ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録 作:マキシマムとと
駄目だ。
お試しで『戦闘メカ ザブングル』を第1話だけ見たのだが、そのたった一回のオープニング曲に脳ミソがやられしまった。
なんなん、アレ??
昭和のアニメを甘くみていた。
◯月◯日 雨
家族サウナの翌日から【スニーク・ハイド・ブレイカー】の攻略速度は激変した。
『レン、krs16bの接続紐、色分け終わったよ』
「………り、データ」
『送った、兄上はどう?』
「あ…いや、とりあえず平気そうなのは全部マーカーしたがーーー」
『了解、次のデータをお願い』
「んーーーぅげろぉぉぉぉ…」
ーーーレンとミレンは天才だ。
だからこそ噛み合わず、だからこそ俺の助言を受け入れる余地があった。
俺が思うに、レンは間違った『時間効率』に固執し過ぎていた。
もしレンが疲労の概念とは無縁のロボットであるなら、最高率や最適化を突き詰めた最適解に拘るのは正しい選択なのだが、当たり前の話レンは人間だ。
部品の検査でもよくある。
工場の作業要領書には『製品1の検査箇所①~⑩を順番に確認し、異常がなければ製品箱に入れる』というルールがあったりする。
事実、作業単体で見れば効率は最高だ。
手に製品を持つ→全数検査する→製品箱に入れる。
これで完成。
無駄がない完璧な検査だと言える。
だが、俺は違うやり方を選ぶ。
製品を手に持つ→苦手な箇所及び手直しが必要な箇所だけを検査、手直しをして仮置きする→1ロット終了後に残していた検査箇所をチェックする→製品箱に入れる。
このように、あえて一手間を増やす。
単体で見た場合、製品を手に取り、置くと言う動作が2倍に増える分作業時間は間違いなく増加する『非効率』なやり方をあえて選ぶ。
何故なら、俺には一回の処理で10項目の検査箇所を正確に間違いなく検査する能力が『あっても』それを10時間『継続』し続けられる能力は不足している。
何故ならば、そう。
人間は疲労するからだ。
疲労すればパフォーマンスは下がる。
下がればミスが起こりやすくなり、それを抑制するためにより多くの集中力とエネルギーを消耗する。
そしていつかは破綻する未来に怯えてーーー。
ーーー悪循環、だ。
だから俺は上役にドヤされても『非効率』なやり方を貫いた。
単体での効率に劣ろうとも、自分の精神にとって最も負担の少ないやり方を選ぶ。
やってみろって。
10時間、ゆとりの無い極限検査を正確に?
決められた手順を遵守して…?
説教は…長時間労働者に、なってから…言えよ…!!
例え非効率でも2回に分ける。
一度目で自分が苦手な箇所の検査を潰し、二度目で残りを処理して箱に詰めるやり方でなければ脳が持たない。
これが俺の考える最高の『時間効率』。
レンは理解を示してくれたが、すべての人に当てはまるわけじゃない。人間は千差万別だから俺と真逆の意見と能力を持つ人もいるだろう。これはあくまで1つの生き方や考え方って事だ。
閑話休題。
次にミレン。
引きこもりは現場を知らなすぎるんだよ。
今の時代の工場なんて悲惨だぜ?
人も、モノも、金も、ナイナイナイで回してんだ。
人が居ないから作れない、人が居ないから育たない、人が居ないから居なくなる。
どんどん居なくなるからAIで代用する?
よし! 良くやった! ならそのAIを管理する人間を我が工場に派遣して下さい!! ーーーん? あれれ? 人が…居ないんだよ?
だぁ~んれも、来てくれないんだよ?
このおっきな機械。
粗大ゴミなのかな…かな?
モノが無い。
金が無い。
無いから先っぽが欠けた刃物で製品を削ります。
だから人間が手直ししてね♡ 不良品でクレームが起きたら検査員の責任だから検査項目を増やすよ♡ 頑張って♡♡♡
ーーーこれが、現場なんだよ。
限界でやってんだよ。
偉そうな事をほざく暇があったら手を動かせよ、マジで。
お前がデキるヤツなのは知ってる。
俺とレンを『使って』みせるのが、お前の仕事やねん。
現場を…ナメるな!!
