夜、冬木市郊外。
雑木林の中に簡易的な人形が4体ばかり存在した。
カチャカチャと銀の関節を駆動させ、彼を追い詰める。
冷や汗が頬を伝う。
「なんだよアレ…!なんでこんな事に…!」
右手には
「
身体強化を脚に纏わせる。
枯葉、枯れ草を思いっきり踏みしめて予備動作は全力疾走の形を取った。
追いかける人形に対し、逃げながら戦闘態勢を整える。
(ここら辺めっちゃ魔力の匂いが濃い…、)
(人の匂いがせんけん誰かが人払いも張っとる…!)
つばを飲み込んで覚悟を決める。
(俺の力じゃ精々足止めが限界やろうけど…!)
対獣魔術。
古く、人間が体格や
現代の近代兵器は獣を軽く倒せるほどの火力を誇るため、この魔術は発展の可能性に目を瞑られ衰退の一途を辿っている。
彼は、それを使って狩りを生業としてきた魔術使いの一家、熊野家に生まれた。
腰から取り出した4本のナイフを地面に投げ刺し、魔術を展開する。
青く光ったナイフ同士が線を繋ぎ、高威力の電撃を放つ罠となる。
されど人形に対して効果的な素振りはなく、程なくして前進を再開した。
「くっ…そっ…!!」
(こんなことなら家にあった
魔力消費を抑えながら逃げ続けた先に、小さい女の子が1人が月に背を向け佇んでいた。
「こんばんは、お兄さん。」
「私の領域に立ち入るなんて、まるで飛んで火にいる夏の虫ね、そんな魔術で私のキャスターは止められないわ。」
(キャスター?なんだよ…それ、そんでこの子は何者!?)
「君があれを作ったのか?俺はただの魔術使いで、君の言っているキャスターとやらも何か知らない!」
「演技が下手よ、ここでそんな嘘はあまりにも出来すぎているわ。」
「キャスター」
気づけば傍らに1人、大人の女性が立っていた。
「ふーん、サーヴァントなし…か、」
「やるのかい?イリヤ」
この女だ、この女があの人形を使役していたんだ。
直感的にそう思った。
「ええ、今処置しておいた方が後が楽だわ。」
死にたくない───。
なんで、こんなところで───。
煌々と輝く魔弾を危機一髪のところで肩に受ける。
「っ…!」
「チェックメイトだ、魔術使いくん。」
死にたく、ない─────!!!
魔弾とは違う、彼らの間から光が膨張して、辺りを包み込んだ。
「うっ──そ!」
光が収束し、栗毛の馬に乗った男と、その傍らにある国旗が豪快な音を立てて存在をアピールした。
「サーヴァント、ライダー。呼び声に応じ参上した。」
「間一髪であったな、少年。」
死角からイリヤに向かって銃弾が数発飛んだのをダ・ヴィンチは軽く跳ね除けた。
「そういう召喚もアリなんだね、興味深い。」
「どうする?イリヤ、我々のアドバンテージはたった今無くなった。」
「まぁ、いいわ、キャスター戻るわよ。」
興が冷めた、そう言いたげな眼差しでキャスターに霊体化を合図した。
「逃げるのか?キャスターのマスターよ。」
「戦略的撤退よ、軍人さん。」
そういって彼女たちは消え、その代わりにより高性能と見れる人形が十数体生成された。
「ふむ、腕鳴らしということか、」
「頭と別れたく無ければしゃがんでいるがいい、少年。」
困惑する彼を尻目に、彼はマスターから少しだけ魔力を引っ張った。
両刃の剣を振るう。単発式の銃は軽々しく人形たちを撃ち抜いた。
豪快な音と共に霧散していく人形。
「乗れ、少年。」
彼を後ろに乗せ、風の如く駆け、冬木を全貌出来る高台まで連れていった。
景色を全貌し、国旗の
スター&ストライプ、自由の象徴は風を受け見事に靡いている。
「我が名はジョージ・ワシントン。」
「我が国に誓ってこの戦争、勝ち上がってみせよう。」
「この旗が塵となって消える時、その時私の命運も尽きる。」
「よろしく頼もう、マスター。」
「う、うん…よろしく、えーっと…」
「ライダーでよい、そしてお前はまず、この戦いについて知らねばならぬようだ。」
「拠点へ案内しろ、情報の共有は戦において最重要事項の1つであるからな。」