真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~ 作:スペル
恋愛面を絡めつつ、物語を進めるの難しい!!
なんか違和感とかあったら教えてください。
いやマジで、これを平然としている人たち凄いな!!
朝の騒動の後、周りからの視線に苛まれながら悠介は何とか放課後まで我慢した。
そしてついに噂の真実を確かめることとなり、約束された場所に向かっているのだが、そこには多くの同行者がいる。
一人は、軍師として噂の真実を知りたいと申し出た大和、男たちの代表として直接確かめると豪語するガクト、気になるからという割とあいまいな理由で弁慶が付いて来た。
因みに忠勝は興味ないと断り、与一はどこか同情と恐怖の目線を向けながら遠慮していた。
悠介は同行者の多さにどうするかと考えたが、二人で会うよりも複数人で会ったほうが何かと都合がいいかと考えて了承した。
そうして悠介たち四人は学園の裏側にある、学長が行っている園芸場所にたどり着いた。
そこには既に清楚たちを含む三人が待っていた。
――――あ、モモと燕?「待たせましたか?」
「あ!悠介君。
ううん。全然待ってないよ」
百代と燕がいることに疑問を持つが、百代がメール内容で伝えられたような怒りを感じないため、今は噂が最優先だと一旦隅に置く。
悠介の声に清楚は、申し訳なさそうな顔をする。
「燕も、助かったぜ」
「気にしなくていいよん!
貸しにしておくから」
「それがなければもっと助かったぜ」
「えー。
あのモモちゃんの癇癪を宥めたんだよ?
貸し一なら格安だと思わない」
「…わかったよ」
「よろしい」
悠介と燕が普段通りのやり取りをしている最中、我慢できないガクトが悠介を放っておいて本題に入る。
「葉桜先輩!!
はっきりと否定してください!!」
「ガクト、落ち着け」
「大和も大変だね~…まあでも、確かに気になるね。
先輩、一体どういうことなんですか?」
我武者羅に迫るガクトを大和が何とか抑え、そんな大和をがんばれ~と川神水を飲みながらやる気のない応援をしながらも清楚に問いかける弁慶。
そして百代は現状、沈黙を保っている。
「え~っと、弁慶ちゃん。
実はね――――」
「まてまて!
俺抜きで話を進めるな」
弁慶の威圧感に呑まれて話始めようとする清楚を悠介が慌てて止める。
「グタグタだがまいいか。
それで改めてなんだが、葉桜先輩。
噂の件について教えてもらってもいいですか?」
「うん、ごめんね。
なんか凄く大事になっちゃったみたで」
「いや、そこについては別に気にしていないので大丈夫っすわ。
それより、先輩のほうは大丈夫ですか?」
「私のほうは京極君がいてくれたし、燕ちゃんやモモちゃんもいてくれたから」
「ふふ。
モモちゃんと頑張ったよ~」
「それはありがとさん。
モモもありがとな」
「…ふん」
「それで実はね―――」
清楚の話を要約するとこうだ。
昨日、日課の図書室での読書を終えて帰ろうとした所、名前も知らない一つ下の後輩から告白を受けた。
当然清楚は、誰とも知らない告白を受ける気も慣れず、何とか告白してきた後輩が傷つくことのないようにやんわりと断ったのだが。
待ち伏せしたうえでの告白とあって相手も相当に覚悟を決めてきたのか、簡単には引き下がらず何かと理由をつけてそこを何とかお試しでも構わないと懇願された。
このままではと恐怖を覚えた清楚はつい口から出たのが、もう既に付き合っているという言葉。
清楚の言葉に驚愕した相手は驚きながらその名前を聞いてきた。当然付き合っている相手もいない清楚は困ったが、ふと脳裏に浮かんだ名前を告げた。
「なるほど。
その名前が悠介君だったんだ」
「先輩も苦労しているんですね」
全てを聞き終えた燕は納得したと頷き、弁慶はどこか同情した目線を向けている。
「清楚ちゃんは優しいな~~。
だが、その手のタイプは下手に希望を持たせないほうがいい。
バッサリと断るのがお互いの為になるぞ」
「モモちゃん。
うん、そうだね」
今まで無言だった百代も正式に清楚と悠介が付き合っていないと理解すると普段通りのテンションでアドバイスを告げる。
「となると、下手にこの噂を否定しないほうがいいのか?」
そしてすべてを聞き終えた悠介がふと告げる。
その発言を聞きあたりがまた騒然となる。
「おい、相楽!!
