三下とテラの日常   作:45口径

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すみません、ずっと戦闘描写これでいいのかとかスランプに陥ってしまい遅れたので初投稿です…
本当にお待たせして申し訳ないです、、、必ずや完走させますので何卒、、、


三下と協奏

声が響く

人ならざる存在を目の当たりにし、人は畏れた。

 

黒い霧が実態となり姿を現す。

 

「狼主、ザーロ…!」

 

「矮小な人間どもめ、我の計画を邪魔しおって!」

 

「人間のことに干渉しないはずではなかったのか!」

 

「気が変わった、ベルナルドに台無しにされたのでな! 貴様の父の死によって、勝利を葬られたのだ!」

 

「お、親父が…死んだ…?」

 

「貴様らの血を全て根絶やしにしてくれる…代償を払ってもらうぞ!!」

 

「そりゃこっちのセリフだ、間抜け」

 

突如空から現れたヒューストンはザーロの頭に目掛けて斧を当てようとした。

落下速度と振り下ろしを利用し、彼の体重と筋力を持って相当な威力を伴った攻撃は間一髪でザーロが殺気を感じ取り爪で弾いた。

 

「ッ!?」

 

「うるせぇんだよ、興味のねえことベラベラと」

 

「貴様ッ、死に損ないが今更!」

 

不意打ちの一撃を防いだ瞬間ザーロは恐れた、この男を。

人間では傷をつけられぬその身に傷を負わせたのだ。

 

━━━もしや、この男は私を殺せるのか?

 

その可能性を推すかのように、その存在であるが故に見えてしまったものがあった。

彼に取り巻くその存在を。

ありえない、あってはならない、あってたまるものか。

 

ただ1人の矮小な存在に━━━━

 

その存在は一瞬こちらを見て微笑んだ気がした。

それはすぐに自らの存在を隠すように靄のように消えたが、見間違いなどではなかった。

 

目の前に立ちはだかった男が低く唸るように言葉を放つ。

 

「会いたかったぜ、ザーロさんよ」

 

「貴様…契約を交わした張本人の分際で、我に刃向かおうと言うのか!」

 

「契約…あぁそうだな、したとも…てめぇの脊髄を引き抜いてやるとなァ!」

 

「ほざけ!」

 

刹那、彼の体が蜃気楼のように揺れた瞬間再び眼前に斧を振り下ろす彼に爪を振り彼を切り裂いたつもりでいたがまるで手応えがない。

 

銃声が鳴り響き頭部に衝撃が走る。

彼はいつの間にか側面に移動し拳銃で大口径の銃弾を撃ち込むが銃では効果があまりないようだった。

 

「小賢しい手を…!」

 

「頭がお留守だぞ」

 

突如頭上から通りの良い、低めの声と幾本もの装飾が施された剣が大雨の如く降り注ぎ突如現れたテキサスがザーロの顔面を切りつけた。

 

「ぐおぉ?!」

 

ザーロが振り払うように爪を振り回し、その反撃を持っていた2本の剣で受けたテキサスが弾かれ着地をした。

 

「脇がお留守だぜ」

 

テキサスを弾いたのも刹那、側面から接近していたヒューストンが斧で渾身の一撃を振り下ろした。

 

その巨躯から繰り出される暴力はかつてほどではないが相手がただの人であったのなら頭と胴体ごと切り裂き骨と肉片を砕け散らせるだろう。

 

しかし相手は異形、斧が深々と刺さりザーロは悲鳴に近い声を上げた。

 

「ぐがぁああああああああっ!?」

 

反撃に転じ地面を爪で抉るもそこに姿はない。

 

「…なぜだ、なぜ人間如きが我に傷を…!」

 

体から抜け落ちた斧と深く負った傷から黒い霧が出始める。

使っていた斧は溶けるように消え次第に存在しかったように消え去った。

 

「テキサス、ヒューズ!おっかえり〜!そっちは全部片付いた?」

 

「あぁ…こっちの面倒ごとを片付けるとしよう」

 

「最後のテキサスか…あの時お前がシラクーザの支配から逃れることを許したのは誰か、忘れたわけではあるまいな?」

 

「ヒューズのおかげだろう。私はお前に助けてもらった覚えはない」

 

「愚かな!」

 

ザーロが咆哮を上げると身震いするようなほどの畏怖が全身を駆け巡る。

絶望し膝から崩れ落ちる者、意識を失う者が出る中強き意思と覚悟を持つ者は立ち続けていた。

 

「…ヒューズ、どうやらお前の攻撃が決定打になるだろう」

 

「……不本意なことで」

 

「…やるしかないな…骨が折れる。今まで目立ってこなかったツケだ。此処で払っていけ」

 

「……本気か?」

 

「それ以外に何がある?」

 

テキサスの瞳と一瞬交わった。

覚悟を決めた者の目だった。

 

「……なるほど、辛いねえヒューストン?」

 

「ヒューズさん…今一度、貴方の力を貸してください…!」

 

「……何をする気かわからないが、死をも騙す男なんだ…勝算はあるんだろう?」

 

「オオカミ…あのグズ駄獣を倒すんだろ?オマエの牙はなまくらじゃないだろ?」

 

「ヒューズ……いつも通り、やってやろう。ね?」

 

表情には出さなかったが、内心では大きなため息をついた。

 

このクソガキ共…こっちの気持ちも知らねえで好き勝手ペラペラ言いやがって。

俺がどんな気持ちかわかってんのか。

 

頼もしい仲間たちの声にそう罵り、応えた。

 

一瞬の間、後ろ足のに力を込め、言い放った。

 

「「━━━合わせろ」」

 

