Fate/stars night   作:観測者さん

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Ⅲ. 主従契約

 

夜、冬木市郊外。

 

雑木林の中に簡易的な人形が4体ばかり存在した。

 

カチャカチャと銀の関節を駆動させ、彼を追い詰める。

 

冷や汗が頬を伝う。

 

「なんだよアレ…!なんでこんな事に…!」

 

右手には赤い妙な痣(令呪)が浮かんでいた。

 

set(セット)…!!」

 

身体強化を脚に纏わせる。

枯葉、枯れ草を思いっきり踏みしめて予備動作は全力疾走の形を取った。

 

追いかける人形に対し、逃げながら戦闘態勢を整える。

 

(ここら辺めっちゃ魔力の匂いが濃い…、)

 

(人の匂いがせんけん誰かが人払いも張っとる…!)

 

つばを飲み込んで覚悟を決める。

 

(俺の力じゃ精々足止めが限界やろうけど…!)

 

対獣魔術。

古く、人間が体格や膂力(りょりょく)で敵わない獣に対して編み出した魔術。

現代の近代兵器は獣を軽く倒せるほどの火力を誇るため、この魔術は発展の可能性に目を瞑られ衰退の一途を辿っている。

 

彼は、それを使って狩りを生業としてきた魔術使いの一家、熊野家に生まれた。

 

腰から取り出した4本のナイフを地面に投げ刺し、魔術を展開する。

 

青く光ったナイフ同士が線を繋ぎ、高威力の電撃を放つ罠となる。

 

されど人形に対して効果的な素振りはなく、程なくして前進を再開した。

 

「くっ…そっ…!!」

 

(こんなことなら家にあったやつ(魔導書)読み漁っとけば良かった…!!)

 

魔力消費を抑えながら逃げ続けた先に、小さい女の子が1人が月に背を向け佇んでいた。

 

「こんばんは、お兄さん。」

 

「私の領域に立ち入るなんて、まるで飛んで火にいる夏の虫ね、そんな魔術で私のキャスターは止められないわ。」

 

(キャスター?なんだよ…それ、そんでこの子は何者!?)

 

「君があれを作ったのか?俺はただの魔術使いで、君の言っているキャスターとやらも何か知らない!」

 

「演技が下手よ、ここでそんな嘘はあまりにも出来すぎているわ。」

 

「キャスター」

 

気づけば傍らに1人、大人の女性が立っていた。

 

「ふーん、サーヴァントなし…か、」

 

「やるのかい?イリヤ」

 

この女だ、この女があの人形を使役していたんだ。

 

直感的にそう思った。

 

「ええ、今処置しておいた方が後が楽だわ。」

 

死にたくない───。

 

なんで、こんなところで───。

 

煌々と輝く魔弾を危機一髪のところで肩に受ける。

 

「っ…!」

 

「チェックメイトだ、魔術使いくん。」

 

死にたく、ない─────!!!

 

 

魔弾とは違う、彼らの間から光が膨張して、辺りを包み込んだ。

 

「うっ──そ!」

 

 

光が収束し、栗毛の馬に乗った男と、その傍らにある国旗が豪快な音を立てて存在をアピールした。

 

「サーヴァント、ライダー。呼び声に応じ参上した。」

 

「間一髪であったな、少年。」

 

死角からイリヤに向かって銃弾が数発飛んだのをダ・ヴィンチは軽く跳ね除けた。

 

「そういう召喚もアリなんだね、興味深い。」

 

「どうする?イリヤ、我々のアドバンテージはたった今無くなった。」

 

「まぁ、いいわ、キャスター戻るわよ。」

 

興が冷めた、そう言いたげな眼差しでキャスターに霊体化を合図した。

 

「逃げるのか?キャスターのマスターよ。」

 

「戦略的撤退よ、軍人さん。」

 

そういって彼女たちは消え、その代わりにより高性能と見れる人形が十数体生成された。

 

「ふむ、腕鳴らしということか、」

 

「頭と別れたく無ければしゃがんでいるがいい、少年。」

 

困惑する彼を尻目に、彼はマスターから少しだけ魔力を引っ張った。

 

両刃の剣を振るう。単発式の銃は軽々しく人形たちを撃ち抜いた。

 

豪快な音と共に霧散していく人形。

 

「乗れ、少年。」

 

彼を後ろに乗せ、風の如く駆け、冬木を全貌出来る高台まで連れていった。

 

景色を全貌し、国旗の(なび)く豪快な音と共に、彼に振り返る。

 

スター&ストライプ、自由の象徴は風を受け見事に靡いている。

 

「我が名はジョージ・ワシントン。」

 

「我が国に誓ってこの戦争、勝ち上がってみせよう。」

 

「この旗が塵となって消える時、その時私の命運も尽きる。」

 

「よろしく頼もう、マスター。」

 

「う、うん…よろしく、えーっと…」

 

「ライダーでよい、そしてお前はまず、この戦いについて知らねばならぬようだ。」

 

「拠点へ案内しろ、情報の共有は戦において最重要事項の1つであるからな。」

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