三下とテラの日常   作:45口径

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普通にこれでええんか…? って考えながら書いてたので初投稿です


三下とトリガーハッピー先輩 その1

「イエーイ!!オラオラオラーッ!!!!」

 

「う゛おおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「ほおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「「「ぎゃああああああああ!!!!」」」

 

感極まった声と笑顔で銃をぶっ放しまくり迫り来る敵を薙ぎ倒す大先輩のエクシア

 

一方同じく仕事という名のパーティに同伴してガンギマった声、一種のコンバットハイな状態で叫び定常円旋回を爆速で繰り出して叫んでいた

 

育ちが良く上品を取り繕うもやはり楽しいことには目がなく大笑いが堪えるどころか大爆笑し愉快な声を上げている今回の依頼主のマダム・フラワー

 

案の定、ぶちのめされるアホどもの叫び声

 

このドライビングテクニックはただハンドルを切ってアクセルを踏むだけではない

細かい説明は省略させてもらうが彼の培ってきた経験を活かして近づくに近づけない状態を作っている

 

エクシアもそんな爆速で暴れ馬のような運転に箱乗りで銃をぶっ放し敵を倒す技術は才能と培って来た技術の賜物だろう

 

どうしてこうなっているのだろう

そんなことを考えながら依頼を受けた時まで遡る

 

 

 

 

「護衛任務ですか」

 

「へぇー! 人を運ぶなんて珍しいねボス!」

 

「そうだ、今回は人を運ぶ。 金払いもいいが、ちょいと昔の知り合いでな」

 

今回はボスが持って来た依頼、護送と警護だった内訳としては龍門を離れ移動艦隊のロドスへと向かうと言った内容だった

 

「依頼主はフラワーカンパニー取締役のマダム・フラワー…」

 

「マダム・フラワー様っすか!?」

 

驚きの声を上げたのはヒューストン

ちゃっかり全員分のコーヒーを配り終え座ったと思ったら今度は一瞬立ち上がり再び座った

 

現在は鉱石病患者に対する慈善活動家で元よりさまざまな事業を成功させ莫大な資金を得て会社は息子に引き継いだが最近ついに症状が発生してしまい治療するため入院させる道中を送り届けて欲しいらしい

恨みを買うことは少なくなかったので腕の立つペンギン急便のメンバーを起用したとのことだった

 

「なんだ、もしかして知り合いか?」

 

「えぇ、まぁ…知ってるも何も、実は運転手やってたんすよ、ヴィクトリアで」

 

「「「えぇーーー!?」」」

 

衝撃的なカミングアウトに数人が驚いたような声を上げた

 

かつてヴィクトリアでフラフラしている時声をかけられてなんやかんや運転手をしていた過去だったが冷静に考えたらあまりにもイカれていたと思う

 

普通は独自の護衛チームに加え傭兵や民間軍事会社の人間を雇うだろう

サルカズの傭兵団やBSWなど最たる例であった

 

それでも独自でチームを編成できるほどのコネと財力を持ち合わせているので必要はないだろうが

 

そこらのぽっと出のマフィア崩れに「仕事探してるなら、私の運転手してちょうだい」と言われ「へへへー!!! これからよろしくお願いしますぅー!!!!!!」などと軽すぎる頭を下げて雇ってもらったのはそれほど遠くない思い出話だ

 

あの時は飢えていて死の6歩前だったことをよく覚えている

 

「まぁとにかく、明日送り届ける予定だ。 2台で分譲して向かう」

 

そんなこんなで各自解散ということで明日まで自由時間を設けられた

 

ブリーフィングというには簡素すぎるがペンギン急便の就労規則第一条『細かいことは気にするな、邪魔するやつはぶん殴れ』ということで細かいことは考えず明日を迎えるため眠りにつく

先程行ったゲームにより負け組で最下層で地を這い太陽こと大富豪に跪く大貧民になったヒューストンは地面で寝ることになっていた

 

