Fate/stars night   作:観測者さん

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プロローグⅡキャスター

冬木市北西部

アインツベルン城

 

反射が眩しい大理石の床には、1つの絵画がイーゼルに立てられていた。

 

[救世主]

 

男性版モナリザとも言われたその作品は、

ルネサンス期の芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたものである。

 

 

光が差し込む大広間に、

水銀で書かれた召喚陣。それと絵画一点。

イリヤを見守るホムンクルス数体を除けば、たったそれだけだった。

 

それだけでも様になるのはこの城のせいか、それとも。

 

少女が少女らしからぬ集中力を以って、長い詠唱を始めた。

 

水銀は揺れ、絵画を中心としたこちらを縦横(じゅうおう)に薙ぎ倒すような重い風が吹き続ける。

 

光と共に風が止んだ後。

 

一人の古典文化の復興(ルネサンス)が立っていた。

 

絵画は儀式中、揺れることはなく、誰かが持っていたかのように、ただそこに佇んでいたという。

 

 

───────────────────────

 

 

 

「キャスター」

 

「レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ」

 

「本当はライダーで出てきたかったのだけど、」

 

「先を越されたみたいでね、」

 

「気軽にダ・ヴィンチちゃん、なんて呼んでくれたまえ。」

 

イーゼルを支え、飄々とした口調で現れた彼女?に、一同は唖然とした。

 

「セラ、リーゼット、下がっていいわ。」

 

「彼、敵意は無いみたいだから。」

 

大広間に2人と1作品。

 

「…イリヤ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。私はキャスターって呼ぶけど、あなたはイリヤでも構わないわ。」

 

つんけんとした表情に彼はすかさず会話を繋げる。

 

「それはありがたい!私は「マスター」という呼称が苦手でね、是非そうさせてくれ、イリヤ。」

 

「それにしても…君は…その魔術回路の多さ、」

 

「ホムンクルスよ、ここに住んでいる全員。」

 

一つの沈黙を置いて囁く。

 

「座というものは少し寂しかったけど、こんな機会滅多にないだろう。私の寂しさなんて安いものだったのさ。」

 

今にもイリヤをモデルに1枚仕上げそうな彼に対し、すこしやりづらい感触を覚えた。

 

「触らせないわよ。」

 

ダ・ヴィンチの変態性に当てられ、呆れて吐き捨てる。

 

「大丈夫さ、見てるだけでも十分興味深い。特に君はね。」

 

さて、と一息。

「今回はキャスターだ、早速工房の制作に入りたい、」

 

「使用してもいい部屋はあるかな?」

 

こっちよ。そう言って小さく歩幅をきかせる。

後ろを行くダ・ヴィンチは、イリヤのホムンクルスとしての完成度に感動を覚えたと同時に、

白肌の節々から見受けられる、彼女が受けてきた「調整」にかなりの嫌悪感を覚えていた。

 

「話には聞いていたけど、酷い話だよ。」

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