真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~ 作:スペル
やべぇ、もう8月が終わるよ
一年が経つのが早すぎる
とりあえずは、この更新速度を維持して一年を終えられるように頑張ります
楽しんでもらえたらうれしいです
作戦会議が終わり、教室にいたメンバーは各々大和が指示を出した場所へと移動するために教室を後にしようとする。
その中で悠介はお目当ての相手を見つけた悠介が声をかける。
「ゲン、ちょっといいか?」
「あん?…どうかしたのか、悠介」
悠介に声をかけられた忠勝は後ろを振り返る。その顔には困惑が浮かんでいる。彼からしてみれば、悠介が自分に話しかける理由が見当たらないのだろう。
そんな困惑顔をしている忠勝に対して悠介は声を潜めて問う。
「あの後、与一から連絡はあったか?」
「与一から?
いや、来てはいないが…何か気になることでもあるのか?」
悠介の問いに忠勝は益々困惑を強める。しかし、その奥底からはかすかに裏の家業を行う者の特有の危機感が顔を見せている。
「別に深い意味はないんだが、嫌な予感がしてな」
「嫌な予感…おい!それってもしかして!!」
悠介の要領を得ない呟き。しかし学園においても優れた頭脳を持ち、何よりも現場での経験を経て磨かれた忠勝の思考が悠介の予感の正体にたどり着く。
先ほどの作戦会議で悠介が告げていた黒幕の存在。それがまさか。
「いや、まだ確証もねえよ」
「なら、何をそんなに気にしてんだよ」
「わかんねぇんだよ。
それなのになんか気になるんだ」
「…確かに、九鬼紋白がいないのは気になるな。
あの性格なら顔を見せてもいいはずだが」
言語化できない、確証もない、漠然とした予感だけがある。その事実が悠介の言葉を淀ませる。
なまじ理性で物事を組み立てる質と経験値からの直観の二つを併せ持つ悠介だからこそ、たどり着けている違和感。
しかし、本人が言うように何一つ証拠がない。しかし悠介という人となりを知るからこそ、忠勝は彼が言わんとすることを理解する。
そして同時に、彼自身も悠介が感じる違和感を感じ取ることとなる。
与一たちへの突然の連絡、繋がらない連絡、梁山泊の攻撃、後手に回っている九鬼財閥、姿を見せない九鬼の兄妹。
全ての点と点が先ほどの悠介の黒幕という言葉で線としてつながってしまう。
――――落ち着け、決めつけるな。
悠介も言っていただろう。確証がねえ、何より証拠がない。
それに推理というには無理筋が過ぎる「一度、与一には俺からも連絡を取ってみる」
「ああ。よろしく頼む」
それでも裏家業を生業とする者として最後の一線は口に出さない。今それを口にする危険性が分からないほど忠勝は未熟じゃない。
それでも無視できるものではないとして、自分にできることを行うと告げる。
忠勝の言葉に悠介は任せたと告げて、自分の名前を呼んでいるクリスの元へと歩を進めた。
悠介の背に描かれた「惡」の一文字を見つめながら、忠勝は直ちに行動を移す。
――――本当、ただの思い過ごしで合ってくれよ
そう願いながら与一にへと繋げた通知音は無情にも反応はなく、漠然とした不安だけが大きくなった。
「クソ!」
「?。
たっちゃん、どうかしたの?」
「ああ、一子か。
別に何でもねえよ。
連絡の一つも寄こさない馬鹿に鬼電しているだけだ」
不安を払うために、そしてその安否を確認するために、忠勝は何度もコール音を鳴り響かせた。
◆
作戦会議を終えた、百代たちは宇佐美が用意した車に乗り込み、梁山泊が潜んでいると思われる鉱山工事跡に向かっていた。
後部座席に座っている、百代は今から楽しみだと言わんばかりに口笛を吹き、燕は備える様に悠介から得た情報を整理している。
「ふふ~、楽しみだな~~。
どう落とし前をつけてやろうか」
「…わぁ。
モモちゃん、やる気満々だね」
「当然だ。
ここまで散々いいようにやられたからな。
流石の温厚で美少女な私でもカチンと来ている。
燕には悪いが、お前の出番はないかもしれないな」
「私としてはすごく助かるけど、モモちゃん、油断は禁物だよ。
黒幕の件もあるしね」
「悠介が言っていたやつか。
まあ、それはそれで望むところだ!!
