ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録   作:マキシマムとと

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22.地雷天雷

 

 ◯月◯日 曇り

 

 

 やっぱ筐体を所有してるってのはデカイ。

 

 いや、前から思ってはいたんだよ?

 ただ妹を調子づかせるのが嫌で黙ってたんだが、やろうと思えば数分で万札を稼げる環境下ではガチで有益。

 

 具体的には移動時間。

 

 外出の準備、移動、バイクの操縦から駐輪、スーパーまで歩く時間。もろもろすべてのタイムロスを抹消して1日の大半をゲームに費やす(稼ぐ)事が出来るってのは、自営業(仮)の身の上としてはこの上なく素晴らしい利点だーーーとは、ずっと思ってた。

 

 その上で付加価値が付くとなると、これはもう完全に認めざるを得ない。妹は本気で凄い奴だと。

 

 

 

 付加価値。

 

 ほら、昨日のロボットやさぐれ事件に関連する話だ。

 昨日に引き続き訓練所で試せることは粗方試したんだよ。

 ペレさんにもレンにも手伝ってもらってゲームの内外からデータを取りながらの起動実験。

 

 接続は完璧、機体も正常、筐体にも不備は無い。

 それなのにーーー動かない。

 となると、原因はゲーム開始以前の部分にあるんじゃねーの? という仮説が立ってな?

 

 設定を弄って戻して弄って戻して。

 ゲーセンで1.000円払ってたらもったいなくて絶対に出来ないトライ&エラーを積み重ねてさ、なるほどこういうトラブルへの対処が出来るんなら確かに一億借金した価値はあるわなと。

 頭を押さえ付けられるようなメスガキ敗北に浸っていたのですが。

 

 「まさかり………コレだったる、せんよるね?」

 

 俺は動かないロボ相手にウンウン唸りながらハンドターミナルをぐりんぐりん回して遊んでたんだが、本日午前8時(施行時間約3時間)ペレさんがアタリを引き当てました。

 

 『キュサノオモーション』

 

 コレ。

 結論から言うと、このある種チートなロボット操縦プログラムが悪さしてた。

 

 なんだろ、このシステム。

 原理を知らないままペレさんとワチャワチャしながら作り上げたプログラムなんだが、どうもコレ、俺の脳の中にある(宇宙人から移植された)チート能力とロボの半神システムとやらを連結させてるらしいんだけどな? 今回コボット1式の中核装甲を『コボット狼月中核装甲』に変更したやろ?

 

 どうもそれでバランスが崩れて連結機能が破断。

 その影響で俺の脳波とやらがハンドターミナルの内部でスパゲッティみたいにこんがらがって、その結果が↑ココ! みたいな感じになってるらしい。

 

 ほら、これって戦闘モード起動時にのみ影響する筈のプログラムだろ? ペレさんも、まさか連結もクソも無い状態で影響が出てるとは思ってなかったらしくてな? そのせいで発見が遅れたんだわ。

 

 しかもコレ、かなり神がかり的なバランスだったみたいで、慌ててもとのコボット1式装甲に換装し直してもまったく動かせなくなってたんだよ。

 

 「えと…と、とぉするのんの…?」

 

 いやいやペレさん、そんな心配しなさんなって。

 昔の俺ならいざ知らず、今の俺には退路(職場)が無いんだぜ?

 

 今さらこの年で再就職なんていろんな意味でキツ過ぎるし、そもそも俺程度の低学歴&低職歴のおじさんが手を出せるレベルの職場では俺の借金に対抗できない。

 

 俺は既に『だいす』が健在な内に一生分の金を稼がなきゃ死んでも死ねない地獄逝き真っ逆さまな橋の上に立っているのさ、ハハハハハハハハハハハハ。

 

 「逆に考えるんだよ」

 

 挫けそうな時は大概疲れてる時なんだわ。

 

 誰々は凄いのに俺はダメだ、とか。

 あの人みたいになりたいな、とか。

 俺のロボがクソなのは何故、とか。

 

 無駄な事を考える暇があるなら一回休んで気力と体力を取り戻せ。そしてそこから戦うのだ。幸いなことに今の俺は完全形態。

 逆境を逆に武器に出来る!!

