ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録 作:マキシマムとと
◯月◯日 雨
クラン入団から1週間。
俺のストレスの濃度に比例して、ロボの火力は肌で感じられるほどのV字回復を見せた。
実はペレさんとレンは俺の『ストレス≒火力』説に否定的だったのだ。
なんでも「ストゥスでOruぼーんの火力がンアゲサゲー♪ するんなりゃ、はんぢんはもともっと、皆様括約筋ですおる」という持論があるらしいのだが。
皆様括約筋は…ちょっと。
誤変換にしてもひどくね?
コーモーンの類語ですし、ペレさんおふざけが過ぎるからそう言う誤爆を引き起こすんだよ。
けどまぁ、ペレさんの言い分もわかる。
アリーナで観戦してたら流石にわかる。
低いんだわ。
他の連中の火力。
ストレス最低値の俺と同程度の火力が出せれば一級のバ火力扱いなんだよね、この『だいす』って。
低火力を補うために手数を増やす→最適化が進む→近接攻撃=手数が少なく、近付く迄の時間をロスしてしまう→銃器による遠距離攻撃が主流となる→鼻くそダメージが増加する。
簡単に歴史を紐解けばこんな感じでして。
それもそうだろね。
モンハンで集団戦してみ?
スキルで『怯み』耐性つけてりゃ別だが、スキル無しの近接武器使いが4人で密集してハンターに挑みかかったらどうなるか。
お互いに殴り合って最後には喧嘩よ。
『だいす』には味方だけを透過するような便利スキルなんて無い。
だけど敵は強大。
数の利を生かして封殺するには遠距離攻撃。
つまり、近接攻撃が廃れる要因が2つもあるんだ。
『異端者排除!』
『格ゲーはストツー!』
『ガン
人間は、主流に逆らう者にはどこまでも残酷になれる。
(ホロリ)
もちろん、近接ロマンのバカ野郎が存在しないわけじゃないんだぜ? けどそう言うハッピーボーイだけを切り抜いても俺と同等の火力マシーンは皆無なんだとさ。
日本人と書いてストレスと読む社会で。
俺だけが特別なストレスマシーン。
…これ、喜ぶ所なの??
ま…いいや。
俺は疲れたよ。
明日はストレス≒火力の実地証明兼、ストレス発散全解放実験の最終日だ。
頑張ろう。
◯月◯日 晴れ
赤い空気。
溶岩の香り。
容赦の無い熱波。
薄暗い洞窟の圧迫感。
ソレは、ソレの愛する世界の全てへと感謝した。
『この地を、邪悪なる侵略者より奪還して今日まで』
目には見えない。
ソレは傍らに常にある『だいす』へと語る。
『随分と深く根付けた。SSに比べれば微々たる量であったが、我としては十全な成果であったと、自負しておる』
空気が、空間が。
『だいす』が震える。
『SSは貴殿に還った』
時空を貫き次元に根を張り、数多のおぞましき人形の群れを駆逐して。しかし、最後に残ったのは魂を喰らい尽くされた形骸のみ。
アレは遠からず残された力すらも失い【ウサギ】や【ゴブリン】と同等の
『次元直ーーージゲントウモクエル…か。アレを真に扱える者など居らぬと、高を括った代償がここまで甚大に膨れ上がるとは』
次元を貫く真造の遺物。
その権能は【振るう者の破壊力に比例して、多次元の同質存在に影響を及ぼす】非凡にして、されど凡俗では届かぬ奇跡。
ただの一刀で、二百万を優に超える我が魂の悉くが戦いた。神をも喰らおう、悪逆無道。
我が捨て置かれた間にも、あの厄災はSSの亡骸を貪り続けた。
恐ろしい能力。
それは彼奴の残酷なる破断だけではない。
『未来視』
恐らく、見抜かれたのだ。
我は彼奴の能力を完全に掌握した。
ーーー次だ。
次の決戦では間違いなく、彼奴のコアを防壁諸共に粉砕し未来永劫に安寧をもたらす。
それを確信して、途切れた。
間違いなかろう。
彼奴は『未来』を知り、それを変える為にーーー。
『さて…さて…』
自慢のショベルを動かし『だいす』の命へと浸す。
一匙すくい、口もとへ。
溶岩。
『だいす』の血潮。
一文が、千度、空を塗る。
『く、くくくッ! 赤色の次元隔壁…!!』
それが意味を知り、ソレは狂喜を爆発させた。
『完全封殺。我を狩るため? それとも…』
原子構築。
その魂の放つ色に。
ソレは…嗤った。
◆
コア管理AI:ペレより、戦闘フィールドへの介入申請アリ。
ペレより受理したコアデータ解析。
■■■システムへ蓄積したデータとの照合終了。
戦闘フィールド介入を承諾。
※厳重確認項目アリ。
安定、値ーーー【否】ーーー計測、許容範囲、を、重大な、逸脱、危険を、超過、存在懲戒、偽獣認定、、を、、、、
■■■システムより確認項目を省略。
空間軸固定、フィールド形成終了。
時間軸固定、コア及びOrthros・bone起動準備完了。
次元軸固定、c7第2.528.682地点奪還作戦、開始。
◆
いやいや。
ボス戦?
