真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

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前回の投稿が、2021年4月29日―――――現在が2025年9月29日

4年と5ヶ月ぶりです。

お待たせして申し訳ありません。
もう待ってる人はいないかな???

色々とありましたが、今日からまた更新を再開していこうと思います。
相変わらずの亀更新ですが、半年の間は空かないようにしていきたいなと思います。

改めてよろしくお願いします。

今後の展開を考えて、夏休みの期間で行ったとしていたタッグマッチですが、夏休み前の連休で行ったという形に変更しています。


とりあえず、楽しんでくれたら嬉しいです


九鬼動乱~未来を担うのは誰か~
悠介と翌日


後の世に伝説と言われる、若獅子タッグマッチトーナメントのエキシビションマッチ。

その結末は多くの者に衝撃を与えた。

 

若獅子タッグマッチトーナメント終了したその日の夜。とある一室に、三人の人影が集まっていた。彼らに共通しているのは、全員が年を取った老兵であると言う事。しかし老兵と侮る事なかれ。もしも此処に軍隊の一小隊が襲いかかってきたとしても、彼らは無傷で制圧するだろう。老いたとは言え彼らは紛れもなく一騎当千の兵なのだから。

 

「些か、予想外の結末でしたな」

 

カランと氷とグラスがぶつかる音を響かせながら、琥珀色の液体を一口、口に含んだモノクロを付けた老執事クラウディオが、驚嘆を声音に乗せながら呟いた。

クラウディオの言葉に右隣に座っている老婆マープルは不機嫌そうにグラスの酒を一気に飲み干す。

らしくない飲み方にクラウディオが身体に悪いですよとそれとなく窘めるが、マープルは意にも介さず五月蠅いねと一蹴する。

これは相当に荒れているなとクラウディオ珍しい者を見たような顔をする。その顔が返ってマープルを刺激する事に気がつき、何とか表情を整えるがそれよりも前にマープルに気取られてしまう。

これは自分のミスだとクラウディオは、マープルが落ち着くまでサンドバックに徹する事決める。

マープルの愚痴を受けながらクラウディオは、先程から無言を貫くもう一人の戦友に視線を向ける。

 

――――何を考えているのやら。

 

十中八九、あの戦いのことだろうが、ここに至るまで職務は普段通りに全うしていたが心は此処にあらずだった。

端から見たら普段と何も変わらなかっただろうが、長い付き合いであるクラウディオには、それが普段からの習性であり忠義故の動作であると理解できた。

今、彼の思考を埋めているのは、武神討伐という偉業をなした少年だろう。

 

「全く――――どうしてもっと早く現れてくれなかったんだろうね」

 

何処か迷うように呟いたマープルの言葉にクラウディオは一瞬、目を伏せる。その言葉に込められた思いを十全に理解できたからだ。

だからこそ、クラウディオを試すように口を開いた。

 

「本当にやるのですか?」

 

暗に、今ならまだ引き返せると告げる。クラウディオの言葉に、驚いたように目を丸くするマープル。そして「そんなに分かりやすかったね」と小声で呟くと、バーボンのボトルを掴むと、直接ボトルを飲み干す。

マープルらしからぬ動作に今度こそクラウディオの顔が大きく動いた。ドン!と飲み干したバーボンのボトルをテーブルに叩き付けたマープルは、顔を赤くしながらも、しっかりとした瞳と声音で告げた。

 

「勿論。この程度(・・・・)で矛を収めてやるほど、安い絶望じゃないさ」

 

「そうですか。

それで、貴方はどうしますか?」

 

マープルの意思を確認したクラウディオもまた、改めて決意を決める。そして今の今まで沈黙を貫いているもう一人の戦友ヒュームに問いかける。

ヒュームもまた、マープルのようにボトルを一気に飲み干すと、獅子を思わせる眼光を光らせ告げる。

 

「フン。赤子共を試すのもまた一興だ。

だが、()だけは俺様が貰うぞ」

 

「ご自由に。

そもそも貴方で無ければ止められ無いでしょう」

 

「なら、決まりだね」

 

