前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい   作:遠野蜜柑

104 / 126
第101話『銀河惑星連盟大帝国地球支部チャンネル』

 

 

 

 

 リビングのソファでテレビ番組を垂れ流しつつスマホでネットニュースなどを見て回っていると、前に須藤と一緒に行ったラーメン屋がコンビニとのコラボ商品を出したという情報を入手した。

 

「ほう……これは買いだな……」

 

 すでに時刻は22時を回っていたが俺はコンビニに向かうことを決める。

 最近、俺は田舎にはないジャンクな味わいにハマっているのだ。

 従姉のミツルちゃんは用事で出かけて今日は帰ってこない。

 

 実家暮らしじゃないとこういうときに自由度高くていいよな。

 

「一応、江入さんにも何か買うものがないか聞いておくか」

 

 俺は気遣いができる男なので自室に戻って同居人たる宇宙人に一声かけに行く。

 すると、押し入れの扉に掛けてあるプレートが『NO』となっていた。

 ああ、今は配信中か……。

 

 配信中とは何のことか? それは江入さんのYouTube配信である。

 

 そう――

 

 江入さんは俺の地元から帰った後、幸一おじさんの薫陶を受けて本当にYouTuberになってしまったのだ。

 

 銀河惑星連盟大帝国地球支部チャンネル。

 

 それが彼女のチャンネル名だった。

 

 宇宙から地球を侵略するための偵察に来た少女という『設定』で『エイリア・ン・NA』と名乗って活動している。

 

 エイリア云々は江入さんの宇宙でのコードネームらしい。

 

 視聴者からは『エイリアたん』とか『ナーちゃん』とか言われているっぽい。

 

 YouTubeを始めた江入さんは定期的に生配信をするようになったので、配信中にうっかり声をかけてしまわぬようこうやって『YES』『NO』と裏表に書かれたプレートを扉に掛けておくことにしたのだ。

 

 配信をしてないときは入室していいという意味で『YES』。

 配信を行なっているときは入室をしないでくれという意味で『NO』。

 そういう取り決めになっている。

 

 俺はスマホから江入さんのチャンネルを開く。

 

 そこには眼鏡をかけた江入さんが映っていた。この眼鏡はYouTuberの『エイリア・ン・NA』と『江入杏南』が同一人物だということを把握していないと彼女を結びつけて認識することができない特別仕様になっているそうだ。

 

 念のための身バレ対策ってやつだね。

 

 配信では視聴者からの質問に答えながら江入さんが宇宙での暮らしや文化、歴史などを淡々と語っている。

 

 ローテンションな美少女が練り込まれた電波な『設定』をつっかえることなく話すシチュエーションが地味にウケ、彼女のチャンネルは開設して間もないのに登録者がすでに8000人を越えていた。

 

 今もなお登録者は毎日右肩上がりで伸び続けている。

 

 俺の地元から帰ってきてからの短期間でここまでいくのは割とすごいんじゃないかな?

 

「まさか江入さんにこんな才覚があったとはねぇ……」

 

 ちなみに動画開始時に使う定番の挨拶は『はろー、ゆーふぉー、ゆーちゅーぶ』らしい。

 

『FOR YOU』と『UFO』をかけているんだって得意気に言われた。

 

 知らんわ。

 配信ではゲーム実況もやっている。

 そのときはピコピコやりながら「きゅ~れ~」とかよくわかんないことを呟いていた。

 

 

 

 

 江入さんが配信中だったので俺は特に声をかけず家を出た。

 都会の夏は夜になっても田舎と違ってムシッと暑さが残っている。

 長く歩き続けたら汗掻いちゃうかも。

 

 まあ、街灯が多くて歩きやすいのはいいけど。

 

 アスファルトの地面を踏みしめて俺は最寄りのコンビニへと向かった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。