三下とテラの日常   作:45口径

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かけるときに書くので初投稿です


三下とトリガーハッピー先輩 その2

車列から離れたヒューストン達は別ルートを使いロドスとの合流地点を目指していた

ルームミラー越しに後ろから接近する2台の追っ手に気づく

 

「来ましたよエクシアの姉御、よろしくお願いします!」

 

「よぉーし、ようやく出番だね!」

 

「お手前拝見ね」

 

お楽しみがやって来たと2人は盛り上がり始めエクシアが身を乗り出し始める

正確な狙いを定めたゴム弾で牽制射撃かけるが敵は強気に突っ込んできた

どうやら防護ガラスらしい、エッチング弾でなら直ぐに破れるほどだろうが貫通力が皆無に等しいゴム弾では相性が悪すぎた

しかし彼女はニッと口角をあげ特注の強装ゴム弾の入ったマガジンを込める

 

「見てろ〜!」

 

エクシアが断続的な連射をしなかなか通らなかったガラスを撃ち抜いた

同じ着弾地点を狙いほぼ全ての弾を当てていたのだ

 

ガラスをぶち破られ怯んだのか速度を落としたのを見逃さない、すかさずスピードリロードを完了させ運転手に撃ち込むと車両は右往左往し電柱に突っ込んだ

 

もう一台がエクシアの銃撃の嵐を逃れ運転席側のヒューストンへと並走し始めた

 

それを見計らって窓を開けてヒューストンが銃を抜き数発撃ち込むが並のゴム弾では歯が立たないことを察知し腰の左側、服で隠したベルトの左側の大型ナイフを逆手で構えるとハンドルを大きく切り並走車に寄せた

 

その勢いに合わせてナイフを渾身の力で防護ガラスに突き立てた

刀身はガラスの半分まで突き立て一度引き、素早く順手に持ち変えて柄で殴るとガラスは粉々になった

 

負けじと反撃をしようとボウガンを構えるが一瞬早くヒューストンは座席を倒しそこをエクシアが放った銃弾が通過した

一方遅ければ敵に撃たれたか彼女に撃たれたかわかったもんじゃない

運転手もろともゴム弾で滅多撃ちにし車はクラッシュした

 

「今の凄かったねー、ヒューズ銃撃つより殴った方が強いじゃん!」

 

「普通の弾だったらもっと手間なく片付けてましたよ。 てか姉御どうやってゴム弾で通したんです?」

 

「同じとこ当ててただけだよー?」

 

「…マジですか?」

 

「お二人さん、新手よ新手!」

 

エクシアの技術に恐れ慄いていたのも束の間、新手が合流して来た

 

「野郎にモテるのは嫌なんですけどねぇ」

 

「かかってこーい、チンピラどもー! ペンギン急便が相手だー!!」

 

 

 

 

 

 

数台の追っ手を始末しては増えていく様はまるでゾンビ物の映画を彷彿とさせる

何体倒してもゾロゾロと湧いて来る敵にうんざりし始めた頃だ

 

「一体何匹いるんだよこのアホども…」

 

「おっ、話に聞くヒューズが口が悪くなるやつ来たね〜。 音楽かけちゃお」

 

「余裕なくなって来たんすよ!」

 

「あら、また追って増えたわね」

 

バカの一つ覚えのように追って来るが数が尋常ではなかった

そして敵の妨害により行き止まり、外部都市からの輸入埠頭へと導かれてしまった

 

「ありゃりゃやっちまったね、ヒューズ。 こっちは行き止まりだよ〜」

 

「マジですか、やっちまった…」

 

「こうなったら来たやつ倒しまくって来た道戻るしかないよー!」

 

埠頭に全速力で飛び込めば当然テラの広大な大地へと真っ逆さま、そのまま引き返しても物量で押される

ここで少し削るにしても2人では無理がある

 

が、後者をやるしかないようだ

 

「エクシアの姉御、準備はいいか?」

 

「もっちろん、任せといて!」

 

ブレーキとハンドルを駆使してスリップさせ向きを180度変える

停止して待ち構えていると続々とある程度距離をとり取り囲んで来た

十分に取り囲まれ降りて来たところ見計らってアクセルを全開に踏み込んだ

 

しかしそのまま突っ込まず踊るようにスピンを始めた、ある程度距離をとって様子を伺うことは間違いじゃないがここは龍門で相手がペンギン急便でここの地面が砂まみれだったのが運の尽きだ

 

「パーティの時間だッ!!」

 

激しい旋回をしながらエクシアの正確無比な銃撃の雨が奴らを襲い降りて来て捕らえに来ていた連中を薙ぎ倒してゆく

 

「イエーイ!!オラオラオラーッ!!!!」

 

「う゛おおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「ほおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「「「ぎゃああああああああ!!!!」」」

 

「な、なんだありゃあ!?」

 

まるで今車内に流れているロックのように嵐のように暴れ回りある程度倒しまくり見切るをつけることにした

その場で止まり砂煙が去る頃にはボコボコになった車とゴム弾をしこたまくらい呻いている連中だけだった

 

ふと横を見ると運良く生き残った一人と目が合いエンジンを蒸して腹の底から大声を出す

 

 

「パーティにようこそ!」

 

 

あまりの剣幕さに気圧されそのまま逃げ去った

 

「ほっ、ほっ、ほおおおおおお!!!」

 

