ウマ娘に転生したけどやべえのと同期なんですが…   作:sannsann

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シニア期
宣言


 

あれから、しばらくは動くことが出来なかった。

脚にも心肺にも多大な負担をかけたから、物理的に、だ。

幸いなことに、後遺症はなさそうとのこと。

脚も負担こそかかれど、まだまだ走れるみたい…良かった。

ちなみにその動けなかった数日の間は、奴が付きっきりで介護してくれた。

うんうん、私が勝ったからね!

ふはは、よきにはからえー!!

 

 

そんでもって、今日はURAの表彰式だった。

あ、私は年度代表バ&最優秀クラシックバを受賞した。

そして奴は特別賞。

プププーw 無敗三冠なのに特別賞w

うけるw

 

……普通は無敗三冠どころかG1何個もとってればそれだけで年度代表や、その世代最優秀をもらえる。

けど同年に無敗トリプルティアラの私がいる。

しかも有という大舞台の直接対決で私に負けた。

だからクラシック世代の賞は私が取っちゃった。

最優秀短距離・中距離・長距離・ダートはシニアの先輩が取ってった。

まあお互いクラシックレースばっかりだったしね、ジャパン・エリ女・有はうちらだけど、それだけだし…だからそれは仕方ない。

その結果、無敗三冠がまさかの無受賞w

けどさすがにそれは…となって特別賞だそうだ。

 

はー、ワロスワロス、気分爽快だわ。

いやー最高だね!ちやほやされまくり!

もう色んな人から褒められまくって写真撮られまくってさいっこー!

何より堂々と奴にマウントとれるのがたまらん!

一体私が何年奴に苦渋を飲まされたと思っているんだまったく。

ふふーん、もーっと褒めてくれていいのよ!!

 

といった楽しい授賞式が終わったのがさっき。

 

今はトレーナーと、奴と、奴のトレーナーの4人でお話中だ。

このあと私達で特別記者会見するから。

 

けど今はその会見のことじゃなくて有の話になった。

 

 

「まさかうちの子に勝つためにあそこまでするなんて…」

 

「先行策のことですか?勝つためには当然です」

 

「そうですね…。

 あの一戦を見ただけでも、どれだけの試行錯誤を重ねてきたのかよくわかります。

 それすらも、うちの子なら超えてくれると思いましたが、貴方もまた限界を越えましたね」

 

「へへへ、照れる。

 まーあ?

 こいつのことは何年もずっとずっと見続けてきたからね?

 私以外にはできないんじゃないかなー?」

 

奴のトレーナーさんもよくわかっているじゃないか!

うんうん、私たくさん頑張ったよ!!

 

 

 

「あとは、まあそうですね……先行策もありますが、それ以外もです。

 まさか盤外戦術でくるとは…。

 と言いますか盤外戦術と呼んでいいのかすら疑問ですが」

 

「ナ、ナンのことですかね…」

 

「…レース直前、うちの子に色々したでしょう…」

 

「や、やだなあ…軽いスキンシップですよう」

 

「軽犯罪法どころか、刑法にひっかかるレベルだと聞いていますが?」

 

「あ、あははー、女子の間じゃあれくらい普通ですって!」

 

レジェンドさんは口調こそ怒っているように聞こえるが、目も顔も笑っている。

うん、よかった、冗談だな。

冗談だよね?

 

 

「アサちゃん♥

 全部、全部私のためなんだよね♥

 それだけ私のことを思ってくれてうれしい♥」

 

奴の目がなんか変なハイライトの色合いに見えるけど気のせい気のせい。

うん…おかしいな、奴の手と絡みついた尻尾が私を離してくれないぞ★

 

 

「まあ負けは負け、うちの子もなんか逆にうれしそうですし別にいいです。

 それに責任はとってもらえるでしょうしね。

 そもそも、そこまで考えていなかった私の落ち度でもあります…。

 次は負けませんよ?」

 

せ、責任…?

最強になった責務的なやつかな?

 

「ええ、その時は正々堂々と戦いましょう」

 

うん、けどそんな機会はもう一生こないけどね、ごめんねwww

ていうか手、痛い、ミシミシ言ってる、助けてw

 

「さて、じゃあこの話はおしまいです。

 会見で話すことの最終確認といきましょう」

 

 

 

 

 

「改めておめでとうございます!アサオンクライさん!

