ウマ娘に転生したけどやべえのと同期なんですが… 作:sannsann
私は走るのが大好き。
ぐっと力を入れて、ギュンっと加速するのとかとっても楽しい。
小さい頃はいつも好きなだけ走っていた。
そのうち私みたいに走ることが大好きな子が集まる所…リトルウマ娘クラブというところがあるって、父さんと母さんが教えてくれたから、そこに行くことになった。
はじめのうちは、皆私と一緒に走ってくれた。
幼い私は、何も考えずに自由に、いっつも全力で走っていた。
走ってしまっていた。
気づけば、私と走ってくれる子がいなくなってしまった。
けどあんまり気にしなかった、一人で走ることも楽しい。
風を切って走るのが楽しい。
空を翔けるように走るのが楽しい。
そんな中あの子が現れた。
あの子は、周りの子と空気が違っていた。
何がと言われてもよくわからないけれど、何かが違ったのだ。
あの子も、私と何回か走ったあと一緒に走ってくれなくなった。
けどその後しばらくしたら、また一緒に走ってくれるようになった。
『いつかわたしがさいきょーになって、さいきょーのあんたをたおして、しんのさいきょーになるのだ!』って宣言してきた。
言っている意味はちょっとよくわからなかったけど、また一緒に走れるんだって思ったらとってもうれしくなった。
結構長い間リトルクラブにいたけど、あの子に負けたことはない。
けどあの子は、負けても負けても今度こそ勝つっていってレースしてくれた。
少しでも私に勝つための何かを探ろうとしている必死さが伝わってきた。
嬉しかった、一番の友達…親友だとも思えたし、そしてライバルのようにも思えたから。
あの子に負けないように、私も頑張ろうと思った。
あの子はちょっとバ鹿…ううん、ちょっと考えていることがすぐ顔にでたり、急にわけのわからないこと言い出したりするけど、とっても良い子だ。
本人は、自分のことを大人びた精神年齢高めのレディだとか思っているようだけど、どう見ても……ううん、これ以上はあの子の名誉のためにやめておこう。
父さんも母さんも大好きだけど、同じくらいあの子のことも大好きになった。
何年もリトルクラブにいたけど、あの子に負けそうになったのはたったの3回。
1回目は他の子たちが偶然同じタイミングでスパートをかけまくって、大外を回らされた時。
悔しかったけど、これがあったから3・4コーナーくらいから一気にまくる戦法も身につけることができた。
あの子のアドバイスのおかげだ。
2回目はなんかコーナーしかないようなレース場でレースしたとき。
最終直線が全然なくてさすがにびっくりした。
まあ1度経験したから次からは余裕だったけど…ようはコーナーで加速すればいいんだし。
3回目は……うん……今思い出しても恥ずかしい。
レース前、あの子がいきなり私のスカートをめくってきたのだ。
しばらくあの子の顔が見れなかった。
怒りより、なんか恥ずかしさのほうが大きかった。
ほんと、男子みたいなことするんだからあの子は…。
しばらくしてリトルクラブを卒業して、私とあの子は中央のトレセンにいくことになった。
他の子は地方トレセンにいったり、普通の学校にいったりとまちまちだ。
あの子とまた走れると思うととってもうれしい。
それにトレセンにいけば色んな人といっぱい走れる。
トレセンに入る前に、あの子と夢を語り合った。
私は、無敗で三冠ウマ娘になって、そのままさらにたくさんG1もかって、いつか凱旋門賞にも勝ちたいって。
あの子は…私に勝って最強になるんだって。
てっきり一緒のクラシック路線にいくと思ったら、ティアラ路線でいくんだって。
長距離が無理らしい…うーん…そんなことないと思うんだけど…むしろマイルのほうが苦手な印象…まあ私は専門家じゃないからわかんないけど。
そんな疑問は、あの子が私と同じように無敗でトリプルティアラをとる、そしてその後私に勝って6冠全部とって最強になるって宣言したのを聞いて全部吹っ飛んでしまった。
やっぱり素敵な子、いっつも私をドキドキさせてくれる。
うん、戦おうね、無敗三冠ウマ娘と無敗トリプルティアラ…それってまるで王子様とお姫様みたいだよね…ふふふ。
それからほどなくして私はトレーナーと運命的な出会いをした。
ああ恋愛的な意味じゃなくて、なんかこう…相棒的なやつね。
トレーナー間では親しみを込めて下の名前でタカさんって呼ばれてるみたい、私にもそうしていいと言われたけど私はトレーナーって呼んでる。
その人のサポートを受けて三冠に、世界に挑むつもりだ。
あの子にも無事にトレーナーがついたみたい。
どんな人かと思ったけど…うん…なんか一人だけ絵面が違うというか…世界観が違うと言うか…けどまああの子を上手に引っ張ってくれているみたいだし大丈夫だろう。
少し抜けているあの子のボディーガードとしてもばっちりだ。
デビュー戦もオープンも若駒も危なげなく勝てた。
あの子も応援にきてくれてた。
そして私が勝ったら笑ってくれた。
そのあとの弥生では、ちょっと焦った…あの子が私に頑張れって言ってくれた事に驚きと喜びが隠せなくて脚がもつれそうになった。
そのせいで2着の子に詰め寄られて危なかった。
聞けばあの子の同室の子だとか……うん、しっかりとチェックしておこう。
いよいよ桜花賞・皐月賞となると、世間も私とあの子のことを注目しはじめた。
お互い人気も強さも他とレベルが違うと思われているのか、無敗三冠と無敗トリプルティアラになるのではという風潮になっていた。
そして最初の1冠目、桜花賞であの子は見事な差し切り勝ちを決めた。
あの子の走り…そっか、私ってあんな風に走っているんだ。
あの子に教えてもらったこともあるし、あの子に教えたこともたくさんある。
あの3・4コーナーから一気にまくるのは二人で考えたやつだ。
胸が暖かくなった。
大歓声の中、あの子は指を1本立てた。
まずは1つ目。
そういう宣言だそうだ。
桜花賞のあと、あの子から教えてもらった、私もするならしたらいいと。
その後腰に手を当てるとかそういうのを一緒に考えた。
うれしい、おそろいだね。
そしてあっという間に一週間が経ち、皐月賞…次は私の番だね。
弥生の時みたいにならないように、ちゃんと周りにも警戒する。
特にあの子と同室の子…例の子の動きはしっかりとチェック。
最終直線で、例の子が飛び出したけど、それを待っていた。
私は満を持して一気に脚を回す。
景色が飛ぶように動く。
ああ気持ちいい、やっぱり走るのって楽しいな。
気づけば後ろを突き放してゴールしていた。
例の子は3着だった、2着の子…うん、この子も覚えておこう、覚えれたらだけど…。
観客に向かって手を振りながら、あの子を探す。
絶対見に来てくれているはず。
いた、ふふ、最前列でしっかりと見ていてくれた。
あ、そうだね、二人で考えたポーズだもんね。
あの子が優しい笑みを浮かべながら指を立ててくれたのを見て、ポーズをとる。
まずは、1つ目。
観客の歓声がさらに大きくなった。
明日のスポーツ新聞、あの子の時みたいに一面に大きく飾ってくれるかな…できればあの子と二人並べてくれたらなぁ。
そうだ、自分から売込めばいいんだ。
うん、そうしよう。
ついでに私達がどれだけ相思相愛かも語っておこう。