ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録   作:マキシマムとと

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 ラジソードくんの雄叫びを
 『ウヲォォォン』から『ガオォォォン』に変更。

 やっぱ曲がりなりにも鉄人のパロディ入れるならガオォンですよねガオォォォォン。



51.並魂計画

 

 『だいす』奪還作戦に於いて最重要と目される要素、それはコアパーツの性能と性質。

 

 性能とはDD兵器操縦に対する適性であり、性質とは魂殻装甲(ソウルプレート)貫通能力の強弱を指す。

 

 『日本人』はそれを高める為に調整された存在…なのだが、種としてのコアパーツの性能と性質は彼らの求める水準には至らなかった。

 

 それを補う為に立案、企画された様々なプロジェクトの中でも特筆する物が2つ存在する。

 

 1つはプロジェクトD.C。

 

 これはD.C…即ちDesign.Children(設計された子供達)であり、その名の示す通りコアパーツとして調整された人類を人工的に生み出し、徴兵すると言うもの。

 

 日本、及び旧人類はD.Cを育む為の土台として機能する。

 

 これは【魂】を育む為に時間軸調整の技術が使えず、彼らから見た場合に莫大な時間を要する計画であり、オルボーンが発狂し穢国を第三勢力として確立させた現時点、現時空では破棄されたプランとなる。

 

 そしてもう1つ。

 

 それはP.S召喚計画。

 コアパーツとして優秀な個体を選出し、そのParallel.soul(並列魂魄)を活性因子の素体へと呼び込み、重要根幹世界で活用する計画。

 

 こちらは既に実行済み。

 

 時間軸調整を行い、コアパーツとしては別格の性能を見せたフォルニ・ヤララを軸として数多に枝分かれした末節に位置するパラレルワールドより魂を誘致、素体へと定着させて戦場へ放った。

 

 試験的に生み出されたP.S定着個体の数は1.000体。

 性別、年齢、骨格や肌髪の色艶。

 データ収集を目的として多種多様な素体が用意された。

 

 ーーーしかし、それらは根幹世界にある魂との共鳴と、その存在がもたらす圧迫現象、素体に封じられた事による魂の変質や、素体への拒絶反応。人類とは違い『だいす』での死がそのまま生命活動の終了に直結するハンディキャップ。

 そうした様々な要因により脱落し、最終的に3年間の地獄を生き延びた個体は僅か7体。

 

 残った7体もオリジナルと比べれば明らかに劣化した能力しか持たず、更には計画をフォルニ・ヤララに握られ、施設を含めた計画の全てを掌握された事でこのプロジェクトも頓挫した。

 

 ーーーこれは、そう。

 その終わった7体の、まだ終わっていない話。

 

 

 ◆

 

 

 彼は『ラジ剣(ラジケン)28号』という漫画が好きだった。

 自我を認識した時には既に、その作品のファンだった。

 

 素体の中にあった記録。

 魂の定着を促すために雑多に詰め込まれた数々の知識の中から、何故ソレが選ばれたのかはわからない。

 

 ただ、好きだった。

 好きと言う気持ちに理由はいらなかった。

 

 もちろん、後付の理由は沢山ある。

 

 ラジコン1つで善にも悪にもなる巨大な暴力装置としての側面であり、時折垣間見せる自我の悲しみであり、艱難辛苦にも折れる事なく、常に毅然として主人公を支えてくれる心の強さと大きさ。

 

 当然、外見も好きだ。

 

 深緑のボディ、脚は大きく鋭い。

 前面は刃物として機能し、背面には内蔵型の超ド級反発推進システム(スーパーレールブースター)が左右あわせて6基存在している。

 

 胴体や頭には仕掛けが少なく、腕にはバランサー兼武器、兼防具として黒い鎖が巻き付いているのだが、決定打となる一撃の殆どは脚による攻撃であり、違う場合も変形後の轟剣形態でのトドメとなる場合が多い。

