愛と呪いは小説より奇なり   作:ランハナカマキリ

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補足・原作から4年経った世界軸を考えています。

1年ズは15→19
2年ズは16→20(乙骨憂太は21)
五条は28→32




第二話

 

3時間前

 

真夜中の午後23時、夜と豪雨で道の先もほとんど見えなかった。

 

アイさんをお姫様抱っこしながら慌てて街に入る。水たまりに入ろうが目の前を通る車に水をかけられようが関係ない。彼女を豪雨から身を挺して庇いながら走った。

 

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!

 

明星の心の中は見かけ以上に大混乱を起こしていた。腕の中の彼女はもう既に息が途絶え途絶えとなり顔を青黒くなり始めていた。

 

「迷走神経反射か?だとしても、おかし過ぎるーーー」

 

ふと見上げた建物、普段ならなんてことないと無視するか、できるだけ見ないようにする部類の建物だ。あまり近寄りたくもないしましてや女と一緒に来たくはない。だが・・・

 

「・・・腹に背は変えられないっ!!」

 

だから彼は建物に入った。

 

 

 

 

 

ネオン看板に()()()()()と書かれた建物に・・・

 

 

 

◻️■◻️■◻️■

 

(・・・・虎杖先輩に殺される。なんて弁解を・・・いや弁解の余地もなく飛び膝蹴りからの卍蹴りで黒閃決められる。いや釘崎先輩にも殺される。簪10本を脳天に突き刺される。)

 

部屋に入るとハート型のベッドにアイさんを寝かせ、すぐに人工呼吸をした。(ちなみにこれが彼と彼女のファーストキスである。)

いや、邪な気持ちはない。全くない。天地神明に誓ってない。これだけは誓う。何なら縛りを結んでもいい。何の縛りかは分からないが。

 

取り敢えず呼吸は落ち着き、寝静まったところで浴室に向かった。制服を脱ぐとそこには赤黒い大きなシミがあった。彼はまだ反転術式を習得していない。故に傷を負ったら治療が必須である。

 

ドク、ドク、ドク

 

(まずは、どの血管が傷ついてるかだな。)

 

明星の眼『架眼(かがん)』は人間などをはじめとする生物の身体の中、内臓、血管、筋肉、細胞までを見通すことができる。

 

(やっぱり内臓まではいってなかったが、くそっ、動脈をやられた。)

 

彼はすぐに金の針と糸を創り、数時間かけて血まみれの腹を縫った。

 

(取り敢えず、応急処置は終わった・・・あとは彼女だな)

 

というわけで今に戻る。

 

「・・・ねぇ、明星くん。」

 

「何でしょう。」

 

()()()()()()()()って言ったら、信じる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ、信じます。」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ほんと?」

 

「本当です。」

 

(・・・過去の術師に会ったことあるし、そういうこともある、のかな?)

 

「・・・そう、よかっだぁぁぁ!!!」

 

唖然とした。四六時中笑ってそうなアイさんが泣き出した。そして泣きながら全てを話してくれた。彼女の壮絶な前世を・・・

 

 

 

虐待を繰り返す母

 

施設に送られた幼少期

 

幼少期に愛を知らなかった為に愛を追い求めた彼女は、アイドルという立場でファンからの愛を求めた。

 

だがそれだけで満足できなかった彼女はとある男性との間に子供をもうけた。

 

 

 

 

 

 

そして住所を突き止めたストーカーに刺されて死んだ。

 

「・・・てな訳で、私は黄泉返りしたの。」

 

ポロ、ポロポロ

 

「だ、大丈夫!?明星くん泣かないで!?」

 

「ーーー何で、何ですかね。」

 

「えっ?」

 

「何で!?愛を求めた貴女が殺されないといけないんですか!!?」

 

何も言えなかった。彼は心の底から泣いていた。嗚咽も混じり、鼻水が垂れようが関係なしに泣いていた。唯一声だけは出さなかった。

 

