「
「そんな…クラスが変わってるって…」
「しかも、
先程よりマシになった雨雲とは反対に、凛の頭に不安がよぎる。
「恐らくこの聖杯戦争で彼を超えうる存在は居ないよ。」
「同時に彼より御しがたい存在もいないね。」
「…リン」
「また来客だよ、備えて。」
雷が大通りをライトアップするように照らし続けた。
馬蹄の音が夜に響き、遠く旗の音が雨音よりも鮮烈に鼓膜を揺らす。
「美しき青年よ、我はお前を打ち倒す者。」
「帝国陸軍指揮官!ワシントン・ジョージである!」
雨の中濡れた栗毛が輝いた。
ビルの屋上で鎖と両刃がぶつかりあう。
「ライダー、のサーヴァントか。」
鎖が馬を貫き、足を拘束した。
跳躍したワシントンが銃を抜き即座に撃ち込む。
右腕、左足、左腕、楔に貫かれ拘束を余儀なくされた。
「マスターも近いからね、試し合う余裕は無いんだ。」
磔にされた彼は不敵な笑みが妙に目立つ。
湿気が嫌な予感を匂わせた。
「
銃、剣、大砲、あらゆる陸戦兵器がこの屋上を覆い尽くした。
すへで年季の入ったものたち、鈍く光る真鍮が威圧感を放つ。
「
「始め!」
飛び交う鉛玉を凛を巻き込まず、逆に守りながらこの状況を切り抜く。
この宝具解放は状況を一転させ、エルキドゥは思わず笑みを浮かべた。
「宝具はダメよ、ランサー。」
「まだここじゃない、ここ切り抜けたら撤退する、いくらあなたとは言え連戦は難しいわ。」
「了解したよリン、」
眩い光が大きく周囲の武装を薙ぎ払った。
「すまないライダー、君に構えないみたいだ、また会えるといいね。」
屋上全体に鎖を交わらせた。
追うように放たれる大砲や銃弾の数々を叩き落とし、凛を抱え跳躍した。
「ふむ、
「マスター、そちらはどうだ?」
心配が虚空を掠める。
「そちらのマスターはこちらで拘束させて頂きました。」
布擦れの音が聞こえる。
時折聞こえる銀と銀が擦れる音が場の緊張を増す。
「私はアサシン、初対面にご無礼を承知で申し上げます。ここはどうか協力関係…同盟を結びませんか?ライダー、ジョージ・ワシントン。」
「…いつから見ていた?」
「いつからマスターを拘束した、」
「あなたがこの屋上に向かってくるところから、そして貴方が名乗りあげたところでマスターを拘束させて頂きました。」
「打つ手を間違えたか…。マスターと相談させろ、場所を変えるぞ。」
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翌朝、聖堂教会前
「…イリヤ、なんでお前がここにいるんだ、」
「士郎こそ、私は霊脈に異常を感じたから辿ってみたまでよ。」
士郎とイリヤ、二人の間に冷たくもほぐれた雰囲気を感じる。
「俺はあのバーサーカーを倒そうと思う、邪魔をするなら容赦はしないぞ。」
目の座った士郎にイリヤはすこし微笑んだ。
「セイバー、」
「乗り込むのかい?」
「いや、教会は脱落者の保護場所だから俺らが乗り込むのは少し気後れする。」
「というより、」
「向こうから来てくれたみたいだな…」
似つかわしくない洋式のドアから瘴気が先に顔を出した。
背筋が伸びる感覚を覚える。
「バーサーカー…いや、
「相分かっタ…。」
カタカタと震える刃を振って正す。
「キャスター、」
「援護かい?任せておくれ。」
コンっと杖を鳴らし、ここにいる4人に強化をかける。
「セイバー、頼めるか。」
「息を合わせる、セイバーは自由にしてくれていい。」
「良キか…」
「我ハ恩讐を往ク者…
認識や語彙が曖昧ではあるものの、その佇まい、握る刀から感じる雰囲気は達人のそれであった。
「往くぞ…若輩共…。」
「来…るっ!!!」
彼の復讐者としての深度が増していく度に空は晴間を広げていった。