ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録   作:マキシマムとと

30 / 70

 まさか、生きてる間にドリフターズの7巻を読むことが出来るとは…これが、奇跡か。

 奇跡があるならば…どうか神様、EGコンバット・FINALを出版してください。お願い…。
 全巻セットで4万までは払えるから。
 …お願い(全裸待機◯◯年)



30.出撃準備

 

 ◯月◯日 晴れ (2ページ目)

 

 

 【ようこそ、時の異端者よ】

 

 俺の眼前に広がるドームスクリーン(卵の内側から見るような形状の円形大型モニター)に、くたびれたネズミ色のローブを頭から被った老人の姿が浮かんだ。

 

 もちろん、俺は『彼』を知っている。

 占術師『ウォーレウズ・グレイラット13世』背後に無数のカードを浮かべ、深い闇のなかで不敵に微笑む。

 彼は解放軍記ガン◯○・領域の絆で、プレイヤーが最初に出会うことになるNPCであり、殺伐としたこの世界でのファンタジー要素を体現した存在だ。

 

 プレイヤーは彼の質問に答える事で自らの所属や適性が変動する。

 もちろん、彼の言動に取り合わず自らの意思で全てを選択することも可能だし、所属する軍の選択はカードで暫定した後にも変更可能なのだが、俺は昔からこの(無くても問題ない)要素を気に入っていた。

 

 だから【私のカードに興味があるかね?】の問いかけには必ずYESで返答するのだ。

 

 シュパパパパパ。

 

 ーーーこれ。

 これなんすよ!!

 カードが擦れながら展開される時の独特のサウンド。

 うっはー!

 懐かし!!!

 何年ぶりだよこの音が耳を潤すのはよぉ!

 

 時間の壁によって美化されていた脳内映像と、現在進行形で目に見ている画質の荒らさから来る違和感と失望感、それが意図も容易く覆される。

 

 凄い! 嬉しい!!

 音は時間を超越するぜ!

 

 ウォーレウズ老が扱うカードはタロット。

 本来78枚で1組のカードなのだが、作中ではその中でも知名度の高い大アルカナと呼ばれる22枚のカードが使用される。

 アスカフローネやディオの奇妙な冒険、アレの第三部から出てくる『ペルソナ』を知っていれば理解は早いだろう。

 

 【お急ぎかな?】

 

 普段ならNOを選ぶ。

 だが今回は他人を待たせていたのでYESを押す。

 

 【ならば刮目なされ、汝が未来を願う程度に】

 

 超高速で複数のカードがモニターの中に舞う。

 プレイヤーに対して裏向きで表示されたカードの吹雪。ものの数秒でそれが終わり、何となく視線の行ったカードが3枚裏返される。

 

 【愚者ー正位置】【運命の輪ー逆位置】【力ー正位置】

 

 【なるほど、なるほど…】

 

 1枚目は気にしない。

 ここのタロットではコマンダーとソルジャーで選別されるが、殆どの結果はソルジャーが表示される。

 希にコマンダーを引き当てても適性試験で落とされるし、そもそも俺はソルジャー志望だ。

 当然のように今回の結果もソルジャーだった。

 

 2枚目は所属する軍の選別。

 これ、何回か初めからやったことあるんだが、何回やっても俺は帝国軍にしかならんのよな。不思議。

 

 3枚目はプレイヤーの適性に関連するらしいが、詳しくは知らん。

 

 俺はウォーレウズ老のカードに文句など無い。

 初期イベントを終え、俺は『決闘』を選択した。

 

 【汝の行く道に幸多からんことを】

 

 画面が暗転する。

 ドット絵で作られたユニット画面。

 

 5機で編成された現状唯一の部隊。

 

【ユニット1】

 ←進行方向

 

 『ザム』

     『ザム』  

 『ザム・I』

     『ザム』  

 『ザム』

 

 「おおぅ、よりによってインディーかよ」

 

 『絆』ではプレイヤーデータ作成時点での所持機体はザム(解放軍はジーク)と呼ばれる量産機に固定されるのだが、その状態で決闘を選択した場合のみ、一時的にランダムでリーダー機の貸し出しが行われるのだが。

 

 「ザム・インディーとか、MAが居なきゃ普通のザムと大差ないヤツを引いちゃうんだ…はは~ん、俺もヤルなぁ」

 

 MA(魔獣アーマー)とは、1機でMS(魔人スーツ)2機分のスペースを必要とする大型ユニットであり、ザム・インディーはその性能を引き上げるパッシブ能力を持つのたが、それ以外の性能は量産型のザムと変わりない。

 唯一の利点は手に所持した鞭、これの単発火力と攻撃範囲がザムの格闘武器(斧)よりは若干性能が高いという程度。仲間がザムで固定されている初期決闘では擁護のしようもなくハズレ枠に分類されるのだが。

 

 

 ーーーさて。

 

 

 申し訳ない。

 2ページ目に入る前におトイレに入ってましてね。

 ウルトラすっきりな大きい大きいラージサイズのアレがズドンと一発で出たせいでテンションがバグってましたわ。

 

 前のページから話が飛んでで困ったやろ?

 スマンです。

 

 前のページでグリッドなエレベーターに乗せられて、到着したのは狭苦しいタコ部屋でしてね?

 照明にも乏しいぼんやりとした空間には『だいす』と入れ替わるようにアーケードから撤退した『領域の絆』その大型筐体が合計5台も堂々と並んでおりました。

 

 なんでも、ここは違法賭博で儲けるためにとある資産家が収集して地下に集めた設備の末端らしいが、本当かどうかは知らん。

 

 座長さんはここで俺に集団戦の訓練をさせたかったらしい。

 ヤツが言うには『だいす』だと機体性能とプレイヤースキルによる優劣の差が大きすぎて集団訓練にならないから、消去法的に『絆』での訓練を選んだらしいのだがーーー本音はどうだろな?

