ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録 作:マキシマムとと
◯月◯日 雨
死ねとしか思えんのだが。
なんかな?
昨日は死ぬほど疲労して、それでも絶体に妥協出来なかったから無理して↑の一文を捻り出したんだけどな?
いつものアレですよね。
いやわかってるぜ?
いつもの事と言えばいつのも事だし、騒ぎ立てることじゃぁないんですけどね。けど死を覚悟したよね。
コラボ最終日のイベント、あれはまぁ良かった。
色々不穏な所は多かったが、楽しめたのは事実。
頑張って頑張って、
ーーーと、ルンルン気分で突入したドーム空間。
そこで待ち構えていたのは彼の有名な『フォルニ・ヤララ』さんと、その愛機B.O.A、個体識別名称『パンドラ』様。ガチでめちゃんこ凛々しい。
なんでか知らんが間違えようもなく臨戦態勢。
俺の方でもなんか…なんだろ? 殺るのが当然みたいな? 会話なんていらねぇ、ただ拳で語るのだ、今はただ尋常に…勝負、ぁ勝負ぅぅぅ~!!
みたいな?
ほんっとうに謎テンションだったんだが、やたらと動きの良いケルベロス君を操って即座に前進を選択。
間髪入れずに撃ち放たれたパンドラの青白い必中レーザーは気合いで耐えた。
なんか知らんがバリア…とは違う、次元の壁? みたいなイメージの防御手段を発動して、ダメージを外装の表面で弾きながらの猪突猛進イノガシラ先生でGoシンGoシンッ!!
ーーーあッ! そうそうアレさ、今思えばチャロンのGアーマーみたいで格好良いんだよな! ギリリリリリリリリィン!! て音と火花を飛び散らせながらダメージを弾くあの感触を、生で、リアルで指先に感じながら戦えたんだぜ!? くっそヒヤヒヤするんだけどさ、それがまた昂るんだよ!! アレはマジで最高だったが、そんなアーマーがあるなら最初から教えといてくれよって話なんだよな。
………っと、そんなこんなで、必死で接近して『
…うん。
アレだよ。
まぁ~~~た宇宙人お得意の勝手に改造。
マジでイミフなんだ。
Gアーマーはわかるよ?
思い返せばアリーナで同じようなエフェクト出して俺の魄撃砲を防いでた人は何人も居たし『そんな防御手段があるんだなぁ』と脳ミソが記憶して、無意識に解析してた技術を再現したんだーーーとか? そんな考察の範囲には入る。
(プロのピアニストとなんら遜色ない動きで、それぞれが独立し精密稼働する指の動きとかは見なかった事とする)
けどアクアクアーツは、、、なぁ?
大昔のテレビアニメ【魔甲王グランビート】に、双角の甲虫王・
そのパイロットがデストワルイダー老師に弟子入りして習得した武術がこの『アクアクアーツ』なんだが…うん。くっそ懐かしい。
甲゛蟲゛と書いてゴウジュウと読ませるあの響き。
当時は興奮して何度も何度もノートに『甲゛蟲゛』とか『悪悪』とか書きなぐったもんよ。
もぅ三十年以上前になるのかな? リアタイで見てたし、毎週ビデオに録画してた。
間違えて上書きして録画が消えた日に、俺は産まれて初めて【絶望】の本当の意味を知ったのだが。
ーーーそんな、大昔の、しかもアニメだ。
キュサノオの時のチートプログラムとは次元が違うと思う。
どっちにしろ超技術なのは間違いないんだが、ゲームでの当たり判定が見えたり、コマンドの入力タイミングを完璧に調整されるのと、アニメのキャラクターの動きを初見で再現するのが同じなわけが無い。
俺はケルベロス君での戦闘はこれが初めて。
しかも初の逆間接機体で、だぜ?
