ウマ娘に転生したけどやべえのと同期なんですが…   作:sannsann

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天皇賞・春

 

 

 

『アサオンクライ!ドバイシーマクラシックを制覇!』

 

翌日のスポーツ新聞の見出しは軒並みこれだった。

いやー、また新たな伝説を作ってしまったぜ…。

 

普段差し〜追い込みのくせに、有で先行策をしたせいか、なんか『たまたま奴に勝てた』だとか『まぐれ勝ちだ』とかいう輩も出てきていたが、今回のドバイで圧巻の逃げ切り勝ちをして、そんな意見は吹っ飛んだ。

純粋に強い、そういう意見に塗り替わった。

ハッハッハ、笑いがとまらん!

ちなみにレースの疲れを癒やすために、招待されたウマ娘はドバイに1週間、優勝したウマ娘はさらに延長して1ヶ月間、無料で残ることがオッケーになっている。

まじでドバイ金持ちすぎる…。

まあ後者は、ドバイのお金持ち達と食事会とかに参加するのが条件になっているけどね、全然オッケー!!

至れり尽くせりだ、しかも私は優勝者の一人、ホテルのスタッフからの視線も熱いぜ!

結構な人数と一緒に写真を撮ったり、サインもあげちゃったりしたぜ!

まさにスター!

勝ち方も接戦じゃなくて、圧勝だったしね、それも拍車をかけている。

 

あ、もちろんトレーナーやママ達の分も支払ってくれている、だから今は家族でゆっくりセレブ生活だ。

ちなみに今は、ママと一緒にヘッドスパなう。

 

これでさらに賞金もエグいとかもうドバイしゅごしゅぎ…。

300万ドルだよ300万ドル、円じゃなくてドル。

今1ドル何円かしらないけど、100円だとしても3億円…。

 

まあヤキウとかと違って選手生命短いからね…、しかも倍率もクソだし、上位以外賞金ほとんどないし。

それに食費がね…年間の食費、ヒト耳の年収とか簡単に吹っ飛ぶからね。

なんなら月の食費が数十万レベルになるしな、ひどい人は3桁いくらしいよ。

 

 

日本へ帰ったら、奴のレースがある。

天皇賞・春、もちろん事前の人気は奴が断トツ。

まあ?唯一奴をやぶった私が出走しないからね?

ふふ、この先奴が勝てば勝つほど、それに勝った私の株もあがるってもんよ!

 

 

 

 

さあ、やって参りました京都競バ場。

今日は天皇賞・春、奴が出るレースだ。

もちろん、応援にきている。

え、偵察じゃないのかって?

ハッハッハ!奴にはもう勝ったからな、もう二度と戦わないよ!

た、戦わないって!ほんとだから!

だから偵察する必要なんかないのだ!

なので、今までと違って純粋に奴を応援できる、奴が勝てば勝つほど、それに勝った私の価値も上がるってもんよ!

 

というわけで、控室にとっつげきー!

私ほどになれば顔パスよ!

 

 

「やーやー、どうだい調子は」

 

「あはッ♥

 今最高になったよ♥」

 

相変わらず私に近づく速度が早い。

一瞬で奴にくっつかれて尻尾を脚に巻きつけられる。

 

「あと、ドバイおめでとう♥」

 

「へへへ、ありがと」

 

もちろんこんなやりとり、携帯で既にしているが、顔を合わせるのは久々だ。

私がドバイから帰国したのが昨日、そのまますぐにホテルにいって今日、京都まで飛んできたからね。

 

「まーた倍率1倍台…しかも1.1倍だって?

 相変わらずだねぇ」

 

ほんとまじでこいつ人気えぐすぎる。

他の子がかわいそう…。

そのうち1.0倍になったり…いやさすがにないか。ないよね?

