ゲーセンファンタジー・俺がプロゲーマーになる迄の記録   作:マキシマムとと

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 この小説を読んでるコアパーツの92%はブレイバーンが好き。
 残りの8%はオープニング曲をカラオケで歌える。



63.NEXT

 

 ○月○日 晴れ

 

 

 【NEXT】と言う対戦システムがあるらしい。

 

 このゲームを一年続けて、それなのに今まで知らなかったのだが【NEXT】は【にはんぢんアリーナ(対人闘技場)】に似ている戦闘シュミレーターだという。

 

 アリーナでの戦闘は機体に経験値的な何かの蓄積があり、機体のダメージによって修理費用を要求されたり、弾薬費まで細かく請求されるし、その見返りとしての報酬もあるのだが、NEXTはシュミレーター(仮想戦闘訓練)に該当するためその辺りのプラマイがゼロになっている。

 

 「お手軽にアセン(機体カスタマイズ)のお試しが出来る便利空間なのですが………?」

 

 教えてくれたのは俺ちゃん君。

 アリーナしたいけど何故かゲームメニューから選択肢が消されてるんだよなーと愚痴った所、パンが無いならケーキを食べれば良いじゃない的なノリで紹介された。

 

 後になってレンに聞いたところ、開放条件の中に『一度でも良いから誰か他のプレイヤーとフレンド登録を交わす事』という項目が含まれており、残念ながらそれが関所の役割を果たしていたのだが、まさか一年もゲームしててフレンド登録数が0人だった…などと思われるのはキツイので、たぶんこの事実は墓場まで持って行く事になるだろう。

 

 後日俺ちゃんに送ったメールには「表示されてたけど気付いてなかった」と書いておいた。

 

 その後、座長さんと改めてフレンド登録して(あの頃はクラン『C.C』も座長さんも単なるストレス貯蔵庫だったし、その後和解、、、いや、あれを和解と呼べるか否かはともかく。和解した後もバタバタしてて忘れてたのだが)ようやくNEXTが開放。

 

 NEXTはシュミレーターと言うだけはあってかなり多くのパーツを取捨選択したり、金額の制限なしに外装をカスタマイズする事が可能で、聞く所によるとこのNEXTで楽しく機体をカスタムしたり、そのカスタム機で遊ぶ為だけに『だいす』をプレイするコアパーツも少なくないんだとか。

 (なんでも『だいす』での戦績に応じて扱えるパーツや外装を加工できる範囲が変動するらしく『だいす』をサボっていると扱える素材や機能に制限をかけられるらしい)

 

 俺の現状、参加こそ出来ないのだが不具合補填と言うことで破銀達成の記録とシルバーランクは保持されている。

 (本来なら月に一度のメタルブレイクで戦績が悪く、決闘に敗北したプレイヤーやそもそも活動していないプレイヤーは格下げされる)

 

 ラウンドにしても4まで攻略してるから使えるパーツは多い。多いんだが、無知な所にそんな大量の情報を投げつけられても対応出来なくてな?

 どう遊ぶか思いあぐねてたらミレンが筐体の外壁をコンコンコン。

 

 「やあやあ、ご機嫌で陽気で向こう見ずで何より短慮な兄上様、ご機嫌がよろしいようで何よりだね?」

 

 相変わらずセクシーで様になるハイカラな服装で自己主張の激しいオッパイ様をぷるんと振るわせる我が妹。

 なんでか最近俺に対する当たりが強い。

 

 反抗期かな??

 

 「ねくすと、とやらをプレイするのなら、僕がレンに作らせたデータで遊んで欲しいんだ。僕に多大なる迷惑をかけた、と言う自覚が無いにしても、僕は兎に角大いに迷惑したのだからこの程度の【お願い】は無償で叶えてくれても良い…と。そうは思わないかな?」

 

 迷惑、と言うのが何を指しているのか。

 もしかしなくてもその『迷惑』が最近のミレンの俺に対する態度の厳しさの根源なのだろうが、聞いても答えてくれないんだよ。

 

 ………反抗期、かな?

 

 まぁ何にせよミレンから会話の糸口を作ってくれたんだ、少なくとも俺の顔を見る事すら嫌だ! という段階では無い筈。

 ここは四十年近く積み重ねてきた会話テクニックで要求を飲みつつ『迷惑』の特定をして、その上でミレンと仲直りして家族で仲良くまたサウナにでも行こう!

 

 「おも、ぉもう! かな!」

 

 四・十・年んんんんんんんんん!!