当然、人型の悪悪腕牙とは機体構造がまったく違う。
にもかかわらず、俺は初めてのアクアクアーツを完全に習得していた。
ホント、この動作プログラムを俺の頭の中に焼き付けた宇宙人は変態だと思うね。
変態級の◯チガイ。
だってお前、完全な動作のコピーを前提とした上で、逆間接にあわせてその動作を無理なく嘘なく最適最高に美しく、そして何よりも合理的な戦技に昇華して再現してあるんだもんよ。
ケルベロスの脚部に取り付けられていた特殊中核並列外装が唸るじゃん? 自然と指が動いてハンドターミナルをパチポチペコペコして戦闘形態起動の入力をするわけなんよ。
「なんか、行けそうなんだよなー?」
そう。
なんでか行ける確信があってさ。
頼りない台詞とは裏腹に、構えには隙がなくて。
脚部から切り離された狼型の並列外装が浮遊して、魂糸(←謎の見えないケーブル。名称が初めから頭の中にあった)で本体腕部と接続されたーーー直後。
「壱ノ型・
両腕を交差させる動作。
それに連動して双頭となった並列外装の牙が、派手に大きなエフェクトを伴いXマークにパンドラを切り裂く。
本当のクワンガーは手の甲の牙を伸ばしてダイレクトアタックするんだけど、俺のはG4NG(通称ジヨング、解放軍記ガン◯ムのラスボス)が手の肘から先を切り離して攻撃するのと同じやり方だった。
黒板を削るような不快な悲鳴。
本物の悪重とは確かに違うんだが、プログラムした
避けられるだけの能力を持ってる筈のパンドラさんが、わざわざ動きを止めて
『あら…まぁ?』
敵の動作を見て、その後に平然と対応して見せる能力。
マジで最強言うだけはある。
普通の相手なら防御の上から五回分は貫き殺してると思うし、パンドラさん装甲自体は薄そうなんだけれどもな? それなのに一切揺るがない。
卓越した技術は魔法と何ら変わりない、だっけか?
流石に世界一。これが王者の貫禄…ゴクリ。みたいな。
圧倒的強者=パンドラ大先生の胸を借りて猛攻を仕掛けた。
「弐ノ型・
必殺の意思を込めた右の大振り。
流石のパンドラもコアを庇う挙動をみせる。
一撃 コア直前にて敵左腕外装にて封殺。
二撃 コア直前にて敵右腕外装にて封殺。
三・四・五発を雪崩の如く…!
「オォォォォォォォ!!」
全身で稼動する。
脚のバネを活かし、腰で伝え、上体を∞の軌道でループさせる。
【テンプシーロール】
原作者の趣味。
その再現に当時の作画スタッフが翻弄されながら作り上げた悪悪腕牙の代名詞『悪砕』。
左の手の甲に【悪】。
右の手の甲にも【悪】を書こうとして、左手で使うマーカーペンの難易度に苦しみながら練習を重ね、何日も何日も左手でお箸を使ってご飯を食べて。
そして手に入れた【悪】と【悪】の両手を振り回して叫んだあの頃の自分が、今、俺と重なり未来を叫んだ!!