クラウディオが自身のボトルを二人のグラスに注ぐ。三人は琥珀色に輝くグラスを手に持つ。

 

「九鬼の未来に」

 

「「九鬼の未来に」」

 

グラスがぶつかり合う甲高い音と共に三人はバーボンを飲み干した。

これは契約。三人の共犯者は、契約と決意を持って暗躍を開始する。

 

武術の世界が動いたその日の夜、古豪の老兵達が動き出した。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

若獅子タッグマッチの翌日。朝のニュースでは、悠介と百代の激闘を取り上げ、各国首脳陣が声明を出している。

世の中が慌ただしくなる中でも学生である以上、学校にいかねければ成らない。

そんな彼らの話題もやはり、悠介と百代の勝負なるのは致し方ないだろう。

 

「やっぱり、至るところで話されてるな」

 

大和は百代を除く風間ファミリーと共に川神学園に向かう中で、変態橋を渡ってる最中耳に入る話題に顔を僅かにしかめる。

 

「それだけ注目されてたって事だろ!!

くぅ――――相楽の奴、一躍スターじゃねえか!!

羨ましいぜ」

 

「たっくよ。

キャップは相変わらずだな。

だが、これで相楽の奴が女子達にモテ出すような俺様は許さねぇぜ!!」

 

男達が話している中、武士娘達も話題はやはり悠介の話題になっている。そうやって普段通り学園に向かっている風間ファミリー。

 

「おーい!

一子さ―――ん!!」

 

「あ!義経!!

今日は挑戦者と戦ってないのね」

 

「ああ。今日は一日お休みを貰ったんだ」

 

若獅子タッグマッチ(きのう)の今日だからね。

流石にマープル達も許してくれたよ」

 

「ハン」

 

「皆、おはよう」

 

義経たちクローン組が大和達と合流する。更に増えた武士娘達、そうなれば話題は益々昨日の事へシフトしていく。

 

「義経としては何も問題は無いのだが、マープル達が駄目だって」

 

「はは。義経ちゃん、悠介君の戦いをみて感動してたもんね」

 

「当然だ!!

百代先輩はさることながら、悠介君の勝利に義経は心の奥底から感動した!!

導く役割を持つ、義経も負けぬように精進せねば」

 

「わ、わかります!!

あの勝負は私も凄く感動しました!!」

 

「ああ!!

やはりまゆっちもか!!」

 

「ああ。あれほどの決闘だ血がたぎらない訳がない」

 

「ふふっ。

悠介君もモモちゃんも格好よかったね」

 

「相変わらず、主は真面目だね~~。

休んで良いって言われてるんだから、しっかり休むのも仕事だよ~~。

私は今日は一日ぐうたらすると決めてるんで」

 

「いや、姉御は普段と何もかわって――――「与一。なんか言った?」い、いや何も言ってません!!」

 

各々が喋りながら学園へと向かっている最中、丁度橋の中頃にさしかかった頃、天より人影が落下してくる。

 

「天から美少女登場―――――!!!」

 

ドゴン!!と大凡人が落下したとは思えない音と共に百代が合流する。

益々賑やかになりながら学園に向かおうとしていると、人影が二つ彼らの前に立ちはだかる。

 

「おお、兄者よ。

此方の女子が川神百代じゃのう」

 

「ほうほう。

実際に見てみると、なかなかの美人じゃのう」

 

「うん?

誰だ、オマエら」

 

百代は眉をひそめながらも、いきなり現れて不躾な言葉をニヤニヤと告げる大男に何者だと告げる。

 

「ワシらは地元で最強の兄弟じゃ。

今日はワシらの強さを世界に知らしめる為に、武神川神百代を倒しに来たと言うわけじゃ」

 

「加えて武神川神百代といえば、めんこい女子という噂。

兄者の花嫁に相応しいの」

 

「うん?よく見れば、周りの女子も中々にめんこいのうぉ。

どうだ、弟よ。

お主も良い機会だ、この場で嫁を決めるというのは」

 

「兄者よ。それは名案じゃ」

 