床は冷たかった

 

 

 

 

 

翌日、p.m.20:27 天候/晴

 

ペンギン急便の面々は依頼主を待つべく合流地点の倉庫で待機していた

一見暇そうにおしゃべりをする身麗しい彼女たちの姿はお近づきになりたいと思う男心が働くと思うだろうが知る人ぞ見ればペンギン急便のフルメンバーが総出で仕事に当たると言うとんでもない光景だろう

 

「テキサスはん昨日寝言で『おい』っていうたら寝ながらヒューズはんが『はい』言うて爆速で返事して自分の毛布かけてんねん」

 

「…言ってない」

 

「言ってた言ってた! ヒューズったら寝ながら毛布かけてたせいで首がすごいことになってたから笑いすぎて起きちゃったもん!」

 

「え、そうなの!? 私ぐっすり寝ちゃってた…さすが、テキサスさんを信仰する先輩だね…」

 

「全然身に覚えがないっすよ…」

 

「オメェめちゃくちゃテキサスに調教されてるじゃねえか、大したモンだぜテキサス」

 

「…そんなこと…してない…はずだ」

 

すると1台の高級車と護衛の黒塗りの車が到着し降りて来た護衛チームの一人、ヒューストンは顔見知りの人間だった

 

「ヒューストンじゃねえか、やっぱ生きてたか!」

 

「俺が死んだって信じるってやつはいねえだろうよ、ラーズ」

 

手をハイタッチの要領で手を組みお互いの方を軽くぶつけてあった

軽く挨拶を交わすと同時に後ろから少し鋭い視線を感じた気がした

 

「あー、例外もあったみたいだけどな。それより小隊長になってるなんて驚きだ」

 

「まぁな、今だけ秘書もやってる。 じゃあミス・フラワーにお目通りしてもらおうか」

 

付いてこいと手を動かし依頼主の元へと案内された

エンペラーに続きメンバーたちが付いていくと後部座席の窓が開かれる

 

「ご機嫌よう、ミスター・エンペラー」

 

「相変わらずお上品そうに纏ってやがるなフラワー」

 

「ほほほ、そうしないといけないのがこっちの業界よ。今日はよろしくね」

 

「それと」とヒューストンに首を向ける

 

「久しぶりね、ヒューストン。やっぱり当然のように生きてるわね」

 

「お久方ぶりですミス・フラワー」

 

礼儀正しくお辞儀をし挨拶をすると「変わらないわね」とくすくす笑った

 

「あなたが居るからには期待がより大きくなるわね。よろしくお願いするわ」

 

そう手を振り窓を閉め自分たちの車両へと向かう

 

「すごいじゃん、ほんとに知り合いなんだー!」

 

「まぁ、本当に色々あって…」

 

扉を開き助手席にエクシアが座ると後部座席に布が被せてある物体を指差した

 

「そういえばこれ何?」

 

ヒューストンが布を剥がすとどうやら衣服を着せたマネキン、ミス・フラワーを模したダミー人形だった

あくまで氏をイメージした服を着せただけだが

 

「いつの間に用意したの!?」

 

「まぁ気休めみたいなもんっすよ」

 

「あら、じゃあこのお人形ちゃんをあっちの車に乗せればいい感じじゃない?」

 

「それは向こうの考え次第で…」

 

声の主に気づくのに一瞬遅れたが振り向くとそこにはミス・フラワーとラーズがいた

 

「ミス・フラワー、流石にそちらのチームの車両に乗っていた方が…」

 

「実はね、ちょっと考えあるの」

 

ラーズを見るととあるサインを出して来た

ただの護衛任務かと思っていたがそうではないらしい

通信機を使いメンバーに呼びかけ集まってもらった

 

ラーズ達が元の黒塗りの車に乗り込み出発を始めた

先陣をまずはエンペラーとクロワッサンとソラの乗る車両、次に護衛車、VIPの車両、護衛車と出発し最後にヒューストンの車両だった

 

