ホシノの同期になって拗らせたいだけのSS   作:watazakana

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村瀬メイ

スナイパーライフルのスペシャル。EXは罠によるCC(スタン)とデバフ効果。コスト割高でダメージは出せないが範囲が広く、スキル妨害に貢献する。NSはそこそこの倍率で単体を狙撃。SS、PSは会心率バフとなっている。市街地戦に強く、固有武器「マイ・コレクトネス」は苦手な屋外戦をサポートする。


ホシノの同期になって拗らせたいだけのSS 5

「はぁ……やっと帰って来れた……」

「先生は?」

「私が頼んだことをやってくれてる」

「ノリに乗った便利屋がここまで強いとは思いませんでした」

 

便利屋の助けもあって、私たちは無事にPMCを撃退することができました。彼女たちはあれからPMCの理事を拉致して、近くの廃墟に監禁しているようです。

 

「じゃ、私ちょっとパトロールしてくる。残党が悪さしないようにね」

 

私は後輩たちに休憩の指示を出して、その廃墟へと向かいます。もちろん、パトロールは嘘ではありません。攻撃側の指揮官は、「ここは手に入らない」と思った瞬間に、占領目的の戦術から嫌がらせ中心の戦術へ切り替えることがあります。住宅地なら住居を派手に壊して、商業施設なら汚物やゴミを撒き散らし、農地には毒を撒きます。「持つだけ損」という状況にして、守る側の劣化を試みるのです。それを防ぐための偵察も兼ねているのです。……住民の排除以上の装備を持っていなかったので、そこまで深刻な事態は起こりそうにないですが、念には念を、残党狩りも含めて巡回は誰かがするべきでした。

 

さて、巡回中も大したことはなく、二、三人無力化したのちに廃墟へ入ります。

 

「お、来た来た〜!お疲れ様〜」

 

白髪のかわいらしい笑顔が歓迎の挨拶です。

 

「今回はありがとう、便利屋さん」

「当然よ!受けた依頼はきっちり遂行する……それがアウトローなんだから!」

「先生に感謝しないとね。あのラーメン屋が無くなるの、社長は許せなかったみたいだから。PMC相手に背中押してくれたの、先生だったし」

 

「言わないでよ!」というアルの顔は微笑ましく、口を挟んだカヨコには、(烏滸がましいですが)なんだか親近感が湧きました。

 

「あそこのラーメン、美味しいよね。わかる。今度奢らせてよ。先生と一緒に食べよう」

「……うん」

「じゃ、私は『調べ物』してくるから。その後は丁重に送り届けてあげて」

「りょーかーい」

「あの……爆弾は大丈夫ですか?口封じなら爆殺するのも……」

「ありがとう、でも大丈夫。殺しちゃったら意味ないし、それこそ『次』なんかなくなっちゃうからね」

 

錆びた扉の向こう、鎖で拘束された大人が一人。軋む金属の音が耳を引っ掻いて、その薄く光る朱色の目と対峙します。

 

「やあ、理事様?」

「……何が目的だ」

「今ホシノはどこにいるか。真実を話せば解放するし、丁重に扱う。帰りは便利屋がエスコートしてくれるみたいだよ?わざわざ貴方が雇ってた組織に依頼したんだ」

「信じると思うかね?」

「いや、だって貴方をいたずらに酷い目に遭わせても私たちは損しかしないじゃん。貴方たちはホシノを騙して拉致した。アビドスのことを攻撃した」

「騙した?何を根拠に?それに我々のやっていることは───」

 

発砲。

 

「人が話してる途中に口を出すのは良くないよ。教えてもらわなかった?」

「……」

「じゃ、続けるね。私たちはそれに応戦して、貴方を拉致した。主観はともかく、『私たち』が反撃、抵抗として許されるラインは多分ここまで。これを超えると、私たちがかえって糾弾される」

 

