その星に手をのばして 作:志文
主な変更点
記憶で見たアイへの考え
愛についての話の追加
愛してる⇨大好き
に変更
超人幼馴染くんのスペックを書いておきます
金髪蒼目の圧倒的美形主人公。太陽のような存在で、イケメン実力派俳優の父親とその父親を一撃ノックアウトした超美形母親から生まれたイケメンくん。お日様系イケメンなだけの普通の男の子(?)。自分の体の操作が上手で、思い通りの動きができるため、アクションなどアクロバティックな動きも得意。大体の運動もうまい人を見ればその動きを覚えてめっちゃうまくなる。努力は必要だが。
母は元歌手。
父が俳優だった縁から一時期子役として色々やっていた。父親から受け継いだ圧倒的な演技の才能、母の歌の才能、両親の顔の良さ、いるだけで周りを照らすような存在感、無意識に目を惹きつけられるような魅力から、未来のスーパースターと期待されていたが、突然いなくなったことから、消えた天才と呼ばれる。やめた理由は幼馴染と遊びたいからかもしれない。両親は息子の自由に全て任せている。
きっと芸能界に戻ったら、大人気になるんだろうなぁ。
なんやこの少女漫画にいそうな男。
なんかすんごいことをやらかしたかもしれない。好きな女の子にこれから起こるかもしれない悲劇の記憶を見て、暴走してしまった。でも付き合えたからいいや。あーもう最高や。
病院でいろいろと見てもらって、重い病気などではなく、若干貧血気味な程度で、大慌てで病院にきた母親もアイも安心していた。健康なのに安心して、ずっと引っ付いてくるのはちょっとしんどいが。心配してくれたのがわかるから引き離しづらい。柔らかい。ふわふわ。ドキドキします。
今は親の車で家に運んでもらっているところだ。
「にしても二人とも、やっとくっついたのねー。良かった良かった、おめでとう。じれったかったのよ。アイちゃんのことは元々娘みたいに思ってたし、もう正式にお母さんになる日も近いわね!何時でもお義母さんって呼んでね!ママでも良いよ!」
運転中の母さんが俺たちの進展を祝ってくれる。小さいころから何度も家で遊んだり、アイの家で問題が起きたときも頼ったりしていたからか、母にはどちらの気持ちもお見通しだったようだ。
「ありがとうございます!おかあさん!」
「ああうん、ありがとう。」
「で、どっちから告白したの?アイちゃん?それとも琥珀?」
「それはですねー!」
母さんと仲良く話しているアイを横目に思考にふける。
さっき見た記憶は鮮明に覚えている。俺のいない世界のアイ。まずはあれにどれだけ信憑性があるのか確かめる必要がある。ただの夢ならそれでいい。
ただの夢である可能性のほうが高いはずなのに、理由はわからないが、あれはただの夢ではないと確信している自分がいる。
あの世界のアイが入った事務所やグループ、ワークショップに参加した劇団が実在するのかなどを確かめていこう。目を閉じれば、あの世界の彼女の死の瞬間がフラッシュバックする。あんなことは絶対に起こさせはしない。
彼女が幸せになれるなら、俺以外の人と結ばれても、涙をのんで祝福するつもりだった。
彼女が幸せになれるなら、どんなことでも全力で応援しようと思っていた。
しかし、あの記憶を見て、そのことについて考えているうちに、あの世界のアイのパートナーはろくでもないやつだと理解できた。家事も手伝わず、家にも現れなかった。しかも、おそらく殺害の黒幕。
もし他の誰かがアイの恋人になったとして、彼女は本当に幸せになれるのだろうか。こんなものを見た後ではそうは思えない。
そう思ってしまえばもう止まらなかった。止まれなかった。
以前までならアイが選んだ人なら応援しようと思っていた。しかし彼女は俺を選んでくれた。ただの幼馴染ではなく、恋人になることができた。隣で幸せそうに笑う彼女をみて、もう一度決意を固める。
「アイ」
「んー?どうしたの?」
「俺が絶対幸せにするから」
体が勝手に動いて、彼女の唇を奪う。柔らかくて、とても心地良い感触。ずっとこうしていたいと思った。
「ふぇ!?」
「急すぎるよ!嬉しいけど!めっちゃ嬉しかったけど!」
あざとい女の子の照れ顔は世界を平和にする。そう言ってくれた彼女はもう一度こちらに顔を近づけてくる。
