真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~ 作:スペル
でもそろそろ他の小説ももう少し更新したいし…悩みどころ
多数の作品を持ってるとこういう自業自得な悩みが生まれるのだと痛感しています。
楽しんでいただければ、幸いです
マルギッテたちが梁山泊から襲撃を受けた翌日。自分たちの学友が傷つけられたとあって、もともと血の気の多い川神学園の生徒たちは、休日にも関わらず学園に集い、反撃を仕掛けようとしていた。
そして悠介もまたその例にもれず学園に集っていた。
「それにしても昨日の今日でもう奴らのねぐらを見つけるとは、直江はやっぱり優秀だな。燕、情報収集って面ならお前よりも上か?」
「う~ん、どうだろね?
確かに大和君の軍師としての能力は高いけど、今回の件に関しては
「負けず嫌いだな」
「ふふふ。
易々と認めるわけにはいかないからね。
それに私自身も情報はあるし、答え合わせもできるしね」
「自分の得た情報の精査も兼ねるってか?
流石の腹黒さだな」
「悠介君…
「際ですか」
普段道理の軽口を言い合いながら二人は大和から指定された教室へと向かう。その道中、燕がふと問いかけた。
「そういう、悠介君は何か気になることがあるんじゃない?」
「…別に。
ただの思い過ごしならいいなと思っているだけのことだよ」
「ふ~ん。
私の経験的に、悠介君のそういう感覚って結構的を得ていることが多いから聞きたいかな?」
「…今朝から与一と連絡が取れなくてな」
「与一君と?」
「ああ。
この話し合いの前に、九鬼の方針を知りたかったんだが、連絡がこねぇ」
「なるほど。
九鬼の方針については、私から紋白ちゃんに聞いておくね」
「おう、頼むわ」
気にはなるが、今は優先すべきとを優先すると二人は指定なされた教室の扉を開けた。
◆
燕のノックに教室の中から大和の声が聞こえた二人は、ガラガラと中に入る。教室の中には、百代を筆頭とした風間ファミリーの面々、生徒会長、運動部の部長ら、教師では宇佐美など、学園でも影響力の強いメンバーが集っている。
「俺たちが最後か?」
「あちゃ~。
出遅れっちゃったね」
「遅いぞ、悠介!!
燕とイチャイチャしているんじゃないぞ!!」
「うおっ!!
モモ、いきなりぶつかってくるんじゃねっぇよ!!」
「ふん、遅刻するお前が悪い!!」
「遅れちゃってごめんね」
「気にするなで候。
時間までまだ少しあるで候」
「ハッハッ。
全く、大丈夫!!」
「助けるよ!!」
百代に絡まれる悠介を無視して、弓子や南條の方へと逃げる燕に悠介は突っ込みを入れるが、誰も返さない。
誰だって虎と遊ぶ気にはなれないのだ。故に周りからどことなく同情の念が向けられており、悠介の気は重くなる。
「モモちゃん、モモちゃん。
そろそろ時間だから、悠介君へのお仕置きはそこらへんで一旦終わろうか」
「むぅ。
もうそんな時間か。…それもそうだな」
じゃれあっていた二人(常人から見ればそれなりのバトル)だが、悠介にちょっかいをかけて少し気が晴れ始めたタイミングで燕の声がかかり、百代はあっさりと悠介から体を離す。
解放された悠介は、すでに疲れたように息を吐き、燕にもう少し早く助けろやと目線で文句を告げるが、燕は気づかないふりをして無視する。
悠介も意味がないと悟ると、これ以上は無駄だとして話を早く進めようと空いている席に腰を下ろす。
「よし。
それじゃあ、全員揃ったし時間になったので話し合いを始めたいと思います」
大和の言葉に全員の視線が教室の黒板に注目した。
◆
大和の宣言で始まった話し合いは、大和が収集した情報の共有という形から始まった。大和は学園でも軍師という立場なのは有名なためか誰も文句は言わない。
そして出される情報は整理されており、とても分かりやすい。
伊達に軍師を名乗っていないなと悠介は感心している。
「以上が、俺が集めた梁山泊の情報になります」
「なるほど。
私が集めた情報とほぼ同じだね。
やるねん、大和君」
「三人か、まあ少しは楽しめるか」
大和が提示した情報に各々が反応を示す中、おそらく悠介だけが知る情報があるだろうと口を開く。
「追加情報だ。
敵は一人増えて四人だ。長髪の槍使い、ツインテの棒使い、青髪の双剣使い、赤髪の炎使いだな」
「どこでその情報を?」
「昨日、やりあった」
悠介から告げられた自分でも集めきれなかった梁山泊の詳細と未確認の四人目の情報に大和が真偽の疑わしい表情を向けてくる。
大和の反応に周りも悠介に視線を集める。視線が集まった中で悠介は何てことないとのない様に告げる。
悠介の発言に周りが唖然とする中で、燕が先に動く。
「それって昨日のマルギッテさんの件?」
「おう、それだ」
「悠介君…そういう大事な情報は先に教えてよ」
「…悪かったな。
なんだかんだお前も忙しそうだったんでな。
つか、どうせ説明するなら二度手間は避けたかったんだよ」
「む~~。
まあ、仕方ないかな?
