ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録 作:マキシマムとと
◯月◯日 雨(雨…滝?)
今日の雨はヤバかった。
流石に今日は直帰しようかとも思ったのだが、昨日の結果が気になってたし、閉まってたら諦めるつもりだったんだが店も普通に開いてたから(客足はゼロ)パンデミック後みたいなヤバめの雰囲気がシンシンと肌に突き刺さるゲーセンに突撃。
『だいす』にINした俺を迎えてくれたのは。
「おりゅ~! きょんはそちれ、すんごーなアメリカんやろ? ペレさんきょんこそコンともってとんに!」
まあアレだ。
『あらあら? 今日のそちらのお天気は豪雨だとお伺いしました、なのでお越しにならないと思っていたのですが』
日本語に略すとこうなる。
久々に聞いたペレさんの声と、変わらない残念語が脳に届いた瞬間外の天気なんて忘れちまってな。
それまでに積み重なった不快感もキレイにさっぱり消え去ったわ。
つまり。
『だいす』再・起・動!!
ほれ、前にペレさんが言ってたやろ?
莫大なゲーム内マネーがあれば俺がロストした愛機を復元出来るってヤツ。
RMT…リアルマネーのアレとは別のRMTがあってな?
リバイバル…マジシャン…? ダメだTが何だったか忘れた。
忘れたんだが、とにかく『だいす』機能のひとつにロストした機体を修復するシステムが隠されててな?
当然として対価は必要なんだがーーーそこはほれ、フェンリル・シャドーなんてご立派な名前の特級フレームを売り払えばなんとかなるやろと。
最低限ペレさんのリバイバルがクリアできればヨシのつもりだったんだが、オジボさんが頑張ったのかフェルシャくんが馬鹿売れしたのかは知らんが俺の愛機&初期からの整備班一同も見事に復活してくださいましたぜ!!
ナツナミナツって名前の整備責任者から俺宛に『センキュー、マジで助かったってゆーか、あげぽよー!』的なメールも届いた。
こう言うオマケ要素的なの好きなんだわ。
制限伝説レジオマのショボテンくん日記みたいな?
ほっこり要素的な?
すこ。
◇◆◇
・コア管理AI:ペレ・リバイバル成立。
・コア管理AI:ペレ・遊魄結合個体=偽獣Garmのリバイバルを要請。
※第1級『だいす』干渉項目に該当………時空間長期観測機構、緊急稼働ーーーーーー審議ーーーーーー通過。
偽獣Garm・発狂因子感染以前の時間軸よりリバイバル開始ーーー因子定着ーーー不可避。
・コア管理AI:ペレ・wt5584@69外装整備班再建を要請ーーー受諾。
『ナツナミナツ』スキル摘出過程を凍結、復元。
同コボットによる発狂因子封印処理により規定項目クリア。
汎用骨格Orthros・boneーーーリバイバルーーー。
◇◆◇
◯月◯日 晴れ
やっとだ。
やっと理想に現実が追い付いてきた。
俺のロボが復活してから約2ヶ月。
長かった。
しかし楽しかった。
その上で脳ミソが死にそうだった。
『キュサノオのモーションを俺のロボに取り入れる試み』は本日を持って成功したと断言して良いだろう。
システムの『戦闘モード』が稼働状態にある場合に限定されるのだが、それでも2ヶ月前の動作とは雲泥の差だ。
ずっと倉庫にで眠ってたスラスターユニットが日の目を見るとは…ホロリ。
「んでもぉ、フェルサャよりびみょくおるよ?」
いや、そこはわかってるぜ?
2ヶ月頑張ったし強くなった。
けど、比較すれば俺が売り払ったフェルシャくんには遠く及ばん。
それはわかってんだ。けどな?
どうせ俺程度じゃ『武闘伝GGG勇者王』の3人みたいにはなれねんだよ。俺は超人じゃないんだし。わかんだろ?
つまり、伸び代を考えたら結局こっちが正解なんだよ、ペレさんの有無とかじゃなくてね? モチベが違うとかそんな話し以前にやっぱり俺の判断は正解なんだよ。
そんな事を力説したのだが、ペレさんはやたらご機嫌で俺の話を聞いてくれなかった。
解せぬ。
なんにしても【Round2】クリアだ。
俺は今日のこの感動を絶対に忘れない。
◇◆◇
ペレが選定した【Round2】は溶岩洞窟の内部に建造された鉱石採掘場跡地が舞台となる。
赤熱し、流動し続ける溶岩の発光により地下空洞にも関わらず一帯はぼんやりと明るい。
採掘基地として建造された施設を中心に、幾つかのマグマの川を挟みながら形成されたバトルフィールドは広い。
だが、2機の巨人が膂力を奮い、駆け跳ねては火花を生み出すためには少しばかり心許ない。
岸壁に隠されるように拓かれた横路の活用が勝利への鍵となるだろう。
このステージを多層次元的に占領するのはオリジン・滅・トールと称される個体だ。
このオリジン・滅・トールは㈱オブコンが開発したサイドビューの2Dスクロールアクションゲーム、
黒い目出し帽の上に黄色い安全ヘルメット。
ソックスマンではその頭に小さな足をくっ付けただけと言う、1頭身の可愛らしい姿のザコキャラとして描かれているのだが、オリジンの強さは折り紙付きだ。
一流のビルダーを重機の融合によって表現したかのような肉体美。
右肩におっきい
大胸筋は1対のロードローラーが対応してグルグル回る!!
