その星に手をのばして 作:志文
書き溜めとかないけど。
バー?が!!!赤くなってる!!!!!!!赤い!!!
色がつくだけでうれしいのに!赤くなっててめっちゃうれしいです!
色がついてるのを見て体が勝手に書き始めました。
モチベーションありがとうございます。
感想もめっちゃうれしいです!みなさん優しい!
アイと結ばれた次の日。俺たちは苺プロダクションの事務所にいた。
「夢川琥珀です。よろしくお願いします!」
「俺は斎藤壱護だ。ここの代表取締役をしている。いわゆる社長ってやつだ。こっちは俺の妻のミヤコ」
「ミヤコです。よろしくお願いします」
軽い自己紹介を終え、ミヤコさんの入れたお茶を飲みながら、四人で机を囲む。
「アイから色々話を聞いていて危惧してはいたが、まさかアイドルになってすぐに付き合い始めるとはな……。ま、いったんその話は置いておく。後でしっかり聞かせてもらうぞ、アイ」
「てへっ☆」
舌を出してあざとい顔で笑うアイ。アイドルみたいだ。可愛い。
「で、お前は何が得意なんだ?その顔の良さならモデルでもアイドルでもいけそうなもんだが、実際の能力を見ないことには何も言えないからな」
「琥珀はなんでもできるよ!社長!楽しみにしててね!」
「おい、ハードルあげるなよ、緊張するって」
「歌と演技は小さいころから両親に教えてもらっていたので、結構自信があります。運動神経も割といいので、アクションにも自信があります。モデルはやったことないですけど、チャンスがもらえるならやってみたいです!」
「よし、じゃあとりあえずスタジオいくぞ。オーディションの時間だ。できること全部見せてみろ」
「まさかここまでの才能とは……」
「ね?いったでしょ?私の彼氏は最強なんだから~」
「私も驚きました。こんな存在がアイさんの他にも眠っていたなんて」
一通りのオーディションを終え、琥珀が席を外しトイレに行っている間、三人がそれぞれの感想を言う。
「アイ、絶対に隠し通すぞ。お前らはこれから間違いなくスターになる。そんなときにトップアイドルとスーパースターが恋仲なんて露見してみろ、間違いなく大炎上だ」
「うん、わかってる」
俺も芸能事務所の社長だから、演技が上手いやつも、歌が上手いやつも山ほど見てきた。しかし、そんな俺をして断言できる。夢川琥珀は天才だ。アイからさんざん凄い凄いと聞かされていたが、想像以上だ。ただの惚気話と思って聞き流していたのは間違いだった。
一目見た瞬間、こいつは何かを持っていると確信した。圧倒的な顔の良さに加えて、そこに存在するだけで周囲の人間を惹きつける何かを持っていた。
この時点で採用するのは決まったが、こいつはそれだけではなかった。
両親から習ったという演技と歌は超一流。今すぐにでもデビューできるレベルだ。
特に、演技に関しては俺が人生で見てきた中で最も上手いかもしれない。端役でも悪役でも主役でも、こいつは輝いていた。役に入り込み、本人が憑依しているかのような演技をした。どんな役割でどうすべきかを理解しているのか、何をやっても才能が溢れだしている。
はっきりと断言できる。こいつは怪物だ。演技の上手さに加えて、身体能力の高さ、恵まれた歌唱力、それに加えて並外れた容姿の美しさまで兼ね備えている。しかも人間性にも欠点がない。
「こんな怪物をプロデュースできるのか。わくわくが止まらないぜ」
上がった口角はしばらく下がりそうにない。
オーディションから1か月後、俺たちは順調に芸能界を歩いている。顔の良さを生かしたモデルの仕事でかなり有名になった俺は、少しずつ仕事を増やすことができた。その後動画配信サイトに投稿した歌ってみた動画が想像以上にバズり、知名度は一か月とは思えないほど上がっているらしい。
なぜか発言力のある業界関係者の先輩方に気に入られているので、大きな仕事がもらえる日も近いと社長が喜んでいるようだ。
アイの方も、俺が見た記憶より順調な様子で、B小町もある程度仲良くやれているらしい。施設から社長の家に引っ越し、以前より会いづらくなったため、たまに会う時の甘え度合いが半端なくなっている。今日は二人ともオフの日で、アイに会うために俺は社長宅を訪れていた。
「お邪魔しまーす」
「久しぶり!」
扉を開けると、アイがものすごい勢いで飛びついてきた。
「久しぶり、会いたかったよ」
