真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~ 作:スペル
アジア大会!!
皆さん、観てますか!!
自分はワクワクしてみてます
大会運営にはいろいろ問題あるけど、選手たちにとって大切な舞台になってほしいです!!
あと、もっと地上波で色んな競技を放送してほしい!!
川神院。それは武を学ぶ者も学ばぬ者にも名が知れ渡る聖地。武神という存在を輩出し続けるその場所はまさに難攻不落の聖地である。
その聖地が今、戦場と化していた。
侵攻するは、無頼にて支配に抗った豪傑たちの名を継ぐ梁山泊。防衛するは、武の聖地にて武の神髄を学ぶ修行僧たち。
修業の後という最も疲労が蓄積された瞬間を狙われ、修行僧たちが押されている。
しかしそれでもただでは負けない。地力で勝っているのだろう。そして川神院で学んでいるという自負が彼らに簡単に膝を折らせない。
故に戦況は拮抗していた。
そして場所は川神院の中庭。そこで川神院総代 川神鉄心と九鬼家従者部隊序列0位ヒューム・ヘルシングが睨みあっている。
「不要のう。
それはワシを甘く見とるのかのう?」
「そういうわけではない」
「ではどういう訳だ?」
「ふん。
鉄心よ、偉くしゃべるではないか。
何か意図があるのか?」
「そんなもんはないわい。
…わしとお主の仲じゃ。
この愚行の理由を話しても罰は当たらんじゃろ」
「…甘いことだ」
ヒュームは鉄心の理由を聞き僅かに呆れたように息を吐いた。
しかしそれがすぐに過ちだったと悟る。
「
「ッ――――!!!」
僅か三文字。そこに込められた意にヒュームの呼吸がわずかに止まる。そこにいるのは普段いるおちゃらけて、少しスケベな学園長でない。
武の聖地川神院の総代にして、かつては武神の名を背負っていた傑物。その意は、世界最高の財閥九鬼を支え続ける最強の男すら呑む。
その意味をヒュームは久しく理解し思い出す。
「まあいいわい。
言葉が意味ないなら、力で問うた方が早い」
「それは確かに俺好みでもあるが、鉄心。
今回、貴様の相手は俺ではないのでない」
「なに?
お前さん以外に、ワシと戦える者などおらんじゃろ」
鉄心はヒュームの想定外の発言に眉を顰めた。ヒュームも鉄心の言葉の意味が分かっているのだからこそ不敵に笑う。
「そら、王が来たぞ」
「は?」
ヒュームの言葉を証明するように
「ハハハハッ。覇王の凱旋である!!!」
覇王が二人の前に現れた。
◆
川神院正門。鉄心の指示を受たルーが門下生と共に梁山泊の兵たちを迎え撃っている。
戦場の中でルーは正門の中央に立つ姿は、まさに門番。
侵略者である梁山泊の兵たちは、ルーのその立ち振る舞いと懸けられた賞金という名の
四方より敵が迫る最中、ルーの気が常人にも目視できる炎のように燃えあがる。
「バーストファイヤー!!」
燃えあがる闘志の攻撃は、一撃の下で梁山泊の兵たちを沈めて見せる。師範代の猛威に修行僧たちは勢いづき、梁山泊の兵たちは呑まれる。
「ハイ!
疲れたときこそ、基本を忘れずにネ。
後ろにハ、ワタシがいル。皆、恐れずに!!
なるべく、一対一の状況を作ってネ」
―――武術家と兵士の違いだ…集団戦においては我々は不利。自分たちの得意の土俵で戦わねば。
ルーの鼓舞に修行僧たちの志気は益々上がる。戦況が川神院へと傾き始めたその瞬間、上空のヘリより舞い降りる影が四つ。
「あちゃー。だいぶ押されているな」
「流石は川神院といったところか」
「むしろ、よく此処まで持ちこたえた」
「そうだね~~」
「君たちハ」――――強い。敵の将といったとこカ。
現れた史進、林冲、武松、楊志の登場にルーはその強さを察して警戒を強める。
「済まないガ、ここから先には進ませなイ」
「お!
いいね。その言葉はわっちごのみだぜ」
「史進。
油断はしないでね」
「分かっている!!
それにそっちだってわっちたちを甘く見るなよ!!」
「四対一ダ。
甘く見るつもりはなイ」
ルーは史進の言葉に慢心ないと告げる。しかしルーの言葉に史進は一瞬呆けた顔をした後、甘いと笑う。
「…何がおかしイ」
「我々だけで勝てると思っているほど甘く見てはいない」
「なに?」
「誇っていいよ」
「魔星を宿す、百八の星が全員で来るなんて、我々の歴史を見てもそうはない」
「ッ!!
