夕刻の少年の夕影、鮮明になって   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回で最終回になります。

それではどうぞ。




第7話 あの日見た黄昏の空

そして現在。

 

「……モカちゃんは幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし」

「ちょ、なんか違う話になってる!」

 

昔の話のオチが違う事をモカに突っ込むひまり。

 

「けど、実際、自分達の事ながらいい話だな、これ」

「だね。いやあ~、青春真っ只中だ、私達っ!」

 

そして気がつけば、長話している事に気づく6人。

 

「ていうか、バンド名、危うく『紫外線』になるかもしれなかったのかと思うとウケる!」

「『紫外線』か『成層圏』だからね~。やばいよね」

「『万物』も捨てがたいインパクトあるな。ははっ」

「いやいや、ひーちゃんバンドの可能性もあったんだよ?」

「「あー……」」

 

夏々の言葉を聞いたモカと巴は、あー、確かにー……とばかりに頷いていた。

 

「そこでなんで頷くの!? まあ、でもAfterglowに落ち着いてよかったあ~。……っていうかさ、思ったんだけど、蘭って昔の方が素直だったよね?」

 

話は変わり、今より昔の蘭の方が素直だったのではという話題に。

 

「あー、確かに」

「別に……あたしは変わってないよ」

「まーまー。でも実際、あの時つぐちゃんの一言がなかったらAfterglowはなかったわけだし」

 

ちょっとだけ拗ねてる蘭を夏々が宥めながら、あの時の事を言う。

 

「だねー。あの日から私達の毎日って、今までとは全然違うものになったよね」

「そうだね。曲を練習したり、その為にスタジオを借りたり……初めてライブに出てみたり!」

「初ライブは文化祭だったもんね~。講堂でライブ……緊張したあ~……」

「一般人のボクでも遊びに行っていいって話だったから、蘭ちゃん達の初ライブは凄く楽しめたからねー。それ以降のみんな、生活がバンド中心になったよね。良い意味で」

 

ちなみに当時Afterglowの初ライブである文化祭で、夏々が噂になり5人がクラスから話を聞かれたのは別の話。

 

「そうだな。それにバンドを始めてみて、みんなの事が前よりも分かった気がする」

「あー。演奏してると本性っていうか、自分でも気が付かないような素の部分が出たりするかも」

 

ひまりの言う通り、夏々も手伝いをして分かったが、演奏してる時の5人は違う一面を見せる事があるのだ。当人達も気が付かない素の部分というやつである。

 

「トモちんはアツくなるとリズムが走るよねー。あとは観客の声援に煽られると走る」

「あ、はは……自覚はあるよ……」

 

モカの指摘に巴も自覚があったのか、苦笑い。

 

「初めて録音したこれ……そういうみんなの一面がすごくよく出てる気がする」

「確かに! そう考えると、この録音……私達の原点って感じするよねえ」

「原点、かあ……!」

 

そう考えると、色々と感慨深い。

 

「この曲があるから今のアタシ達があるんだ。これからも、それは大切にしていかないとな。……ちょっと照れくさいけどな」

「うんっ。私この曲、大好きだもん」

「私も好き! やっぱり、思い入れもたくさんあるしね」

「あたしも~」

「ボクもー。蘭ちゃんはー?」

「あたしは……」

 

蘭は思う。

1人ぼっちでいた屋上が、モカと夏々の3人の場所になって、それが、6人の居場所になって……そんな自分に手を差し伸べてくれたのは……

 

「この曲も、みんなも……あたしの誇り。これからも、ずっとね」

 

ここに居る5人の幼馴染みなのだから。

 

「蘭ちゃん……!」

「おお~、蘭が笑った~」

「ホントだ」

「だから、あたしだって笑うってば!」

 

自分だって笑う時は、笑う事を指摘する蘭。

 

「バンドを結成した時もこんな風に笑ってくれたよね、蘭! も~、蘭ってホントに私達の事好きなんだから~。私達も蘭が大好きだけどー!」

「はぁ!? うっさい!」

 

ひまりに褒められ半分、からかわれ半分な事を言われ……

 

「蘭、もっかい今の顔して。写真撮るから」

「しないし!」

「え~。ひーちゃん、もっかい蘭をさっきの笑顔にしてよ~」

 

割としょんぼりした声なモカ。

 

「蘭、大好き! 蘭、素直じゃないところも可愛いっ」

「マジ、やめてよ! 巴! ひまり、なんとかしてよ……!」

 

恥ずかしくて耐えられなくなったのか、巴に助けを求める蘭。

 

「照れてる蘭も可愛いぞ?」

「巴、ぐっじょーぶ!」

 

だがそれも虚しく、珍しく悪ノリな巴であった。

 

「巴まで……! つぐみはそんな事言わないよね?」

「えっ!? えっと……でも蘭ちゃんが笑顔になってくれたら嬉しいし……さっき言った事、からかってなんかいなくて全部本当の事だし……」

「直球だ……」

 

つぐみには直球で言われる始末である。

 

「マジで、恥ずかしすぎてもう死にたい……」

「まーまー、蘭ちゃん」

「?」

 

すると夏々が蘭の肩に手をポンと置き……

 

「恥ずかしがる蘭ちゃんも可愛いよ? 蘭ちゃん萌え☆」

「~~~~~~っ!?」

「そもそも()()()()()が可愛いのは、ここに居るみんなが知ってる周知の事実だしー♪ ボクにとっては自慢だしー♪」

「「「「~~~~~~っ!?(そういうところがズルい……!)」」」」

 

笑顔で止めを刺した。羞恥のあまり、ポコポコと夏々を叩く蘭。しかもさり気なくモカ達も可愛いと褒めている。それを聞いたモカ達の顔は真っ赤である。

 

「……夏々。また急にいなくならないでよ?」

「? 蘭ちゃんはエスパー?」

「幼馴染みの勘。みんなも同じ事、思ってるから……ずっと一緒だから」

「そっか♪」

 

今でも思う。夕焼けを見たあの日、その中にはちゃんと自分が含まれている事を知る夏々なのであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。

それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。
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