「本当に良かったんですか…ミス・フラワー」

 

先ほどまで動くはずもないの位置にいたのはミス・フラワーだった

婦人は衣服を取り替え入れ替わったのだ

顔をあげて「ほほほ」と笑い始める

 

「元よりこっちに乗る予定だったのよ。それに、こっちの方が楽しそうじゃない?」

 

「お戯れを…」

 

「まーまー、楽しいことならまっかせてー!」

 

グッドサインをエクシアは立てそれに「期待してるわ」同じくグッドサインを立てた

女子会だと言わんばかりに車内が騒がしくなったところでブレーキを離してアクセルを踏み追従を始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

『各自、状況を報告せよ』

 

ラーズからの無線だ

打ち合わせ通りの合図だ、各車異常なしの連絡を伝え終え無線の電源を切った

追従していた前の車両が交差点を通過し、ヒューストンは左折をした

 

「ヒューズ、ぶっ飛ばして!!」

 

「了解だ姉御!!」

 

時間帯もあり交通量が多くないこの道路はアクセルを踏み込み一気に交差点から離れた

 

「おい、後ろのペンギン急便の連中曲がっちまったぞ」

 

「あぁ? どういうこと━━━」

 

護衛2号車の中で、無線機のスピーカーから心地よい音楽が聞こえてくる

その音楽はだんだんと意識を奪い、眠りへと誘った

 

 

「上手くいったかな…?」

 

先程無線のスピーカーから流れて来たのはソラのアーツを乗せた歌だった

リラックスの効果があるメロディーと声、そして中枢神経に多少の影響を与えられるソラのアーツで眠らない方が難しい

 

クロワッサンとエンペラーが耳栓を外し後ろを見るとみるみる速度を落としてのろのろと車線を外し緩やかに停止した

 

「成功や!」

 

「よっしゃ、んじゃあふん縛ってボーナスをいただくとしよう」

 

出発前のこと、ミス・フラワーは護衛チームの全員が敵と内通していることを事前に察知していた

情報源であり信用できる部下のラーズを無理やり秘書にして編成しペンギン急便を雇い今に至る

 

できれば生きたまま捕まえたいらしく一人ごとにボーナスが発生すると言う話を急場で先程伝えられたのだが金をもらえるのであればやらない手はない

 

拘束用の道具を持ち沈黙していた車両からまだ意識がある隊員が出てくるがそんな意識が朧げな状態では相手にもならずたちまち拘束されていった

 

最初の護衛車組を片付けVIP車に近づくと勢いよく扉が開き眠たげなラーズが車から降りて来て一緒に乗っていた隊員2名を捕縛し始めた

 

中から上品な服を纏った女性、ミス・フラワーに代わったテキサスが出て来た

 

背丈とマフィア時代に上目のものとして身についていた上品な動きをしてミス・フラワーに成り代わっていたのだ

 

気づかれる前提で源石剣を忍ばせていたが案外気付かれることなく、荒事になる前に鎮静化できた

 

「さて、ヤツらの襲撃隊がくる前にここを離れるぜ」

 

「そんな心配は必要ない」

 

突如ラーズがクロスボウを後ろから構えて来た

待ってましたと言わんばかりにゾロゾロと取り囲んできた

 

「…こいつはフラワーの指示か、それともお前のの独断か…」

 

「さぁな、どうだっていいだろう。 あんたらを捕まえてボーナスをもらえる。 傷がない方が高くつくが、まぁ半殺しでもいいだろうな」

 

「なるほど、一杯食わされちまったわけだ。終わりだな…」

 

エンペラーは葉巻を取り出して火をつけた

観念した様子のエンペラーを見て薄ら笑いを浮かべながら近づいて来る

 

エンペラーは紫煙を吐き出し煙は夜空へと溶けていく

 

「てめえらがなッ!」

 

突如爆発が起こり戦闘が始まった

 


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