している後輩から声がかかる

 

「ほら、交差点までまだ先っすよ。 後ろに車いなくてよかったっすね〜」

 

ヘラヘラとしているが彼には見えなかったのだろうか?

 

確かに彼は「前」と言い自分は言われるまま前を見た結果度肝を抜かされたがどういうことだったんだろう

現に車はぶつかっていないし、何事もない

知らずに初めて一緒に共にする後輩に緊張でもしていたのだろうか

 

その後輩は隣で「いや〜打ち首になったっす」なんて笑っている

こんな道の真ん中で止まっていてもしょうがないので『ぶつからなかった』という結果だけを考えれば深く考える必要もないだろう

 

「…打ち首じゃなくてむちうちじゃない?」

 

「あれれ、そうでしたっけ?」

 

後輩の誤用の言葉に笑って答え今度こそ、ぶつかると勘違いしていた車の後ろに停車した

 

「ところで、目的地ってこの辺っすよね?」

 

「…あ! そうそう、ここを左に曲がって━━━」




まだまだ続くんじゃ…

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