結果気分でクロワッサンさんを描くのでよって初投稿です
昨日のソラとの仕事を終えアジトの一つ『海の底』へ帰って来た時には全員が揃い彼女の武勇を語った
彼女が武器を取り戦うことで戦果を上げたことが大いに盛り上がり再び酒盛りが始まった
エクシアのパーティを開く癖が炸裂しものの10分で酔いつぶされ意識が朦朧とし始めた時、聞き覚えの声が耳元で囁かれる
「よくやった」と
そんなこんなで初日のように馬鹿騒ぎをし今度は邪魔者も入らず酒を飲み、歌い出し、大いに盛り上がり最後には酒瓶とレコードとこぼした酒と食べ物が散らかった状態で、まるで地獄だった
そんな地獄から這い上がるようにまた仕事に向かう、それが彼女たちの日常なのだ
「ほな、今日はウチと仕事ってことでよろしゅうな!」
「よろしくお願いします、クロワッサン先輩」
「ええねんて、そんな他人行儀。 もっと気楽に呼びや」
「じゃあ…クロワッサンさんでどうでしょう」
「おぉい、変に炎国の言葉でボケるなボケるな!」
「ではあらめまして、浪花の若頭クロワッサンさんで…」
「立場が飛躍しすぎや、ていうかまた炎国ネタやないか、それとやっぱ言語ネタやないかーい!!」
そんなやりとりを騒がしくしながら車へと乗り込んだ
道中ソラの時と同じように構ってくれるといった様子だった
前は何をやっていたとか、上手い飯の話、趣味趣向の話など車内で話題が尽きることはない
特に金儲けの話をクロワッサンが副業でやっている話をした時はヒューストンは大きく反応した
「金儲け…是非俺も噛ませて欲しいところっすね…!」
「おぉ、興味あるん?」
「ちょいと、商材がありましてね…ある程度のモンならルートがあってですね…」
「ええやん、ええやん!! その話詳しく!」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ。 お代官様」
「昔の極東での呼び方かい! ウチらはええ関係になれそうやなぁ、越後屋はん!」
「「ワハハ!!」」
もうすぐ目的地に着くというのに彼らは止まらない
そうして1件目の仕事は始まる
「いつもこうなはずじゃないって、俺の目ぇ見て言えます?」
「偶々やで、ホントホント」
現在、配送中の出来事である
配送先はまさかのこの龍門に新参で入って来たマフィアでありこの地における先駆者からのありがたいご挨拶と称した爆発物の配達であった
ここは龍門、殺しは御法度であるため龍門流のびっくり箱を100倍ヤバいものに仕上げたものを知らずに配達していた
正直クロワッサンは差出人の名前からして察していたが見てみぬふりを貫きものの見事に龍門式びっくり箱は大炸裂、ここまでの話でなら正直彼らが追いかけられる謂れはないと言えば微妙だが矛先はこちらにあるようだ
頭上を掠めるクロスボウの矢と銃弾とアーツの猛攻を潜り抜け逃走中である
盾を構えるクロワッサンと滑り込むように駐車している車の壁に隠れるヒューストン、こんな時でも2人は騒がしく
「わぁああ!! 俺のケツ燃えてるって!!」
「アカンアカン! やられてまう!!」
「クロワッサンパイセン、なんとかしてくださいよォーーーー!!!!」
「あんさん戦えるやろーーーーーー!!」
「実は言うほど前線バリバリの武闘派じゃないですー!!」
「嘘つけや!! この、ハゲーーーッ!!」
正直昨日のような連中でならヒューストン単騎でも戦えるがここまで正面切って数と武器を使われては正直勘弁願いたいと言う心情
しかしそうも言っていられない、今回もぶちのめして帰る、それだけだ
「考えてもしゃーない、突破するで!」
「はぁ…了解、姐さんよ」
少しため息をついてホルスターから拳銃を抜き薬室に弾が送弾されているかをスライドを少し引いて確認する
マガジンにしっかり弾が入っているかも一瞬だけ確認して一通りチャンバーチェックを済ませ準備が整った節を伝えるため彼女の腕を少し強く握って放した
クロワッサンの全身に合わせて追従をする
何発もの攻撃を喰らうが片手で難なく防ぎ切る、フォルテと言う種族柄力持ちと言う特性があるが彼女は一際違うようだ
仮になかなかの体躯と筋力を誇るヒューストンだが彼がやるなら防御で精一杯だろう
それを彼女は片手間で接近して来た敵もハンマーで殴り倒して進む
ヒューストンは「敵わねえなぁ」と呟きながら後ろから拳銃で応射していた
仕事前に大先輩であるエクシアからゴム弾を融通してもらい今度こそ人に当てても大丈夫なようにしていた
なお、死なないとは言ってない
遠距離から攻撃してくる敵にゴム弾をぶち込み近づいてくる敵はシールドバッシュとハンマーで薙ぎ倒していく
快進撃に対して何か球体に物が飛んできた
それは手榴弾だ
「うお、やべやべやべ!」
急いで手榴弾を投げ返すとある程度向こう側でで起爆しあたりに少量の煙と破片を撒き散らす
これまで攻撃した内容も十分殺傷能力が高い物だ、どうやら龍門の流儀を僭越ながら新入りの彼が教えてやると心に決めた
ついでに生まれて来たことも後悔させてやるとも誓った
投げ返された手榴弾で逆に怯ませられたところを好期とみて「突っ込むで!」「応!」と走り始めた
敵を薙ぎ倒し敵陣のど真ん中へと突っ込んだ
クロワッサンの剛腕でどんどん薙ぎ倒し、ヒューストンも拳銃と拳を駆使してクロワッサンほどではないが敵を倒していく
最後に残った親分を残したところまで追い詰めた
「お、お前たち何者なんだ!?」
「ウチらか?」
「聞いて驚け、この龍門に名を馳せる━━━」
「ペンギン急便や!」
「クロワッサン商会だ!」
「…ん?」
「そこは息合わへんのかい!!」
「へへへ」
一瞬の静寂が流れクロワッサンの盛大なツッコミが炸裂した
ヒューストン本人は少しだけ申し訳なさそうな顔をするがまぁ楽しいからいいやと言った様子だった
「さぁて、ウチらの車と荷物お釈迦にされてもうたし…」
「散々やってくれたよなぁ? 俺たちの慰謝料と装備の補填と修理と周辺の皆様への弁償と色々あるぜぇ?」
ジリジリと迫り来る2人を止める術はない、結果は言うまでもなく詰みだった
「ま、まて、何が欲しいんだ! 金か!?いくら欲しいんだ!!」
一呼吸起き顔を合わせた二人は再び親玉の人物に向かって悪魔じみた笑顔と声色で応えた
「あんさんの命の値段はあんさんで決めな〜〜〜〜!!!」
「てめぇの命の値段はてめぇで決めな〜〜〜〜!!!」
「うわああああああああああ!!!!!」
龍門の一角、そこでとても大きな大きな悲鳴が聞こえた
帰って来た2人はホクホクとしていた
怒られはしたがなんやかんや丸く収まってしまう
おいでよ龍門の街、ここは彼らがいる限り退屈はしないだろう
短いけど、これでワッサン編は終わりなんだぜ…