 

 声がねぇ、出ないんだわよ。

 咄嗟に脳の引き出しを出し入れ出来るようなセンスなんて無くてクソ。

 

 ニッコリ笑顔のミレンちゃんに押し付けられたROMを座席の右下に挿入。

 

 

 【データ解凍中】

 

 

 0%から始まった数字が少しずつ増える。

 

 【なうろ〜でぃんぐ! しばしまたれよ!!】

 

 「これ、レンの仕事だな…ホントこういう細かい演出好きだよなアイツ」

 

 まぁ俺も好きなんだけどな。

 ペレさんもその辺りよく把握してくれてて。

 ………はぁ。

 早くペレさんと遊びてぇ。

 

 そんな成り行きで俺のNEXTに於ける愛機が決まった。

 

 

 【G arden】

 【N next to you】

 【R eserve】

 【I ■◆■◆■◆■】

 【N ike】

 【G ryphon】

 

 

 「じーえぬあーる、あいえぬじー…………こっこれは、ガン………ガンリング!!」

 

 初回起動シークエンスのお約束。

 向こうがその気なら、応えてあげるのがお兄ちゃん。

 まさかここまでの完成度でサプライズしてくれるとは。

 兄貴冥利に尽きるぜ…!!

 

 『PX-78-2』

 

 まさかまさかのガン◯○(リング)

 開放軍記のタイトルでもある美しきトリコロールカラーの初代ガン○○!!

 

 俺は帝国軍人だ。

 だが、けっしてガン○○が嫌いなわけじゃない。

 主人公機なんていう王道中の王道機体を、俺みたいなザコモブが操縦して良いのか? 否! 断じて否であるっ!!

 

 ーーーと、そのような葛藤もコミコミで王者の機体を避けてここまで生きて来たのだが。妹からのサプライズとあらば、乗らぬわけにもいきませんて。

 

 「だいすの旅、覚えてくれてたんだな」

 

 レンの心遣いが無性に嬉しい。

 そしてそれを渡してくれたミレンの行動も。

 

 「よし、やるか」

 

 ヨシム=ラヒル、ガンリング!!

 いっきま〜〜〜〜〜〜〜っす!!!

 

 

 


 

 

 

 脳の中枢から響く鈍痛。

 

 覚醒したナツナ=ミナツが最初に知覚した不調はそれだった。

 

 「う………ぐ…」

 

 この頭痛には覚えがある。

 たいして強くない酒に脳が敗北した証。

 

 「………ん?」

 

 なぜ、飲んだのか。

 こんなになるまで飲んだ事は、若い頃にだってなかった。

 それこそ、ここ最近は仕事量が増えて中間管理どころか全体管理じみた有様だと言うのに…。

 

 くるりと脳内で空回りしかけた思考を、意志の力で掴み取る。

 

 「いっ………てて?」

 

 全身の筋肉が硬直して痛い。

 それでも地面はほんのりと柔らかく、鼻が感じる空気には酒精の他に鉄と霧化したオイルの臭いが入り交じる。

 

 「なんで?」

 

 そこは職場。

 事務所で寝泊まりをした事はあれど、作業区画のど真ん中にダンボールを敷いて寝た試しは無い。

 

 「第一主要通路………?」

 

 おかしな事に、見知った工員というか気心の知れた部下の大多数が倒れ付している。

 ある者は安らかに、ある者は苦しげに。

 

 みな一様に夢の中。

 

 こんな場所で宴会………?

 酒の瓶や缶、ツマミや弁当が散乱した職場の風景に唖然として、一歩下がった足が中身入りの缶に乗り上げ。

 

 「うぉあ!?」

 

 「オット、危ナイ」

 

 姿勢を崩したナツナ=ミナツを、低音ボイスが受け止める。

 

 「あ、すまなーーー!!」

 

 振り向いたナツナ=ミナツが目にしたのは腕。

 

 

【豪腕】

 

 その二文字を欲しいがままにする鋼の筋肉。

 

 「オハヨウ御座ィマッスル、マドモアゼル」

 

 ナツナ=ミナツを受け止めたのは彼の指。

 優しく強く、逞しく。

 遥かに優位な質量と筋肉量の怪物。

 

 その名はーーー、

 

 「蛇ビルダー………横内、ジェームス」

 

 「サヨウデ御座ィ………マッスルッ!!

 

 巨大な工場の天井を貫かんばかりにフロントダブルバイセップスをキメる老蛇。

 老化という生命の宿命を真っ向から否定する美体が、朝日に照らされテラテラと輝く(オン・ザ・ボディオイル)。

 

 「ヒッーーーー!!」

 

 反射的に叫びかけた口を両手で押さえ、酒にやられた頭脳を回す。

 

 (敵性生物! 何故? 退却 ありえない 理由は? 敵意が無い 双子に連絡………!?)

 

 自称双子の変態コンビを思い浮かべると同時にレクイエム(安置所)で眠るポチの姿が視界に入った。

 

 「あ………っ!?」

 

 悪魔の双子 気狂いのヨシム=ラヒル 戦国龍機との戦闘 蛇ビルダーとの契約 酒 宴会 痴態。

 

 「夢………じゃ、ないんだよな?」 

 

 頰を抓りながら老蛇を見上げる。

 明確な痛みが、ひどく現実から遠かった。

 





 ACしようとしたらアプデだった。
 ゲームしたいけど出来ないから書いた。
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