 

 とりあえず外装を換装し直して『ウルフエディション』に組み直す。整備班の皆さん、スマンポコ。

 

 「どのみちキュサノオモーションも頭打ちだったし」

 

 そう。

 【Round2】での戦績を見ればわかる。

 どれだけ実戦を重ねても一定の割合で被弾していた。

 これまでは運良く大破こそ免れていたが、いつ敗北を喫してもおかしくはない状況が続いてたんだ。

 

 「キュサノオモーションは所詮、電空戦神グラフィリオンってゲームの中のモーションであって、熱量があって金属が膨張して地表の起伏に翻弄されて。

 更に機体が成長までするこの『だいす』じゃどうやっても最適にはならないし、最適でない限りいつかは被弾して大破しちまう…てのは前から思ってたことやろ?」

 

 「う…むんぽこ」

 

 「だからーーー」

 

 ーーーありがとう。

 心でキュサノオと、思い出の日々。

 そしてキュサノオがもたらしてくれた札束の幻影に別れを告げて。

 

 俺はプログラムのアンインストールを決定した。

 

 ーーーペレさん曰く、今日の夜俺が寝てる間に脳ミソの中のデータと『だいす』の中にあるデータをチョメチョメするから今日は早めに寝てくれと言われた。

 ちなみにチョメチョメの部分は宇宙人語? かな? なんか難しい発音だったから俺にはチョメチョメとしか再現できないんだが、やっぱペレさんは宇宙人の作ったAIなんだと再認識してちょっと尊敬してしまった。

 

 …さて。

 もしこれでもロボが動かなかったら…そん時はどうすっかなー。朝日が怖いぜ。

 今日は一銭も稼いでない。

 借金が…こここここここここここわい。

 

 あぁ…ゲーセン行きてぇ。

 アタマからっぽにしてロボゲーしたい。

 出来ればちゃんとロボットが動くゲームで遊びたい。

 

 

 

 

 

 

 ◯月◯日 晴れ

 

 

 ウゴいた。

 俺、生きた。

 生存ナウ。

 

 

 

 

 

 

 ◯月◯日 晴れ

 

 

 難しい、が。

 アリーナでの経験は無駄じゃなかった。

 とりあえずしばらくは【Round2】への挑戦は封印。

 地道に最適化するしかない。

 

 

 

 

 

 

 ◯月◯日 曇り

 

 

 今日もひたすら【Round1】を周回。

 

 気晴らしにアリーナへ行ってみたのだが、ウルフちゃんの紙装甲は伊達じゃないんだよ。

 最初の一撃は避けたんだが、それでも10秒もたなかった。

 

 明らかに相手は学生の素人さん。

 

 悔しいとか、リベンジとか、雑魚が意気がってんじゃねーぞとか、そんなまさか。

 

 俺ちゃんは大人ですので?

 

 若者が間違って図に乗ーーーえっと、増長してしまって、なにか重大な失敗をしてしまうと可哀想だなと! そういう大人の優しさが凄く疼いたからね、だからちょっとウチのポチ子Mk2でヨシヨシしてあげたりしながら、基本的には【Round1】で頑張りました。

 

 うーむ。

 ウルフくん…悪くないんだが操作が追い付かんのだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

 ◯月◯日 晴れ

 

 

 今日のアリーナは白熱した。

 

 相手はかの有名な『地雷座長』そして彼の愛機『クレイジー・マイン』だ。

 

 中核外装は一般ショップでの最高額を叩き出す、銃座取り付け式のコボット中核B.G(ベーシック・ガン)外装。

 脚部はムシアシ(4本で放射状に広がるタイプ)その内側に隠し腕(サブアーム)と指向性の強力な地雷を複数内蔵した特殊改造済みの高級品。

 

 ベースカラーは黄色。

 エンブレムはトラロープ。

 

 ーーーそう。

 

 オフロード・ウェアのロボカスタマイズアクションゲーム「アームズ・クラリティ第一作品『プロジェクト・ジャバウォック』の登場人物とその愛機への、完璧なオマージュ!!