梁山泊だけでは欲求不満になりそうだしな」
「おお。
ホント、味方だとこれ以上ないくらい頼もしいよ」
何処までも自信満々な百代の言葉に燕は呆れ半分と頼もしさ半分の苦笑いを浮かべる。しかし話を聞いていた大和が口を挟む。
「燕先輩は、相楽が言っていたことを信じるんですか?」
「う~ん、完全にとは言わないけどね。
悠介君が言っていた通り、向こうは何かしらの目的をもって今回の事件を起こしたっていう可能性もあり得るって思ってね。
一応は気に留めっておこうと思って」
「…そうですか」
「まあ、最初の通りルール無用の問題児って可能性だってあるからね。
それに今までの集めた情報からでも、そっちの方が可能性が高いしね」
「確かに。
オジサン的にも、そっちの方が色々と手間が少なくて助かるな」
「でしょ~~」
「私としては少しでも戦える可能性が高い方がいいな」
緊張感を保ちつつ、されど緊張に呑まれない。
戦う前として最適な状況で、四人は鉱山工事跡へとたどり着いた。
「到~~着」
「おいおい、そんな簡単に飛び出て大丈夫か?
おじさん、着くと同時に攻撃されるか心配だったんだが」
「う~ん。
ぱっと見た感じ辺りに敵に気配は感じなにので大丈夫ですよ、宇佐美先生」
「マジで、そりゃあ一安心」
「それにしても、これはもしかして外れを引いたかな?」
「嘘だろ~~。
それじゃあ、悠介に美味しいところを取られるのか~~」
辺りを見渡し、敵の気配どころか罠すらないことを確認した燕は少し残念という顔をし、百代は露骨に落胆する。
そんな中で大和は携帯に連絡を入れて川神学園の有志達へと連絡を入れる。状況に応じ即座に適切な行動をとる大和の動きを視界の端に納めた燕は改めて大和の評価を上げる。
しかし、次の瞬間大和の携帯に告げられた内容にその場にいた四人は驚愕する。
「大変だ!!
今しがた連絡があって、川神院が襲われている!!」
焦りから告げられた内容をそのままに告げる大和の言葉に、燕と百代は目を丸くし、宇佐美も唖然として口を大きく開いた。
◆
百代たちが学校を出てすぐ、悠介も指示された場所に向かって歩いている。
「さて、どっちが当たりを引くかだな」
「自分としてはこちらに来てほしいものだ。
マルさんたちの仇は私が討つ!!」
悠介とコンビを組むこととなったクリスは、敬愛する姉代わりのマルギッテがやられたとあって血気盛んに吠える。
対する悠介は普段通りに振舞っているが、何かが気になるように携帯を見つめている。
そんな悠介の異変に気が付いたクリスが悠介に問いかける。クリスの問いに悠介は何でもないと告げる。
「む。そうか。
まあ、悠介がそういうなら大丈夫なのだろうが、何かあればすぐに伝えてれ!!
自分も必ず力になる!!」
「おう、そん時は頼りにしているぜ」
気楽に話しながらもその足は速く目的地へと駆けていく二人。そしてそれに気が付いたのは、それを身近に聞いていたクリスだった。
「うん?」
「あ、どうしたクリス?」
クリスは何かに気が付いたように足を止め空を見上げる。それを見ていた悠介も足を止めクリスに問う。
問われたクリスは不思議そうな顔をしながら―――。
「いや…今日はよく九鬼のヘリを見るなと思って。
今日でもう5度目だ」
「なに?」
今気が付いたことを口にする。クリスの言葉につられるように悠介もまた空を見上げると、確かに九鬼と書かれたヘリが空を飛んでいる。
――――あの方角は…まさかな「…クリス。川下院方面の担当って誰だっけか?」
「うん?
確か犬たちだったはずだが、どうかしたのか?」
それは確信も何もないただの予感だ。下手をすれば、警戒網に穴が開き梁山泊を取り逃がす可能性の方が高い。
しかし悠介は迷わず、それを告げた。
「一子たちに川神院の様子を確認してもらってくれ。
そんで俺らも川神院に向かうぞ」
「ッ――――!!
