ウマ娘に転生したけどやべえのと同期なんですが…   作:sannsann

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日本ダービーとその後

 

 

 

『さあ、アサオンクライに続いて無敗の2冠となるか、大注目の日本ダービーが今……スタートしましたッ!』

 

うん、皆良いスタート。

10番が逃げてるね…。

奴は…後ろ目か、いつも通りだね。

そして今回の奴の人気倍率は…驚異の1.1倍…。

大丈夫?これダービーだよ?

 

 

『さあ…1000メートル通過タイムが……59.9…平均よりやや早めか』

 

『オークスのときと違い、隊列はやや長めとなっております』

 

そしてアドマイヤちゃんは…うん中団の前より…いい位置だね。

頑張れ、奴に勝ってくれてもかまわんのやで。

 

 

『大けやきを超えて最終コーナーに向かう!

 後続もスパートをかけてきた!』

 

『府中の直線は長いですからね、ここからが勝負です』

 

逃げウマは…潰れたか。

アドマイヤちゃんも思ったより伸びない、どうした。

そして奴は…。

 

『速い!速すぎる!まるで一人だけ空を飛んでいるようだ!』

 

『すごいですね、後続も頑張っているはずなのに、グングンと引き離します』

 

やはり速い…。

なんだあの加速は。

これダービーだぞ、なんで圧勝してるんだよ。

 

『今、2着を大きく引き離してゴール…インッ!』

 

観客が大歓声をあげる。

 

『これでアサオンクライに続いて無敗での2冠達成!』

 

奴がこっちに視線を向けてニコッと微笑む。

うむ、かわいいなちくしょうめ。

 

そして、ワアアッ!と一際大きな歓声があがる。

 

『でました、2本目の指立て!

 これはもう行くでしょう!

 いや行ってくれ!

 そして我々に見せてくれ!

 無敗でのトリプルティアラと三冠の同時達成という歴史的瞬間をッッ!!!』

 

 

ふふふ、所詮奴のしていることは私のモノマネ。

私が先に2本指立てたからな、どうしてもファンは私の印象のほうが強くなる。

ふふ、今の私は非常に気分がいい。

奴にも笑顔をわけてやろう、ふふふ。

 

 

 

 

 

 

翌日の新聞は予想通り奴の写真か、それか私達二人の写真が一面を独占していた。

…あれ?この新聞紙、なんで私奴とほっぺたをくっつけているんだ…?

なんか距離感近くない?

そもそもこんな写真撮ってもらったかな…。

あと二人の馴れ初めとかいうコラムなんだこれ。

リトル時代の写真とかどうやって入手したんだ。

これ情報提供者だれだよ、やけに詳しいな…。

っていうか、二人は親友以上の存在ってどこ情報だよ、所詮ライバルなんだけど…。

奴からしても私なんて単なる並走相手程度だろうし…全く適当な記事書きやがって。

本紙独占インタビューとかあるけど、私インタビューなんて受けてないぞ!

……まあこの写真のセンスは認めるけどさ。

 

 

 

 

あれから宝塚記念を魔女っ子の先輩が勝ったりなんやかんやと春のG1シーズンは終わった。

次は秋華賞…それに向けてトレーニングを開始だ。

最後のティアラ…絶対に皆、今まで以上に必死でくるだろう。

クラシックにおける冠・ティアラに挑める権利は人生に一度きり。

私一人に独占なんかさせてやるか!トリプルティアラを阻止してやる!と、今まで以上にマークもきつくなるだろう。

ライバルは、桜花賞やオークスで争った子たちだけじゃない…春は芽吹かなかったけれど、夏で一気に才能を開花させて挑んでくるウマ娘もいるはずだ。

 

絶対に負けられない。

負けたくない。

勝ちたい、絶対に勝ちたい。

最強になるんだ……チヤホヤされたいんだ!

鼻高くしたいんだよ!

 

今?今も最高だよ!トレセン学園でも色んな子たちから声をかけられる。

うん、ぶっちゃけ超気持ちいい。

ら、ライスちゃんにも声をかけてもらった。

頑張ってねって言ってもらえた。

可愛すぎる、思わずギュッとしたくなる衝動を我慢した。

そのかわり、トリプルティアラをとったらギュッとしてくださいってお願いしようとした。

する直前に奴が割り込んできて結局言えなかったが…ううむ、奴もライスちゃんファンなのだろうか…こんなところでもライバルにならなくていいのに。

 

あとは、外を歩けば結構キャーキャーいわれる。

この世界、人柄が良い人ばかりなのか、変な人は未だ遭遇したことがない。

皆違って皆いい、を地を行く人達ばかりで、純粋な応援だったり、他の子のファンだけど頑張れって言ってもらえたりなんだこの優しい世界。

雑誌とかのインタビューも増えた。

両親にもちゃんと送っておいた、ふふふ永久保存してくれてええんやで。

 

 

………そして、とっても楽しいし、気持ちいいし、最高なんだけど…。

同時にすごいプレッシャーも感じる。

あと、トレセンをさっていく娘達からの妬みや嫉妬も…きつい。

そんな目で見ないで欲しい、恨みつらみをぶつけないで。

下駄箱で「なんであんたばっかり」って書いた紙を見つけた時はさすがにしんどくなった。

そして最近、よく夢を見る。

秋華賞を取れなくて、さらにそのあとも奴に負けて、誰からも注目されなくなって…。

奴の輝く戦績ばかりが注目されて、いつの間にか私という存在は『いたよねそんなウマ娘』って言われる程度になってしまう。

ああ、あの中途半端な…って冷たい目で見られる。

そして私も、去っていったあの娘達みたいに、トレセンを去るのだ。

既にG1を勝っているし、そんな風にはならないってわかるんだけど、夢のせいかそのことがわからない。

 

そんな夢を、最近よく見る。

 

その後飛び起きて、それが夢だってわかるまで、とても怖い。

勝負の世界はこんなにも苦しいのか。

1位になった者以外の思いってこんなにも辛くて重くて鋭くて痛いんだ。

三冠をとった大先輩達は、こんなプレッシャーの中で走ってきたのか。

泣きそうになるほど…いやぶっちゃけ泣いていた。

転生だ、目指せ最強だと調子に乗っていたけど、いつもギリギリだ。

そんな日々が続き、私は少し調子を崩してしまった。

 

 

 

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