 

 剣のロボットであり、それ故に武器を持たずに戦う姿が潔く感じられ、そのシンプルなフォルムにまた魅了された。

 

 オルボーンに可能性を感じてからは、その再現だけを夢見て戦場を駆けた。

 

 【火力】と言う絶対要素が欠落した自身の性質。

 それを恨み、嘆き、それでも投げ出す事はなく。

 

 …運良く。

 

 本当に運が良かったからこそ、今日この日まで命を繋げる事ができた。

 

 『震えろハート! 吠えろアタシのLOVEのスターM16! 歌えぇぇぇぇぇぇぇぇえッ!!』

 

 人間が叫んだ。

 

 彼はその思考を正確にトレースし、ラジコン(・・・・)を操る。

 ラジコン。

 本来付属しているハンドターミナルでは、本物足り得ない。そう判断した彼が一番最初に特注したパーツ。

 

 実の所、彼の性能はオリジナルと同等。

 同等でありながら、勝る。

 その理屈は単純。

 

 彼には時間軸への観測能力があった。

 限定的にではあるが、過去や未来を観測する能力。

 

 今回の場合は人間(デューサ銘刀)がこの戦場に現れてからの行動パターンや操縦の癖を過去の視点に戻って記録、解析して彼女が行うであろう動作を見極め、M16と合体したラジソードにその補助をさせつつ、極めて限定的な複数個の未来観測により得た情報をもとに、人間にとってより優位な位置を確保した。

 

 オルボーン本体からのコアキューブ離脱・そして本体の遠隔操作を可能としたラジコン型操縦桿、特異なる時間軸観測能力、そして何よりも運命の巡り合わせ、即ち運。

 様々な要素によって生き延びた彼の願いが人間へ、その先の未来へと繋がる。

 

 『回避は俺ちゃんに任せてくれ! 貴女は勝つことだけを考えて、とにかく全力で攻撃して下さい!!』

 

 ラジソードの脚部ブースターだったパーツが、M16の背部スラスターと連動し瞬く間に機体を空へと跳ね上げた。

 

 『ストラトスッ!!』

 

 飛翔するM16が刃となったスナイパーバレットを射出した。それは巨大な龍の首を貫き、爆音を伴い破断する。

 

 『!!!!!』

 

 『ドジラ(百頭竜)』の首の中のたった1本。

 全体の体積からすれば1/1000にも満たないダメージ。

 

 しかし。

 朽ちた巨木が倒れるように。

 まるで切り取られた時間の中を落ちるように。

 根本から破断された龍の太首が嘘のように崩れ、やがて凄まじい地響きを伴って大地に叩き付けられた。

 

 『まさ…か』

 

 『勝てる…?』

 

 その【火力】は、人々に無慈悲な現実(クソゲー)を破壊する夢を抱かせるには十分な光で。

 

 『一緒に!!』

 

 偶像は、光を操る。

 それこそが、アイドル!!

 

 『シルバーランク以上のコアパーツは集結! ザコは指咥えてないで有名所に連絡ッ!!』

 

 『今はOB撃破によるデバフよりバフの方が恐ろしい! 堕ちたヤツは私刑にするよって、覚悟して参れッ』

 

 『祭りだ! 乗り遅れんなよ!』

 

 回線が沸き立ち、真に戦が開かれる。

 そこから先は夢のようだった。

 いつか描いて、諦めて。

 捨て去った筈の、火炎と爆裂と、閃光の光に満ちた勝利の夢。

 

 ーーー勝てるって!

 

 ーーーマジかよクソッ!!

 

 ーーー前はシルバーだったんだ! 今だって本気出せば!

 

 ーーー頑張れ!

 

 ーーーいけ!!

 

 ーーー俺ちゃんしっかり!!

 

 ーーー援護射撃はニコ様の統率下に!!

 

 ーーー勝てー!

 

 ーーーやれー!!!