そう、だから私だけが出向いたんです。ついでに言うと、便利屋に理事の送迎を頼んだのは私です。もちろん自腹で。ここからは、私が勝手にやる領域。

 

「だから、さ。私としては丁重に扱いたいわけだ。理事様には敬意を持って接したい。甘いドーナツでも一緒に齧りながら、談笑することもできる。でも、かかる誠意を無視するなら……『私』はあらゆることを『必要経費』として計上するだろうね」

「ク、フフフ……しかし、残念だ。実にね。……実際のところ、ホシノの所有権はカイザーにない」

「え?」

「カイザーとは別の組織が、小鳥遊ホシノを勧誘していた。我々は、そこで得られる恩恵に与っただけだ」

 

ここで致命的な見落としに気づきます。そう、カイザーだけがアビドスを狙っている、なんてコイツは一言も言っていません。……でも。ホシノへの狙いがどのようなものであれ、ホシノの活用方法は私でも予想がつきます。あの暴力的な強さは傭兵にしか使えません。だから、カイザーPMCが噛んでいないわけがないんです。私たちに対抗できる組織もそう多くないことは知っています。少なくとも、マンモス校の治安維持組織やヴァルキューレくらいは必要です。その組織が護衛を頼むなら、きっと提携先でしょう。その方が合理的ですから。

 

「残念だったな、君は大事な場所を見落としていた。君は筋こそ良い。どうだ、カイザーPMCでその筋を鍛えてやらんでもない」

「……そう。じゃあもう一度聞くね。『小鳥遊ホシノは今どこにいる?』」

「き、君、話を聞いていたかね?」

「聞いてるよ。でもあんた隠してることあるでしょ?小鳥遊ホシノはキヴォトスでも有数の戦力。それをPMCが欲しがらないわけがない。あんたの言ってることは嘘じゃない。それはわかる。質問を変えるね。『ホシノの居場所を知っているか?』。はいかいいえで答えて。それ以外の言葉を使うなら、私は『必要経費』を支払わなきゃいけない」

「なぜ貴様はそこまでして……」

 

弾丸を放ちます。はいでもいいえでもありませんでしたから。

 

「ホシノにこだわるのか、って?」

 

市街地でも聞いた質問でした。

 

「私にとってのホシノは、あんたにとってのカイザーで、お金で、権力だから。ホシノは私にとっての全てで、正しさで、誓いだから」

 

コッキング。排莢。からんと金属音が鳴ります。理事の足元の床が抉れます。

 

「これから要求に応えない場合は当てるけど、まあ正直にお話ししてくれれば、すぐ済むよ。じゃ、『お話』しよっか」

 

 

----

 

「───というわけで、パトロールした結果、アビドス市街地周辺の戦力分布とその方向がわかったよ。みんな、休憩終わり!アヤネちゃん、地図出して」

「は、はい!」

 

『お話』で得た情報を『パトロールの成果』と偽って、地図に書き込みます。理事から得た情報では、アビドス砂漠の本校跡地周辺を囲うように歩兵が配置されています。

 

「戦力規模は……多めに見積もって一個大隊」

「大隊!?本気で言ってんの!?」

「ゲヘナの風紀委員の最近の最多動員数でも二個中隊……無いですよね……」

「ん……」

「正面からぶつかれば、勝てませんね。いくらセリカちゃんやシロコちゃんがやり手でも……」

「まあ先生の指揮があっても、無謀の域だね。先生もわかってると思う」

「じゃあ、どうすれば……」

 

一同が作戦会議に閉塞感を感じ始めた頃。

 

「みんな、お待たせ」

 

聞き慣れた声がします。

 

「……先生」

 

先生に、現状を伝えます。

 

「なるほど……じゃあ、私の指揮でなんとかなりそうだね」

「先生?それって……」

「うん」

 

先生の表情は、勝利を確信した顔でした。

 

「トリニティとゲヘナが、色々協力してくれるって」

 

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