「私も!今日は離れないんだからー」
「来たか琥珀。あー、お前ら、いちゃつくのは後にしろ、話がある。とりあえず来い」
「あ、すいません社長。すぐ行きます」
アイに抱きつかれたまま社長に返事をする。こちらの様子を軽く確認した後、社長はリビングへ戻っていった、俺も付いていこうとするが、アイがかなり強くくっついてきているため、靴を脱ぐことすら出来ない。
「アイ?そろそろ離れないか?俺も名残惜しいけど、今日はいっぱい時間あるからさ」
「もうちょっとだけ、寂しかったんだよ?一週間も会えなかったんだもん」
二人のスケジュールがなかなか合わず、最近は一緒にいることができなかった。
そのことに不満そうなアイが俺の胸に顔を押し付けてくる。女の子らしいいい香りがして、ずっとこのままでいたいと思ってしまうが、社長を待たせるわけにもいかない。
「俺も寂しかったよ、社長の話が終わったら、二人でゆっくりしような」
「うん!」
満開の笑顔とともに返事をする彼女に腕を取られ、遅れて俺たちもリビングに向かった。
「やっと来たか。早速本題を話すぞ。お前らに劇団のワークショップの誘いが来て
るんだ。将来的なことも考えて、色々学べるいい機会だと思うが、どうだ、受けてみるか?」
「社長。その劇団の名前は何ですか?」
「ああ、劇団ララライってところだ、なんだ、結構興味あるのか?」
来た。ここが俺の正念場だ。劇団ララライはあの記憶におけるアイの恋した相手であり、殺害に深く関係した人物がいる場所だ。このワークショップでそいつを完全に抑え込む。絶対にアイを殺させはしない。その気持ちが溢れ、思わず声が大きくなる。
「はい!行かせてください!」
「おお、アイはどうする?」
「私も行く!アイドル以外でも売れないと、このままじゃお金も全然入らなそうだもん、色々やってみたい!」
アイに記憶のことはすべて話している。だからこの流れになった時の打ち合わせもすでに済ませている。まさかこんなに早くに機会が訪れるとは思わなかったが。
「そうか、じゃあ先方にはその方向で伝えておく。俺はこれからミヤコと出かけてくる。ゆっくりしていけよ。ミヤコ、行くぞ」
「はーい、いってらっしゃい」
「いってらっしゃいませ」
他の仕事はもう片付けていたのか、話が終わるとすぐに社長はミヤコさんと二人で出ていく。心なしか足取りも軽やかで、なんだかんだ仲がよさそうで安心した。
社長たちが出ていくと、アイが真剣な顔で話しかけてくる。
「ねえ琥珀。ララライってやっぱり?」
「ああ、俺の恋敵であり、記憶の世界のアイの殺害に関わった奴がいるところだ。」
「もー、恋敵ってなに?今の私はこんなに琥珀にぞっこんなのに。疑ってるの?私拗ねるよ?」
「信じてはいるけどやっぱり心配なんだ」
アイをワークショップに連れて行かないことも考えたが、俺の知らないところで何かが起きてしまうことのほうが怖かった。アイとも話し合った結果、彼女も俺一人で生かせるのを嫌がった。だから一緒に行って、二人で奴について探ることになっている。
「もう、心配性なんだからー。私は琥珀以外の男になんてまったく興味がわかないよ?」
しょうがないな、という顔をした彼女との距離が縮まり、ゼロになる。
「ふふっ。何度してもなれないね。可愛い。もう一回しよ?」
返事をする前にアイが俺に襲い掛かり、口をふさがれる。先ほどはすぐ離れたが、俺からもやり返そうと、アイが自分から離れていくまで肩に手を回し距離を取らせず、キスをする。
「ぷはぁ、もう、やりすぎだよ。窒息死しちゃうじゃん」
責めるような口調でそう言うアイの顔は蕩けており、責めていないことは明白だった。
「しょうがないだろ、アイが可愛すぎるんだよ」
彼女と恋人になってから、スキンシップも増えているが、彼女の不意打ちにはいつもドキドキさせられる。やられっぱなしでいられないという建前と、自分から彼女にスキンシップを取りたい本心を上手く使えるこの方法は最高だった。彼女はそこまでお見通しなのか、いつもにやにやしているが。
「ねぇ、今日はずっと一緒にいられるんだよね?」
肩に首を乗せてきたアイが尋ねる。
「ああ、明日も予定は午後からだしな」
「アイはどうなんだ?」
「私は明日もオフだよ!今日は社長たちもデートで夜遅くまで帰ってこないから、さ?ね?シよ?」
彼女の誘いに素直に乗って、今日も仲を深めた。