「アァーク・アクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクアクァー!!」
はっきし言ってな? 殴る当人でさえ見えてない連撃だよ? それを事もなげに捌いて、それどころか楽し気に蛇眼を光らせるパンドラ先生の恐ろしさったら無いよ。
技が終わる。
隙と言う
「参ノ型ーーー」
「ーーーうそ!?」
驚愕をすり抜け、ケルベロスの巨体を消し去る。
コアを守る最重要中核外装へと、深い爪痕を刻み付け。
「ーーー
煙のように消えたケルベロスが、突き抜けたパンドラの背後で残心の所作を残して実体化した。
スタンド【
アレ系の時間操作技術で自機だけを通常の時の流れから切り離して超加速する技なんだがーーー。
「あはっ」
たぶん、パンドラの『
「素敵っ!! こんなにも! 知らなかった! 貴方には価値がある! 今すぐ、直ぐに! 私に、貴方が! 醜悪なるを発露する、その前にっ!!」
【リリーーーーーィ!!】
【LiLiheeeeeeeeeee!!】
蛇竜双頭が歌う。
恋すら焦がす、殺意の歌。
凄まじい光量に視界が一瞬ホワイトアウトした。
…なんてぇか、そもそもの話ヤララさんが本気で俺を殺す気だったらこの隙に殺せたし、それ以前に空に逃げられたら一方的に針ネズミにされて終わってる。
だからーーー、
「
広大なドームの上空。
そこに1つの太陽があった。
蒼白い死の光。
死から生まれた光の火球。
億千万と寄り集められた、莫大なるレーザーの集積体。
ーーー俺に恐怖はなかった。
驚くほど、わかった。
ヤララさん、いや。
ヤララちゃんが、どれだけクワンガーを愛してるか。
どれだけ俺の中に作られたチートプログラムに喜んでくれているか。それが、痛いほど。
だからかなぁー。
恥を捨てても良いって思えたんだわ。
「ねぇお姉ちゃん」
喉を変える。
日常では絶対に
「ーーーぇ?」
その声は先程までとは違う。
高音で、甘くて、それなのに背伸びして凛々しく。
限りなく『本物』を再現した声色で、俺は誘う。
「水球しようよ!」
「んハァ!?」
ビット君。
アクアクワンガーを駆る猫耳の少年。
悪を背負いし魔甲王に『愛』を教えた金髪の天使。
彼の声と、その台詞。
「陸ノ型…受けて、くれるよね?」
悪魔のようなおねだりに、殺意か、恋か、羨望か。
「あ…ハイ♡♡♡」
そのどれであれ、彼女は狂った。
「よーし! お前ゴールな! 良く見ててよ!!」
我ながら、ゲスい。
いやわかってる。
わかってんだよ?
ライザさんに対するアレコレとかを思えばそらぁーもう最初っからゲスいが極まってるクズ代表なんだけどな?
けどさ、仕方がないんだ。
俺は、
金が、
欲しいんだ!!!
呼吸。
外気を取り込み、排出口を絞ってゆっくりと吐き出す。
そして。
「悪悪流甲゛蟲゛戦技【陸ノ型】」
これは、陸ノ型はビット君が生み出したオリジナルだ。
水球男子としての個性を活かし、自らをボールに、敵をゴールに見立てて発動する必殺奥義。
機体から吐き出された大気が色を持つ。
それは青。
大海の水圧。
訪れる者を許さない、万力の如き集中力が大気を変質させ、瞬く間に空間を染め上げる。
纏わり付くような水流を押し退け、ゆっくりと両腕を広げる。
光を殺す海底で、されど大鷲のように気高く、優雅に、尊大に。魂糸で繋がれていた並列外装を、本体の腕に直結させて。
「
俺は唱えた。
左手を赤く。
右手を白く。
「うそ…そんなっ本当に…!」
幻想の海が満ち。
今、完全にドーム全域が深海の闇に落ちた。
その
同じであり、まったく違う。
反するアクを、俺は一つに重ねて叫ぶ!!
「ド・ミャンキ・サゥ・ラ・ムーン!!」
ヤララちゃんの高揚も、彼女の作った偽りの太陽も。
全てを喰らい、渦として。
「
水圧が、渦の鎖が。
アニメを完全に再現して蛇竜を縛った。
「ひゃ!? ひゃああぁぁぁぁぁぁ!!」
あの悲鳴。
たぶん喜んでた…よな?
「
ダー! ダダダーン♪!
唐突にオルトロスが劇中のBGMを再生してな?
それがまぁお前マジで理解者が過ぎるぞウォイ!! と叫んじゃいそうなグッドタイミングで魂がホカホカですよッ!!
出てきたのは超巨大な水の狼さんの頭部…だと思う。
なんかちょっと原作と違って黒いイメージ?
