プロローグ0 日本に渡る。
冬木市。
穏やかな海が隣接し、
日本でも有数の霊脈を有する地方都市、
そして「聖堂教会」の
目が届きにくい、数少ない土地でもあった。
そんな数々の好条件が重なり、約200年前。
遠坂、マキリ、アインツベルン の、
後に御三家と呼ばれる家の魔術師が、大聖杯顕現の儀式を作り上げた。
それが「聖杯戦争」の成り立ち、その一端である。
アメリカ
シアトル 某所─。
「日本…冬木市へですか?」
「うん、上からそういうお達しでね、君なら馴染みも深いだろうということだそうだ。」
そう語るのは街の教会のサンド神父、
物腰柔らかだが確かに自分というものを持っている。
私がずっと前から世話になっている恩人だ。
「なんでも、綺礼くんがお手伝いをして欲しいそうだ。」
「言峰神父ですか?確か、前回の聖杯戦争でご負傷なさったとか…。」
「うん、前回は参加者だったが、今回は璃正神父の後継ぎで監督役に就任なさった、新人研修という意味も込めて綺礼くんの下で聖杯戦争の監督役を手伝って欲しい。」
君を信用してのことだろう。そう言って頂けたのだが、新人の私でも知っている。
魔術師同士の殺し合い。
しかも魔術師しか殺されない、なんてことは無く、実際に言峰神父の父、言峰璃正神父も第四次聖杯戦争で参加者の1人に手を掛けられたらしい。
そんな所に送り込まれるのが私で良いのだろうかと少し不安を覚えた。
「暫しの別れになるね。」
「君の旅路に安全が伴わんことを。」
そう言って彼はサンダーストーンのお守りをくれた。
雨の匂いは、篠突く度に増していった。
「向こうはここより晴れが多いらしいから」
「お土産話を期待してるよ」
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シアトル・タコマ国際空港
「監督役…か、」
聖堂教会よりもらった過去の記録をめくる。
「7騎の英霊を召喚し、戦わせ…最後の1人となった者の願いを叶える魔術儀式。」
「聖堂教会の役割はその聖遺物の監視と儀式の監督…。」
そんな願望機なるものは本当に存在するのだろうか。
存在したとして、果たしてそれを手に入れることは正義なのか。
ふと、思い耽る。
過去4回に渡って行われたこれに、多くの魔術師が悲願を託した。
「こんな叶うかも分からない願いのために…」
アナウンスが聞こえ始めてきた。
キャリーケースとアタッシュケースを持って搭乗口へ向かう。
その両手には祖国に帰るワクワクなんかより、
鬼が出るか蛇が出るか、そんな言葉が思い浮かぶ。
緊張でプラスチックの持ち手を深く握ってしまった。
正義。これはそれを信じる者たちによる、
信じる者たちへ送る聖杯戦争である。
初めまして、観測者さんです。
最近Fateが好きすぎて、遂に改変された聖杯戦争を書き始めました。
小説なんて書いたことないので、駄文と思われるかもしれませんが、どうか席を立たず、見守っていただけると嬉しいです。