三下とテラの日常   作:45口径

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お ま た せ

ようやくやる気が少し湧いてきたので初投稿です…


三下とCメロ

隊列を組み案内役の先頭に並んで警戒するヒューストン。

彼は傭兵として軍事的な作戦行動の経験はこの危険な市街地における前進に慣れていた。

 

障害もなく進み続け第二中枢区画の司令塔へと辿り着き扉まで張り付いた。

扉に罠がないかを簡易的に調べるが確認できない。

もっと中の様子を伺っておきたいが時間はない、扉を爆破する必要はないと判断し重々しい鉄扉を開き中へと突入した。

 

ヒューストンを含む数人だけが偵察のために中に入るも不自然なほど静かだった。

目につく扉の奥、小さな部屋や倉庫なども中を調べるが人影はない。

 

「もしかして、先を越された…?」

 

「不自然だ……死の匂いがしない」

 

「避難したのかもしれませんが…」

 

「いや、見ろ。避難したにしては綺麗すぎだ」

 

「…多分奥だろう。油断するな」

 

中央部、操作系統のコンソールや装置が敷き詰められ物々しい様子のコントロールセンターも誰一人いない。

しかし間違いなく人がいた形跡がある。

 

彼らはさらに奥へと進み、調べ続けた。

 

 

 

 

 

 

「それで、お前がこれまで何年も幾度となく俺を怒らせ、俺に背き、そして反抗してきた理由はなんだ」

 

サルッツォの屋敷にて、この屋敷の、ファミリーの長であるアルベルトと破門した彼の娘であるラップランドと対峙していた。

 

騒ぎが広まり情報を集めどう行動するかを協議していた最中、娘から襲撃を受け部下の大半を殺されていた。

 

「言え。さもないと、お前の躾ができねえからな」

 

「フフフッ…」

 

ラップランドは笑い、武器を下ろした。

彼女の胸中、父親を殺す計画を立てるべきか悩んでいたこと、その意味、テキサスに執着する理由、そしてこの地に纏わる支配のことを

 

「どんなに抵抗したところで、結局アナタの支配下のことでしかない。出口なんてないんだ」

 

「そう思ってるのはお前だけだ」

 

「アナタにはわからないだろうね。あの頃の僕にはこんなこと理解できなかったけど…今までやってきたことなんて自己欺瞞に過ぎなかったんだ。それにアナタはこう考えたはずだ、あと数年もすればボクは変わるってね」

 

「もちろんだ。だが解せねえ、お前の俺に対する反抗心はどこから湧き出る?」

 

「それはお父様が自分の人生の行いの正しさを信じているからだよ。いつかは自分のようになると信じて疑わなかった。でもそんな時、あの子が現れたんだ」

 

チェリーニア・テキサス、サルヴァトーレの孫娘。

冷酷で、強く、義理堅い者。

かつてのシラクーザではクルビア人にも関わらず誰よりもシラクーザ人として名を馳せた者。

そして知られざる、その陰にいた者、オルブライト・ヒューストン。

 

「お前は実力では上回っていたはずだ。あの取り巻きの三下がいなきゃどうしようもねえなまくらで、お前の敵じゃないはずだ」

 

「違うよ、お父様。全然わかってない……あの子はね、彼と居ることで自身を制御しているんだ。もし彼がいなかったら……ボクがもう1人いたはずなんだよ。無口で、愛想のない空っぽのボクがね」

 

「だが事実、ヤツは三下がいなきゃ死んでいたはずだ。テキサスだけじゃなくその三下にも執着があるように見えるな」

 

「その通りだよ。ボクはあの子を見て感じていたんだ…この泥沼に浸かりきった上で全てを投げ出してしまうってね」

 

彼女は鮮明に覚えている。

笑いもしない無愛想な彼女がこの地の全てに嫌悪と無関心さを。

血筋など受け継ぐつもりのないあの態度を。

手紙でヒューストンとのやり取りをしている時だけ僅かに表情が綻んでいたことを。

 