「貴女は、良い人だ。嘘を本当にすることができた。貴女には!幸せになる権利があったはずだ!!!なのに、何で、

 

 

この世界は、理不尽に人を殺すんだ!!!」

 

「何でだろうね。けど、この世界にもう一度産まれたから、私は今度こそアクアとルビーを守りたい。」

 

恐らくこれなのだろう。彼女が呪術師を志す理由。それに比べて自分はどうだ。自分の理由をうやむやに黙るのは、不誠実ではないだろうか。

 

「ーー教えます。僕が呪術師を目指す理由。」

 

「・・・。」

 

「僕はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう愛する人を失いたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その為に呪術高専に来た。」

 

「明星くんも、誰か失ったの?」

 

「えぇ、父と母を。けどもう失いたくない。

 

兄も姉も、先生も、友達も、

 

 

 

 

 

貴女のことも、大切だから、愛しているから。」

 

 

豪雨はいつのまにか止んでいた。

アイからの、甘い口付けと共に。

 

■◻️■◻️■◻️

 

黄泉返り、呪術を学ぶ者にとってはまさしく神の悪戯とも言える現象。現世に強い心残りがある魂、その数億人に1人が別の肉体に新たなる命として宿り誕生する。死んだ瞬間から、命が芽生えるまで時間を遡る例もあるという。

 

受肉とは違い、器となる人間の魂を沈めたりはしない。そもそも器そのものになることを黄泉返りというのだ。

 

「てな訳で、アイが産まれたってわけ。」

 

明星の目の前に立つのは呪術高専4年『虎杖悠仁』

1年時は、両面宿儺の器であったが今では普通の術師として活動している。

 

「あの、一つよろしいでしょうか?」

 

「何?」

 

「何でワニの池の上で宙吊りになってるんでしょうか。」

 

「付き合ってもないくせに大事な娘をラブホに連れ込んでキスしまくったからに決まってるでしょ。いくら娘の命を救ってくれた可愛い後輩でも、父親としては無視できないだろ?」

 

「違います話を聞いてください僕がキスを迫ったんじゃありません彼女が迫ってきたんですあらためて言いますが一線は超えていません信じてください。」

 

「伏黒〜もうひと段階下げろ。」

 

「ちょっと!?洒落になりませんよ!?てか、今まさに靴噛まれてますけど!?」

 

(絵面がヤバイ・・・)「おす。」

 

禪院家屋敷内、伏黒恵が当主になってから改築し現在は最早動物園と化した敷地内、爬虫類エリアのワニの池で明星は宙吊りになっていた。

 

「あのさぁ、別に付き合うなとは言ってないんだよ?俺も高2の時に野薔薇とヤっちゃったし。伏黒は高2の終わりに来栖に手籠にされて今3児の父親だし。」

 

聞きたくなかった。尊敬してる先輩方のそういう話。

 

「けどさぁ、やっぱり自分の娘がそれをするのはちょっとなぁー」

 

「その点は、誠に申し訳ありません。」

 

「いや別にいいんだよ?でももし手を出すんだったら俺に何か言うべきじゃないかなぁ?」

 

「だから僕は手を出したんじゃー「伏黒〜」ーンボッボボボッ!!?」

 

数分後、頭から血を流して全身水浸しの明星が陸にあげられた。

 

「2人が付き合うのも結婚するのも許すよ。けど、アイを泣かせたら許さないからな?   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野薔薇が。」

 

「「そこはお前/先輩じゃないのかよ!?」」

 

「あと結婚の最低条件を組ませてもらうぜ。明星って今何級だっけ?」

 

「ゲホッ、準一級です。」

 

「おーし。んじゃ、一級になれ。俺が五条先生に頼んで昇級任務回してもらうから。弱い術師は死に方も選べない、気張れよ?」

 

「・・・はい。」

 

(準一級もなかなか強いと思うけどな。俺らが異常なだけで。)

 

ドンマイっと伏黒は心の中で呟いた。

 





次回

明星「風邪引いた。」

アイ「ゼクシィ読む?」
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