ウマ娘に転生したけどやべえのと同期なんですが… 作:sannsann
調子を崩した私の気分転換と、さらなる飛躍のため、トレーナーと夏合宿にいくことになった。
しかし、なかなか私の調子は戻らない。
思考がマイナス思考に寄っていることと、睡眠の質が悪くなっているせいだろう。
そんなある時、トレーナーが特別訓練を行うと言ってきた。
瓦割りをしていた私は怪訝な顔をする。
特別訓練…なにをする気だろう。
瓦割りもそうだけど、このトレーナーの訓練ちょっと変わっているんだよね…まあ力がついているのを実感できるからやるんだけどさ。
さあどんな特別な訓練をするんだろうと思っていたら、なんと瞬発力と胆力の訓練だそうだ。
しかもトレーナーがやってくれるとか。どゆこと?
いや確かにトレーナーさん、めっちゃムキムキだけどヒトとウマ娘じゃあ速さも力も違う。
規準が違うんだよね…ヒトとは。
そう伝えたら、瓦を並べてみろという。
さっきまで私がトレーニングに使っていた瓦をだ。
トレーナーに言われるがまま、瓦を並べる。
ただし、上に積み重ねるのではなく、横に重ねて並べていく。
一体何をするんだろう…50枚ほど並べたところでトレーナーからストップがかかる。
何に使うんだ…そう思った瞬間、グワゴラバリィーーンッ!と目の前の瓦が全て砕け散った。
思わず目が点になる。
え?世にも珍しい、変わった太腿の筋肉の付き方をしている?
その筋肉のヒトの蹴りはとってもすごい?
うん、それで今からその蹴りを私に撃つから避けろって?
うん…うん…うん…………死ぬわボケェ!!!
エッエッ待って、エッ待たない?あっぶなっ!
今!今髪の毛かすった!ていうか髪の毛切れた!?
無、無理無理無理!死ぬ!死ぬから!
トレーナーさんは、私の前で構えたまま動かない。
圧がすごい、圧っていうかもう、これ…殺気ってやつ?
オークスのときのシーちゃんなんて赤子レベルに感じる。
体の震えが止まらない。
明確に私の体が、本能が、死を感じとってる。
動けない、無理だ、怖い。
死ぬ、死にたくない。
いやだ、なんで、どうして。
「臆するなッッッ!!!!
過剰な恐怖心は五感を鈍らせるだけだッ!!」
その言葉にハッと…………するかボケぇ!
無理だし!
怖いし!
「今からお前に本気の蹴りを叩き込む、先程のようなジャブではない。
死にたくなければ死ぬ気で避けろ!!」
あ、あ、あ、あ、あ、あ、
「怯むな!お前の信じる脚を踏み出せ!」
・
・
・
気づけば私は砂浜に突っ伏していた。
生きてる、私、生ぎでる"ッ…!
無我夢中だった。
後ろに下がっても避けきれないと本能で感じた。
お腹がボッと蹴られて、潰れて無くなると。
横に避けても、追尾するかのような回し蹴りになって飛んできて、頭がサッカーボールみたいに蹴られて、良くて首が折れると理解した。
だから、だから、私は前に飛んだ。
いつもどおりの、練習どおりの、私が今までやってきた、積み重ねてきた、全身全霊のスパートをかけて踏み込むように、前に飛んだ。
「お前が何に怯えているのかは知らんが、死に勝る怯えなどない!!」
ははは…そりゃそうでしょ…メチャクチャだよこのトレーナー。
「お前が今まで積み重ねてきた修練のことを、その脚のことを思い出せ。
お前に負けて思いを託した者たちのことを思い出せ。
お前の走りに夢を預けている者たちのことを思い出せ」
けど、なんて心にくる言葉だ。
熱い、顔が熱い、目頭が熱い、そして胸が熱い。
そうだ、私だって必死で頑張ってきたんだ。
やってやる、やってやるさ。
無敗のトリプルティアラごときでプレッシャーに押しつぶされていたら、奴に勝つなんて夢のまた夢だ。
ありがとうトレーナー…目が覚めたよ。
うん、これアプリだと切れ者獲得イベントだね絶対。
私、切れ者になった気がする!
はっはっは!よし、私、復活!
パパにもう大丈夫って電話して寝る!
あ、トレーニングまだある?
はい、頑張ります…。
え?トレーニングってトレーナーと友情トレーニング…?
なんか凄そう!やるやる!!!
アプリでもステがめっちゃあがるやつだし!
え?闘って格をあげると書いて格闘戦?
トレーナーと?
じょ、冗談でしょ……無理無理!絶対無理!!!
無理だってば!……アッーーー!!