分かった。すぐに連絡する」
意外にもクリスは悠介の言葉に疑うことなく同意して即座に行動を起こす。それは軍人の家計として育ったゆえの本能が、悠介の表情と声音から何かを感じ取ったゆえかはわからない。
しかしクリスはこの瞬間、悠介の言葉を疑うことなく実行する。
「行くぞ」
「ああ!!」
悠介とクリスの二人は、足早に川神院を目指して駆けだした。
◆
一子はクリスから送られてきたメールを見て首を傾げた。
「どうしたのかしら、クリ?」
「一子、どうしたんだ」
幼馴染の言葉にともに見回りをしている忠勝が、自分の携帯をポッケにしまい問いかける。
忠勝の言葉に一子は多摩に疑問符を浮かべながらメールの内容を彼に見せる。
「たっちゃん。
実は書いてある通りクリから、川神院の様子を見てきてくれって。
でも大和から言われいてる範囲から離れているし、川神院にはおじいちゃんや師範代もいるし…一体どうしたのかしら?」
一子は忠勝に説明しながらもメールの意図が読めないと首をより傾げる。対する忠勝は一子の説明を聞きながら、思い起こされるのは今朝の悠介の顔。
それは考えることさえしなかった意識の死角。だが、先日、その死角を破った友人の躍進を知っている。
そして伝えられたメッセージ。
ありえないがよぎる。それでも無視するわけにはいかない。
「一子、一度川神院に向かうぞ」
「え、たっちゃん?
でも…」
「直江には俺から伝える!!
急ぐぞ!!」
「ま、待って!!」
二言も告げずに走り出す忠勝を一子は慌てて追いかける。
そうやって走り出した二人は、衝撃の光景を目の当たりにする。
「嘘!!」
「マジか…!!」
川神院を視界に納めるとそこには、九鬼と書かれたヘリコプターから無数の人影が降り立つ光景。
それは川神院が襲撃されていることを意味した。
全く考えもしなかった光景に唖然とする一子に悠介とのやり取りもあり、立ち直るのが早かった忠勝の声が彼女を立ち直らせる。
「一子!!全員に連絡だ!!
今回の件、想像よりもデカい!!」
「う、うん!!」
忠勝の言葉と共に一子たちは連絡網にて仲間たちに事態を告げた。
◆
その通知は瞬く間に全員へと伝えられ、それぞれが驚愕を露わにする。
「信じられないで候」
「oh~~」
「マジか!??」
「おいおいおい、これはやばいんじゃないか」
それは勿論、悠介たちにも伝わる。
「悠介!!川神院が襲撃を受けている!!」
「チぃ!
どっちが奇襲をされてんだか!
相手は?」
「信じられないが、犬の連絡を信じるなら九鬼財閥!!」
「やっぱ、大本はそこか。
急ぐぞ!!」
「だが、川神院には学長もいる。
問題ないのでは?」
「ここまで手の込んだことしている奴らが、そこまで無策とは思えない。
何か仕掛けてると考える方がいいだろ」
言いようのない不安を抱え、悠介たちは川神院にへと駆ける。
「可能性があるとすれば、ヒュームさんが鉄心さんと戦うが一番高いけど…そうなった場合は、当然どちらもただでは済まない」
「ああ。それは間違いないな」
連絡を受けてすぐ、燕、百代、大和の三人は宇佐美の運転する車に乗り込み、川神院へと急ぐ。
車中にて語らえる燕の推測に百代も同意する。
「あれ?っということは、おじさんたちが急ぐ理由ってあんまりない」
二人の言葉に宇佐美は拍子抜けしたような声をこぼすが、それに待ったをかけるのは燕だ。
「それでも取り逃がす可能もあります。それにここまでの手の込んだ策を用意していると考えられる以上、何か鉄心さんに対する策があると考えるのが妥当だと思います」
鋭く告げる燕の表情には、普段の人の好い仮面は剥がれ、冷静な兵法家として告げていた。
◆
子どもたちが駆けるさな、渦中の中心となった川神院では、梁山泊と修行僧たちによる防衛戦と侵攻戦が始まっていた。
「まさか攻め込まれるとの~~。
考えもせんかったわ」
黒い雨のように舞い降りる中華系の装いを身にまとった侵略者たちを見上げながら鉄心は気の抜けた声をこぼす。
「総代!!
これハ!!」
「…ルーよ。
正門は任せる」
「ハッ!!」
「つか、あのヘリコプターどう見ても九鬼って書いておるよな?
そのことについて何か申し開きはあるかの、ヒューム」
「何もないな。
今貴様の目の目にある光景が真実だ」
「そうか。
なら、詳しくは聞かんわい。
ただ、覚悟だけはしてもらうぞ」
「ふん。
不要だ」
――――動乱が始まる。
ここから悠介がいることによる原作からの乖離が大きくなってきます。
そのプロットを自分が書ききれるのか?、不安ですが頑張ります!!
あと、大和今回も影薄くてごめんね
忘れている訳じゃないんだよ、君まで書くといろいろと大変だからさ、ホントにごめん