 

 確かに俺と座長を比べれば差は歴然としているが、それは座長のマインをヨツアシに換装すれば解決出来る程度の問題だし、俺と同等の技量と性能のプレイヤーなんて掃いて捨てるほど存在してる。訓練の為にってのはあからさま過ぎる建前にしか見ない。

 

 そもそも、だぜ?

 わざわざ他人の家に押し掛けて来て『訓練』ってのがまずウソやろ。あらゆる所が怪しいし、なんかもぉキモイんだよ。

 座長、顔もスタイルも声も良いから騙されそうになるけどさ、やってる事はストーカーやジャイ兄貴と一緒だし。

 

 レンに対する服従姿勢だけはマジっぽいからまだ余裕を持って見てられたけど、1対1なら絶対にこんな所まで付いてこなかった。

 

 「では、全員、解放軍で」

 

 一応、建前を実行するらしい。

 けど解放軍かぁ。

 どうせなら帝国が良かったーーーと、思ったのが悪かったのか。

 

 「なんでお前が勝手に決めるの?」

 

 レンがチワワのように吠え、ゲームの上手い方に決定権があるとする座長の言動に噛み付いた。

 

 「お前よりにーにーのが強いよ! なんならバトルで証明すればいいよ。お前なんかミソッカスなんだもん!! 負けたら二度とにーにーに生意気な態度取らないでよね!」

 

 いや、10年近いブランクあるし、そもそも俺は純度高めの芋砂でしたし? みんなの嫌われ者の、芋ちゃんでしたし?

 対人戦…? 無いわぁ。

 

 「良い、でしょう。しかし、願わくば、我が、勝った場合の、報酬を、提示して、頂きたく」

 

 はぁ~ん?

 ガキが絆ナメんなよ? 手前のおにーちゃんなんか鼻糞なんだよ! タダ働きなんて御免だね!! …とでも、言いたげな座長さん。握りしめた拳が震えてない? じゃっかん震えてるよね??

 

 それに対して我が妹は「ふんす」と息を荒げ、腰にてを当てて堂々と胸を張った。

 パジャマの中で踊るミニモちゃんの笑顔が眩しかった。

 

 「もしにーにーが負けたならお前の欲しいモノ、好きなだけ持っていけばいい、出来るものならねっ!」

 

 なんでも…なんでも?

 いや待て、妹! ステイッ!!

 

 万が一だよ?

 「『だいす』の筐体が欲しい!!」なんて言われたらどーすんの? 相手は座長だぜ? ジャイ兄貴もビックリの、あの座長なんだぜ!?

 

 ーーーこれ、大丈夫だよね?

 しょせん子供の口約束。

 

 「なんでも、よろしい、ので?」

 

 目…は見えないけど、座長の本気はイヤほどわかる。

 なんか、空気が震えてんだよ。こわ。キモイ。

 

 ーーーそんな経緯があってからの、決闘だったんだけどな。

 

 「ぐもんだね! レンちゃんに二言は無いのだ!!」

 

 根拠無いくせに自信満々。

 これだからお子ちゃまには困るんですよ。

 

 そう思ったものの。

 それでも俺って兄貴だし、勝算がまったく無いってわけでもなかったしーーー。

 

 「ーーーハッ、貴女様の、兄上の、程度を教えて、差し上げます、低すぎて、見えぬ、かもしれませぬ、が…!!」

 

 それまでのレンへ対する愁傷な態度を投げ捨て、座長が本性を露にして暴力の気配を振り撒き、

 

 「にーにー! アイツ、ぽこぽこにしてっ!!」

 

 ーーー俺の背中に隠れたおバカな妹へ、少しは見せてやりたいと思ってしまったんだ。

 

 ゲームに費やした時間の大小が戦力の決定的な差ではないということを。

 お前の兄貴の実力というモノを、見せてやるとーーー!

 

 ↓3ページ目へ続く。

 





 【MA】

 魔獣アーマー、もしくは魔竜アーマー。

 帝国側のプレイヤーは魔獣、解放側は魔竜を使用可能。
 これは原作である解放軍記ガン◯○の設定に則った仕様である。

 (解放軍のリーダー兼主人公のヒムロ・ナミエは龍神の加護を受けており、帝国軍の圧政から民衆を解放すると同時に、地底に囚われた選択の龍姫ムラサ・キシリアンヌの解放を目的としている為)

 魔獣・魔竜、共にチームリーダーとしての資格を持たない。
 獣と竜では外見以外には大きな違いはないのだが、しかしその運用は軍により大きく異なる。

 それにはザム・インディーとジーク・フリートの特殊スキルが関係している。

 ザム・インディーのスキルは『テイマー』であり、チーム内の魔獣アーマーの性能を引き上げる能力を持つのだが、ジーク・フリートのスキルは『ライダー』であり、チーム内の魔竜の数(最大2体)に応じて自ら(ジーク・フリート本体)の能力を引き上げる為だ。

 インディーとフリートで魔獣部隊を運用するにあたってはチーム内ユニットへの指揮範囲に関連する『カリスマ』のステータスが重要なのだが、カリスマを向上させる為には敵機の撃破が必要となる。

 そのため基本的にMAの運用は魔竜により本体の能力が向上する解放軍のフリートに軍配が上がるケースが多い。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。