ゲラゲラと話し合う二人の大男達。そんな二人の余りの言葉に百代は怒りを通り越して呆れた表情を見せる。

 

「おいおい。私を倒しに来たのか嫁を探したのかどっちなんだ」

 

「何というかおめでたい奴だなー。

先輩への口調から考えて、昨日の決闘知らないんじゃ無いですか」

 

「あははっ」

 

「チィ。九鬼の奴らは何をやってやがる」

 

「えっと…」

 

「最初はガクトとみたいな者達かと思ったが、間違いだな。

不快だ」

 

「流石の俺様でもコレと同列には扱って欲しくないぜ」

 

その場にいた全員が不快を隠そうともしない。

それは仕方が無いだろう。今の時代にいて良いのかと思う程の男尊女卑だ。その中で百代は、仕方が無いと。目の前の不届き者どもに天誅を下そうと拳を握った瞬間

 

「こんな所で立ち止まって何してんだ?」

 

「およ?

これはもしかして――――」

 

突如として背後からかけられた声に百代達は反射的に振り返る。

振り返った先には、頭に?マークを浮かべる悠介が不思議そうな顔をして燕と立っていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

悠介は朝の日課を終えて燕と共に学園に向かっている最中、百代を含めた見知ったメンバーが固まって停まっている事に気がつき、何かあるのかと声を掛ける。

一目見ても状況を判断しきれない悠介とは裏腹に燕は、一瞬で状況を理解し、少し眉をひそめる。

燕の変化に気がついた悠介が彼女に声を掛けようとした瞬間、弟と言われた大男が燕を指さし叫ぶ。

 

「ああああああ。お主は納豆小町!!

兄者!兄者!ワシは、嫁はあの女子にするぞ!!!」

 

「あ?」

 

「あちゃー」

 

突然の大男の言葉に悠介は意味が分からないという顔をし燕は困ったなーと頬をかく。

 

「ほぉー。弟よ、お主はあのような女子が好みだったのか。

…だが悪くないな。

ふむ。嫁も決まった事だ。

後は我ら兄妹の強さを示すぞ!」

 

「おうよ、兄者!!」

 

またも周りを置いて話を膨らませる大男二人。その会話を聞いた悠介は事情を察してめんどくせぇという表情を隠さない。

目の前の愚図の未来など最早一つしか無い。これ以上は関わっているのも面倒だと、その場を後にしようとする。

悠介が歩を翻してその場を後にしようとした瞬間、右腕にふにゅ!と何か柔らかい感覚と共に大きく引っ張られる。

 

「ごめんね。

実は私にはもうこのステキな男の子のモノなんだー」

 

「はあ?」

 

悠介の右腕に抱きつきながら、頬を赤くさせながら燕はそれはそれは魅力的な顔で呟く。突然のカミングアウトに大男の弟とガクトなどの一部の男達が悲鳴を上げ、一部の女子はピクリと反応する。

燕の行動に悠介は一瞬唖然とするが、直ぐに燕のあくどい笑みを浮かべたのを見て理由を察して慌てて引き剥がそうとする。

そんな悠介の行動と燕の動作からその真意を悟った百代もまた意地悪猫のように笑みを浮かべると、悠介の背中に飛びつく。

 

「そうだニャー。

私もこのステキな男にメロメロだー。

残念だがお前達の入る隙間は無いぞ」

 

「ってモモ!!

テメェも乗ってくるんじゃねぇ!!」

 

このままではマズイと二人を引き剥がそうと躍起になるが、今度は左腕にも柔らかな感触が包みこまれる。

 

「げぇ!弁慶!!」

 

「げとは酷いな~~。

…まあでも、惚れた弱みだよね~~

まあ、そういう事なんで私と主のことも諦めてね~~」

 

「べ、弁慶!!」

 

「悠介君、ごめんね」

 

左に視線を向ければ何故か弁慶も悠介の左腕に抱きついている。加えて、弁慶に連れられて来たのだろう、悠介の左背後にはソワソワしている義経の姿。

更にいつの間に移動したのか、右側には清楚が悠介を壁にして大男達の視線から逃れている。

 