ーーーそんな事を話したり、後は誰も触れなかった俺の空白の1ヶ月と『絆』事件の顛末について色々と話した。
絆事件は…まぁ。
とりあえず警察のお世話になる事は無いらしい。
ここはまた追々で書くと思う。
…それにしても選別作業がツラい。
どうにも胃にくる。
メットの超人覚醒機能にも原因はありそうたが、それでも俺はやっぱり改造人間らしく、妙に鼻が利くようになっていた。比喩表現で無く、嗅覚的に。
危ないと思われるコードからはどうしようもなく不快な臭いがするのだ。
視覚での検査は手慣れた物だが、嗅覚での選別となると勝手が違う。ミレンが指定する複数の電線? らしきコード束の中から、明らかに臭い回線を選り分けて印を付ける作業に任命されたのだが、これがまぁキツイ。
側溝のドブ掃除とか、したことある?
臭いが服や肌の中にまで染み込みそうなあの臭さ。
本気で宇宙人が超技術過ぎるんだわ。
モニター越しで臭いが伝わる技術ってヲィ。
レン曰く直接臭いを送ってる訳じゃなくて、脳の中にある『においの記憶』に作用する何かを使って脳の内部にその臭いを再現しているらしいのだが…。
というか、視覚ならともかく嗅覚での検査…すんげぇ不安なんだよ。目に見えない部分で確信を持つのは本当に難しい。
やはり炭寿郎くんは主人公なんだなぁ。
ーーーと、そんなこんなを乗り越えて…何日目だコレ? ともかく、ようやくコラボ攻略に目処がついた。上手くすれば明日か、明後日にはクリア出来そう。
あと少しだと思うと少し寂しく感じられる。
これはやはりキツくてもそれなりに楽しかった証拠なのかも。思えば兄妹3人で団結して何かを成し遂げるなんて初めてだし。
賞金が出たら寿司にでも行くかな。
回ってないヤツ。
前に行ったのがコマちゃんとの結婚前だったから………そうか。もうそんな大昔になるのか…。
あの店、まだやってるかな。
「…死ね」
誰も彼もが寝静まった僅かな時間。
草木も眠る丑三つ時。
1日の中のたった3時間だけが彼女に許された時間だった。
「死ね………」
バルブを全開に開き、頭から暖かなシャワーを浴びる。
水を弾く肢体。
現代の美意識に即したプロポーション。
『男』の前では見せない虚ろな…幽鬼のような表情で、小さく何度も呪詛を呟く。
「死ね、死……う、うあ゛ぁ…!!」
壊れて行く。
真綿で首を絞められるように、自我が食い潰されて行く。
派手な色の髪を、頭皮に痛みを感じるほど握りしめる。
彼女の中に芽生えた低俗で幼稚な意識が。
自らとは異質な異物でしかなかった意識が。
少しずつ本来の
(我は、誰だ)
ライザ。
頭を撫でる優しい手付き。
(我は、誰だ)
地雷座長。
獣のように尊厳を踏みにじられて。
(気持ち、良く、憎悪に、狂う、絶対に、許さない、愛しい、ご主人、嫌だ、嬉しい、混ざり、交ざり、快楽が、虚無の、憤怒が)
ーーー死にたい。
その願いが引き金となったかのように、唐突に浴室の扉が開かれた。
「…死ね」
言葉とは裏腹に、身体は素直に尻を差し出す。
良く躾られた自らの動作に嫌悪を覚える暇もなく。
「ーーー我は、絶対に、いぃ♡ぁあ♡♡♡」
この『犬』の魂胆は知れている。
以前『
雑魚の考えそうな事だ。
なさけない、負け犬、脆弱な、雑魚の。
勝てないから、我に負けた弱者だから。
だからそう。その為だけに、我が『我』である瞬間を選んで…ん……で……♡♡♡
「死…♡ う♡ ぃや♡ …し♡ね♡ う、うぁ♡♡」
喰われていく。
壊されていく。
この『犬』は肉体の蹂躙だけでは満足しない。
飢えた獣に魂までも汚され、喰われ。
自我が。
魂が。
僅かばかりのプライドが…。
【「ライザさん」】
「ひぐぅ!?」
わかっている。
『アイツ』は寝ている。
これは『犬』の精神攻撃。
【「可愛い、ライザさんは」】
後ろから抱きしめられて。
耳元に吐息がかかり。
「やめ、やめ♡♡」
とける。
魂が。
【「座長さんはーーー」】
「あっ♡ あぁ…!!」
【「もっと、可愛い」】
「いあ゛♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
最後に残された希望だけは汚させないように。
それだけを胸に抱き、彼女はまだ、己を保っていた。
もしR18方面で怒られたら消去、もしくはオブコン
(オブラートに包んで♡コンコン♡)します。