Fate/stars night   作:観測者さん

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三章


 

「ふむ、3日目にしてやっと戦争に参加するという訳か。」

 

「なに、今まで出向かなかった理由というのは身内にも言わない方が良い、自分とサーヴァントのみ情報を共有するといい。」

 

「そう…ですか、では言峰神父、行ってまいります。」

 

彼女の前を行く瘴気を纏うサーヴァントは言峰に一瞥もくれず共に扉の奥に消えた。

 

「中々度し難いモノを従えたな、」

 

「さて、私は私の仕事をしよう。」

 

 

「…この戦争において、生きて帰りさえすれば儲けものというものだ。」

 

 

夜、暗雲の形が稲妻に照らされ、くっきりと見える。

非常に強い雨は一向に止む気配がない。

 

「下がっていろ。」

 

「えっ」

 

耳をつんざく様な敵意の激突に思わず目を瞑ってしまった。

アスファルトにはタイヤ痕に似た焼けた痕と焦げた匂いがした。

 

「僕に勝るとも劣らないね。」

 

「御前こそ」

 

グッと握り振り払われた刀から3歩ほどの間合いができる。

 

「もう一度言うぞ、下がっていろ。」

 

「我は貴様を巻き込まずして彼の者を退ける気がせん。」

 

「十数える。その間で良いとこまで退くがよい。」

 

十、火花が私を追い抜いた。

 

九、刀が雨を捌いた。

 

八、楔が泥人形を地面に留めた。

 

七、ニヒルな笑みと振り下ろされたあらゆるがぶつかる。

 

六、戦いの勢いに応えるように雨は勢いを増した。

 

五、踏み込んだ足はアスファルトを焦がす。

 

四、鳴った雷は一直線に彼らへと落ちた。

 

三、止まることをしらない激突はそれだけで熱を持った。

 

二、絡め取られた刀は止まることをしらない。

 

一、先程までの勢いを知らなかったようにそれらは動きを止めた。

 

「行けたか、契約者(マスター)。」

 

「はぁ…はあ…行けました、バーサーカー。」

 

「人払いの結界は誰かが張っていました、恐らくはそのサーヴァントのマスターでしょう。」

 

「戦闘の匙加減(さじかげん)は貴方に一任します。私はここで周囲の観察を行います。」

 

「撤退など連絡事項がある場合、即座に伝えます。貴方は戦闘に集中して下さい。バーサーカー。」

 

「承知した。」

 

「連絡は終わったかい?」

 

「それじゃあ、再開しようか。」

 

私が彼らの戦いを見る限り、私たちの起こす戦いとは、些か雰囲気が違って見えた。

殺気がない。いや、厳密には彼らの起こす一挙手一投足には殺気が溢れている。そうでないと出ない一太刀、一手だった。

しかし殺意というにはどうにも彼らは戦いを楽しみすぎている。

まるで腕相撲を、友達と自身の性能を比べ合っているような、そんな感じがした。

 

「これが、サーヴァント同士の戦い。」

 

稲妻が彼女のいたビルの屋上に刺さる。

これが道真なりの警告だということを即座に理解する必要があった。

 

「…っ!!」

 

握り込んだ灰錠を篭手に変化させ確かめるように開いては握った。

投げ込まれた宝石を即座に砕き、暗闇の中に侵入者を探す。

 

「甘い!」

八極拳と見えた素早い拳を素早く避けられず、ドッとねじ込まれた拳に鈍痛を覚えながら間合いを取った。

 

黒鍵に溜めた魔力を侵入者との間合いで放出する。

 

「向こうの戦闘に気を取られすぎよ、聖職者さん。」

 

その光から見えたのは高校生程と思われる少女だった。

 

「子どもだって舐めてると痛い目みるわよ!」

 

「セット!」

 

様々な光を放つ宝石は魔弾となって四潔を追った。

黒鍵と篭手で応戦するものの、四潔の持つ装備は聖別済みか聖銀製の武具ばかりで、おおよそ対魔術師戦において耐久性以外では不利となる。

 

防戦一方となり、急いでバーサーカーに連絡を取った。

 

(すみません!いつの間にか、貴方の戦っているサーヴァントのマスターらしき少女に奇襲を仕掛けられました!)

 

(消耗戦になると自衛が難しいです!ここは撤退をします!バーサーカー!)

 

「ふむ、」

 

屋上に再び雷が落ちた。

「…情けない契約者(マスター)だ。」

 

瞬く間に彼はこの屋上で抜き身を納めていた。

 

あのサーヴァントとの戦闘に水を差されたことに対し少し不機嫌になっているように感じた。

 

「そこな少女よ。」

 

「我はあの土塊(つちくれ)が気に入った。(ゆえ)、戦争半ばで脱落する事は許さん。」

 

「他の者共に殺められるのであれば我がお前たちを殺しに行く。」

 

努々(ゆめゆめ)忘れるでないぞ。」

 

凄まじい轟音と共に2人は姿を消した。

 

 

「リン」

 

「怪我はないかい?」

あれだけの戦闘をしたのにも関わらず、さっきのサーヴァントと言い、エルキドゥも全くの無傷であった。

 

「えぇ、あなた随分とあのサーヴァントに気に入られたようね。」

 

「ああ、そうだね、僕も彼の事が好きになったよ、」

 

「どうせ僕とまた戦うまで死ぬな、なんて言ったんだろう?」

 

「どうも、彼はギルと似ているところがあると感じるんだ。」

 

さっきまで土砂降りだった雨と止むことを知らなかった雷が幾分かマシになった。

 

「あのサーヴァント、やはりバーサーカーかしら?」

 

「うーん、」

 

「やはり分かりづらい…けど、ある程度分かってきた。」

 

稲妻がエルキドゥに逆光を差す。

 

「彼はアヴェンジャー、復讐者のクラスに変化を遂げている。」

 

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