まさか!!」
武松が告げた瞬間、上空のヘリより100を超える人影が川神院へと舞い降りる。
戦況は第二幕へと移る。
◆
突如として鉄心の前に現れた人物に鉄心は目を丸くする。
「まさか、清楚ちゃんか?」
「その通り、西楚の覇王である!!」
鉄心は目の前にいるのが清楚であると一瞬信じられなかった。姿は自身が知る葉桜清楚とほとんど変わらない。
しかし、その身から湯水のように湧き出ている他を圧倒する気、優し知性を感じさせる瞳は、好戦さを隠さない赤い瞳へと変化している。
「まさかあの清楚ちゃんの正体が項羽とはの。
いや、名の清楚は西楚の覇王、ヒナゲシの別名は妻の名である虞美人草。考えてみれば、ヒントはいたるところに転がっておったの。
人物像と普段がかけ離れすぎていて、想像もせんかったわ」
「ふん。
忌々しくも封印されていたからな。
貴様がこの俺の存在に気が付かなかったのは無理はない」
「封印のう」
清楚の言葉に思うところがあった鉄心はヒュームに視線を向けるが肝心のヒュームはそれを無視する。
「それで清楚ちゃんは何故、ヒュームの仲間になったんじゃ?」
「フフ。知れたこと、王になるためよ!!
それと貴様には、俺が眠っている間に行った狼藉の罰を、直々に下すため!!」
「後半は納得できるが、前半はのう」
清楚の言葉に鉄心は痛いところを突かれたとしながらも、納得がいっていない顔をする。
そんな何とも言えない空気が場を包み始めたところ、上空のヘリより100を超える人影が川神院へと舞い降りてくる。その中でも大半が鉄心の前に現れる。
「追加で客人は呼んでいないのじゃがの」
「まあいい、マープルとの契約だ。
川神鉄心よ、この俺と戦いたくば、この者たちを倒してみせよ」
清楚の言葉と共に梁山泊の兵たちが鉄心を取り囲む。圧倒的数の差に囲まれた中、鉄心は呆れたように一言。
「はあー。お主らワシをなめとるじゃろ」
刹那、鉄心の背後に神須佐能袁命が顕現した。
◆
敬愛する鉄心のもとに増援が向かったことを察したルーに一瞬の隙が生まれた。その僅かな隙を百戦錬磨の梁山泊の兵たちは見逃さない。
『隙あり――――ッ!!』
林冲たちの背後に隠れていた伏兵たちがルーへと攻勢を仕掛けるが、それよりもルーの行動の方が一手早かった。
「甘い!
ストリウムファイヤー!!」
先ほどの
「マジ?」
「今の火力は私にも引けを取らないぞ」
「あの隙ですら巻き返すのか」
ルーの見せた一連の攻防に梁山泊の面々は唖然とする。彼女たちからしてみれば、あの隙は明確なものだった。
それなのに手傷を負わせることが出来なかったのだ。しかも約一秒後鳴り響いた轟音と共に
全滅という事実と合わせて彼女たちは驚きを隠せない。
「悪くはないガ、この程度で崩れるほど我々は甘くはなイ」
「そうだね~。
その動きはもう見た」
「ム――――」
宣言するルーの前に、楊志が立つ。不穏な気配を感じ取ったルーの瞳が鋭くなる。
「その構えハ…ふざけているわけではないようダ」
「ふふ。
試してみる?」
楊志が見せたのはルーと同じ構え。それは一種の挑発であり自負。己の持つ
「「ストリウムファイヤー!!」」
炎の気弾がぶつかり合い、轟音と共に熱風と衝撃が当たりを包む。
――――互角…
互角という事実にルーの思考が一瞬止まる…。
――――ならば「ロケットクロー!!」
「へ?「楊志!!」ぐぅぅ!!」
ことなく連撃を与える。まるでロケットように繰り出された突きと抉りを合わせた一撃が、楊志に迫る。
その一撃が直撃する瞬間、先を視た林冲が楊志の前に現れ槍を盾として受け止める。しかし、衝撃を受け止めることが出来ず林冲と楊志が後方へと後退する。
「見事な模倣ダ。
しかし、技と技の繋ぎガ甘い。
たった一つの技だけでワタシの全てを知ったと思わないでもらおカ」
それは自負。努力をもって武神を倒した悠介の師である自分が、たかが技を模倣された程度で揺れるわけにはいかない。師範代ルー・イーを作り上げた全ての経験が楊志の異能を、精神的動揺するも封殺してみせる。
「…流石は川神院の師範代だ」
「これは流石の私も甘かった」
ダメージを負いながらも林冲たちは敬意を見せながら立って見せる。史進と武松は、隙のないルーの動きに手を出せずにいた。
その中で楊志は笑う。
「だから、とっておきを見せてあげる」
「ナニ?」
ダメージで僅かに体を揺らしながらも不敵に宣言する楊志にルーは警戒をより強める。しかし次の瞬間、ルーでさえも硬直してしまう。
「バカな…その
周りへの警戒を忘れてしまほど、それほどまでにルーに与える衝撃は大きかった。その明確な隙が勝敗を分けた。
「ムッ!?