テキサスと同時に溜め込んだ後ろ足の力を解放した。

まるで放たれた弾丸のように風を切る2人はさながら電光石火のようだ。

 

「アッハハハハッ!!」

 

それに続くようにラップランドが先陣を切る阿吽の呼吸の2匹の狼に、はぐれ狼は混ざるように駆ける。

 

援護のためにレオントゥッツオとルナカブがアーツと弓矢で援護を開始した。

 

ザーロの眼前を覆う勢いで迫る攻撃に鬱陶しさを感じ防ぐ。

本来なら傷すら付けられぬはずだがヒューストンの最初の攻撃から幾分か通ってしまうかもしれないと危惧し回避と防御を行った。

やはりあの攻撃のせいで人間の攻撃が通ってしまう。

 

「目障りな…!」

 

ザーロが地面を穿ち岩粒を援護をする2人へ投げつける。

 

「させないわ!!」

 

「姉さんッ!」

 

「迷うなッ! 散れ!」

 

ラヴィニアが投擲された岩石をアーツで防ぐ。

岩石が粉々になるも続けて行われる攻撃を防ぎ続ける。

ラヴィニアの防御からすぐさま2人は左右へと展開し援護を続ける。

 

「ほらほらっ、ボクの相手をしてよッ!」

 

ラップランドがアーツを乗せた斬撃を飛ばしザーロの足を切り裂く。

 

「ぐっ…!」

 

3匹の狼が追い抜き合うように接近しそれを追い払うように爪を振るう。

狙うはヒューストン、この男さえ片付けてしまえば脆弱な人間どもなどすぐに嬲り殺せる。

 

その考えはすぐに改められる。

 

「そーぉれっ、隙あり!」

 

ヒューストンのアーツで姿を眩ませていたエクシアが姿を現わした。

それは絶好の狙撃位置、ラップランドが切り込んだ脚に追撃をかけ機動力を大幅に削った。

 

「ぐがぁああああ!! おのれぇ!!」

 

「さぁさぁ、踊ろうよ!!」

 

エクシアに意識を向ける間も無く剣に雨が降り注ぐ。

数本がザーロに突き刺さる。テキサスのアーツによる複製された剣が止めどなく降り注ぐ。

外れた幾本の剣雨の合間をラップランドが駆け抜けザーロに初太刀が走る。

 

ザーロとの剣戟を打ち合う中で気配を感じた。

上だ、上空から剣を携えたテキサスが降ってきた。

 

上下からの攻撃に気付く、しかし問題はそこではない。

肝心なヒューストンが姿を現さない。

彼女たちの攻撃は囮、本命の男は━━━

 

後ろから迫る気配を感じる。

テキサスの剣を携えたヒューストンがついに姿を現した。

 

しかし、ザーロは上へと意識を向けた。

 

「何度も同じ手は通じんッ、愚か者めが!!」

 

「っ!!」

 

空から降ってきたテキサスはヒューストンが化けたものだと読み、空からの襲撃者に向かって大きく振りかぶり、異形の爪が彼女を捉えた。

 

想像を絶する威力の前脚が彼女を吹き飛ばす。

2本の剣で寸前で防ぐがその余波は建物の壁をぶち壊し、建物の中を荒らしてようやく止まった。

 

「「テキサス!!」」

 

「━━━ッ!?」

 

かつてのテキサス家をあしらった衣装と柔肌を裂き血を滴らせる。

彼女がまだ戦えると言わんばかりに立ち上がるも少し足取りがおぼつかない様子で、つぶやいた

 

 

 

 

━━━私たちの、勝ちだ

 

 

 

 

 

ヒューストンには迷いがあった。

これまでもそれだけは絶対にしてこなかった。

 

━━━自分の主人を囮に、盾にするなど、身を切る思いだった。

 

しかし、自らの主人は示した。

勝利への道を。

 

自らを半身と形容し、慕ってくれていた、大切な家族からのメッセージ。

 

 

 

 

 

━━━ブチかませ。

 

 

 

 

 

 

「━━━ぅぉおおおおおおおおおおッ!!」

 

背中に飛び乗ったヒューストンが雄叫びを上げながら剣を突き立てた。

 

「ぐぉあああああああぁああああ!!!!」

 

一層苦痛に悲鳴を上げながらザーロが必死に引き剥がそうと暴れるが離れない。

 

「ふざけんなてめぇ!!お嬢に何しやがるだテメェェッ、クソが!!!」

 

何度も何度も致命的な攻撃を目の前の化け物へと突き刺し、剣が折れても殴打し続け勢いは止まらない。

遂に地面へと沈ませ顔面へ狂ったように殴打し続ける。

 

「おのれ…ッ、おのれぇえええええ!!!!」

 

「死ねっ、死ねッ!死ねッ!!俺たちの明日のためにくたばれッ!このクソ犬野郎ォーーッ!!」

 

折れた剣を無理やり胸へと突き立てザーロが悲鳴を上げ動かなくなった。

 

とどめの一撃から一瞬、静寂が訪れた。

次第に身体が霧散してくザーロから退く。

 

「に……人…間…。我は…狼主……貴様らの…手で滅びは…せん……必ずや…舞い戻り、支配してやる…!」

 

「……勝手にやってろ、てめえの家でよ」

 

「あぁ、その通りだぜ。ついでに降りてもらうぜ、狼主からよ」

 

聞き馴染みのある声、彼からすれば数年ぶりに聞く声。

ペンギン急便の、彼らのボスであるエンペラーだった。

 

「レディース&ジェントルメン。ここに登場いたしますのは龍門から来たスーパースター。そう、エンペラー様だ」

 

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