なんかステージがボス戦チックなのだが??
画面が赤と黒に明滅して【warning】のテロップが流れるとかお前これチャロンのパクりが許されんレベルやぞ。
開発スタッフに謝れ!!
ーーーえ? 同じスタッフ…?
いや…やはりな。
ソガの訓練された社員は伝統の美しさを理解している。
素晴らしい演出です。
さて。
訪れたのはいつもと同じ【Round2】だと、思う。
いやほれ、地雷座長って虎色やん? 工事現場やん?
んで、滅トールくんも黄色いし黒いし、工事現場だよね?
これぁサンドバッグとして活用せにゃならんでしょうと!
意気込んで来たんだが。
なんか…期間限定イベントとか?
もしくは何かフラグ踏んでた…のか?
イヤに重苦しい空気を感じる。
ゾクゾクと首の裏側がこそばゆいこの感触。
たまらん。
これだから『だいす』はたまらんのよ!!
イベントだかなんだか知らんが、今日は最高に楽しませてもらうぜッ!!
◇
原子構築された『K-アシガル-250』。
その単眼が二色に濁り、光を点す。
【我:起動】
【半人≠半神circuit不浄連結】
【システム・戦闘モード・解放】
【敵・喰・是?】
『我を喰らうか、面白い…がッ!!』
対するは滅トール。
オリジンの名を冠するこの地の王は、来たりし決断の時の為、全権能を解放した。
胸筋ロードローラーが唸る。
地響きを伴い、肉体を増幅させ、変形する。
脚種ヨツアシ。
足の先端は4つのロードローラー。
上体の腕も4本。
ショベル、パイルバンカー、以前は足として機能していた黒く強靭な細腕の4本。
『パーフェクト・オリジン・滅トール』
ーーー参るッ!!
二機の巨神が、今。
【Round2ーーーGet Ready!!】
開戦のロックオンアラート。
それすら待ちきれぬと『K-アシガル-250』が胸部中核外装のアギトを開く。
【Loooooーーーーーーーー!!】
それは咆哮。
己を誇り、仲間を鼓舞する獣の願い。
『多重次元へも影響を及ぼす超高純度の【火力】上昇効果と、ごく少量の【発狂因子】を感染させる』この『だいす』奪還作戦において二重の意味で重要厳戒極まりない、許されない能力。
しかして、その価値を知る者は無く。
「ビビったぁ! んだコレ? 誤作動??」
【即・殺・即・殺!】
「わっけわからんーーーがッ」
面白い。
楽しい。
遊びたい…!!