 

 

 『現場ヨシ! 地雷ヨシ!!』

 

 

 機体に装飾された数々のステッカー、その細部に至るまでの再現度、そして戦闘スタイル、戦績。

 俺の愛機であるポチ子(初期型)も頑張っていた方ではあるが、流石にあのレベルの熱量とは比べられない。

 

 原作であるACの傭兵がそのまま『だいす』に参戦したかのような素晴らしいクオリティ。

 

 実戦で魅せる挙動すらも完璧だ。

 

 ・指向性地雷設置→割と時間がかかる。

 ・敵(俺)の遠距離攻撃→地雷誘爆で大ダメージ。

 (リベル・セルクのブレイクソードマンと同じ左腕内蔵型の大砲。現状ではこれがウルフくん唯一の遠距離攻撃手段で、魄裂弾(ハクレツダン)っていうエネルギーボムを発射出来る。

 要はグレネードとかナパームとか、あんな感じの爆弾。爆炎のエフェクトがドクロっぽくておどろおどろしいけど、いたって正常な燃焼兵器)

 

 この一連の美しい流れがマジでACそのまんま。

 広い迷宮タイプのステージなら実力を発揮しそうなのに、敵が目の前にいる状態からスタートする初期ステージでの戦闘が確定してて常に涙目で地雷を設置しながら誘爆死してしまう悲哀。

 

 なんという、再現度。

 なんという愛なのかと…!!

 

 もし俺がポチ2号で出陣していたなら、ここまで記憶に残る事は無かったと断言できるんだけどな。

 

 初回の誘爆は原作再現だから、お約束的なノリで受けてくれたんだが、その後の行動も原作に忠実。

 出来る限り距離を取って遮蔽物の影に隠れて地雷を蒔く。

 

 ほれ、ポチならともかく、ウルフくんだと機体の操縦が追い付かんじゃろ?

 種蒔きしてる地雷座長にえっちらおっちら追い付いて、攻撃モーションに移る頃にはブーストジャンプで脚をクラゲっぽくもにょもにょさせながら空を泳いで逃げちゃうんだわ。

 

 んで、去り際に誘導式の浮游機雷(空飛ぶ地雷←イミフ)をまた蒔くやん? こっちも必死でジャンプして距離を詰めるんだけど、その頃には地雷座長も動きながら浮游機雷をぷりぷりして行く。

 

 物陰の地雷座長に追い付く頃には高威力の指向性地雷の設置が終わっててーーーそうやってどんどんステージに地雷が増えてく。

 

 浮游機雷は遅いから俺のロボでもなんとか避けれたんだが、最終的には指向性地雷は10ヶ、浮游機雷は15ヶ前後(時間経過や建物にぶつかる事で消滅してたから生み出された数より少ない)はあったんじゃないかな?

 

 最後はヤケクソ。

 

 「ペレさん、電空殺法を使うわよ…!!」

 

 「お、おまはん…! けれんじもアレはッ!!」

 

 「キュサノオはいつだって私の心の中に、そうでしょ!?」

 

 一瞬の空白。

 だけど、ペレさんは何時だって(ワタクシ)のーーー!!

 

 「ーーーおる…やってやるおるぅぅぅぅう!!」

 

 俺たちのロボ、その単眼が光って唸る。

 浮游機雷の間隙を縫うように、心の歓喜を歌うように!

 今、天高く舞い上がる!!

 

 「「電・空・殺・法(電空サッポン!!)!!」」

 

 必要な動作の発動に、俺の手数は全く足りない。

 

 ーーーだから最速、最低限の動作に絞る。

 

 【Wt凱旋スラスター『あそぼぼ』全解放】

 

 【スラスター制御・軌道計算・出力!!】

 

 姿勢制御を無視した結果、子供に投げ捨てられるオモチャのように、無様に手足を投げ出した俺のロボ。

 それを脳内で意識して、スラスターの制御に機体姿勢の不安定さを盛り込み強引に軌道を描き出す。

 

 「クシナダ崩れ」

 

 弾丸のように敵機へ迫る。

 それは直撃スレスレの完璧な軌道。

 

 「おるぁよっ!!」

 

 言葉よりも響く、願いよりも強く。

 

 ペレさんの意図を理解する。

 その的確なアシストに応えるべく、機体のフレームと直結したユニバーサル・ブースター・ポッド(ざっくり言えばGR01・Maxバーニアンのアレ)に火を点した。

 