それで、戦ってみてどうだった?」
悠介の言い分に、これ以上は蛇足になると感じた燕が最も重要なことを問う。
燕の質問の意図を察した悠介は昨日の戦いを思い出して口を開いた。
「長髪の槍使いは、燕モモと同じで壁越えだったたな。対応するなら、集団でやるよりもモモか燕、俺がやった方がいいだろうな」
「スタイルは?」
「野生型で速度重視の手数で押すタイプ。型を習得したというより、実践の中で磨いたであろう戦い方だったな」
「ふむふむ。
他の三人は?」
「ツインテの棒使いは、力押しの猪突猛進タイプだったな。チームプレイは行うが、どちらかというと、自分の力で敵を倒すのを好んでそうだった」
「成程ね。
挑発は有効?」
「有効だと思うぜ。
実際、何度か仲間内で冷静にと注意を受けていた感じだし」
「うん、了解!!
他の二人は?」
「青髪の双剣使いは、なんつっかよくわかんねぇえな」
「わからない?
戦たんじゃないの?」
「俺とやったときはバランサーの役割を担っていたからな。
どちらかというと、フォローの役目が強かったせいであまり戦ってねぇんだよ。
ただ、
「底を見せないタイプか。
敵にそういう子がいるのは厄介だね」
「まあそうだが、お前なら問題ないだろ」
「…当然!
それで最後の子は?」
「赤髪の炎使いは、体術メインで炎を纏った拳や蹴りを多用するが、遠距離にも炎を飛ばせる、オールラウンダーみたいな感じだったな。
体術も大陸系で踏み込みによる一撃を狙うタイプ。受けも結構流麗だったから、崩して隙を作って、でかいのを叩き込むタイプだと思う。
後、炎の火力も中々高かったな」
「どれくらい?」
「モモの炙り肉よりも高かったな」
「それは厄介だね。
ってか、悠介君、攻撃受けたの?」
「おう。奇襲されてな」
「悠介君、
「さあ、知らねぇし興味ねぇ」
「まあ、それはいっか。
でも、炎使いはある意味で一番厄介だね」
「そうだな。
戦うための前提条件がキツイな」
「悠介の総評としては?」
「…基本的には固まったところを数で叩くよりは、各個撃破がいいだろう。
あいつらはたぶん、コンビネーションが足し算じゃなくて掛け算になるタイプ。それも波に乗れば相乗していくだろうな。
優先順位をつけるなら、槍、炎、双剣、棒ってところだ」
つらつらと燕と悠介が情報共有を行っていく。よどみない二人のやり取りに誰もが口を挟めない。
しかし一人、面白くないと感じていた百代が、我慢の限界というように悠介に飛び掛かる。
「悠介!!
おまえ~~!!さっきから燕とイチャイチャするなよ~~~。
私にも構えよ~~~!!」
「だあぁ!!
モモ!!いきなり飛び掛かってくるんじゃねえよ!!っつか、首極めに来てんじゃねえ!!」
百代は猫の様に音もなく悠介の背後から首に腕を回す。文字にすればかわいらしいが、込められた力は確実に人を落とせるし、何なら確実に締め落とせる場所を狙っている。しかし寸でのところで悠介はその気配に気が付き、腕をかませることで首が極まることを回避する。
簡単そうに行われた二人の攻防を理解出来た人間はこの場には燕ただ一人。他の者たちはじゃれあっているように見えて、憐れみと羨望を向けている。
総てを察している燕だけは、百代の行動に若干引いている。
「燕、助けろ!!」
「悠介君、情報ありがとうね」
「てめえ!!
聞くこと聞いたら切り捨てるとか、どこの悪役だ!!」
「おい、いい加減構えよ~~~」
「モモ、お前はさっきからそれしか言えねえのか!!」
先ほどまでの張りつめ空気が霧散し、周りからも気の抜けた笑い声がこぼれる。このままでは、会議から大きく脱線してまずいと感じた大和が再び声を張り上げる。
「はい、注目!!
相楽、情報提供感謝する。
そのうえで俺が集めた情報を聞いてほしい」
「およ?