――――これは糸!!」
ルーが硬直した隙に彼の四肢を鉄糸が絡みつき拘束する。僅かな反応の遅れを詰みとする達人技。
そしてその拘束を彼女たちとってのチェックメイトだ。
「
「
「
回転の勢いを込めて放たれる棒術の一撃は竜の尾となり、空を覆う炎の大華を宿す拳、銀に輝く双剣の軌跡が翼に見える斬撃がルーへと迫る。
拘束されているルーは脱しようと藻掻くが藻掻くほどに拘束が強くなる。
そして三人の一撃よりも一手遅れて、最速の獣の槍が放たれる。
「
竜の尾を、炎の華を、比翼の翼を置き去りにして、黒豹の牙がルーを貫いた。
「ぐぅあッ!!」
四人の技が叩き込まれ正門へと叩きつけられる。
叩きつけられたルーは指一本動かすことが出来ず意識を失った。
◆
正門の決着の少し前、川神院中庭。
「ハハハ!!
見事である」
「その武はよし!!
この覇王自ら相手をしてやろう!!」
「…全く反抗期にしてはやんちゃが過ぎるの」
「五月蠅い!
来い、
≪お待たせしました。
そしてその声に鉄心は聞き覚えがあった。
「まさか、普段清楚ちゃんが乗っていた自転車か?」
「そうだ!!
これこそがスイスイ号の真なる姿!!」
≪鉄心様。どうぞよろしくお願いいたします≫
「なるほど、
項羽の名馬が由来か」
「その通り!!
スイよ、武器を出せ!!」
≪現在の武器は方天画戟となっています≫
「ハハ!!
だが許す!
寄こせ!!」
清楚が命令した瞬間、スイの横から方天画戟が飛び出し、
方天画戟を手にした
「よい!!
手に良く馴染む!!
使い方も分かる!!
では、行くぞ、川神鉄心!!」
「むっ!」
宣言と共に
「はっ!」
それは型も何もないただ力ずくの振り降ろし。隙だらけな
「ほっと!」
「ぬ!」
大きく後退して回避する。標的を失った戟が地面に叩きつけらえると、再び爆心地と見間違うばかりに大地が大きく陥没する。
「なるほどの~~」
「おのれ逃げるな!!」
「清楚ちゃんや、逃げはせんよ。
…じゃがまずは仕置きじゃ」
――――流石だ。鉄心よ、もう項羽の強さに気が付いたか
鉄心はたった一度のやり取りで
「
天より顕現した戦の仏門毘沙門天。その巨大な足が、
その足を
類まれなる才を持った
即ちそれは、0.001秒の不可避の
鉄心が技の名を告げ終えた瞬間、攻撃は終わり巨大な足に踏みつけられた土煙だけが、その技の威力を物語る。
「――――」
立ち上る土煙を見つめながら鉄心は警戒を解かない。並どころか、相応の実力者ですら立つことが出来ない必殺の一撃。
しかし鉄心はまだ終わっていないと確信している。
その証拠に…。
「フハハハ!!