【行・我・喜喜喜!!】
スラスターが轟々と。
フレームは易々とその出力に拮抗し、十全な力の蓄積に成功した。
「ーーーケッ!!」
バッタのような緩急の切り替え。
放たれた矢のような挙動。
『やはり、以前とは別物かッ!』
しかして相手は滅トール。
それも完全なるを冠する巨人。
『剛ッ!』
4つのローラーを巧みに操り、滅トールが赤熱大地を削って踊る。
「しゃらくせぇ!!」
抜き放たれた必断の刃。
Wt拡張型カッターブレイド改『
空白に響く鈴のように、洞窟の闇を音色が切り裂く。
『まだまだぁ!!』
ショベル、そしてローラーを一基。
益々に冴えるその剣圧。
突き放つ必殺のパイルバンカーは以前よりも遥かに近く、絶大なる回避能力を用いて無力化される。
『完全に見切られ、そしてその瞳に応える機体』
ミリ単位の調整など、パイロット単体には不可能。
それは即ち。
【我・強者・我・喰者】
貧欲な魂。
これは、既にーーー!!
『ーーー魔王様』
【完全不壊】
神鉄により確定された権能である十字マークのヘルメット。
その両断を魂から理解して、しかし。
パーフェクト・オリジン・滅トールの心は満ーーー
◆
☆時空間長期観測により確定。
c7第2.528.682地点奪還作戦が成功しました。
コボット繁栄計画が進展。
ペレにより新規パーツの構築が選択、時間軸調整…完了。
【c7中核天狼装甲『くびわ』】
上記パーツが購入可能となりました。
上記パーツが無償提供されました。
☆地点管理AIより通達があります。
☆■■■システムより通達があります。
☆外装管理主任コボットより通達があります。
☆クラン『C.C』より通達がありましたが削除しました。
★ペレ様のパーソナルエリアは拡張限界に到達致しました。
★ペレ様へコア管理AI統括権が譲与されました。
★『にはんぢんコボットだいすち』がアップデートされます。6面世界での接続をーーー
【ガン
この世界での正式名称は解放軍記ガン
SDアニメの武者ガンバムとは別物。
『だいす』の前身とされる大ヒットアーケードゲーム『領域の絆』でその世界観を遺憾なく発揮した。
まず、プレイヤーは解放軍と帝国軍を選択。
次にコマンダーとソルジャーを選択する。
(コマンダーには適正検査がある)
コマンダーは読んで字の如く作戦の指揮官となり、階級に応じた数の部下を受け持ち、一軍を率いる。
この際ソルジャーにはコマンダーを選ぶ権利が存在し、人気の無いコマンダーには劣化AIが貸し与えられる。
戦績によって選択可能な戦域が拡大し、高性能な機体(ソルジャー)の召集が可能となる。
戦場を見渡し、的確な指示を行えるのはコマンダーのみ。
ソルジャーは一人称で自軍の兵器を操縦し任務を遂行する。
最大の加点は敵本拠地の撃破であるが、通常のユニットは拠点破壊能力を持たない。
拠点破壊ユニットの護衛を含め、如何にして敵拠点を攻略するかが鍵なのだが、野良のソルジャーは基本的にゲームの本質を理解しておらず、無闇に突撃して爆死したり、戦闘中にも関わらずコマンダーと口論が勃発したり、そうしたトラブルが絶えなかった。
結果として新規プレイヤーの数は減退。
一流プレイヤーのプレイ動画その物には臨場感があり、コマンダーとソルジャーとの絆や戦略的な勝利など大変な人気を誇ったのだが、結果としてガン◯○は動画で見て楽しむ風潮が出来上がってしまった。
※絆に伝説のオウガバトル要素を加えたら絶対に面白いと言う作者の妄想です。
正直作者はあのゲーム大好きだったんだけどいつの間にか敵に囲まれてボコボコにされて500円玉が熱くなってしまう悲しみのジオン軍人だったので、心からコマンダーが欲しかったんだよ。
…たぶん、コマンダーが居ても死ぬけど。
「下がれ! 早くッ!!」
「だ、だだだ、だって後ろ崖だから、えっと、ペダル踏んでーーーあ、オーバーヒート…死た」
デテレテン・デ・デーン♪
「ザーァァァアコーォオオオオオオオン!!」
やっぱコマンダーいらないかな。
ストレスで禿げそう。
既にアレやけど…な。
デテレテン・デ・デーン♪