「ごちそうさん。時間だからそろそろ出る」
「わかりました、道中気をつけて下さいね」
パタパタパタ…ガチャン
「…………はぁ」
皆さんこんにちは、比企谷いろはです。
色々あってせんぱ…あの人と結婚しました!
そして来週になれば結婚して1年が経とうとしているのです!
新婚で毎日が楽しい…筈だったんですけどねぇ。
ちょっと…早くもマンネリの危機かもしれません。
最近、あの人は私の手料理を喜んで食べなくなった。
別に喧嘩したとかではなく、ちゃんと完食してくれるし、ご馳走様だって言ってくれる。
ただ、結婚したばかりの頃は毎日私の手料理を食べると「やっぱいろはの手料理は美味いな、一番好きな味だ」と言いながら喜んで食べていてくれたんですよ。
でも最近はただ黙々と食べるだけ。
ネットとかだと、こういうのが普通みたいな感じなんですよね。
私の料理飽きちゃったのかな…
小さいことかもしれませんけど、なんだか不安になってしまいます。
××× ××× ××× ×××
少し経ったある日、今日はあの人が飲み会らしいので、早く寝ようかとお風呂も済ませて寝床に入ろうとした時に、ピンポーンとドアチャイムが鳴る。
帰ってきたのかな、一応カメラが付いているのでドアホンでは〜いと確認する。
「こんばんは、比企谷さんの同僚です。酔った旦那さんお持ちしました」
ドアホンに映ったのは、困り顔であの人に肩を貸しす同僚と名乗る方だった。
「ごめんなさい、すぐ開けます!」
慌ててドアホンの接続を切り、小走りで玄関に向かう。
もう、酔うまで飲んで同僚の方に迷惑掛けるなんて、少しお話が必要ですかね。
「お待たせしました、預かりますね」
「脱力し切ってるので自分が支えますよ、すみませんが中に入っても大丈夫ですか?」
「すみません、助かります…、中へどうぞ」
同僚の方を中へ案内して、ソファーに座らせるようお願いしました。
全く、こんなに酔ってるなんて。
「こんなお時間までお付き合いさせてしまって申し訳ないです、それに家まで連れ帰ってもらうなんて…」
「いえいえお気になさらず、比企谷さんには普段お世話になってるのでこれくらいお安い御用ですよ」
その同僚の方は、ははっと笑いそれにと言葉を続けた。
「比企谷さん、酔ってからずっと奥さんの話ばかりするんですよ。笑顔が可愛い怒った顔も可愛い、それに料理が上手いって」
「え?」
同僚の方から言われた事が一瞬分かりませんでした。
あの人が私の事を?
そして同僚の方はこう続けました。
「奥さんの料理が食べたい〜って惚気をみんなに言うもんですから、からかわれて拗ねてましたし。まぁ、その話があったおかげで興味なかった結婚もいいかなぁって思うようになりましたし」
「そ、そうだったんですか…」
顔が見る見るうちに熱くなるのを感じる。
人前でなんて恥ずかしい事言っちゃってくれてるんですかこの人は!
「おっと、長居は迷惑ですね。そろそろ帰ります。あ、さっきの話は比企谷さんには秘密にしておいて下さいね、バレたら自分が怒られちゃいますから」
同僚の方は、たははと笑い手荷物のビジネスバッグを持ち席を立ち上がった。
何もお構いできずすみませんと言いながらお見送りをする。
「それではこれで、失礼します」
ぺこりと会釈して、同僚の方は帰って行った。
中へ戻ると、あの人は少し姿勢を変えながらもぐぅと気持ちよさそう寝ていた。
この人も相変わらずというか、更に拗れてるのかな?
アホ毛を少しいじる。
くすぐったいのか、ん〜と顔を背ける。
大事な人にほど本心を言わないのはこの人の悪い癖だ、治してくれないかなぁ。
これまでのお返しだと言わんばかりにアホ毛をいじってやろう。
「………いろは」
「!?」
やば、起こしちゃったかな。
ちらっと背けた顔を覗き込むと…。
どうやら寝言のようだった。
危ない危ない。
「…………いつもありがとう」
「……………」
つい呆気に取られてしまった。
ここまで素直になったことなんてないから。
はぁ〜、本当この人は。
「もう、私にはもっと素直になって下さいよ」
小声でそう言って、おでこにキスしてあげました。
起きたら寝言でいじってあげようかな。
終