 ユニバーサル・ブースター・ポッド。

 それはロボの背に取り付けられた1対のユニット。Wt凱旋スラスター『あそぼぼ』というふざけた名前の高性能大出力エンジンが青い炎を轟々と吐き出すーーーその、片側のポッドだけ噴出口を進行方向と逆に向けて準備していた。

 

 噴射。

 太鼓の中に封じ込められて聴く雷鳴のような振動の暴力、そして三半規管をダイレクトに叩きのめす遠心力の殺意。

 

 ポッドが生み出す爆発。そのエネルギーが荒れ狂い、目論見通り俺のロボが空中で独楽のように大回転した。

 

 手足の制御は変わらず放置。

 

 ーーーつまり。

 

 衝撃と同時に操作画面が赤に染まる。

 鞭のようにしなる腕の一打が地雷座長を打ち据えたのだ。

 

 「あたっぢ!!」

 

 命中。

 

 俺は地雷座長へ少なからずダメージを与えることに成功した。

 

 着地は満点。

 俺の制御より遥かに的確に機体が自立稼働していた。

 火花を巻き上げアスファルトの地表を削りながら滑走し、やがては運動エネルギーを消費し尽くして制止した。

 

 …そして、俺の視界が真横(・・)に傾く。

 

 『次は勝つ』

 

 俺が言った気もするし、地雷座長が言ったような気もする。

 ただでさえ貧弱な俺のロボ。

 無茶に苦茶を重ねた結果なんざ言う迄もないやろん?

 

 腕は爆散、胴体は見事にねじ切れて。

 

 

 【You lose】

 

 

 上半身が指向性地雷の上に落ち、さらに俺を追尾していた浮游機雷まで殺到してな。

 彼が蒔いた爆炎の種は、むしろ華々しく俺の敗北を飾ってくれた。

 





 タイトル変更のお知らせ。

 厳選された()読者の皆さまへお詫びとお知らせを致します。
 この度、小説のタイトルを変更しようかなと思い立ちました。

 いやね?
 昨日メチャクチャ暇(だけど本は書きたくない)だった時に『徹底解説! なろうでランキング一位を取る方法!』みたいな小説(タイトルは適当です)を見かけましてね?
 作者さんがとても有名な方だったし、そこまで文章量も多くなかったから読んでみたのですよ。

 「ふむふむ、まずは『な~ロッパ』そして作品タイトルとあらすじで読者数が決まる…なるほど?」

 みたいな事がありましてね?
 いや、自分は一位を取る気無いですよ?

 ロボをメインにしてる時点で無謀ですし、この小説のコンセプトは『自分が書きたい話を』『自分が書きやすい書き方で』『自分の書きたい時に書く』『その上で喜んでくれる誰か(読者)に届いてくれたら最高』ですし。

 だけど思うんですよ。
 この小説。
 最新話までついてきてくれてる読者さんって現状で約30人なの。
 全世界で、30人。
 誰か一人がお亡くなりになったり、誰か一人の趣味と道を違えたりしたら、読者数は激減するでしょ?

 だって貴方は1/30なんですもの。

 これが30回続いたらどうなるのか。
 ゼロです。
 読者ゼロの小説(日記?)なんて便所のラクガキ以下。
 書く価値はありません。

 それは困るの。
 本気で、作者は毎日思ってます。
 独特で、トリッキーで、作者の感性にピッタリハマる面白い小説が読みたいと。
 だけど無いの。
 そうそう無い。
 無いから書いてるのにそれすら出来なくなるとかマジで拷問。

 だから書きたいし、応援してもらいたい。
 一緒に笑ってもらいたい。

 その為には読者をもっと増やさなくてはならない。

 そんなわけで改名します。
 本当はアンケート機能で読者さんとコミニュケーションしながら選ぶ予定だったのですが、文字数制限に引っ掛かるタイトルしか思い付かなくて使えませんでした。

 新たな出会い、そして今ここに居る読者様の目が腐ってなかったんだと証明出来たら嬉しいなぁ。

 旧題
 ゲーセンでロボゲしたいけど出来ないから書いた日記

 新題
 ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録

 これからもよろしくお願いします。
 千客万来ッ!!
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