ウマ娘に転生したけどやべえのと同期なんですが… 作:sannsann
ドバイの芝にも慣れてきた。
思ったより走れる、いや違うな、走りやすいが正解か。
なんか日本より楽に早く走れる。
気持ち的な意味では過去最高かも。
料理も美味しい、宿泊施設も最高級、運動施設も最高級、なんならレースにあんまり関係ないのに、オイルマッサージとかヘッドスパとかそういうのまで無料でしてもらえる。
この環境になれたらやばい…、これはある意味毒だ。
過剰摂取すると中毒症状がでてしまうレベル。
あと、日本から一緒にきた娘も良い子すぎる。
私とは違うレース…ダートに出るみたいだけど、いい意味で気を使うことなく、一緒にいて楽しいし、一緒に来て本当に良かった。
一人だとやっぱり寂しいしね。
そういうのでメンタルやられてレースで結果だせない娘も多いって聞くし…。
ちなみにその娘の名前を聞いて、思わず「びっくりするほどっ!」と叫びながら自分のお尻を両手でバンバン叩きながら変顔をしてベッドにピョンと飛び乗って降りてを繰り返したら、無言でビンタされた。
ごめんて。
ドバイでの日はあっという間に過ぎ去る。
レースの日も近くなり、ママ達もやってきた。
そしてセレブ生活を満喫しているらしい。
そういう意味でも親孝行になっているのかな?
喜んでくれてうれしい。
トレーナーもご飯に白トリュフにキャビアにと毎日贅沢品を食べて満喫している。
一緒に食べておいしいの?それ…。
ちなみに奴からは毎日メッセージや電話がかかってくる。
無視したら翌日倍返しでエグい量が飛んでくるのでちゃんと出てる。
友達がいないからって仕方のない奴だ。
練習も調整も順調、さきにレースを走った僚バの娘も無事に勝ったようだ。
私もこの流れに続かないと…。
不思議と負ける気がしない、慢心とかじゃあなくて、なんていうんだろうね。
今までこんな気持ちはなかったから自分でもちょっと不思議。
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パドックでのお披露目が終わる。
何語かわかんないけど、まあ名前が呼ばれたら流石にわかる。
大歓声に手を振って応える…ドバイじゃ無名もいいところの私達のような海外のウマ娘達にも歓声をあげてくれるんだなぁ。
日本からも、テレビ局が来ているらしい、それらしきところにも手をフリフリ、ふふふ。
14人出走で、私は13番枠。うん大外だね。
だけど、これまた不思議と何も感じない。
トレーナーさんからも、特に指示はなかった。
好きなように、感じるがままに走れ、ただそれだけだった。
いつもなら結構細かく指示してくれるんだけどなぁ。
私がふわふわした状態なのを感じとったからかな?
まあ、思うがまま、感じるがままに、行ってみよう。
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『さあ、ドバイシーマクラシック…まもなくスタートです。
注目の我らが日本最強、アサオンクライは13番、黄色と黒の勝負服に注目です』
『落ち着いていますね、ゴドルフィンマイルに続いて日本勢の2勝目を期待したいところです』
『日本のウマ娘は、海外でも通用するんだと、我々に見せて欲しいですね!』
『今日も鋭い末脚を見せてくれるのか、さあゲートイン完了…………スタートしましたッ!』
『皆いいスタート、アサオンクライもいいスタートです!』
『おおっと、アサオンクライ、大外からグングンと加速する!
今日も有馬のように先行策でいくのか、現在先頭にたとうかという勢いです』
体が軽い、脚に羽が生えたみたい。
気づけば私はすっと先頭にたっていた。
初めてかも知れない、先頭でバ群を引っ張るなんて。
けどなぜか嫌な感じはしなかった。
『なんとなんとアサオンクライが逃げています!
先頭にたってバ群をひっぱる!
こんなことは初めてだ!大丈夫でしょうか!?』
『初の海外の舞台、かかっているわけではなさそうですが…』
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『さあ、レースはアサオンクライが先頭のまま後半へ、最終コーナーへ向かう直線へと入ります!
先頭は依然としてアサオンクライ!
しかし後続も段々とペースをあげてきた!』
『さあ、最終コーナーに入ります、アサオンクライ先頭…しかし後続も並びかけてくる!』
気づけば最終直線手前、ずっと先頭で来てしまった。
けど、別に無理して先頭を維持したわけじゃない。
後ろが来ているのもわかる。
けど、焦りは感じない。
『さあ、最後の直線です!
アサオンクライが先頭!
アサオンクライが先頭です!
まだ逃げています!
リードは1バ身で変わらない!
後続も距離を詰めてきた!
外から並んできた!
3人が並びかけるが、いけるか、逃げ切れるか!』
『これは…ッ!
これは、アサオンクライ、なんとさらにリードを広げたか!?
二番手も追走するが、なんとどんどん距離が開く!
2バ身、3バ身、4バ身!!
行くぞ行くぞアサオンクライだ!先頭だ!』
『二番手争いはもう関係ないッ!逃げ切った!
逃げ切った!やったぞ!日本のアサオンクライッ!』
『日本の最強が、今世界にもその名を轟かせましたッ!』
『終わってみれば最後は余裕すらありました、まさに横綱相撲!!!』
今頃になって、心臓がドキドキいっている。
最後の直線、全然負ける気がしなかった。
皆がスパートをかけてきたのはわかった。
けど私はまだスパートもかけていなかった。
脚に力をいれたら、どんどん加速していった。
後ろから悔しそうな声が聞こえたけど、それもすぐに聞こえなくなった。
奴に勝ったことが大きいのか、また一つ上のステージに登った気がする。
ワアアアアアという大歓声が場内に響きわたる。
私はママ達のいる方へ向かう、日本のテレビ局もちょうどいた。
「えへへ、ママ、パパ、勝ったよ!」
ブイブイッとピースサインを交互に突きだす。
そんな私の姿をカメラマン達がパシャパシャとシャッターを切りまくる。
トレーナーも後方保護者面して両手組んでウンウンと頷いている。
あー、気持ちいい。
最高の気分だね。
さてこの後はライブだ。
ドバイの風習として、勝ったウマ娘が希望する曲をラストの締めにしてくれるそうだ。
何にするかって?
ウマぴょいに決まってんだるぉ!?
「「「「「UMA PYOI!!! UMA PYOI!!!!」」」」」
その日、日本の電波ソングが世界のトレンドワードを独占した。