三下とテラの日常   作:45口径

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お久しぶりです、本編にまつわる最後の話なので初投稿です


マザーウルフはかえらない
襲来、マザーウルフ


シラクーザでの出来事から数ヶ月が過ぎようとしていた。

ヌオバ・ウォルシーニにおけるペンギン急便の活動は活発的であった。

メンバーはそれぞれの役割を担い忙しなく、まさに飛び回っているようだというべきだろう。

 

端末に送られてくる出来事や添えられた写真に映る物語は見ていて飽きないものだ。

そう感じながらもベッドの上で退屈と虚無感とも言える時間からそろそろ解放されたいと天井を見上げた。

 

医療機関らしく清潔で人の手の行き届いた施設は珍しい。

そもそもこの世界における医療機関はそこそこに金がなければそのサービスを受けれない上感染者ではないことが前提でもあった。

 

こうして感染者な上、鉱石病とは別の特異な病を患い、金もいうほど持っていないという状況下にもあるにも関わらずこうして手厚い治療を受けれているのはロドスと、ペンギン急便のボスであるエンペラーのおかげであると言えるだろう。

 

自分を退屈させないと励ましてくれる仲間たちとここまでしてくれているボスに感謝しながら退屈しのぎに巻いている煙草で山ができそうな程だった。

 

エクシアやクロワッサンの配達や販売の話、ソラのMSRにおけるアイドルとしての活動のこと、テキサスが時折見舞いにやって来る事、各所からやって来るレオントゥッツオやラヴィニア、そしてジョヴァンナの現在が入り込んでくる。

 

ヌオバ・ウォルシーニもシラクーザの一部であるという認識である以上もう二度とその地へと足を踏み入れないことを誓った彼にとっては関係のないことだが個人として出会った彼らには関心があった。

 

一連の騒動が終わった後ロドスへと再度入院しリハビリに励み経過観察としてこの艦に身を置く至る。

 

ヒューストンは憂鬱だった、煙草を吸えない現状とあの時から残っている最後の疑問が解けぬことに。

 

シラクーザで残った最後の疑問、それは彼を目覚めさせるために契約を交わした存在だった。

かつてゲームをしていた狼主たちザーロを倒すべくヒューストンと契約したものと思い込んでいた。

ザーロことやテキサスのことを知っている以上シラクーザに舞い戻る前、シラクーザからテキサスを連れ出したあの時も関係はしているはずだ。

 

しかし依然動きはない。

ザーロの経験からまたしつこく何かしてくるのだろうと踏んでいる以上心休まる事がなかった。

 

ふと、病室の扉が開きやってきた人物は見覚えのある人物と、忘れもしない顔だった。

 

巻いていた煙草が手から溢れ形を崩し巻紙やフィルター、要の煙草葉が舞うように床に舞落ちる。

 

自分のボスであるエンペラー、自分の特異な症状の検査に来たケルシー、そして1人の美女。

 

妙齢ほどで非常に整った顔立ちに漆のような黒い髪、端正な顔に綺並ぶまるで深い海を想像させるような蒼い双眸と真っ先に視線が交わった。

 

瞬間意識はより覚醒したと同時に目の前の光景が理解できず固まってしまった。

 

その女は無表情で瞳の光は沈みがちな印象だったがそれは一瞬だけだった。

段々と口唇を上げ、目を爛々と輝かせ今にも飛びかかってきそうな気迫さがあった。

その様子はかつてと何も変わらない姿、ヒューストンの、否、シンシア・ローグライトの唯一の存在。

 

「………………か、母さん…?」

 

「んんんんん〜〜…!!!シンシアちゃぁ〜ん!!!!!」

 

感極まったように唸ったかと思えば公共の施設に、ましてや人に目のかかる場所で大きな声で、抱きついてきた彼の母親だった。

 

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