なんか奴の顔が気持ち悪いくらいニヤニヤしてたから、どうしたのかと聞いたら、帰国してすぐに自分のために応援に飛んで来てくれたのがうれしいらしい。

なんか様子が変というか、♥が溢れていると言うか…大丈夫か…ちゃんと集中しろよ?出遅れたりするなよ?と伝えるが、ぼーっとした返事しか返ってこない。

奴のトレーナーからこれ以上の摂取は悪影響だからと、観客席へと追い出された。

解せぬ。

 

 

 

『さあ、4枠7番に注目です、なんの因果か菊花賞と同じ枠番。

 アサオンクライが一足先に世界へ、ドバイで羽ばたきました。

 それに続くのならば、国内で負けるわけにはいきませんッ!』

 

『17番も枠入り完了…春の天皇賞が、今……スタートですッ!』

 

その瞬間、場内からは悲鳴のようなどよめきが湧き上がった。

 

『なんとなんと!出遅れた!大きく出遅れました!』

 

奴がくっそ出遅れた。

いや、確かになんかぼーっとしてるなとは思ってたけどさ…あいつ…何してるんだよ。

奴以外は普通にレースをしている。

奴は後ろから2番手につけている。

そのまま位置取りをあげるわけでもなく、ほぼ最後尾。

これもう無理じゃね…?

 

『さあ、一周目を終えて観客席の前を通過します。

 なんと一番人気が未だ後方2番手。

 悠然と、悠然と前をゆく15人を見ているのか、未だ動きは見せません』

 

うーん…悠然とって…実況はそういうけどさぁ…無理だろこれ。

 

『さあ、第1コーナーを終えて第2コーナーに入ります』

 

2番人気のリンちゃんは前目、いい位置だね。

そして奴はまだ動かない。

 

 

 

そこから特に動きもなく、奴は変わらず後方…どうすんだよ。

 

『さあ、第3コーナー、ここから淀の坂となります。

 おおっと、ここで!ここで7番、一気に外を回っていく!』

 

奴がまくっていく、まくっていくのだが…大外を走らされている。

おまけにまだまだ距離があるぞ、3200だぞこれ、そんな早いスパートでスタミナ保つのか。

 

『さあ、800の標識を通過する、ここで7番が一気に先頭集団へ混ざってきたぞ!』

 

『そして一気に、一気に先頭へと躍り出た!

 残り600の標識を通過!

 しかし後続もあがってきたぞ!』

 

ああ、ほら、リンちゃんとかが来たぞ。

差されないか?これ。

最後の直線に入る、奴が先頭だが、淀の坂を、ましてやほぼ最後尾から一気に先頭へ行ったんだ、おまけに大外を回って、そんでもって3200の超長距離。

 

場内の歓声も、応援にまじって大丈夫か!?みたいな悲鳴のようなものがあがる。

おいおいおい、負けるなよ、負けるなよ私以外に。

お前に勝って良いのは、私だけだぞ!

私だけなんだ、お前に近づいていいのは!

 

「いけッ! いけええええええ!!!!」

 

なんか純粋に応援したの初めてかもしれない。

奴に負けられたら、私の最強が揺らぐじゃないか。

そういう意味でも頑張ってくれ。

けどさすがに今回は厳しいか…せめて出遅れてなければなぁ。

 

 

そんな風に思っていた私の頭に衝撃が飛んできた。

本当に、奴には驚かされてばかりだよ。

 

 

『逃げる逃げる逃げる!

 しかし、しかし差はつまらない!

 いや、むしろ差が開く!

 これは逃げなんかではない!差している!

 2バ身!

 …3バ身!

 ……4バ身!

 強い!強すぎる!

 余裕の走りで、今……そのままゴール板を駆け抜けましたッ!』

 

 

スタンドを大歓声が包み込む。

んんん?

なんであそこから再加速するの?

3200ぞ?これ。

くっそ出遅れて?

ほとんど大外まわらされて?

最後のコーナーで一気に先頭へ躍り出て?

最後は距離詰められるどころか、引き離して圧勝?

 

 

 

バッカじゃねーの!?

そんな展開、漫画でもないわ!

おかしいよこんなの!

こんなんチートや!!

 

 

『さあ、世界よ!ロンシャンよ!待っていろ!

 これで文句なく世界へ飛び立てます!

 そしてアサオンクライも首を洗って待っていろ!

 リベンジして勝つのはこのウマ娘だ!』

 

 

誰が待つかボケェ!二度と戦わねえよ!

 

 

『勝ち時計は3分13秒4!!

 なんとレコードです!

 レコードを1秒以上縮めました!』

 

 

………なんて?????

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