てめぇ、一体どういうつもゴハァ!」
「一体どういうつもりかな、悠介君?」
「私も知りたいな~~~?」
「まさかお前、このまま正式に清楚ちゃんお付き合いをしようとか思っていないよな?」
いの一番に食いついたガクトだが、燕、弁慶、百代によって邪魔だと言わんばかりに吹き飛ばされる。
三人に詰め寄られた悠介は、呆れたように理由を告げる。
「いや、普通に考えてここで噂を噓だとしたら、その先輩に告白してきた奴が息を吹き返してまた迫ってくるだろ。
最初に変に嘘をついた分、今度は付き合えるまで諦めないと思うぞ。
なら、いっそのことこのままにしといたほうがいいだろ」
「えっと…私はありがたいけど、悠介君は本当にいいの?」
「まあ別に、誰とも知れない奴に名前を使われるのは癪だ…ですが、知らない相手でもないですし、名前を貸したからと言って現状で実害がある訳じゃないなら、俺は別に構わなねぇ…です」
「あ、ありがとう」
◆
「こういうことを偶にさらっというから困るんだよん」
「全くです」
「…つまり弁慶ちゃんも
「勿論。というか、やっぱり先輩もそうなんですね。
やっぱり、競争率高いですね」
「ふふ。諦めてくれもいいんだよん」
「冗談ですよね」
◆
悠介の言葉に清楚は顔を赤く染めながら感謝を述べる。
「別に気にしなくてもいいですよ。
そもそもこの学園なら、もっと大きなことが起きてすぐに忘れ去られるかもしれないですし」
「ふふ。そうだね。
色んな事が起きるからね」
悠介はこれで話はおしまいだとしようとするが、そうなると困る彼女たちからすれば終わらせるわけにはいかない。
「スト―――プ!
話は理解したよ。
つまり悠介君は、清楚ちゃんが厄介な告白を受けないようになるなら、噂を
否定しても構わないんだよね?」
「? まあ、そうだが。
出来んのか?」
突然割って入ってきた燕の確認に、悠介はそれは無理だろと暗に告げる。しかし悠介の言葉を聞いた燕は不敵に笑って見せる。
「フフッ。
悠介君は、まだまだ私を甘く見ているね。
それじゃあ、早速取り掛かるよん!!
モモちゃんも弁慶ちゃんも協力してくれるかな?」
「めんどいですけどまあ…いいですよ」
「勿論!!
悠介なんかに清楚ちゃんは渡せん!!
大和、お前も手伝え!!」
「…わかったよ、姉さん。
なら、ガクトも行くぞ」
「おうよ、葉桜先輩は俺様が守る!!」
燕の言葉を得て、その場にいたメンバーは同意する。そうして、そのまま悠介と清楚を置いて、どこかへと消え去った。
余りのスピードで進んだために口を挟むこともできずに二人はポカンとしばし見つめあう。
「え~っと、大丈夫かな?」
「まあ、燕がああいうなら何かしら手があるんでしょうから、任せて問題ないんじゃないですかね」
どこか唖然とする清楚とは対極に悠介はもう大丈夫だと彼女を安心させるように呟く。
「ふふ。
燕ちゃんのこと、随分と信頼しているんだね」
「…昔から色々と手伝ったり、助けられたりしているんで。
まあその分、相応の返しはしているんで」
「それ、なんか想像できるな~」
悠介のその時を思い出した気の重そうな表情を見て、清楚はおかしなものを見たように笑う。
周りの草花と相まって絵になる風景。しかしふとした時に見えた表情が悠介にその言葉を発しさせた。
「なんかあったんすか?」
「へ?」
「いや、なんか一瞬寂しそうな顔をしてた気がしたんで」
気のせいならすいませんと謝る悠介に清楚は敵わないなと呟く。
「やっぱりなんかあったんですか?」
「う~ん、ちょっと説明しずづらいんだけどね。
義経ちゃんたちは源氏組って感じでいつも三人で行動することが多いんだ。
逆に私は、上級生ってこともあって一人が多くてね。
別に寂しいと思ったことはあんまりないんだけど、どこか自分で線引きをしちゃうんだ。
まだ私は自分が一体どんな英雄のクローンなのか分からない。