 これでついに最強決定戦に終止符がたちましたね!」

 

「ありがとうございます、これで私が最強ですね」

 

「ディープさんもあと少しでした」

 

「………けど、負けは、負け。

 あと少しでも、どれだけ僅差でも、負け…。

 たとえどんな要因があろうとも、先にゴールしたほうが勝ちだから…」

 

「まさに胸が熱くなるレースでした!

 アサオンクライさんは普段追い込みでしたが今日は先行策をとりましたね、やはりディープさんを意識して?」

 

「はい、もちろん私の方が強いと思ってはいます。

 しかし全部が全部とは言いません、彼女の末脚が恐ろしいのは確かです。

 だから、それに勝つために先行策をとりました」

 

「なるほど、しかしファンの方からは二人の追い込みの競り合いを見たかったという声もあるようですが」

 

「…ッ…私は楽しむためではなく、勝つためにそうしたまでです。

 彼女より、私のほうが引き出しが多かった、だから勝てたのです」

 

余計なこといって中途半端な最強感ださすなやてめえ!

 

「なるほど、確かに、そういうところも強さの一つですしね!ヨッさすがは最強!」

 

「はい、まさにそのとおりです!」

 

前言撤回!よく言ったぞ記者!

何やら記者が私の耳や尻尾あたりを見てウンウンと頷いているがどうしたのだろうか…まあいい。

ふふん、気分がいいからちょっとだけリップサービスしよっかな!

 

 

「………けどまあ、私も確かに彼女を真っ向からねじ伏せてるのもおもしろいかと思います。

 次の機会では、ファンの皆様のご期待に応えたいと思います」

 

「おお!それは楽しみですね!期待しています!」

 

まあそんな機会二度とねーけどな!へへーん!これで勝ち逃げだよ!

 

「次よろしいでしょうか。

 お二人に質問です、来年の目標などはあるのでしょうか。

 トゥインクルシリーズも最後となる3年目ですが」

 

 

ちらりとディープの方を見ると、同じように彼女もこちらを見ていた。

うん、予想通りの質問が来たね。

私が頷くと、彼女もゆっくりと頷いた。

ここからは事前打ち合わせのとおりだな。

まずは奴の番だ。

 

「何レースか日本で出たあと、海外へ行きます」

 

おおおおと記者団がどよめく。

 

「そ、それはついに…!」

 

「ええ、凱旋門賞をとりにいきます。

 日本初の栄光を、私の手で」

 

奴の発言に、さらなるどよめきが広がる。

当然だろう、日本の悲願なのだから。

 

「アサオンさんも凱旋門賞ということですか!?」

 

おっと、そりゃあ気になるわな、だが残念戦わねーよこいつとは!

 

「いえ、けれど私も海外にいきます。

 彼女が凱旋門賞を取るというのなら、そちらは任せます」

 

「そ、それはつまり…!」

 

「ええ、私は英国へ飛び、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを取りに行きます」

 

会見場が震えた。

日本のウマ娘は海外で勝てない、そういったことがずっと続いてきた。

最近でこそ、ちらほらと勝つウマ娘も増えてきているが、それでも未だその印象は強い。

世界最高峰とも呼ばれる前記二つのレースは、そんな日本の悲願とも言える。

 

だが、だがしかしだ。

私ならば、私達ならば、ついにその願いを達成してくれるのではないか、そんな期待が記者達を興奮させた。

奴に勝つという目標の次は世界さいきょーだ!

私ったら世界最強ね!

 

 

「「私達が、欧州に!世界に!

  日本のその名を轟かせてきます!!」」

 

オオオオオオオオオオオオッ!!!!

この日一番の歓声で会場が大きく揺れた。

 

 

 

『日本が誇る二大ウマ娘、欧州へ殴り込み!』

『ついに凱旋門賞へ!ディープ勝利宣言!』

『待ってろ英国、これが日本の最強だ!』

『ついに日の出の時、今夏、歴史が動く!』

 

 

次の日の朝刊は軒並み私達のことだった。

とりあえず奴にはサプリとかプロテインとかで検査に引っかからないように注意しとかないとね、まあこっちとあっちでは別なんだろうけど、一応ね。

 

 

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