しかし俺たちはとんでもないことを忘れていた。数秒前まで会話していた存在を。
「あらあらあらあら、大胆ねぇ。おばあちゃんになる日も近そう!孫が楽しみだわ。いつでもいいからね!」
あ、おかんおったんやった。
人生初の彼女ができた次の日。
土曜日で学校がなかったので、朝からアイを家に呼んだ。昨日の晩、いろいろと調べた結果、あの記憶の信憑性が非常に高いことが分かった。今までの人生で一度も目にしたことがなく、聞いたこともない、あの記憶のなかでしか知りえないものが、すべて実際に存在していた。
「おじゃましまーす、あれ、今日お母さんいないの?」
「あぁ、今日は夫婦仲良く出かけてるよ、昼と夜は適当に食べててって言われてる」
「え、いきなり?そっか、もう行くとこまで行くんだね!幼馴染だもん!早く部屋いこう!」
「ちょっと待って、ちょっと待って、ちょっと待って」
ちょっと待って。ちょっと待って。さすがに早すぎる。
「将来的にはそこまで行きたいけどまだ今日はそんなことまで考えてなかったですちょっと待ってください避妊具とか何もないですていうか確かに夜まで二人きりじゃんどうしよう」
「ふふっ、さすがに冗談だよー、いつも通りリビングで待ってるねー」
そんな声が聞こえて、安心して二人分の飲み物を用意しようと冷蔵庫を開ける。
「わたしはいつでも準備できてるからね」
突然いいにおいがすると思ったら、恋人になって暴走し始めた小悪魔が耳元に口を寄せてささやいてくる。その後急に唇を奪われた。
誘惑の言葉を言い残し、真っ赤になった俺をみて、鼻歌を歌いながらご機嫌なアイが離れていく。
「幼馴染が強すぎる……。」
二人分の飲み物を持ってきてくれた琥珀が、リビングでくつろいでいる私の隣に座る。もっと近くにいたくて、彼の肩に頭を乗せると、当たり前のように撫でてくれる。いつまでもこうされていたいと感じるほど心地良い。
「アイ、大事な話があるんだ」
「どうしたの?」
「昨日のことについてだよ。昨日も言ったけど、俺はアイのことが本気で好きだ。付き合ってほしい」
「そのことか!私も大好きだよ!これからよろしくね!えへへー」
何度言われても嬉しい。笑顔が止まらなくなる。
「ありがとう!よかったよ、 夢じゃなくて。で、なんだけどアイがアイドルにスカウトされたところって苺プロダクションで合ってる?」
「合ってるよ!スカウトを受けたら、その事務所の社長さんが身元引受人?みたいなのになって、私を引き取ってくれることになったんだー」
「でもアイドルって彼氏いて大丈夫なのか?」
「公表しなければいいんだよ」
「アイドルは偶像だよ?嘘という魔法で輝く生き物。嘘に嘘を重ねて、どんなに辛いことがあってもステージの上で幸せそうに歌う楽しいお仕事!社長にいろんなことを聞いて、私もやりたいって思ったんだ」
片親で両親に愛されずに育ち、窃盗で捕まった母は釈放されても自分を迎えに来なかった。捕まる前も暴力を振るわれ、食事すら安心してとることは出来なかった。家族に愛された記憶がなく、愛した記憶もなかった。
親の暴力から少しでも逃れるために、考えるより先にその場に沿ったことを言う嘘つきになった。そうした生活のうちに、何が本当で何が嘘か分からなくなった。
彼が私を見つけてくれなければ、私はもっと嘘つきになっていたのだろう。
本当だって自信を持っていえることがある、それは幸せなことなのだろう。
でも、愛を知らない私には、それが愛なのか分からない。彼に愛してると言われても、私は愛してると言えない。それが嫌だった。
『可愛く歌って踊っていれば、それだけでファンに対する愛情表現だ。アイドルになれば、愛してるなんて言葉は歌詞の中にいくらでも入ってる。それに、皆愛してるって言ってるうちに嘘が本当になるかもしれん』
嘘が本当になる。その言葉に惹かれる。
私は愛が分からない。琥珀に恋をして、彼女になることが出来ても、本当に彼を愛せているのか、愛されたことがない私には分からない。間違いなく私は彼のことが好きだ。ずっと一緒にいたいと思うし、離れることなんて考えられない。
彼は私を好きだと言ってくれた。愛してると言ってくれた。だから、愛してるって私も言いたい。愛を理解したい。アイドルになれば、いつか嘘が本当になって愛を理解出来るようになるかもしれない。