勿論、前に悠介君が言ってくれたようにどんな英雄であろうと私は私だって、いえる心の強さは鍛えているつもりだよ」
悠介君にも何度か相談に乗ってもらっているしね。そう笑う清楚の言葉を悠介は黙って聞いている。
清楚のいう通り、彼女からのメールで何度か心の持ち方についてアドバイスを送ったことはある。
それが助けになっているのは事実だ。しかしそれは心と向き合ってきたからこそ浮き彫りになってきたもの。
どうしても一人では受け止めることが出来ないもの。
「自分が何者であろうと受け止められる。
でも自分が何者か分からないっていうのはね…怖いってどうしても思っちゃうんだよね。
もしかしたら、それがお付き合いできない理由かもしれない」
「――――」
きっとその孤独を理解できる人間はこの世にいないだろう。誰もが生まれ、育っていく中で得るものの一部が欠けているような状態だ。
悠介のおかげで向き合った結果、見えてきた一人ではどうしようもない部分。
弱音をこぼしたから、清楚は膝を抱えるように蹲る。
「まあ、仕方ないっすね」
「うん。そうだね。
…ごめんね、こんな暗い話しちゃって」
「葉桜先輩の気持ちは分らないですが、一人じゃ無理っていうなら、仕方ないので俺が手伝いますよ」
「え?」
「え?
なんで驚いているんですか」
「だって、悠介君前に言っていたじゃ―――」
「ああ。そうすっね。
でも、勘違いしていますよ。
一人で限界まで向かい合ったなら、次は頼るべきですよ。
俺もそうだったので。
漸く先輩は次の段階に立てたんですよ」
口下手ですみません。と清楚と目線を合わせるように悠介もしゃがむ。そして頑張りましたというように清楚の頭に手をポンポンと置く。
「ほんっっと、口下手すぎるよ」
「すいませんね。
詫びに手伝うんで、よろしくお願いします。
まあ、力になれるか分かりませんけど…」
「そんなことないよ。
悠介君がいてくれるなら百人力だよ」
「ならよかったっす」
目じりに涙をためながらも清楚は嬉しそうに笑う。清楚の笑顔に悠介もつられて笑みを浮かべる。
「じゃあ、悠介君にお願いしようかな。
もしも私が倒れそうになったら助けてくれる?」
「勿論。
ないと思いますけど、もしもグレたりしたら拳骨して目を覚まさせてあげますよ」
悠介は握り拳を見せながら清楚のお願いを了承する。そんな悠介の言葉に清楚は笑いながらお手柔らかにねと告げる。
「あ、そうだ!
悠介君」
「?。
なんですか、先輩」
「これから私と悠介君って仲間だよね?」
「まあそうですね」
「だからね、私のことも燕ちゃんやモモちゃんみたいに呼び捨てにしてもらってもいいかな?」
「え゛」
「ほら、仲間なのに先輩呼びはよそよそしくて悲しいというか。
ダメかな?」
「あ~~……でも呼び捨てにすると変な噂がまた立ちそうなんで」
「あ!…そうだよね」
「まあでも、清楚先輩って呼ぶのでいいですか?」
「!!
うん!!じゃあ、それでお願いするね」
悠介の提案に清楚は嬉しそうな笑みを浮かべる。
そうやって二人は向かい合う。
「それじゃあ、はい!
約束だよ、悠介君」
「了解です。
清楚先輩」
そうして二人は指切りを結んだ。
こうして結ばれた約束が、大きな意味を持つのは近い未来であるという事実に二人はまだ気が付かない。
◆
「―――――いいだろう。
貴様らの提案に乗ってやろう」
「そうか。
感謝する」
西にてとある雄が道を少し外れる覚悟を決めた。しかしその真意を知るべきものは今ここにはいない。
滅茶苦茶初期に描いた「悠介と心の強さ」で仕掛けた布石がいよいよ芽吹きだしそう。
長かったと思うけど、種から芽になったんだよなっと考えると考え深いです。
因みに噂は、燕たちが頑張って火消ししました。
頭悪いので、方法を思いつきませんでした!
でも、きっと燕ならやってくれると信じています!
恋する乙女に不可能はないんだ!(丸投げ)