婦人はこの出来事に前のシートをバンバンと叩きながら笑顔で奇声を上げていた

 

「サイコーだね! 銃ちょうだい!」

 

彼女は先ほど全て撃ち尽くし弾切れのため自分の銃を投げ渡した

埠頭の出口へ向かってアクセルを全開まで踏み込むと敵の銃撃を受けフロントガラスに穴が開き前が少し見えづらくなるがエクシアの軽い身のこなしを使った蹴りとヒューストンの拳が同時に炸裂しフロントガラスは吹き飛ばされた

 

全速力で埠頭を駆け抜けるが出口でバリケードを作っていた

先ほどの嵐を逃れ恐らく最後の集結をしたのだろう

バリケードのせいでこれでは車幅が狭すぎて通れない

 

「もぉ〜、しつこいなぁ!」

 

応戦をするがエクシアの大型ラテラーノ銃に比べれば豆鉄砲だ、これでは勝てっこない

 

「姉御、フックを撃ってコンテナを落とせ!」

 

指刺す方向に目を向けると鉄骨を吊り下げているクレーンを見つけ素早く数発撃ち込みフックから外れたコンテナが落下する

何も考えず指示通り落としたが彼女は何か相手に影響を及ぼすとかんがえていたが、しかし待ち構える位置とは手前に落ち轟音を鳴らしながら地面に着地した

 

「全員覚悟決めな! 突っ込むぞ!!」

 

2人が身を屈める中コンテナに向かって突っ込む

左右に素早くハンドルを切り片輪を浮かせた

 

「最後の大技だバカヤロー!!」

 

そのまま先ほど落としたコンテナに浮かせたタイヤを当てると同時にフロントの部品が吹き飛ぶ

 

「おわわっ!?」

 

重力には逆らえずエクシアがヒューストンに着地した

ガリガリとボディーを削りながらコンテナで片足走行を整えてそのままバリケードに突っ込む

狙いは車と車の間の僅かな隙間である

 

微調整で安定させて来る中当然連中は撃って来る

エクシアはヒューストンに身を預け、狙いを定め立ちはだかる残党に撃ち込む

 

 

そしてこの場にいる全ての人間が自分たちの世界が映画のスローモションのようになったと錯覚した

 

突っ込んできた車から逃げる者、必死に止めようとする者、瓦解するバリケード

 

散らばる車の破片、散らばっていく薬莢、その世界を彩るように光る砕けたガラス片

 

エクシアが最後の最後で打ち込んだ弾丸が一人の頭に見事命中し、ルーフがもげとれ頭に何か掠った気がしたヒューストン、その瞬間を全てを見て目を輝かせていた婦人

 

その全てが一瞬だった

しかしこの場にいる誰もが長い長い夢を見ているようだった

 

薬莢の一つが地面に落ち特有の金属音を鳴らす

 

浮いていた片輪を地面に着地させ全ては片付いた

 

 

 

 

p.m 01:21 ロドス・アイランド 合流地点

 

「もうすぐ時間だが…大丈夫なのか? こちらから打って出ることも可能だが…」

 

「やめとけ、今あんたらここでの活動権限がねぇんだろ。 それにもうすぐ…来たぜ」

 

ロドス・アイランドの回収チーム、ドーベルマンは先ほど報告を受けたばかりであり対応しようにも龍門での作戦活動が許可されていないため下手には動けない

 

何もかも後手に回ってしまいできることなどないがどうやら杞憂だったようだ

 

屋根が外れてボロボロの車体の車がやって来たかと思えば仁王立ちした人物が見える

ミス・フラワーである

 

華麗にドリフトを決め砂煙を上げる

皆が咳き込み目を覆うが砂塵を掻き分け威風堂々と歩く者がいた、ミス・フラワーである

 

サングラスを少しずらすとドーベルマンと視線が合い「私が地獄の一丁目、ヘル・フラワーよ」と再びサングラスをかけ立ち去っていった

ミス・フラワーである

 

「…依頼達成…だな…? よ、よくやってくれた、また追って連絡する」

 

ドーベルマンがその後を追いかけたため仕事は完了した

 

「ありゃあ、違う治療を受けることになるかもね〜」

 

「何がどうなったらあんなんになるんだよ、エクシア」

 

なぜかサングラスを掛けているが少し外してピースを作るエクシア

 

「地獄の2丁目、エクシア…戻って来たよー!」

 

「え、なになに? それ流行ってるん?」

 

車のをドアを閉める音で皆の意識がそちらに向く

少し影がかかっていたが光を浴び、その姿を照らす

 

頭髪の中央部を前髪から後頭部にかけて雑に刈られ額には炎国語で地獄と書かれ、ジャケットの袖をは無惨にちぎられ、シャツは明らかに誰かから破られそのままというほぼ上裸の状態という荒くれた場末のサルカズ傭兵すらやりそうにない着こなしを見に纏い現れた

 

「地獄の3丁目、ヒューストン…只今参上しました」

 

レンズを星の形をあしらったサングラスを外した時…「ぶっ!」と誰かが言って吹き出した

それを皮切りに全員が、あの笑顔ですら滅多に見せないテキサスでさえ大笑いした

 

「コイツこそ医者に診てもらうべきだろ!!」 




ドーベルマン「絶対に送って来るな!!!!!!」

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