「私はアイドルになって、本当の愛を理解したい。だから行くよ、芸能界。私は欲張りだから、アイドルとしての幸せも、人間としての幸せもかなえてみせるよ。そのためにちょっと窮屈な思いもさせちゃうかもだけど、よろしくね?」
いつか彼に、本当の愛してるを伝えるために、私はアイドルになる。
ちょっと寄り道にはなっちゃうけど、嘘が本当になるその日まで、私はこの道を進もうと思う。
「そっか。それがアイのやりたいことなら、俺は応援するよ。
聞いてほしいことがあるんだ。それは、昨日俺が倒れた理由について」
「え?ただの貧血じゃなかったの?検査しても何もなかったのに、なんで分かったの?」
「あの時。アイがアイドルの話をした途端、頭の中に莫大な情報が入り込んできたんだ。多分それで脳が驚いて、意識を失ったんだと思う。その入り込んできた情報、いや、記憶について話したい」
「記憶?分かった、教えて?」
そして俺は、昨日見た全てを話した。明らかにただの夢と思えない夢を見たこと。その世界のアイの行動など、覚えていることを包み隠さず。
彼女は最後まで真剣な顔で俺の話を聞いていた。
「なるほどね。だから急に告白してくれたんだ」
「もちろんそれだけが理由じゃないぞ?ずっとアイのことが好きだったんだ。でももしアイが俺のことを好きじゃなくて、振られて、この関係が終わってしまったらって思ったら告白に踏み出せなかったんだ」
「そんなわけないじゃん!私もずっとおんなじこと考えてたんだよ?」
「そうだったのか、じゃあ夢に感謝しないとな」
「うん、そこはいいきっかけになってくれたね」
話はどんどん進んでいった。
「琥珀に出会ってなければ、私がそういうことをしていてもおかしくないかも」
子供の話についてはそう言っていた。
「殺されるのは怖い。でも私には琥珀がいる。だから何があっても大丈夫でしょ?二人一緒ならなんとかなるよ!」
彼女はなんでもないことのように話す。心の底から信頼してくれているのがわかって嬉しくなる。
「信頼は嬉しいけど、ちょっとは不安にならないのか?」
「殺されるのは怖いけど、琥珀と一緒なら大丈夫だって思えるもん。全然不安じゃないよ。だからやっぱり、私はアイドルになるよ。愛をちゃんと理解して、君に愛してるを言うために」
「わかった。じゃあ俺も芸能界に行くよ。社長に紹介してくれないか?」
俺の容姿と能力があれば、芸能界を駆け上がれる可能性は高い。母の影響で歌も歌えるし、演技に関しては父から時折教わったりもした。どちらも太鼓判を押してもらった。
小さい頃は父親の仕事の関係でドラマに出たりもしたし、その関係で最近も声をかけられることがあった。
大ブレイクまでは出来なくても、彼女を守るのに必要なだけの人脈を築き上げることは可能なはずだ。
「え?一緒に来てくれるの!?」
「守るって言っただろ。それに芸能界なんてやばいところに、一人で行かせられない。もし何かあったら俺は地球を巻き込んで大爆発する自信があるよ」
「だからさ、俺を社長に紹介してくれないか?」
「うん、社長にいってみるね!」
アイに昨日のことを全て話し、今後の方針も決めた。これからが大事だ。気合い入れていこう。
「ねぇねぇ」
「どうしたんだ?他にも気になることとかあったか?」
「うん、とりあえずお茶も無くなったし、琥珀の部屋いこうよ」
「おっけー、なんかあったっけ?」
アイに言われるがままに俺の部屋に移動した。そして部屋に入った瞬間、彼女が襲いかかってきた。
「ちょ、アイ!?」
「さっきの話を聞いて私、思ったんだ。確かに、子供がいれば愛がわかるかもしれないって。記憶の中の私もいいこと考えるよね?今の私は琥珀以外の子供なんて死んでも嫌だけど」
ベッドに押し倒され、身動きが取れなくなる。
「おかあさんも早く孫が欲しいって言ってたよ?だから、余計なことなんて気にしないでいいんだよ?」
そう言って妖艶な笑みを浮かべる彼女に見入ってしまう。
「だからさ、赤ちゃん作ろ?」
いつもの可愛らしい笑顔ではなく、女の顔をした彼女は、妖しい魅力を放っていた。好きな女の子の誘惑に思春期の男が耐えられるはずもなく、俺から彼女の唇を奪った。
その日、俺と彼女は結ばれた。
勢いで書きました。また修正するかも。