愛と呪いは小説より奇なり   作:ランハナカマキリ

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第七話

 

明星が目を覚ましたのは朝のことだった。

 

高専の病棟、病室のベットの上で彼は点滴に繋がれていた。首の傷は完全に閉じられ、大量に失った血は輸血によって回復されていた。

 

「おはよう、明星。」

 

首だけを動かして横を見ると、母がいた。どうやら寝ずに看病していたらしい。

 

「母さん・・・今は何日ですか?」

 

「あの任務から2週間経ってる。本当にやばかったんだからな、私の反転術式と高羽の応援、後それからあの場に真希がいなかったらお前死んでたぞ。」

 

首の皮一枚繋がったとは、まさにこの事だろう。

 

「じゃあ、母さん邪魔みたいだし、()()()()()仲良く〜」

 

 

 

 

 

 

 

何やら意味深な発言を残して硝子は病室を出て行った。そして、入れ替わるようにある人物が入ってきた。

 

「明星の、ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

アイが物凄いスピードで抱きついてきた。慌てて受け止める明星だったが衝撃で肩の関節が外れた。胸の中で泣きじゃくっているアイを宥めようとする。

 

「ちょ、落ち着いてーー」

 

「あの日明星くん血まみれで帰ってきたんだよ!!?しかも死ぬかもって言われて私生きた心地しなかったんだよぉぉ!!うわぁぁぁん!!!」

 

確かに彼女はもう限界に近いだろう。自分の胸の内を吐き出せる相手を1人失いかけたのだ。

 

「ずっと伝えようと思ってました。

 

 

 

 

 

貴女のことが好きです。

僕の一生を、貴女に捧げていいですか?」

 

「うん、いいよーーー大好き。」

 

この日、初めて自分からキスをした。

 

翌日

 

「えーそれでは、誓杯の儀に移らせてもらいます。あらかじめ申し上げました通り、明星くんは両肩を脱臼しておりますためアイさんが飲んだ後に口移します。」

 

どうしてこうなった。

 

◻️◼️◻️◼️◻️◼️

 

何故こうなったのか、昨日の夜に遡る。

 

夕方ごろに中国から帰ってきた兄の『家入黎人』が見舞いに来た。

 

「お前も女たらしだな?あんな可愛い子手籠にするなんてな。」

 

「恥ずかしいからやめてくださいよ、兄さん。ところでアイさんは?」

 

「・・・隣の部屋。」

 

 

隣の部屋のドアを開けると、真っ白な和服に身を包んだアイと着付けの手伝いをする釘崎先輩と星綺羅羅がいた。

 

「おぉ、主役来たよ〜?」

 

「あ、()()()!私、白無垢似合うかな〜?」

 

明というのは、付き合いが始まったときからの明星のあだ名だ。今まで他人行儀に明星くんと呼んでいたがもう人の目は気にしないらしい。

 

 

前から人の目なんか気にしてないと思っていた。

 

「可愛いーーじゃなくて似合うと思います。」

 

「うふふ、可愛いって言われちゃった♡」

 

「あ!ちょっとアイ〜?動かないでって言ったでしょ!上手く着付けできないじゃない。」

 

「ごめんね〜お母さん。」

 

思考がまとまったところで本題に入る。

 

「・・・質問していいですか。何故白無垢を着ているんですか?」

 

「え?明日、神前式するんだよ?明くんと、私で。」

 

えっ、

 

はっ?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?

 

「・・・え、僕ら今日から正式に付き合うことになりましたけど、え?明日?」

 

「あんた、そこんとこ黎人に似てるわね。予想もしていなかった事態になったら頭が止まっちゃうとこ。」

 

「も〜明くんはそこが可愛いんだよ?今回で分かったけどさ、呪術師っていつ死ぬか分かんないじゃない?だから早めに結婚して早めに赤ちゃん作っちゃおうかな〜って。」

 

「子供作るのは18になってからにしなさい?私、妊娠も出産もまだなのに孫の顔は見たくないわよ。」

 

「むーーー!!お母さんの意地悪!!」

 

「それより悠二のほう気にしたほうがいいわよ。あいつ神前式が明日って聞いて京都のゴリラのところに泣きながら走って行ったって真希さんが言ってたからね?」

 

「なら伏黒さんに引っ張ってきて貰えば?脹相(脹ニィ)も手伝ってもらってさ!」

 

「伏黒は華と三つ子と来るってもう新幹線乗っちゃってるし、脹相は悠二の味方だからね。それより七海さんにお願いした方がいいと思うわよ?」

 

「そうだね。あ!何ならヒグミンにお願いしようよ!!」

 

「それもそうね!!」

 

「「あはははははは!!!」」

 

この親ありてこの娘あり、明星と黎人はそう実感した。

 

「ドンマイ(笑)」

 

「・・・あはは。」

 

何だかんやで外堀は埋められ、明星は自分の運命を受け入れた。

 

 

 

 

 

「もーお父さん泣かないでよ。」

 

「ゔーーアイちゃん、幸せになれよ"?」

 

「おいテメェ、何娘の晴れ舞台でずっと泣いてんだゴラァ!!「野薔薇も泣いてんじゃん。」るっせぇ!!場が白けちまうだろ!!あと何で九相図兄弟も泣いてんのよ!!?」

 

「おい貴様ーーーもしアイちゃんを泣かせたら殺すからな?分かったか?もし泣かせたら呪胎九相図ファミリーの名にかけて、貴様の顔の皮を剥がしてやる!!」

 

「ーーーー脹相さんちょっと近いです。」

 

「あ"?」

 

「分かりましたよ。絶対幸せにします。」

 

 

 

「良かったねぇ〜明星!アイもこれで五条ファミリーの仲間入りだね!!これあげる〜GODIVAの高級なやつ。」

 

「わーい!学長、ありがとうございまーす!!」

 

「"ぅう"う"〜明星ぐん、アイざん!幸ぜに、なっでね〜」

 

「乙骨先生、ちょっと泣きすぎじゃないですか?」

 

「だっで、だっでさぁ〜」

 

「悪りぃな明星、コイツ涙腺緩いんだよ。」

 

 

 

もう一度言う、外堀埋められすぎじゃね?

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