ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録   作:マキシマムとと

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2.強制終了

 

 ◯月◯日 雨

 

 

 何故か残業が無かった。

 

 俺の担当業務に関連する部品の出荷数が3割減してた影響なんだが、月末と月初めの変わり目ならわかるが、今日は13日。

 こんな突発的な減りかたは珍しい。材料不足か? 半導体とか? 上もよくわからないのか、聞いてもまともな返事がなかった。

 

 普段なら余裕が出来たら担当外の仕事が乱入してくるんだが今回はそれも無し。

 負担が減った影響か、はたまた『だいす』パゥワーか腰の痛みもずいぶんマシな気がするし…定時退社にはホント助かった。

 

 てなわけで今日はゲーセンに行くことが出来た。

 うっひー!

 

 三十後半のおじさんが『うっひー』ですよ『うっひー』。

 はぁ…。

 

 さて。

 今回はなんと、予定どおり手首を動かしました!!

 …は? それで? と思うだろ?

 

 いやいや奥さんこれって本当に凄いことなんですぜ? よくよく考えたら昨日の指の時点で『だいす』未経験の人は疑問符しか出ねーだろうけど。

 

 昨日はさらっと書いたが、指を動かすだけでもガチにムズいんだわ。

 

 携行用のハンドガンで訓練するんだけどな? 握りが強すぎると例の日本語が怪しいオペレーター(声は美女)に注意されるんだわ。

 

 「ハンドが痛い痛いしおるよ」

 とか、

 

 「メンテな班がランランでぽこぽこされおる」

 とか。

 

 謎言語で責めてくるんだよ。

 力を抜いたら落とすじゃん?

 

 当たり前の『物を持つ』というか『一定の圧力を保持する』って行為だけでも死ぬほどムズイのに、手首の主導権まで渡されたらもう完全にキャパオーバーだよ。

 

 こうね? 下がるの。

 ハンドガンのそこそこの銃の重みで手首がちょっとずつ傾いてって、それを戻そうとすると握りの操作が甘くなるじゃん? だから脳ミソが湯だちそうになりながら全力で握りと傾きを保って銃を保持するんだが、そこに例のオペレーター(略してペレさん)から射撃指示を出されて。

 

 もね、笑っちゃったわ。

 

 「ガハハハハ」てなもんよ。

 人間無茶振りが強すぎたら笑えるのな。

 

 「Hey!! 雑なFishなくせに、わらとる場合違いおるよ」

 

 なんて的確に突っ込まれるし。

 やけくそで射った一撃が運良く的の端っこをかすった、あの時までは良かったんだわな。

 

 ほら、ゲームの操作方法を知って、脳ミソで考えながら指を動かして少しずつ少しずつ最適化していくあの感覚。

 楽しいのと難しいのが渾然一体としてるあの絶妙な没頭感? いやぁやっぱりゲームって面白いですわー! なんて興奮してる最中にアラート発令ですよ。

 

 【訓練施設への敵性個体襲撃】

 

 この手のミッションって最近は頻発してるらしいけどさ、来る?

普通に考えて手首から先っぽをチョロチョロ動かして喜んでる初心者(マトorカモ)の集団演習場に、持ってくるかなぁそんなイベント。

 

 結果的にはACEパイロットの『ホニャララ』さんが孤軍奮闘のしし…なんだっけ? あ、調べたわ。獅子奮迅や。流石に年かな? 昔ならこんな中2チックな熟語を忘れたりしなかったんだが。

 

 ーーー話を戻して。

 

 『ホニャララ』さんがどうにか撃退したらしいんだけどさ、敵の最初の一撃が大型敵性機械化生物(※要約するとメカドジラ)の超絶威力・遠距離広範囲(サーバー隔離すら無効化する)殲滅系のゲロビだったらしくてな? 施設ど真ん中(全体からすると約半分)が蒸発したんだって。

 

 ゲームでまで人付き合いしたくないから隔離空間で遊んでた俺もその消滅範囲に入っててやーぁ?

 

 ホント、このゲームの極端な評価の意味を自分事になってようやく理解出来たんだわ。

 1.000円だぜ?

 

 ほんっっっっっとに、ワンゲーム1.000円の超フザケンナ的金額設定のゲームだぜ?

 

 それがほぼほぼ負けイベのモブキャラ役を強制されてだぇ?

 なんか画面が白くなったなーって思ったらズドンって俺が座ってる筐体ごと揺れてさ、わけもわからん内にゲームオーバー扱いだよ。

 マジですげぇ衝撃だったし【Game Over】の真っ赤な文字が浮かぶまではガチで巨大地震が来たと思ってチンコロが縮こまったんだ。

 

 流石にね?

 そんなゲームに金払えるかっての。

 ホンクソ。

 それなら外食したほうがまだ旨くて健康的だろ?

 

 そんなわけでこの『だいす日記』は本日を持って終了いたしました。

 

 はークソクソ。

 

 

 

 

 

 

 ◯月◯日 晴れ

 

 

 普通に腕が動いた。

 

 いやさ、ほら。

 前回ドブ金になって「もう2度と『だいす』なんてやらないんだからね! プンプン(*`Д´*)」てなってさ? それから1ヶ月くらいは間が空いてからのナウなんだけどな?

 

 今日は微妙な日だったんだわ。

 

 品質が安定してたからかなぁ?