大和君、まさかと思うけど敵のアジトを見つけたの?」
大和の言葉に燕が反応する。しかしその顔と声音には驚きはなく、どこか探るような裏を含ませる。
燕の言葉に教室にいた面々が悠介の言葉以上にざわつく。悠介もまたやるなと感心したようにつぶやき、百代は自慢げに胸を張る。
再び、自分に注目が集まり大和は満足げに息を吐く。その時なぜ悠介に視線を向けたのか、その理由に気づくことなく。
謎の優越感と共に大和は自分が得た情報をメンバーに話始めた。
「以上から、奴らのアジトは鉱山工事跡にいると思います」
「その情報は確かで候」
「なるほどね。
確かに、この情報なら私もそう思うよ」
「おいおい。
マジでアジト見つけちゃったのかよ。
おじさんびっくりだぜ」
大和からもたらされた情報は梁山泊たちのアジトの情報に教室にいる面々が沸き立つ。自分たちの学園の仲間を傷つけた相手を報いを与えられると全員の瞳に闘志が宿る。
「俺が得た情報と相楽から得た情報から、姉さんと燕先輩、そして俺がアジトに奇襲をかけようと思う」
「あ~。
一応言っておくと、移動はおじさんが運転する車な」
「弟よ、悠介はどうするんだ?」
「行き違いで逃すことがないように、相楽にはここの守護を任せたい」
「矛と盾の役割を分けるんだね。
確かに向こうの襲撃がいつ来るか分からない以上、最適かもね」
矛には最高戦力、盾には矛に並ぶ戦力と広範囲をカバーする
百代は何処か不満を抱くが言葉には出さない。
そして肝心の悠介は…。
「俺も悪くねぇと思うし、人員にも文句はねえ」
燕同様に、大和の案に同意する。悠介の反応に誰もが一安心した空気を発する。今まで絶対的なわがままを見せてきた百代を知る分、聞き分けの良い悠介に何処か拍子抜けした感じを思う。
「最後にこれはあくまでも俺の想像の域を出ないんだが…」
「うん、どうした悠介?」
作戦が決まり、全員が動き出そうとしようとした時、再び悠介が口を開く。
「多分だが、
今回の事件には
「なっ!!おい、相楽「根拠は?」燕先輩!?」
悠介の言葉に大和が驚きを上げるが、言葉を発するよりも早く燕が問う。そこには一切のからかいもない。
ただ真剣に悠介の発言の真意を問う。
「奴らとやりあっているときに介入があった。
介入される瞬間まで、気配も感じなかった。かなりの使い手だ。
それといくつか言葉を交わしたが、奴らは明確な計画を持っているように感じた」
「介入って、他の梁山泊のメンバーの可能性があるだろう」
「まあそうなんだが。
上手く説明できねえが、やり方が明らかに違った気がするんだよな。
梁山泊の奴らは、名前の通り大陸系のやり方だったが、その介入はどちらかというと近代的というか軍事式って感じでな。
まあ、感覚的なもんが大きいから根拠も薄いが―――」
「が?」
「もしも介入してきた奴が罠をもって待ち構えていたなら、燕、モモ。
お前らでも逃がす可能性があるかもな」
「ほう」
「ふうん」
悠介から言葉に教室にいたメンバーが息をのむ。悠介の強さはもはや疑うまでもない。その実力者からの忠告に場の空気が張りつめる。
しかし、肝心の二人は悠介の言葉に好戦的な笑みを浮かべる。
「面白い!
仮にそうだとしても、真正面から打ち破る!!」
「忠告、ありがとうね。
でも大丈夫だよ。
簡単にはしてやられるつもりはないから」
こぼれるのは絶対の自信と自負に、周りは改めて武神と呼ばれる少女と、納豆小町という仮面を被った少女が味方で良かった安堵する。
百代と燕の言葉に悠介もそれでこそと笑みを浮かべる。
「はっ!それでこそだ。
俺からの懸念点は以上だ。
逃がすなよ?おめおめと逃がしたなら、鼻で笑ってやるからな」
「それはこっちのセリフだよ。
悠介君こそ。
次に逃がしたら、罰ゲームを受けてもらうからね」
「おっ!
燕、それはいい案だ」
「ぬかせ」
獰猛に笑みを浮かべあう三人。
そこには一定以上の強さを持った者だけの空気が満ちている。ゆえに誰もそこに割っては入れない。
しかし、そんな空気を終わらせたのはこの場にる数少ない大人の言葉。
「よし!
話もまとまったみたいだし、そろそろ行動開始ときましょうかね。
おじさんは車を持ってくるから、直江、その間に他のメンバーの持ち場の配置を頼むな」
「…わかった」
宇佐美の言葉を皮切りに教室にいたメンバーが動き出す。
VS梁山泊の対決はすぐそこにまで迫っていた。
そしてそれは想像よりも大きな戦いの幕開けを告げるのろしとなる。
るろ剣でも左之助は、剣心のことを知らべるなどただのバカとは思えない描写があるのがいいですよね
それを反映して、悠介に燕と同じデータタイプを搭載した結果、大和の出番を食う羽目に。
まあ、仕方ないよね。データだけの大和と違って、実際に戦った経験もあるし、何なら大和以上に武士娘たちに寄り添った作戦を考えられる強みもあるし!!
…因みに悠介は大和の立場を奪ったとも思っていませんし、何なら大和が軍師でいいとすら思っている。勿論それは、あの場にいた全員が思っている事ですが、大和本人がどう思っているかは、本人のみが知る!!
はい!!作戦会議なのに、軍師大和の影が薄いことに対する言い訳おしまい!!
ごめんな、大和!!
本当はさ、大和と悠介の二人でバチバチの作戦会議を書きたかったんだ(本当だよ)
偏に、作者の実力不足で申し訳ない。
腕があがったら、大和、葵、悠介の軍略会議とか書きたいな~~~