両手には花どころか、全身を花に囲まれている悠介。周りの男どもから嫉妬の目線を受けている。唯一、与一だけは同情の念を悠介に向けている。本人はどうにかしてこの状況から脱しようとしているが両腕を固定され身動きが上手く取れない。

 

「離れろ!!暑苦しいんだよ!!」

 

「おいおい。こんな美少女達に囲まれてそれはないだろ~~」

 

「そうだよ、悠介君。こんなにもか弱い女の子が助けを求めてるんだよ」

 

「そうだそうだ―――」

 

「今何月だと思ってるんだよ!!暑苦しいに決まってるんだろ!!

あとおまえらは、か弱くねぇし、状況分かっててやってんだろ!!

これ以上、俺を巻き込むじゃねぇ!!」

 

悠介からすれば何とか猛獣たちの群れから脱しようと藻掻いているのだが、大男の兄弟はイチャイチャを見せつけられたと判断したのだろう。

憤怒の声を上げながら悠介に向かって突進を仕掛けてくる。その瞬間、燕と弁慶は即座に腕から身体を離し、背後へと移動する。

 

大凡200キロを超える巨体のタックルを直撃する。自信のある攻撃だったのだろう。大男の兄は勝利の笑みを浮かべているが。

 

「―――はあ。こうなったら仕方ねぇよな。

二つ、お前らに言っとく事がある」

 

「なにっ!!」

 

全く動じる事なく巨木のように不動な悠介の姿に、大男の兄は驚愕を隠せない。兄の攻撃が効いていない事に弟も動揺を隠せない。

 

「一つ。

女はモノじゃねぇ。こいつらの意思を無視してんじゃねぇよ」

 

ギロリと兄を睨め付ける悠介の眼光に、兄は無意識の内に一歩後退する。

 

「二つ。

今のお前らにこいつらは釣り合わねぇよ」

 

ぐっと握られた拳が、槍のように鋭く相手の肉体を貫いた。瞬間、肉と肉がぶつかる乾いた音が空砲のように響き、大男が橋から川に落下する。

 

「あ、兄者!!」

 

兄が無残にも吹き飛んだ事に驚愕する最中、距離を詰めた悠介が再び拳を握る。

 

「だから、漢磨いて出直せ」

 

再び空砲の様な音が鳴り響き、弟も兄を追うように川へと落下した。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

大男二人が吹き飛んだのを確認した悠介は、何か身体の調子を確かめる(・・・・・・・・・・)ように掌を閉じたり開いたりしている。

 

「悠介君、お疲れ様~。

助かったよ~~」

 

「オイコラ、燕!

朝からめんどくせぇ事に巻き込むじゃねぇよ」

 

「いやー。私も悪漢から護って貰う女の子をやってみたくてね」

 

「…はあー。もういいわ。

さっさと行くぞ」

 

「おいおい。私たちの事は無視か――」

 

「モモ…。

テメェならさっさと片付けられただろうが。

何もたついてやがる」

 

「何だ何だー。こんな美少女達を護れる王子様役をやれたんだぞ?

もう少し得意げになっても良いだろうがよ―――」

 

「そうだね~。

そんな反応されると、女の子として傷つくな~~」

 

「猛獣を護って何を得意げになれってんだよ。

つか、弁慶。そう感じるならせめて川神水をやめやがれ」

 

「いや~。あのいやらしい目線を向けてきていた弟の方が派手に吹き飛んだ姿をみて溜飲が下がるし、川神水が進む~~。

ねぇ、先輩」

 

「あはは。弁慶ちゃん、あんまりそういうこと言ったら駄目だよ。

でも確かにあの目線は困っちゃうよね。

だから、悠介君ありがとう」

 

最初は文句を言っていた悠介だが、清楚からの感謝を受けてこれ以上はやめたと学園に向かって歩き出した。




いかがでしたでしょうか?
久々の更新なので、違和感とかあったら教えて下さい

次は早めに更新できるように頑張ります
良かったら、感想をお願いします

これからも今作をよろしくお願いします。
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