 自然と仕事で簡素化してチェックをスルーしてた部分に歪みがあってさ、客先でのクレーム発生ですよ。

 

 いや、まぁ普通に考えて俺の前行程の作業者が落としたか機械に挟んだかして変形した単発系の不具合でさ、集計表に『落下』とか『変形』って書くのが面倒だからあえて無視して俺の行程に回してきたようなしょうもない不良なんだが、結局見逃して不良流出させたのは俺だし、あ~これ面倒臭ぇなぁークソ。

 

 みたいな感じでクレーム対応して再発防止の掲示板的なアレを作業台に設置されてなー。

 まぁ俺の勤め先は三流もいいとこだし、俺も大昔に出世路線蹴ってるからクレームの処理に始末書? やら顛末書? やらを書く必要もなく終了してな?

 出来る組の方々からすれば気楽なもんなんだろうけど、でもまぁクサクサするわな、人として。

 

 そんなげんなりイベントがあったから帰りに珍しくコンビニに寄ったんだよな。

 俺って肝臓悪いからアルコールは呑めないんだけど、最近のノンアルってちこっと昔からしたら信じられんレベルで完成度高くてな?

 最近お気に入りのユウヒのドライを買って帰ろうと思ったのな。

 

 で、レジでたまたまヴォケ門カード(ヴォルケーノ・ゲート=ザ・カードサバイバル)を見つけて、なんとなく3パック(購入制限してた)買った中にS…えすなんだったかーーーあ、せや。

 

 SAR。

 すぺしゃる? あーと? れあ? 

 

 うん。

 なんかよーわからんのですが、モンジャモとか言う派手なキャラのカードが入っててな?

 大昔にヴォケカ買ってた時の勘でレアカード判定してスマホ検索したらさ、24万馬力ーーー違うわな。

 うん、24万もしたんだわ。

 

 余裕で俺の1ヶ月の給料超える額やからな?

 

 「ほぎゃ!?」

 

 つって、その足でカード屋に直行したんだわ。

 

 財布はホクホクだし、たまには遊ぶか~と思って一番最初に思い付いたのが『だいす』だった辺りに俺の頭の悪さが光るよな。

 いや悩んだのは確かなんだぜ?

 けど、ほらーーーあ、そうか書いてなかったわ。

 

 いや実際あのクソイベが強烈に激おこプン之助だっただけでそれ以外は百万点越えてたんだ。

 ゲームで100点、ぷらすαの整体効果が追加の100点って感じで。

 

 俺さ、30代の半ば辺りから身体の調子がガックリ悪くなっててな?

 それ以前の体調と違って寝ても体力が回復しなくなってたんだが『だいす』って手足の動きや脳波? とやらも肝心だけど基本的に全身運動だし、普段使わない筋肉も使うじゃん? さらに言うと血行が悪いと思考能力が下がるからってんでペレさんがやべぇ部位の筋肉を伸ばしてくれるんだよ。

 

 どうやってんのかは知らんのだけど、疲労でカチカチに固まった背筋が(俺は疲れが背中に溜まるタイプなんだが、そこに気を取られて意識しなかった足の疲労が腰に繋がってズドンと来る。死ねる)じんわり温められて筋肉の一本一本がゆっくり伸ばされて行く感じでさ、今思うとスンゲー回復してたんだよな。

 

 接骨院や針と比べても見劣りしない上に費用は格安。

 1ヶ月ご無沙汰してたせいで背中はパンパンですし。

 整体ついでにと思えばちょっとくらい遊んでもバチは当たらんよなと。

 

 そんな感じでエントリーしたら楽しさの段階が三段飛ばしに激増してたんだわな。

 

 初日と2回目に鼻血流しそうなくらい苦労した銃の握りや照準がなんで出来なかったのかが不思議なくらいスムーズに操作できるし、余裕で腕まで動くんだぜ?

 

 動かせるのが腕から先だけってのが若干イラつくぐらいには楽勝でさ。

 

 「セカンドすてーへ行くおるか?」

 

 例のごとくペレさんが怪しい言語で聞くから、

 

 「行くオル行くオル~♪」

 

 なんて応えて30秒後に元の設定に戻してもらった。

 いや無理。

 

 セカンドステージってんなら首とか、視線の操作やろ普通。

 全身の(ウチトさんは上半身しかないけど)操作権を丸投げされて対応出来るわきゃねんだぉな。

 

 無理って悟るまでに3秒。

 そこから声の出し方を思い出すのに10秒。

 声を絞り出しての30秒だよ。

 

 殺す気かと。

 いやほんとゲームで脳ミソ爆発しかけたわ。

 

 これ本当に操作出来るようになるんかな?

 





 【メカドジラ】

 メカドジラは映画『ドジラシリーズ』に登場する架空のサイボーグ。
 コンセプトはドラゴン×クジラ×機械=最強。

 キングドジラVSメカドジラが初出。

 前作でキングの称号を得たドジラに対抗すべく自ら志願してサイボーグ化手術を受けた弟ドジラが機械かぶれによって変異した存在。

 ドジラ世界における人間は日本の春を花粉で埋め尽くし、ドジラ一族の繁殖を阻止した悪鬼羅刹なド畜生なのだが、メカドジラにはゴミクズへ隷属する屈辱よりも耐え難い恥辱があったのだ。


 上映後に制作者の意図しない映像・音声が複数確認され『世界でもっとも多くの怪奇現象が収録された映画』として有名になった。
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