やってくれたな、川神鉄心!!」
「やっぱりのう」
「この俺が見ることしか出来ぬとは感服だ!」
土で体を汚しながらも
「項羽に褒められるとは少しは自慢できそうじゃが…ワシは清楚ちゃんに褒められたいのう」――――やはり、膨大な気の鎧のせいでダメージが軽減されておるか。
軽口をたたきながらも鉄心は冷静に己の予測が正しかったことを悟る。
壁を越えた者とされる者たちのほぼ倍以上の気を常に垂れ流している。そこから攻勢や守勢になった瞬間、本能的に気がさらに放出される。
気による強化は、例外を除いた一定の強さの武人にとって基本的な技であり極意。ただ纏う膨大な気は、強固な鎧であり矛となる。
即ち、
――――厄介じゃのう…長期戦はワシの負け。
年老いた自分には不利な相手。
ただ天災が如く振るわれる暴威の前では人が積み上げてきた技など無意味と言わんばかりの敗色濃厚な場において鉄心は…。
「まあ、そうこなくてはのう」
「なに?」
不敵に笑う。
不利がどうした、そんなもの諦める理由にも負ける理由にもなりはしない。それを覆すために生まれたのが武術であり、自分はその頂点の看板を背負っているのだ。
なにより――――。
「何度も言うぞい。
ワシを甘く見るな」
この程度で折れていてはあやつの師など名乗れない。
ここにきて初めて鉄心が戦闘へと身を構える。刹那、跳ね上がる脅威度を本能で感じ取った
その僅かな
「
「しまっ!」
その技が告げられた刹那のみ鉄心の背後に姿を見せたのは、陽炎の仏身。その姿が消えると同時、周囲に蜃気楼が生まれ鉄心の姿を隠す。
「一体どこに―――!!」
≪
完全に見失った
「
それは一秒に満たぬ間に、12回の顕現をもって、梁山泊の精鋭である百八の
「――――
その斬撃は摩利支天の加護を得て目視は不可。
「がはっ!?」
無視できないダメージは与えた。しかし、致命傷と言えない。
ゆえに鉄心は勝負を決めるために更なる奥義を放つ。
「顕現の―――――ッ!?」
その瞬間、鉄心は己の腹心であるルーの敗北を感じ取る。ルーの敗北は鉄心に少なからずの動揺を与えてしまう。
それでもなお、川神院の総代として全てのケジメを落とさんと意識を固める。ここに至るまでおよそ1秒。
その1秒が勝敗を決した。
「ジェノサイド――――」
「しまっ!」
その獣は待っていた、鉄心は己の失態を悟る。
「――――チェーンソー!!」
振りぬかれるは、カッターと見間違うばかりに空を狩る蹴撃。回避も防御もできず、鉄心はヒュームの蹴りが直撃しそのまま意識を失ってしまう。
「少々、勝負を焦り過ぎたな。
しかし、それが悪手だったとは言わんがな」
ヒュームは聞こえていないであろう鉄心に敗北した理由を告げる。鉄心の敗北をもって、川神院の敗北が決まる。
しかしその勝敗に不満がある人物は当然のようにいる。
「ヒューム!!
貴様、どういうつもりだ!!」
「どういうつもりもない。
最初から奴の相手は俺が担当の予定だった。
それを項羽、貴様の要望で変更しただけだ」
「ならば!!」
「だが、条件も出したはずだ。
指定した時間までは手を出さないが、それ以降は介入すると。
時間までに奴を倒せなかった貴様が悪い」
ヒューム言葉に
我が儘な振る舞いにヒュームは呆れながら、残す処理を行っていく。
「ところで、お前たちはルーの周りで何をしている」
ヒュームは作業中、生き残ったの梁山泊の面々がルーの周りで何やらごそごそしていることに気が付き、彼女たちに問う。
ヒュームの問いに対して彼女たちは直ぐに終わりと告げると作業を続け。
「よし。
これでいいだろう」
「全く手間がかかるぜ」
「文句言わない。
こっちもだいぶ戦力が削られたし必須でしょ」
「行くぞ」
四人が描いた陣の上で呪文を唱える。すると完全に意識を失っていたルーの体がまるで空から垂らされた糸によって操られているかのように起きあがる。
「起きたか、
「気分はどうだ?」
「…これは素晴らしい。
今まで憑依してきた体の中で一番だ」
「憑依したのは川神院師範代だ」
「なるほど、あの名高い川神院、それも師範代となれば納得」
「ふぉー。随分と面白い技だ。
立ち振る舞い、声音はまさしくルー。
…だが、気だけが他人だ」
成り行きを見ていたヒュームは目の前の現象を面白いと評する。
「そう奴こそは、梁山泊百八の
「ま、本体はただの引きこもりだけどな」
「なるほど。
それで解除するにはどうすればいい」
「簡単、憑依した体が気絶すると解除される」
「なるほど、俺好みの単純さだ。
よし、そちらの用も終えたなら一度撤退するぞ」
ヒュームの号令と共に梁山泊たちは川神院を後にした。
◆
悠介たちが急いで川神院にたどり着くと、そこには先にたどり着いていた一子と忠勝が慌ただしく、負傷者の手当をしていた。
「マジか…」
「敗れたのか」
想定外の光景に二人は言葉を失うが、忠勝の声もあり手当に参加する。そうしてしばらくすると。
「そんな!」
「これは想定外」
「ジジイ!!」
続々と人が集まってくる。
彼らも状況は一切分かっていないそれでも自分たちの常識が一つひっくり返ったことを理解する。
そんな混乱の中…。
「これは!!
一体何が起きている」
九鬼極東本部から脱出してきた紋白が合流した。
――――大戦まであと僅か
今後を考え、うまく格を落とさずに進めようとすると負け方ってすごく大事だなと感じます
上手く描けたかな?
清楚に項羽ってルビ打つのめんどくさい!!
多分、次からは清楚で統一すると思います