生存報告がてらボツで申し訳ないです…
とある特別病棟、ここにはとある奇特な病を患った者が目覚めぬ呪いにでもかかっていたように眠りについていた男がいた
かつて龍門でその病のピークを迎えここロドスへやって来たが、その男の姿はなかった
扉を開き甲板に上がると、遠目で一人の人物が柵にもたれかかっているように見えた
近づくにつれそれが病衣を着た男とわかりこちらに背を向けて煙草を吸っている
テキサスは目の前の光景が信じられなかった
目の前の全てが幻で、触れれば消えてしまいそうな気がして近づくのを恐れた
一歩一歩、ゆっくりと近づいた時だった
「腹、減ったなあ…」
空を見上げて呟くと再び煙草を吹かして新しいタバコに火をつけた
ふと鼻をつく嗅ぎ慣れたヤニの匂い、間違えるはずもない彼がいつも吸っていたものだった
ありふれたものだが忘れるわけがない、遂に目の前の出来事が現実であると理解しかけていた
「あぁ、これも吸い辛え煙草だ。起き抜けに吸うには最悪だが、最高だ…幸か不幸か、巻いたであろうお方に見られちゃったしなぁ…でしょう、お嬢」
男が振り向くとテキサスと相対した
どれほど、この時を待ったことか
彼女は駆け出し彼に勢いよく抱きついた。
「うぉっ…お嬢、これでも病み上がりなので…」
「何が病み上がりだ、そのくせ煙草なんて吸って…!」
「私には必要なんですよ」
テキサスとヒューストンは確かに感じていた、愛する者が確かにそこにいるという現実を
彼はこの世に再び舞い降りた
「お嬢、俺がペンギン急便に入った頃からお話しをしてもらってもいいでしょうか。なんせ、色々曖昧なもんなんで」
「そうだな、まず…」
これまでのことを説明した。
ペンギン急便へ来て初めての仕事から日常、安魂夜での出来事までのことの全てを。
「そのようなことが…事実で…?」
「あぁ」
「私はお嬢と対等になりペンギン急便の皆様にも同じでかなり馴れ馴れしくして楽しく騒がしく面倒ごとがあれど楽しい日々を過ごしていたと」
「あぁ」
「さらには嬢と、ペンギン急便の皆様と、特に特に社長ことエンペラーと仲睦まじく恋仲のような関係にあったと」
「あぁ…ふっ」
「そしてそして龍門の裏を取り持つ鼠王とラップバトルで勝利し龍門裏世界の伝説になった。しかもそれが題材の単行本が100万部売れたと」
「ふふっ…あ、あぁ…っ、くくく…!」
「なるほど…チェリーニアお嬢様」
「あっ、あぁ…ど、どうしたっ?」
「…おめえいい加減にしろよ!!!!!!!」
起きて初の、彼の怒号が響く
テキサスは当然のように嘘がバレてもお構いなく笑い転げている
ヒューストンは激怒した
必ずや彼の長年仕えて来た可愛らく、お転婆でとんでもない嘘つき狼を罰せねばならぬと
「そこになおれっ、久方ぶりに説教してやるぅ!!」
「やってみろ!」
テキサスは機敏に素早く動き捕獲してくる彼に手からひらりと逃れ廊下をかなりの速度で駆けるがヒューストンも負けずそれに追従する
「待てコラお嬢ォ゛ウ゛アァ゛ーーーッ!!」
「ふふふっ、あははははははっ!」
みるみるち彼を引き離す
ロドスにいることは理解しているが今に今まで眠っていたため地形がわからない
一度見失ってしまえば見つけるのは困難だ
「あンのお嬢様、どこ行きやがった」
辺りを見回すと角からちらりと端正でお美しいお顔と耳を覗かせてと「ふふっ」と笑い始めた
あンのお嬢様、ナメやがって…!!
「見つけたぞコラーーーーーッ!!!!!」
追いかけて直線に入ったところで今出せる全力を出し切りついに捕まえた
下腹部に両腕を回し持ち上げると脚をぶらつかせぐいぐいと向きを変えた
「はあっ、はぁっ…さぁ〜捕まえたぞおじょ…おわぁっ、なにしてんのこの人っ」
「あははっ!」
「おじょ、ちょ、お嬢!」
顔や耳をぐいぐいといじり始めた
彼女が幼い時からなにも変わってない、歳だけをとった彼がそこにいる
「懐かしいな…!」
「…えぇ…本当に、7つ8つの時でしたかね」
彼女と彼が心を開いた時のことを今度こそ思い出しお互い笑い合った
「お前は本当に変わらない」
「お嬢は相変わらずおてんばさんなままで」
「お前にだけだ」
「それは、この上ない喜びとさせて頂きましょう」
「あぁ、誇れ。私の自慢の家族、オルブライト・ヒューストン」
「…ただいまより、貴女のために帰還しました」
「あぁ━━━おかえり」
シラクザーノ、お待ちください