「でも、それを…あの男が邪魔したんだ。だからボクは見届けたいんだ。今度こそ自分で選ぶことをね」

 

「だがあいつは何もしなかった」

 

「違うよ。お父様にはわからないだろうね…でも、あの子は選択したんだ、今度こそね…………そこで、ボクも選んだってわけ。ただ他でもないお父様に、このファミリーに、この泥沼に別れを告げれば良いだけだってね。そのために来たんだよ」

 

「シラクーザを敵に回そうって言うのか」

 

「違うよ。シラクーザがボクを敵に回したんだ」

 

彼女の言動はもはやアルベルトの理解の範疇をとうに超えていた。

この狂人を理解することなど、もうできないだろう。

 

「さようなら。お父様」

 

彼女は深々と別れの礼をした。

殺すなら今だろう、今しかない、しかし彼女は彼に向かって言った、「お父様」と

 

アルベルトは深くため息をつき、娘であり、裏切り者で、彼の誇りである彼女をただ見送った。

 

「あとはテキサス、キミだけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もし連中が来るならどの道だ?」

 

中枢区画のエンジニアと職員たちを見つけ出しラヴィニアに協力することを取り付け、作業をしている最中ヒューストンがさらに武装を整えやってきた開口一番である。

 

「ヒューストンさん?」

 

「おそらくアホどもがもうすぐ来るだろう」

 

「クルビアのマフィアか。確かにここはロッサティの協力があった場所だ。連中なら来るだろう」

 

テキサスの言う通り、この区画や新都市に関係することはクルビアのマフィア、ロッサティを筆頭に取り仕切っていたはずだ。

妨害はしているが彼らならば効率よく進みもうすぐ来てもおかしくはないだろう。

 

ベルナルドが先きやってきていたがその狙いは未だわからない。

分離システムを起動するように指示しファミリーのないシラクーザを想像できるかというまるで夢物語のようなことを言い残し去っていた。

未だ謎が解けないままでいるが、とにかく目の前の障害に時間に追われていた。

 

「先にこっちから仕掛けて連中を潰してくる。あんたらは先に進み続けろ」

 

「無茶です、1人でなんて…!」

 

「いいか、此処が正念場だ。あんたが皆んなを引っ張らなきゃならない。わかるだろ、自分の役割と、俺の役割をな」

 

ラヴィニアは自分の役割を十分理解していた。

テキサスを救い、ルビオを救い、シラクーザをも救おうとして誰にも頼ろうとせず命を賭している。

はっきり言って大馬鹿野郎と罵ってやりたいぐらい無茶なことだった。

しかし、彼女の心の中では信じていた。

 

「……時間を稼ぐだけで良いんです。絶対に、死なないでください」

 

彼が小さく頷いて走り去る。

心配そうに見送る彼女にエクシアが心配無用と声をかけた。

 

「大丈夫、ヒューズはデキる男だし…アタシの最高の相棒もいるから!」

 

「…信頼しているのですね。彼らを」

 

ラヴィニアは彼らを一瞥するとその頼もしいふたつの背を見て心配の必要はないと確信した。

 

 

 

 

 

 

最適な待ち伏せの位置を選定しついに2人は足を止めた。

 

「俺が1人で食い止めれるか否か考えたんだが、意味が無くなったな…」

 

「…独りが良かったか?」

 

「わかってんでしょうに……」

 

「あぁ、無論だ」

 

「………ありがとう、チェニー」

 

「…気分がいいな……始めよう」

 

お互いの拳をぶつけ合いヒューストンは拳銃の残弾を確認し、テキサスは剣を抜きその刀身を見つめた。

 

「おいでなすった」

 

二人は確信していた、自分の隣に立つこの唯一の家族が世界で一番頼れる存在である以上負けるはずがないと。

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