足首の細さが鉄骨を編んで作られたハムストリングの膨張を際立たせ、しかし全体を見渡せばそこに揺るぎない活力の循環が満ち充ちる。
オリジン・滅・トールの最大の武器は耐久値。
如何なる攻撃にも揺るがず、敵の戦闘モード終了までを耐えきり粘り勝つ。その定石を崩せる人形はごく僅かであり、汎用骨格Orthros・boneを相手に敗北を喫した記録はない。
故に彼は傲っていた。
いつぞやの憐れなスライムと同様に…。
それが間違いであったと気付いてーーーしかし。
◆
コア管理AI:ペレより、戦闘フィールドへの介入申請アリ。
ペレより受理したコアデータ解析。
■■■システムへ蓄積したデータとの照合終了。
戦闘フィールド介入を承諾。
※厳重確認項目アリ。
暫定判断ーーー良。
空間軸固定、フィールド形成終了。
時間軸固定、コア及びOrthros・bone起動準備完了。
次元軸固定、c7第2.528.682地点奪還作戦、開始。
◆
(原子構築、発色はオルボーン…ぬ?)
敵性存在の侵略兵器、その顕現を静観しつつ、滅トール(オリジン・滅・トール)はそこに小さな異物を見付けた。
本来の黄金に混ざって1粒、どす黒い血液のような赤が浮かんだように見えたのだ。
(ん…見間違いであったか?)
コアパーツを中心に広がる黒いイバラからは過去に何百万回も打ち滅ぼしてきた猪口才な骨格の匂いしかしない。
イバラを覆うように召喚された外装も馴染み深い、コボット1式統一装甲だ。
獅子を模した胸部装甲、単眼の頭部、無骨な両腕と獣を模した足先の鋭い鉤爪。機械と獣のイメージを融合させた人型の二足歩行兵器がその魂を昂らせた。
【半人≠半神circuit 豁」蟶ク レン結】
(なに!?)
システムアナウンスの異常。
過去に無い異常。
その『違い』が滅トールの思考を狂わせた。
【システム・戦闘モード・起動します】
ヴォン…。
強く、怪しくモノアイが光り。
【Round2ーーーGet Ready!!】
ロックオンアラートが闘争を告げたーーー直後。
(なーーーなんと!?)
オルボーンの初手は咆哮。
獅子を模した胸部装甲がアギトを開き雄々しく猛る。
それにより生み出されるのは音響爆雷。
稲妻と落雷を併せたような轟音に指向性を持たせた不可視の砲弾が、強く滅トールへ食らいつく。
(面白い…がッ!!)
『破ァァァァァ!!』
胸部のロードローラーを打ち鳴らし、肩のショベルで地を穿つ。奇抜ではあれど所詮は音波。
さざ波に揺らぐ滅トールでは無いのだッ!!
ミシリミチリと音を立て、体幹筋が引き締まる!
『怯み』を打ち消した滅トール、しかしその眼前に銀の殺意が飛来した。
(ーーー早いッ!!)
清流のように、あるがままに。
当然の動作として腰から抜き放たれた幅広の大剣を肩に掛けるように構え直し、ひとっ飛びに空を駆けてオルボーンが迫り来る。
『剛ォォォ!!』
左腕のパイルバンカーを突き出して直線を塞ぐ。
同時に左肩のショベルを振り下ろし、上空からの鉄槌と為す。
(ーーー!)
視覚機能の異常を検知した。
ショベルが敵を押し潰す寸前、赤熱する溶岩を反射して怪しく煌めくオルボーンの姿が消え失せたのだ。
(幻影? しかしーーーッ!?)
遅い。
その判断は遅きに失する。
柔肌で触れば吸い付くような滑らかな切断面。
ショベルは横一文字に切り裂かれ、アームの中程から下が地響きを轟かせて灼熱の大地にめり込む。
【電空サッポン! キュン損扉~!!】
少女を思わせる高音が天から降り注いだ。
斬撃と同時に直上へ飛翔する、戦神の秘技!!
『せめて技名だけはまともに言って欲しいんだがッ!!』
声と戯れ、踊るようにもう1つの声が降り。
『一気に押し込む! 電空殺法・
【瓜ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!】
機体背面の大型スラスターが白熱の光を放ち、視認レベルにまで空間を歪める衝撃輪を後光の如く纏うソレ。
快活、高揚、信頼、自負。
およそ思い付く限りの『正』の感情を溢れさせながらーーーしかし。オルボーンの単眼、その奥底にはどうしようもなく仄暗い『負』の情念が濁っていた。
【武闘伝GGG勇者王】
この物語には3人のヒーローが登場する。
GAULに配属された若き特務刑事・
瀕死の重傷を克服した後に変容していく自らの肉体に恐怖を抱く留学生・D-アモンド=ゴルドランダム。
そして記憶喪失でありながらも本能の赴くままにアンノウンを倒していく家事手伝いの青年・津上零=銀牙狼剣機。
彼らの物語を交差させ、やがてひとつの巨大な流れへと昇華していく群像劇であり、北映勇者シリーズにおける最高傑作と評される。
墓石のグヲ・グワン・グリード。
黄金拳奴・ゴルドランダム。
この2体にはそれぞれ第2形態が用意されているにも関わらす、一応の主人公である銀牙狼剣機にはそれが無い。
田﨑「一人だけ銀色ですし」
田﨑「僕も放映中に思ったのですがこの絶妙なパワーバランスを崩すよりは中央の影としてバランサーになってもらったほうが全体的に安定するよね、と井上さんと話しまして」
などと申しておりーーーーーー。