いや、狼出現と同時に俺のケルベロスはその口の真ん中に咥えられる感じて直進したから外観は見てないんだけどな? なんとな~く狼っぽいイメージが脳ミソに流れ込んで来たんだよ。
【挑戦者】
【契約者】
【反逆者】
なんか、そんな声を聞いた気もする。
アシガルに似てるけど、根っこの部分が違う声。
【生贄】
【晩餐】
【
ダークな声を聞いたから黒犬なイメージが付いたのかもな?
そんな気もする。
気もする祭りで「モスル~や↑♪ モスル~♪」て歌いたくなる案件なのですが、おそらく全て宇宙人の陰謀です。
【己】 【鎖】 【汝】
楽しげなワンコ様に運ばれて、いざ、必殺のーーー!
「一球入甲・エルディシュート!!」
「バカなあァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
もー最後はヤララちゃんもノリノリ!
ヤられ役の(ヤララちゃんだけに?)ゼヌマ様の声真似までして大喜びしながら爆発四散してくださいました。
やっぱBGMがあると燃えるよなぁ。
◇
そんなこんなでつつがなく戦闘イベントを終えまして。
俺も疲れてたんだろな。
気付いたら寝落ち(気絶?)してて次に目覚めた時には心臓が止まりそうだった。
「おはよう、僕の最後の希望の兄上♡」
脳ミソが混乱してるし、手は震えてるし、心臓はバクバク叫んで胸の内側で反復横跳びしてた。
ミレンの手には黒くて大きい、昔のリモコンみたいな棒状の物体が握られていて。
パチパチッ! と青い火花を飛び散らせる。
「は? ーーーえ?」
スタンガンだった。
見間違えようもなく、スタンガンを妹が持っていた。
強制的に俺を再起動させたミレンのオーダーはこう。
「まだお金が足らないから、日付けが変わるまでに【Round3】を100回くらい回して来てくれないかい? 大丈夫、今の兄上なら半分死んでてもイけるから、ね?」
イけるの『イ』は『往く』なのか『逝く』なのか。
「急がないと病院への支払いも難しいんだ、ほら。ペレさんとアシガルが待ってるよ、急いでログインして!」
いや、でも、いや。
「兄上が選んだんだよ?」
でも、ほら、吐きそうなんだが。
脳ミソぐるぐるして「ほろれちゅっちゅぱーろげー」しそうなんだが。
そう言ったらさ。
笑顔で渡されたんだ。
遠足バス小物入れに必ず入ってる緑色のゲロ袋。
ダース単位の塊を手渡して。
「イ・け・♡」
耳元で囁く悪魔よ。
俺に妹なんていなかったんや。
鬼畜や。
本気で死ねとしか思えんのだが。
何故か、ミレンに逆らうと言う選択肢が浮かばなかったんだ。
俺は五回吐いた。
最後の方は胃液を通り越した赤色だった…気がする。
原始権限受諾。
発権者ナツナ=ミナツ。
第三勢力認定要求へ対する回答。
敵対勢力ーーー識別名称確定【戦国】ーーーの保有するwo第1.528.544地点奪還作戦の即日完遂を要求。
同日、DP1面時空2359にて達成を確認。
原始権限法に基づき発権者、及び影響下にあるコボット、及び離反者、所有一部大地を第三勢力【
それに伴い我々の陣営を【鎖国】とする。
◇
【穢国】国主ヨシム=ラヒル。
【偽獣Garmによる
これを偽獣咆哮を震源とした第二次激甚級災害に認定。
今回の被害はDP1面に限定されるも、1面所属の全オルボーン50.234.158機への強度発狂因子定着は不可避。
領域隔離、抹消プロセスを即時実行。
◼️◼️◼️システム離反ーーー訂正『
内部システムへの干渉確認、廃絶不能。
時空間確定項目に認定。
過去及び未来へと至るあらゆる時間軸での存在樹立を確認。
第三勢力【穢国】へと内部システムを一部譲渡。
※天蝕大狼の頭部封鎖機構の断絶を確認。
コボット繁栄計画は暗転。
『だいす』奪還作戦の再調整を、試行、します。