Ⅴ. ここから。
「
パスが途切れたのを感じた慎二はその事実を理解できて居なかった。
「おい…おいどういうことだ衛宮、お前がアーチャーを倒したっていうのかよ!!」
「…そうだ。」
士郎は嘘をついた。この事実を知るのは凛たちだけで良いだろうと考えた末の結論だった。
「もう慎二の知る俺じゃない、死にたくなかったら教会に行け。」
すこし違った雰囲気を纏った士郎を凛は何か悟ったように見る。
「なにお前が指図してんだよ、マスターが前線に立つといい事がないぞ衛宮。お前の方こそ逃げろよ。なぁ!?」
士郎は長物を投影し、慎二の胸に軽く突き立てた。
ヒッ…
「なんなんだよお前!おお覚えてろよ!くそっ!!」
引きつった悲鳴と共に慎二は引けた腰を持ち上げて校舎から逃げた。
「…変わったわね、衛宮くん。アーチャーから何をされたか、後で教えて頂戴ね。」
魂喰いは収まり、程なくして救急車で重症の生徒たちは運ばれ、全国区で放送されるほどの騒ぎとなった。
聖堂教会はこれを近所のガス会社が保有するガスタンクによるガス漏れだと事件の真相を隠匿した。
士郎きっての願いで遠坂邸で話したいということだったので、士郎、凛一行は遠坂邸にて士郎の話を聞くこととした。
別世界のエミヤシロウと英霊エミヤについて、慎二の使役したアーチャーについて、そして固有結界「
記憶の全てとまでは行かずとも、伝えるべきことは全て伝えた。
「衛宮くん…いえ、これからは士郎って呼ばせてちょうだい。」
「その、これからどうするの?その記憶と心象風景を持ったあなたはサーヴァントと渡り合えるかもしれない力を手に入れたわ。」
「私たちとの共闘も、今となっては必要じゃなくなったんじゃない?」
少しの沈黙が士郎には必要だった。
「俺には、」
「多分…遠坂が必要だ。」
「固有結界の中でアーチャーに言われた、「サクラを幸せにしてくれ」って。」
手に握った宝石を見る。
「でも、それは俺だけじゃ成しえない物だと思ってる。」
「俺は桜だけの味方にはなれない。」
「でも、正義の味方というのもイマイチ理解し難い。」
「歪なのは分かってる。これが定まらない内は授けられた固有結界も扱えない…んだと思う。」
「だから、俺が答えを見つけるためにも、遠坂。俺と共闘してくれないか。」
「…ありがとう、さっきの士郎、雰囲気が少し変わっててもう私たちが必要じゃなくなったんじゃないかって…。」
自らを必要とされたことがあまりない凛にとって士郎のキャッチボールのように渡されたありのままの言葉にすこし照れた。
突如、空気が痺れたような気がした。
2人を守るようにして霊体化を解いたアーサーとエルキドゥは臨戦態勢を取った。
「なに…今の…?」
「何か分かるの?ランサー、」
目を閉じて、瞬間、霊脈を探った。
「おそらくはバーサーカー…いや、ほんとにバーサーカーなのか…?」
訝しげな表情をする。
「霊基が…すこし読み取りづらい、」
「例えるなら…そう、
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2羽の野鳥が教会前に墜落した。
程なくして雨が降る、アスファルトは小川を形成し始める。
「バーサーカー…?」
召喚時以外喋ってくれないバーサーカーに対して、こちらの対話も通じてない印象があった。
バーサーカーの召喚時共に現れた石像の下に5日前と同じかそれ以上の電気が集まって、地下の中を通り抜けていた。
亀裂、石像に亀裂が走り、その割れた欠片たちは落ちるどころか霧散して消えていく。
次第に色が見えて、人の形が分かりやすくなる。
「……我は神性を捨て、復讐に堕ちた者である。」
「我は太宰府の怨霊、復讐
「然して菅
「この日を境に我は契約者との対話を行える。面を見せてみよ。我が付くに相応しい者か見定めようぞ。」
瞬きもなかった。静電気を受けたような感覚のあと、彼は目と鼻の先に来ていた。
「動じぬか。」
動いた軌跡を残すように、動いた所から炎が続いている。
「良い、気に入った。我は貴様を導き、勝利させてやる。」
「大人しく我についてくるが良い。」
所々、彼の
異例の荒れた天気に、天気予報は7日間以上の雨、線状降水帯が異常な停滞を見せていると伝えた。
観測者さんです。
現在真名が分かっているサーヴァントのみで、今回における性能の解釈をお伝えする回を設けられればと思います。次回はその予定です。
追記(5月31日)
誤字の修正をしました。