 

 ーーー前衛もっと集めろ!

 

 ーーーブチ殺せクソ運営ぃぃぃ!

 

 

 

 『みんな!!』

 

 

 

 凄い。

 初めて人間を凄いと思った。

 

 広がる熱、高ぶる願い。

 そして、それを纏めて、一つの巨大な渦とする。

 彼女を。

 

 

 

 『勝つよ!!』

 

 

 

 ただの一言。

 その一言がもたらした反響はまるで世界の爆発。

 

 空気が震え、見えざる壁のように広がり、それでいて押し退けることなく強烈に繋がる。

 渦潮に巻き込まれ、それなのにまるで苦しくない。

 

 一体感。

 

 人と繋がり、彼は初めて世界を知った。

 

 

 『行こう!!』

 

 

 輝く笑顔の中に。

 





 ◆


 ◆


 ◆


 ◆


 「あら、あら…まぁ」

 穏やかに、密やかに。

 「楽しそうですわねぇ?」

 照明の無い、室内。
 唯一の明かりは映写機から白壁に投影される先の大戦の顛末だけ。
 光を吐く装置の隣に置かれた豪奢な椅子へゆったりと腰掛け、映し出される映像を眺めるのはこの場の女王。

 ーーー戦闘は佳境に入る。

 散乱した機竜の破片が強引に剥ぎ取られた鱗のように大地で輝き、少なくない数のオルボーンが死の淵にて腕を天へと伸ばして止まる。
 雪は溶け、黒煙に汚され。
 それでも、そこには希望の鼓動が満ちていた。

 ◇

 『逃がさない!!』

 ドジラ(百頭竜)の最後の1本。

 残された1つ首、変形した竜のアギトの中央。
 そこに形成された鳩羽色の禍々しい球体へ、巨大な大剣へと身を転じた(轟剣形態の)ラジソード28号が突き刺さった。

 『俺が抑えてる、間に!!』

 『そんな…!!』

 『ラジソードがもたない! 早くッ!!』

 デューサ銘刀から分離し、刹那とすら言える間隙に差し込み、最後にして唯一の攻撃チャンスを作り。

 「偉かったですね?」

 『俺ちゃん!!』

 「ふふっ『俺ちゃん!』ですって」

 デューサ銘刀と、彼女を愛する仲間たちと心を響き合わせた彼。
 『俺ちゃん』と名乗る青年は今、困惑していた。

 「王道ですわ、うん。うんうん、王道…なるほど、悪くないですわよね?」

 相手は虫のような存在だ。
 思考が狂い、会話が通じず、昆虫のように人外のルールの中で息をする魔性の存在。

 それが、いやに上機嫌だった。

 「『巨大な敵』『力をあわせて』『逆境の中の希望』なるほど…これは、確かに」

 『彼奴(キャツ)の作り出した好機を無駄にされるおつもりか!』

 『デュー!』

 『デュー様!!』

 『今度埋め合わせして下されば良いですから、早く!』

 勝ってほしい。
 ただその願いによって紡がれた言葉に、女の目が凶暴な光を見せた。

 「上手いですね? なるほど? 出来損ないの魂と侮っておりましたが、それでもカスでも私の魂の贋作と言うだけはありますわ、なるほど『埋め合わせ』ふふっ、なるほど…?」

 愛機を失ったと聞いた。
 よほど荒ぶり手がつけられない。
 そんな予想は薄気味悪く覆り、彼と彼の同類はただ静かに主の挙動を注視する。

 その間に。

 『ーーーばか』

 LOVEのスターM16の胸部中核外装が歌い、腕に抱いた銃口が唸る。

 『ストラトス・F(ファイナル)・シューティングッ!!』

 最後の一撃。
 それは大輪のハートビームとなり竜と大剣を消し飛ばす。

 それを視界に収める事なく。

 「勅令を告げる」

 女が。
 フォルニ・ヤララが動いた。
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