Fate/stars night   作:観測者さん

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Ⅸ.最後の晩餐

 

同盟を以った独立革命(アメリカン・インデペンデンス)!!!】

 

乾いた空気に太陽が照る青空に、威勢のいい声が響いた。

 

「心象風景…、」

 

「そうだ、これは我の生きた自由そのもの。」

「この空気、この匂い、この感触全てが我の追い風となる。」

 

「これ以上ない”性能比べ”日和だ、存分に行こう、ランサー!」

 

「自己紹介が遅れたね、僕の真名はエルキドゥ。是非覚えていってくれ。」

 

それぞれ質の違う、濃い魔力の流れが2つ渦を巻く。

 

「星に刻まれし傷と栄華─、」

 

「今こそ歌い上げよう!」

 

民の英智(エイジ・オブ・バビロン)─!!!」

 

反乱する者たちよ(コンチネンタル・アーミー)─!!」

 

地図上の聖堂教会の奥、森の深い処。

そこから聖堂教会前までを呑み込んだ荒野に近代兵器と現代兵器が対立していた。

 

ワシントン率いるアメリカ陸軍、その兵士たちが真名解放によってその姿が白昼のもとに晒された。

 

「…宝具に巻き込まれたか、」

 

ふむ、と邪魔者を見る目で遠くに控えるこの結界の主を睨む。

 

現代兵器と近代兵器の互角な乱戦状態、拮抗が続き平行線になりつつある撃ち合いに、ワシントンに見えざる一撃が振り抜かれる。

 

気配感知が極められたエルキドゥでさえ瞬間遅れた反応を見せた。

 

ワシントンがその雷鳴に似た閃撃に気づく瞬間、遅すぎたか脇腹から腰までを一直線に()かれた。

 

「ッ!?」

 

肉が焦げる匂いと傷から僅かに落ちる血が、及ばない理解が追いつくまでの間を語る。

 

その一瞬でワシントンは霊基を削られ、固有結界を保てず瓦解してしまう。

 

「無礼者よ、一度のみ貴様を見逃そう。」

 

「疾く失せるがいい。」

 

また、座標が一瞬で変わったかのように教会前に荒ぶ土煙を撃ち落とす雨が降る。

 

道真、ワシントン、エルキドゥの三竦みの均衡と沈黙をその場にいるはずの無い違和感として、ユダが破った。

 

めまぐるしく変わる状況に、またもや水は差される。

 

「宝具、」

 

最後の晩餐(ザ・ラスト・サパー)

 

戦況変化。ざぁざぁ激しく打ち付ける雨の街は、色褪せた乳白色の石造建築へと場所を変えていた。

 

宝具 最後の晩餐《ザ・ラスト・サパー》。

彼の救世主の教えを継いだ使徒が心象風景を同じくする固有結界。

展開条件は結界範囲内に9人以上、12人未満存在すること。

 

この場にいたサーヴァント、一部マスターを巻き込んでそれは成された。

 

先程まで教会前を支配していた大きく不快な湿度は瞬間に、カラッと涼しい風が吹く”晩餐会”となっていた。

 

純白のテーブルクロスに、静かにかつ豪勢に盛られた果物、肉、ブレッド、そしてワイン。

 

この晩餐会に招かれた約9人は、全員円卓を囲むことを強制され、卓上の食物に手を付けることのみ許されている。

 

本来救世主が座っている位置にはワシントンが座り、道真の一撃による傷で、荒い呼吸が目立っている。

 

みな、この固有結界の効果を把握していないが故に動けず、ユダの行動を瞬きもせずに監視していた中。

 

「二度の無礼は許さぬ。」

 

規格外の道真(それ)が見えざる一撃を見舞った瞬間だった。

 

【……同盟を以った独立革命(アメリカン・インデペンデンス)。】

 

再度宝具を、それも魔力消費の激しい固有結界を展開できるほどの魔力の残量があるとは、先程の様態を見ても誰もが想像していなかった。

 

再び訪れる荒野、吹きすさぶ砂風。

 

先程、道真自ら大太刀を喰らわせた軍人には傷一つ見られない。

それどころかステータスにおいて、大幅に上昇が見られていた。

 

半分退去していたユダは静かに道真を睨み、かつその口元は緩んでいる。

まるで、計画通り。とでも言いそうな顔に、道真は意も介さぬ顔を返す。

 

「これにて…私は…退場ですが、身を…捨てて、こそ…浮かぶ、瀬も、あれ…、良い、言葉です。彼に託し、貴方が、倒されることで…私の死も…報われましょう。」

 

「私の宝具、とくとご覧、あれ。」

 

吐き台詞を荒野に残し、跡形も残さず、全てをワシントンに託し消えていった。

 

「同盟を結んだとて、塵芥。かかってくるが良い、興醒めさせてくれるなよ。」

 

そこに神性は在らず、人と成り神性を纏う獲物を振るう、菅原道真。その影法師なり。

 

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